という訳で4本目です。
制服を売った金でこの世界にあった服を装備した俺は、宿屋に向かっていた。
この街は始まりの街と言われているが、名前の通り駆け出しの冒険者たちが暮らしている街らしく、外にいる魔物も某RPGに出て来るスライムぐらいの強さらしい。(神様談)
もう陽は落ちてしまっている。早く宿屋に行かないと。
そんな時だった。服のポケットからケータイの着信音が…
「あれ?俺ってケータイ持ってたっけ?」
俺は慌ててポケットに手を突っ込み、ケータイらしきものを探すが、ケータイらしきものは全く見つからない。
あるのは神様に貰った魔導…
「…おいジジィ。あんた何やってんだ?」
この着信音を鳴らしている張本人に俺はそう話しかけた。
そして、着信音が止んで少しするとあの声が聞こえて来た。
『その…ヒロトよ。神様のことをジジィと呼ぶのは良くないと思うのじゃ。 というか、なぜそんなに怒っておるのじゃ?』
「どうもこうも…アンタは俺の異世界ライフをブチ壊す気か!?やっと異世界に来たっていう実感が持てたってのに、さっきので一気にその感動が失せちまったよ!」
『…周りがうるさい時に便利じゃろ?音が出たら。』
「…確かに。じゃなくて、着信音はつけなくていいだろ!これアンタから話しかけたら俺の頭の中にダイレクトじゃん!」
『あ、そーじゃった。…すまんな、ワシこの頃物忘れが酷くて。』
…やっぱジジィじゃねーか。
「取り敢えず着信音は鳴らないようにしといてくれよ。」
『うむ、では後で設定を変えておく。…しかし、お主はまだ宿屋を見つけられんのか?』
あ、そうだ。このジジィと話してる間に忘れてたけど、俺宿屋を探してるんだった。
俺はジジィとの会話を終えると、急いで宿へと向った。この街に着いた時はまだ昼間だったが、空にはもう月が登り始めている。
…そういえば、宿に行けば飯は食べられるんだよな。昼間っから何も食べてないからそろそろ腹の方もマズイ。
という訳でまずは腹を膨れされることにした。
「異世界に来てこれが最初の食事になる訳だけど…何にしようかな?」
そんなことを考えながら少し歩いているとカエルの唐揚げがあったので食べる事にした。死んだ爺さんが言ってた。カエルは美味い。特に足はササミのような食感で美味い。と
小さい頃は抵抗があったが、今ここで実際見てみるととても美味そうだ。
「すいません、カエルの唐揚げ2つください。」
「あいよ!2つで250ポーラだ。」
「…あの、金貨しかないんですけど…いいですか?」
「え!?…それはちょっと困るな。ウチ、金貨は扱ってないんだよ。悪いが他に行ってくれ。」
「あ、はい。」
もう出店で買い物するのはやめよ。
カエルの唐揚げを食えなかった俺が軽く落ち込んでいると、そこへ誰かが言い争う声が聞こえた。
「ちょっと何するんですか!返してください!」
何かを返してと叫ぶ少女の声。
「フン!返して欲しけりゃ力尽くで奪ってみやがれ!」
…この声質と口振り。おそらくチンピラだろう。
「どうしても返してくれないのなら、魔法で…」
おっとこの少女、魔法使いだ。
「おっと、俺たちを攻撃するのか?別に構わねぇが、そんな事したらこれは返ってこねーだろうなぁ!」
あ、何かを盾にされてる。
「そ、そんな…卑怯者!」
よし、助けよう。
「…さーて、これを売ればそこそこ金になりそうだな。」
「兄貴、早く行きましょうぜ!」
「やめて!それは母の…!」
「おい、何やってるんだ?」
「…!?だ、誰だ?テメェ!」
…おー怖い。元いた世界のチンピラとは全然違うな。…相手は3人、あの豚を仕留めた俺なら多分大丈夫だろ。
「通りすがりの旅人…って事にしとくか。さて、こんな暗い所に女の子連れ込んで何してんだ?」
「ケッ、お前に答える筋合いねーな。…おい、相手は丸腰だ、一気に仕留めるぞ。」
「俺を舐めてると痛い目見るぞ。」
…一度言ってみたかったんだよなーこの台詞!
「…やれ!」
リーダー格っぽい男の合図で2人がナイフで斬りかかるが、俺には動きがスローのように見えた。
そこで俺は神様に強化されたスピードで1人目の懐に入ると…ボキッ!
「あ、ああああぁぁぁ!」
…腕をへし折ってみせた。
「て、テメェ!…クソがぁぁ!!」
もう1人のやつが後ろから突撃して来たが、俺はそれを回し蹴りで吹き飛ばした。
「す、凄い、素手なのに…」
「…な、馬鹿な、俺の部下が。」
「…お前もこの2人みたいになりたくなかったらそれを置いて失せろ。今なら見逃してやるぞ?」
「ば、馬鹿にしやがって!!ぶっ殺してやるぜ!!」
と言うと奴は近くにあった鉄パイプで俺に殴りかかる。…俺はそれを捻じ曲げると、睨みつけて。
「もう一度言うぞ。…それを置いて失せろ。」
「ヒ、ヒィッ!」
殺されると思ったのか、何かを投げ捨てると、奴は怯えたような声を出して逃げて行った。
「ふぅ…大丈夫か?」
「は、はい。助けていただいてありがとうございます。」
若干俺に怯えているのか、オドオドしながら俺に話しかけて来たのは、いかにも魔法使い!と言ったような格好をした金髪で透き通るような蒼い目をした美少女。俺よりも1つか2つ年下だろうか?
「あ、そうだ。これ、大事なものなんだろ?」
そう言って俺はチンピラが投げ捨てたペンダントを彼女に渡す。銀色の枠に青色の綺麗な石がはめ込まれでいるが真ん中の石がヒビ割れていて、今にも壊れそうだ。
「…ゴメン、守れなかった。」
「いえ、帰って来ただけでも嬉しかったです。…後でお礼しますね。」
そう言って彼女はどこか悲しそうに笑った。…可哀想だ。せめて、そのペンダントを直してあげられれば…
「あの…名前、聞いてもいいですか?」
「あ、えっと…霧島ヒロトだ。よろしく。」
可愛い子にいきなり名前聞かれて声が裏返っちまった。…格好悪りぃ。
「キリシマさんと言うんですか?…変わった名前ですね。どこか遠いところから来られたのですか?」
「あ、いや、キリシマは苗字でヒロトが名前なんだ。…大翔って呼んでくれ。」
「あ、そうだったのですか。すみません、勘違いをしてしまって。どこの出身なのですか?」
「いや、大丈夫。こっちも説明不十分だったし。あと、俺はニホン出身だ。」
「に、ニホン?聞いたことない国ですね…」
「まぁ遠い国だ。知ってるほうがおかしい。…君の名前も聞いていいかな?」
「私の名前…ですか?…えっと、エスト・シルヴィアです。エストと呼んでください。」
「ああ、よろしくエスト。ところで、君、どこか行くあてはあるのか?…まぁ俺もこの街に来たばかりなんだけど…」
「私はこの街に宿を取っているのでそこへ帰るんですが…もしかして宿無しですか?」
「…お恥ずかしながら、宿無しだよ。」
「お礼…と言っては何ですが、私が泊まっている宿でよければご案内しますよ?」
「本当に?そうしてもらえると助かるよ。」
「それじゃあ、案内するので着いてきてください。」
「ああ、よろしく頼むよ。」
…はぁ、色々あったがこれでやっとひと段落だ。しかし…ここまで長かったなー。
「ヒロトさん、どうしたんですか?置いて行っちゃいますよ?」
「ああ、ゴメン。今行くよ。」
でも、まだまだこれからだな。俺の異世界生活は。
この話、考えるのにかなり時間がかかりました。
文章力がない自分を今までで一番恨みましたね。笑
次も読んでいただけると嬉しいです。
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