神様、俺を異世界へ。   作:Watapon-

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久し振りに3人が合流です。


第2章 王都にて。 第2部 裏に潜む陰謀
第24話 エストとの再会。


「ついたぞ。此処がアルカゼニア公国のアイギシュタ城だ。」

 

「うわぁー。でっかいなぁー!」

 

イリアが目をキラキラさせながら城を見上げる。

これまであまり近くまで寄っては見なかったからか、近くで見ると凄い迫力だ。

王家の紋章だろうか?城門に描かれたその紋様にはペガサスの様な動物があしらわれている。

 

「止まれ。…公爵家の者だな。話は聞いている。」

 

そして、門番が「開けろ。」と指示を出すと城門が重々しい音を立てながらゆっくりと開いていく。

 

「…。」

 

先程までは目をキラキラさせて居たイリアだったが、急に緊張し始めたのか俺の袖をギュッと掴んでいる。

こんな所を見ているとイリアも女の子なのかなぁ、と思う。

 

「ザウロさん。何だか城が静かなんですけど…。」

 

俺の中での王城のイメージは騎士達が武芸の特訓に励み、貴族たちがそこら辺をウロウロしている様な感じだったのだが、貴族はおろか騎士もチラホラとしか見かけない。

 

「どうやら騎士団の半数以上が遠征に出てしまっている様だ。…俺としたことがこの情報を忘れてしまっていた。」

 

なるほど、だから昨日は騎士団の到着が遅れたのか。

きっとゴタゴタしてたんだろうなぁ。

 

と、その時城の中から一人の少女が走って来る。

 

「ヒロトさーん!イリアちゃーん!」

 

「「エスト!」」

 

馬車の停泊所に馬車を止め、俺たちはエストの案内で談話室へと向かう。

 

「久し振りに二人の顔を見て何だか安心しました。…昨日は大変でしたね。」

 

「ああ、俺たちも何か安心したよ。」

 

「ほら、エストって人見知りっぽい所あるじゃん?だから心配してたんだよな。」

 

いや、お前は至っていつも通りだったろうに。まぁでもコイツなりに心配していた…よな?

 

俺たちがそんな会話をしていると、ザウロさんが咳払いをする。

 

「その、な。積もる話もあるだろうが今は先を急がないか?」

 

「あ、すみません。」

 

「公爵家護衛団団長 ザウロ・リングレナル。只今参りました。」

 

「む、来たか。」

 

エストに案内されて談話室に入ると、其処にはアリエさんともう一人、男の人が居た。

 

「エスト、其処にいる二人が君の仲間の人達か?」

 

「初めまして、霧島ヒロトです。エストと俺の後ろに隠れてるイリアの3人で旅をしています。」

 

「そうか君達が。…初めまして、俺は公国魔術師団所属のジーマだ。」

 

すると、イリアが俺の影から出てくる。

…大丈夫かな、コイツ。イリアは深呼吸すると、

 

「えっと…。私はイリア・ミテラストと言います。よ、よろしくお願い…します。」

 

「ああ、よろしく。」

 

「イリア…!」

 

俺はイリアの頭を撫でる。横ではエストが目を潤ませている。

 

「な、何だよ…。髪の毛ボサボサになっちゃうじゃねーか!」

 

「ど、どうした?」

 

側ではこれは一体?といった様な目でこちらを見ている皆が。

 

「あ、すいません。仲間の成長が嬉しかったもので。…それで、お話というのは?」

 

「え、ああ。そうだったな。3人とも、こちらに座ってくれ。」

 

俺とイリアさんが席に着くと、先に座っていたザウロさんが公爵邸で起こった事の全て話した。

あの爆発が起こった時、襲撃があった事、ガルフが何者かによって深手を負わされた事。

 

「そうか。…こちらも突然のことだったからな。遠征に多くの戦闘員が出払っていた状態で即座に対応することが出来ない状態だった。申し訳ない。」

 

「いえ、貴方が謝る事ではありません。…それで、王都の被害状況は?」

 

ザウロさんがそう問うとジーマさんは険しい顔つきになる。

…どうやら思わしくない事態になってしまった様だ。

 

「…負傷者の数は100数十名。犠牲者も数名出ている。爆破が起こったのは夜市が行われていた付近だったという事もあってな。」

 

「そんなに沢山の人が…。」

 

イリアがショックを受けた様な表情を浮かべる。だが、それと同時に拳を固く握り締めている。

 

「…首謀者はどうなったんです?公爵家に襲撃を掛けた奴らの中にはリーダー格の者が居なかったんです。」

 

「…まだ見つかっていない様だ。市街に残っていた残党はおおよそ捕らえたのだが、首謀者とみられる人物が未だ発見に至っていなくてな。」

 

「そうですか…。」

 

「そうだ、ザウロ。昨日の一件を受けて遠征に出ていた部隊が早急に戻ってくるそうだ。本隊から追加の護衛を派遣しよう。守備は固めておいた方が良いだろう?」

 

「有難うございます。昨日の一件でガルフは負傷しましたし、他の団員の復帰目処が立っていない状態なので助かります。」

 

そういってザウロさんは一礼する。

上下関係だとジーマさんの方が上なのだろうか?

と、そんなことに思案を巡らせていると、アリエさんがジーマさんに何かを伝える。

するとジーマさんがハッとした表情をして、隣の部屋へと何かを取りに行ってしまった。

 

「…?なぁエスト、ジーマさんは何を取りに行ったんだ?」

 

「さぁ…。私もちょっと分かんないです。」

 

少しするとジーマさんは鍵のかけられた小さな黒い箱を持ってきた。

 

「これは…?」

 

「これは黒曜の破片だ。爆発が起こった場所で負傷者の捜索を行っている時に回収した。…だが禍々しい魔力が強すぎて解析ができない上に封印術無しでは触れるどころか近づくことすらできなくてな。この封印の魔力を宿した箱に閉じ込めているという訳だ。」

 

…うーん、つまりこれが首謀者に何か関係している可能性があるってことか。

後ろではしっかり理解した様子のエストが説明が難しかったのか理解できずにオロオロしているイリアに説明していた。

…何かこう見てると姉妹みたいだな。

 

『ううむ、この禍々しさ…。どうやら首謀者か、その協力者は高度な技術を持つ呪術師の様じゃな。』

 

(呪術師?そんな職業もあるのか。…じゃあ、あの箱の中の破片に掛けられてるのは呪いなのか?)

 

『それで間違いないじゃろうな。じゃが箱の封印が邪魔をしてどの様な呪いだかは分からん。』

 

(かと言って、封印を解く訳にもいかないだろ?)

 

『…そういえばお主、解呪の魔法を習得しておらんかったか?』

 

(そういえば…。よし、やってみよう。)

 

俺は神様からの助言を受けて、箱の封印解除と破片の解呪を試みる事にした。

 

「…出来そうなのか?」

 

「多分…じゃ、困りますよね。やってみせます。」

 

そして、箱に手をかざすと南京錠に掛かった封印を解く。

 

「よし、『ヴェールブレイク!』」

 

箱の周りを魔法陣が囲み、南京錠に掛かっていた封印が鎖が解ける様にして一つずつ消えていく。

 

「…これで鍵は外れる。後は破片の呪いを…。」

 

魔法を発動させたまま鍵に手を掛ける、そしてゆっくりとそれを外すと箱の蓋をあける。

開けたと同時に禍々しい瘴気が部屋へと漏れ出し始める。

 

「な!?急に体が重く…!」

 

「お、おい!ヒロト!大丈夫なのかよこれ!」

 

イリアが不安な表情をしながらそう訴えかける。…確かにこの瘴気が人に移ることがあるのなら危険だ。

 

「『クリアヴェール!』」

 

「体が軽く…。瘴気の効果を遮断したのか。」

 

「これで暫く大丈夫だと思います。…それじゃあ本腰入れていきますか!」

 

先程よりも更に破片へと意識と魔力を集中させる。

 

『ヒロト、魔力をもっと一点に集中させるのじゃ!』

 

(分かってる!…よし、あと少しで…!)

 

「瘴気が…消えていく!」

 

「はぁぁぁぁぁ!!」

 

次の瞬間、辺りは眩い光に包まれる。光が退いた頃。部屋の中にを漂っていた瘴気が完全に失せ、黒曜の破片に本来の輝きが取り戻された。

 

「ふぅ…。これで良い…かな?」

 

『…うむ。完全に呪いが消えておる。成功じゃな。良くやったぞ、ヒロトよ。』

 

(どうも。…魔力が減るってこんな感覚なんだな。)

 

「な、何ということだ。…6属性全てと無属性の魔法が使えることは聞いていたが…これは予想以上だ…。」

 

「流石ヒロト!あたしは出来るって信じてたぜ!」

 

「一番不安な顔してたやつがよく言うよ。」

 

「と、とにもかくにもこれで浄化は済んだ訳ですし、とにかく解析班に渡しに行きませんか?」

 

「そ、そうだな。ヒロト殿。君には多大な謝礼をせねばな。」

 

「いえ、この一件が全て片付いてからで結構ですよ。」

 

ジーマさんとアリエさんが黒曜のかけらを箱にしまい、解析班のとこへ持っていくのを見送った後、イスに腰掛けると、大きくため息を吐く。

…魔力は元に戻ってきたが、流石に体力消費が激しかったらしい。

 

「大丈夫ですか?ヒロトさん。」

 

どっと疲れが出た俺を見て心配してくれたのエストが水を持って俺に渡してくれる。

 

「ああ、大丈夫。少し疲れただけだからすぐに治るよ。」

 

「しかし、君は本当に凄いのだな。…というか、凄いという言葉以外に出てこない。」

 

と、ザウロさんが呆れた表情を浮かべる。だがその顔は何処か笑っていた。

 

「…安心したらちょっとトイレに行きたくなって来たな。…ちょっと行ってくる。」

 

「それ言わなきゃダメか?」

 

少し冗談を交えたつもりだったがイリアに的確なツッコミを入れられて苦笑いしてしまった。

 

そしてドアに手をかけ、廊下に出ようとしたその時。

俺の目の前に突然人影が現れた。

 

「…へ?」

 

「やぁ、初めまして、ヒロト君。」

 




この『黒曜の破片』これが此れからの話のカギとなって来ます。
という訳で、次の話もよろしくお願いします。
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