(雑な登場の仕方ですけど、許して欲しい。)
二人と離れてから早2日。
私はアリエさんに連れられて、王城へとやって来ていた。
というのも、私は魔法以外の攻撃手段が無いから攻撃魔法禁止の市街地での戦闘が出来ないこともあり、二人とは別で魔法の手ほどきを受ける事になっていた。
でも、王城での生活にはやっぱり慣れないことが多いなぁ。と痛感していた。
でも、アリエさんや他の魔術師団員の人達のおかげで、新しい魔法もいくつか習得させてもらえたし、それになにより…
「エストちゃん!今日はどんな魔法を教えようか?攻撃?それとも支援?どっちでもバッチリ教えちゃうよ!」
仲良くなったから…かな?
何だか、今までのとは全く違う雰囲気のアリエさんが私の目の前ではしゃいでいる。
どうやら魔法を誰かに教えたりことが好きだったそうで、特に私を妹のように思ってくれているとか。
私自身、一人っ子だったということもあって新鮮な気分を味わっていた。
「おい、アリエ。少しはしゃぎ過ぎだ。妹分ができて嬉しいのは分かるが…って、こりゃ聞いてないな。」
そう言ってアリエさんを諭しているのはアリエさんと同じ班員のジーマさん。
国家魔術師団の団員は連携を意識させるために、班を組ませて行動させているのだとか。
アリエさんとジーマさんは他の8人の団員と組み、10人で作戦行動を行なったり、日常生活を共にしていると聞いた。
「悪いな、こいつと来たら妹分ができたのが余程嬉しかったらしい。…もう少しだけ付き合ってやってくれないか?」
「いえ、私もお姉ちゃんができたみたいで嬉しいです!」
「…!?」
「…あ。」
私の後ろで両手をワナワナさせながら悶えているアリエさんはジーマさんの指示で他の班員の人達に回収されていった。
…何かまずいことでも言っちゃったのかな?
「…エスト。あの技はアリエにとって少し威力が高すぎる。」
「?」
と、ジーマさんからよく分からない注意を受けて首を傾げていたその時。
「…?今少し揺れたか?」
「へ?私は何も感じなかったですけど…。アリエさんは?」
「…微かにだけど揺れは感じた。確か今日って公国騎士団が遠征でほとんど出払ってるよね。テロでも起きているとしたら大ピンチだね。」
「…魔術師団も俺たちを入れて二十数名ほどしか残っておらんはずだ。…アリエ、王城に残っている者たちをここに集めてくれ!」
…何だか大変なことになって来た。
ヒロトさんとイリアちゃんは大丈夫かなぁ?
でも、護衛の人たちもいるし二人とも強いから大丈夫…だよね。
「エスト、アリエと一緒に他の班員達を集めてくれ。俺は外の様子を見てくる。」
「わ、わかりました!」
そう言うとその場にいた数名と共にジーマさんは城門の方へと走って行った。
「エストちゃん!行くよ!」
「え、あ、はい!」
私とアリエさんが場内の騎士や魔導師達を集合させ、爆破の情報が行き届いた頃、ジーマさん達が顔を青ざめさせて帰って来た。
「…どう?城下の方は。」
「市民エリアの南東エリアで大規模な爆破が行われたようだ。…あの様子だと市民にも多数の犠牲者が出ているだろう。」
「そう…。王城に駐留していた騎士や魔導師達は全部集めたけれどこの数じゃ王城の守りも考えると少しの人数しか派遣できないわ。」
「…とにかく、ここに集まった者達に今の状況を伝えねばならんだろう。」
「あの、ジーマさん。」
「ん?何だ、エスト。」
「…公爵様の所は大丈夫なのでしょうか。」
馬車に乗って王城へ向かう途中。アリエさんに王都の施設について教えてもらっていた時。
公爵邸が王城から南東の方角の一番高いエリアにあると聞いていたから、もしかしたら…。
「仲間が心配か?」
不安が顔に出てしまっていた。
「はい。…その、これだけ大規模な爆発だと市民の無差別殺戮が目的じゃない気がするんです。」
「それは俺達とて同じ考えだ。…だが、公爵家専属の護衛団は精鋭揃いだ。もし襲撃にあったとしてもまず負ける事などない。…それに、君の仲間は強いのだろう?」
そうだ。私は何を心配していたんだろう。ヒロトさんもイリアちゃんも二人とも強いんだ。…そう信じている私が不安になっちゃいけない。
…私も、私に出来ることをやろう。
「それでは、皆!聞いてくれ!」
ジーマさんは集合した騎士達の前で被害の状況、役割、負傷者の搬送場所などを的確に指示していった。
…実は公国魔術師団に所属する前、とある国から客将としてやってきた人らしく、その国の軍を辞めた後公国の魔術師団に入団したらしい。
何故、そこから魔術師団に入ろうと思ったのかは分かっていないけれど。
結果、選りすぐった精鋭達を十数名と他数十名を引き連れ、負傷者の救助や避難誘導、鎮火の作業などにあたることとなった。
指揮を執るのはジーマさん。私もアリエさんと共に行動させてもらうことになった。
城門をくぐり、南東エリアの街へ急ぐ途中、すれ違った人々は皆思い思いの方向へ逃げて行く。中には親とはぐれて泣き叫ぶ子供や、逃げることが出来ない老夫婦が道端に座り込んでいたり。
…でも、誰一人としてその人達にてを差し伸べようとする者はいなかった。
逃げることで頭が一杯で、人を助けることなんて出来ないんだと思った。
「A・B班!この地区の避難誘導、並びに要救助者の救助にあたれ!」
「「了解!」」
爆心地に近づくにつれ、負傷した人や倒壊した家屋が目立つようになってきた。
そして、各班が各々の任務につき、残ったのはジーマさん率いる班のみとなった。
「…被害の規模が予想以上だったな。既に死者の報告も何件かある。爆心地は悲惨な状況だろう。」
「負傷者の数も相当なものよ。救助が片付いた班からこちらに救援に来てもらいましょう。」
「…誰がこんなことを…。」
「君も公爵様から聞いたのではないか?今の王政に反対するものが少数ではあるが存在して居ることを。…恐らく、その派閥の中心組織の仕業だろう。我々も幾度となくアジトを制圧して来たのだがまさかこんな事態になるとは…。」
つまり、公爵様が言っていた王族の抹殺を試みる組織も絡んで居るという事に…。
「とにかく。今は目の前の事が最優先。…行くよ、エストちゃん!」
私はアリエさんの言葉に深く頷くと、負傷者の捜索に向かった。
(予想以上にこの章が長引きそうです。)