神様、俺を異世界へ。   作:Watapon-

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第16話 神様、俺たちは臨時護衛隊です。

「君たちが護衛をしてくれるのか?…こちらとしてはありがたいが、君達にも都合というものがあるだろう?」

 

と、公爵様が遠慮気味に言う。

だがイリアはさらに続ける。

 

「あたし達なら大丈夫ですよ!あたしは用心棒出身だし、エストは魔法凄いし、何よりヒロトは全属性使える上に、無属性魔法も全部使えるんです!」

 

雑な説明だけど、大体あってる。まぁ、別に予定も無いし、護衛する分には何の問題もないのだが…

 

「ぜ、全属性使いなのか!?…確かにそれは凄い。だが、この街では…」

 

「攻撃魔法の使用は禁止。…ですよね、公爵様。」

 

「そう、その通りだ。…ヒロト殿は武器を扱えるのか?」

 

「扱えますよ。元々剣使いですから。」

 

…俺の素人剣術で役に立てるとは思わないが。

 

「…でもエストは魔法しか使えないんじゃなかったか?」

 

「私は攻撃魔法しか使えないので、お役に立てないですね…」

 

「うーん、どうしようか…」

 

 

数分後、大体話はまとまった。

 

俺とイリアは武器を扱えるので、護衛隊に臨時で入隊する事になった。エストは戦えないのでアリエさんに魔法の手解きを受けるらしい。

…何もしないよりマシだろう、とアリエさんが考えてくれた。

そして俺とイリアは護衛隊に入隊するにあたって、護衛隊のリーダーに挨拶をすることになった。

…屋敷が広すぎて迷子になりそうだ、と言うことでリオナが案内してくれた。

 

「し、失礼します。」

 

「ん?ここは関係者以外立ち入り禁止だ。…おや、貴方はあの時の。」

 

そこに居たのは少し前に俺とエストが助けたリオナの護衛のリーダー。

あれ?前会った時より人数が少ないような気が…

 

「お久しぶりです。…人減ってません?」

 

「ええ、先日のリザードマン襲撃で数名負傷しまして。今ここに残っているのは私を含め4人だけです。」

 

なるほど、この広い公爵家を護衛するには少なすぎる人数だな。…じゃあ俺達が護衛を引き受けたのは正解だったのか。

 

「あ、そういえばまだ自己紹介もして居なかったですね。…王国騎士団所属。公爵家護衛騎士団長のザウロ・リングレナルです。」

 

うーん、目上の人に敬語を使ってもらうのはなぁ…

 

「あの、普通でいいですよ。今回は俺たちが教えてもらう側なので。」

 

「そ、そうですか?それでは…よろしく頼むぞ、ヒロト殿。」

 

あ、なんか雰囲気変わった。

 

「あたしはイリア・ミテラストだ。元用心棒で今はヒロト達と旅してるんだ。」

 

とイリアが、ザウロさんはイリアに礼をする。そして、俺の方へ向き直ると、

 

「…それでは本題に入ろう。既に公爵様よりお話は伺っている。」

 

屋敷は広いけど情報の伝達がありえないくらいに早い。…だって護衛を引き受けたのはほんの数分前だぞ?

まぁ話が伝わっているならそれでいいのだが。

 

「…そういえばヒロト殿と初めて会った時は魔法で戦って居たが…武器は扱えるのか?」

 

「一応剣使いですからね。…妨害魔法は使用しちゃダメですか?」

 

素人剣術だけだと厳しいかもしれないが、妨害魔法が使えるとなればかなり助かる。

 

「一応使用は許可されて居るが…なるべく控えた方が良いだろう。」

 

「分かりました、妨害魔法は緊急時以外は使わないようにします。」

 

「それと、イリア殿は用心棒出身だったな。その辺のところは大丈夫かい?」

 

とザウロさんが聞くと、イリアは無い胸を張って、

 

「勿論!」

 

「それでは他の団員を連れてくる。それから配置の説明などをしようか。」

 

そう言うと、ザウロさんは奥の部屋へ入って行った。

 

「なぁヒロト。さっきあたしの事可哀想な目で見なかったか?」

 

「い、いや、全然。」

 

成長差があるから頑張れ!と心の中で思っていたなんて言えない。

 

暫くして、ザウロさん数名の団員を連れて帰ってきた。

 

「それでは各々自己紹介を。」

 

ザウロさんがそう合図すると、大柄な男の人が前に出る。

 

「バラク・フルベルトだ。よろしくな。」

 

「こちらこそ。」

 

そう言って握手を交わす。

 

次は細身の女性。背中に槍を掛けている。

 

「ニヒル・ストリカでーす。よろしくね〜」

 

「うん!よろしくな、姉ちゃん。」

 

うーん、この人本当に騎士団所属?めちゃくちゃ緩いんだけど。

 

そして最後は鋭い目つきをした狼の獣人。あれ?こんな人居たっけ?てか、睨まれてるような気がする。

 

「…ガルフ・サヴァリスだ。団長、本当にこんな奴らで大丈夫なのですか?」

 

「な、こんな奴らって何だー!」

 

とガルフに飛びかかろうとするイリアを捕まえる。

 

「落ち着け!おい、暴れんな!」

 

イリアの奴、こんな小さな体のどこにこんな力が…

 

「ガルフはあの事を知らんのだったな。彼らこそがリオナ様を助け、白獣を倒した冒険者なのだよ。」

 

「こ、こいつらが!?…どこからどう見ても貧弱そうなのですが…」

 

あ、これは俺もイラっときたぞ。

貧弱なのは認めるが、そこまでハッキリ言われるとちょっとな…

でも俺は我慢できる。落ち着けー俺。

なんて暗示をかけていると、バラクさんが肩をポンポンと叩いて、

 

「…すまないな。ガルフは少し冷たい奴でな。まぁその分、団長や公爵様には誰よりも忠実な男なんだ。」

 

さすが狼の獣人。忠君精神が強いって事か。

 

「…さて、それでは配置について会議を始める。」

 

 

そして一時間後。それぞれの配置と役割が決定した。

 

イリアとニヒルさんが屋敷の東側。

ザウロさんは屋敷の裏口、バラクさんが屋敷の正門を。

ガルフが屋敷の西側で、ワイドセンスの使える俺は屋敷の屋根で待機になった。

 

「…まだ時間まで大分あるな。それでは各自、時間まで解散。訓練するもよし、休息を取るもよし、自由にせよ。」

 

「「「了解!」」」

 

 

会議が終わり、イリアがニヒルさんについて行ったので、俺は廊下をウロウロすることにした。

 

「ここは本当に広いなー…ん?あそこにはまだ行ってないな。」

 

護衛隊の会議室から少し行ったところにある部屋。他の部屋とはまるで違う扉で仕切られている。

と、後ろから声が。

 

「…そこは訓練場。俺たち護衛隊の特訓に使っている部屋だ。」

 

声を主はガルフだった。

 

「へぇー…随分と立派な扉だな。」

 

「先代の団長が訓練中に破壊してしまったらしい。それ以来、この部屋の扉だけが強化されている。」

 

先代の団長、半端ねぇな。

 

「ヒロト、と言ったか?1つお前に頼みたいことがあるのだ。」

 

「え?何だよ?」

 

「俺に…お前の実力を見せて欲しい。」

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