神様、俺を異世界へ。   作:Watapon-

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今回は久々に戦闘シーンありです。(短いけどね。)


第31話 ゴブリン狩り

『…それでは、ヒロト殿、兄上のことを頼む。…今、王を失えば、この国は再び混乱の渦に巻き込まれるだろう。それだけは何としても阻止せねばならん。』

 

王様を守る。

それが俺たちに課された新たな依頼。

この国の国王様は、最近変わったばかりだとシーヴィルも言っていた。

まだ、前国王の考えが残っているこの国で新国王が倒れれば、すぐに前国王派の貴族たちが政権を乗っ取ろうとするだろう。

…まぁ、公爵様がそれをさせまいと阻むだろうけど。

 

俺は武器や道具などを準備すると、2人を俺な部屋に招集し、ここまでの経緯を話す。

 

「と、いうわけで。今から王様を探しに行きます。準備して出発だ。」

 

そして先に城の外に出ようと、部屋のドアを開けようとして…。

 

「「ヒロト(さん)」」

 

2人に服の裾を掴まれ、止められた。

 

「えっと…。どうした?」

 

「どうしたじゃないですよ!何で私たちの知らないところでそんなに大変な事になってるんですか!」

 

おっと、これは随分とご立腹なご様子だ。

…まぁ、黙って話を進めていたのだから、怒られても文句は言えないよな。

 

「そうだぞ!あたし達にだって、少しは相談してくれたって良いじゃないか!…それとも、信頼してくれてないのか…?」

 

と、イリアが今にも泣きそうに…!

 

「ちょ、待って!待ってくれ!ちゃんと話すから、別にイリアのことを信頼してないわけじゃないから!」

 

「…?本当か?本当に信頼してくれてるのか?」

 

「あ、当たり前だろ!…その、悪かった。勝手に1人だけで話を進めちゃってさ。」

 

そうだ、この一件に関してはこの2人に全く非はない。

…でも、まあこちらにも伝えられない訳があったんだけども。

 

「それで、ヒロトさん。一体何が起きてるのか、全部話してください。」

 

「ああ。…分かった。」

 

そして俺は2人に事の全てを伝えた。

今この国では王族が『影』によって命を狙われている事。

先日のガルフの大怪我は、恐らくその『影』の者の仕業であること。

その者が禁忌魔術を使ったこと。

…そして、王様が今まさに命の危機にあるかもしれない事。

 

全てを話すと、2人はスッキリした表情で話しかけてくる。

 

「…ヒロトさん。あなたが誰かを助けるために頑張るのは良い事ですけど、私達のこともちゃんと頼ってくださいね?」

 

「あたし達にだって、出来ることはあるはずだからさ。…1人で抱え込むなよ?」

 

「…ありがとう、2人とも。」

 

俺が礼を告げると、2人は目を見合わせてクスクスと笑い、

 

「それじゃあ、行きましょうか。…王様を助けに!」

 

と、エストが言ったのに合わせて。

 

「「おぉー!」」

 

と、掛け声を返して…。ん?待てよ。今のエストの台詞って本来俺が言うことじゃないんだろうか?

 

「よし、それじゃあ急ぐぞ。…こうしてる間にも王様の命が狙われるかもしれないからな。」

 

そして俺は『シフト・アクセル』を使おうと…。

 

「…あの、ヒロトさん。私達、シフト・アクセルを使えないんですけど。」

 

「あたしは足の速さに自信があるけど、この地図見る限りだと、それなりの距離あるじゃん。流石にそこまでフルパワーじゃ飛ばせないんだけど。」

 

そうだった。『シフト・アクセル』は使用者にしか効果がない。

前にガルフに聞いたのだが使用者が他の人を掴んでこの魔法を使用すると、空気圧のカットが入るのは使用者だけだから、それはもう悲惨な事になるらしい。

…危ないところだった。

 

「…ちょっと待ってて。」

 

取り敢えず、神様に聞いてみよう。

何かしら知ってるだろ、多分。

 

(神様?起きてるかー?ちょっと相談があるんだけども。)

 

前に通信を入れた時、昼寝をしていて繋がらなかったことがあったので念の為。

俺が思念で呼びかけると、暫くしてから声が返ってくる。

 

『…うん?何じゃ、ヒロトよ。ワシ今から寝るところだったんじゃが?』

 

(じゃあ、ギリギリセーフだな。…えっと、使用者以外の人間にも効果のある速度強化の魔法ってあるか?)

 

俺があの書庫で調べた限りだと無かったが、それ以上の事も把握しているかもしれない。

 

『うーむ…。無いな。他の速度強化の魔法にしても、使用者にしか効果は付かん。』

 

(参ったなぁ。これじゃ手詰まりだ。)

 

『…じゃが、魔力の高いお主だからこそ出来る荒技もある。』

 

荒技ってところが引っかかるのだが、移動手段があるのならそれを使わない手はないか。

 

『お主は『ロングセンス』の魔法を使えるじゃろう?それと併用して、『ショート・テレポート』を使うと良い。『ロングセンス』で遠くを捉えて、『ショート・テレポート』でそこへ移動する。…本来なら連続で使うことは好ましくないのだが、お主の魔力量と回復力でどうにかなるはずじゃ。』

 

なるほど。確かに普通の魔道士がやろうと思えば、とんでもない荒技ではあるものの、神様補正のかかった俺のステータスならどうにかなるな。

 

『…寝ても良い?』

 

(え?あ、そうだった。ありがとな、神様。)

 

俺はすぐに礼を言ったのだが、どうやら神様はその前に寝たらしい。

…暫くは起きそうにないな。

 

「…ヒロトさん?長い間目を瞑って何をしてたんです?」

 

「え?…いや、何でもないですよ…。」

 

「…何か、また隠し事してるだろ。」

 

鋭いな、こいつの勘は。…まぁ、時が来れば話すつもりではあるから、それまで待っててもらおう。

 

「してないよ。…それじゃ、行くよ。2人とも俺に捕まって。」

 

2人はまだ納得がいってなさそうだったが、取り敢えずは俺の両腕に掴まってくれた。

…別に変な事をしてる訳ではないけれども、何だか恥ずかしいな。

 

「よし、それじゃあ行くぞ。『ロングセンス!』『ショートテレポート!』」

 

遠くの景色をはっきり捉えながら、ショートテレポートで木々の間をすり抜け、王様の下を目指す。

シーヴィルは移動の予測時間も出してくれたので、俺たちはそこへ向かうだけ。

…てか、あの短時間でどうやって出したんだろうか?

 

と、そんな事を考えていると、前方に何やら人影の様なものが。

最初は経路の場所に居たので隊列かと思ったのだが、どうにも動きがバラバラだし、体も小さい。

 

「ヒロトさん!…あれって、モンスターですか?」

 

「多分ね。…あそこ、王様の帰還ルートに入ってる場所だし、早く着きすぎたのかもしれないな。」

 

「じゃあ、あのモンスターはその前に仕留めちゃうんだな?」

 

「それがいいだろ。…よし!行くぞ!」

 

俺たち3人は茂みから軽く整備された街へ飛び出すと、そこに居たモンスター達に攻撃を開始する。

そこに居たのは、ゴブリンの群れ。

RPGゲームでは定番のモンスターだ。

数はとんでもなく多いが、まぁ大丈夫だろう。

 

「久々にやるか!『ライトニング・ボウ!』」

 

「「「「…!!グギャァァ!」」」」

 

突然の不意打ちで、あたふたして居たゴブリンの群れに魔法を撃ち込み、一気に殲滅する。

 

少し離れたところでは、イリアがゴブリンを高速で斬り捨て、隙が生まれたところにエストが魔法を撃ち込んでいた。

 

「はぁっ!…今だ、エストー!」

 

「『アイシクル・レイン!』」

 

イリアの猛攻に怯んだゴブリン達めがけて、エストの放った氷柱が飛んでいき、次々と串刺しにしていく。

…しっかし、あの2人のコンビネーションは抜群だな。

いつの間にあんな連携攻撃が出来るようになったのか。

 

倒しきれずに少し残っていたゴブリン達を斬り伏せると、久しぶりに戦闘ができてご満悦の2人の元へと向かう。

 

「いやぁー、久しぶりに激しい戦闘したけど、やっぱりスッキリするなぁ…。」

 

「暫く魔法も撃ってなかったですし、丁度いい肩慣らしになりましたね。」

 

「そうだな。…ん?何か見えてきたぞ。」

 

俺の言葉に2人も後ろを振り返る。

…すると、道の奥から騎士団が隊列を乱さず歩いてくるのが見える。無事だったか。

 

俺は蹴散らしたゴブリン達の死体を草むらへと放り込み、道の端に捌ける。

そして騎士達が俺たちの目の前でその歩みを止める。

そして、豪華な馬車の近くを馬で歩いていた男の人が此方へと向かってくる。

右頬には十字傷が。顔立ちだけを見るととても騎士団の人には見えないのだが。

 

「…貴殿等が霧島ヒロト一行か?我々は見ての通り、陛下の護衛を務める近衛騎士団の者だ。私は公国騎士団 団長 エケ・アルビアーノ・ダラスだ。話は聞いている。陛下の元へ来るがいい。お会いして話がされたいと言っておられる。」

 

王様が、俺達と話をしたい?

…どんな要件だろうか。俺の両隣では公爵様の時以上に緊張した顔の2人が小刻みに震えている。

 

「…行くよ、2人とも。」

 

「「は、はーい。」」




タイトルは後で変えるかもです。
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