神様、俺を異世界へ。   作:Watapon-

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今回はいつもに比べてちょっと多めです。
まぁ相変わらずの仕上がりになっていますがそこは気にせず読んでいただけると幸いです。
(夜テンションって凄いですね。)


第5話 神様、俺は冒険者になりました。

「ここが私の泊まっている宿です。」

 

 路地裏でチンピラに襲われていたエストを助けた後、俺は彼女の泊まっている宿へ連れて来てもらっていた。

 外観はとても綺麗で、決して大きくはないがまさに宿屋、という感じがする。

 

「ここの主人のアルバーさんはとても気さくな方なので、すぐに仲良くなれると思いますよ。」

 

「気さくな人なのか、それは話しやすくていいな。…ところで、この店の名前はなんて言うんだ?恥ずかしながら俺、文字読めなくてさ…」

 

「…はぁ。まぁ、それは良いとしてこの宿の名前は『リリーブ』と言います。」

 

「リリーブ…変わった名前だな。」

 

「リリーブと言う単語には安らぎや苦痛などを和らげるなどの意味があるそうです。」

 

 なるほど…宿屋にぴったりの名前だ。

 

「それではそろそろ中に入りましょうか。まだ部屋は空いてるはずです。」

 

 

「内装も…綺麗だ。」

 

 宿の中は明るい照明で照らされていて、素朴ながらも綺麗に飾られている。…なんだか落ち着く感じだ。

 

「それでは私は食堂の方にいるので、後で来てください。」

 

「食堂に?何かあるのか?」

 

「ええ、その1つ頼みたい事がありまして…もうヒロトさんにしか、頼めない事なんです。」

 

「え、ああ、分かった。それじゃあまた後で。」

 

「はい!お待ちしてますね。」

 

 そういうと彼女はなんだか嬉しそうに駆けて行った。

 

 

 なかなか思いつめた顔をしていたけど…どんな頼みなんだろうか?

 まあ、それは後でわかるから良いとして、チェックインだ。

 

「すみません、この宿は一泊いくらですか?」

 

「一泊300ポーラだ。何泊するんだい?」

 

「じゃあ一ヶ月分お願いします。」

 

「おう、一ヶ月だな。それじゃあ9000ポーラだ。」

 

 

「それじゃあこれが君の部屋の鍵だ。これから一ヶ月、ゆったりしてってくれ!」

 

「はい、それじゃあこれからお世話になります。」

 

「おう、なんか困ったことあったらすぐに言うんだぜ?」

 …エストの言う通り、とても気さくで話しかけやすい人だ。さて、食堂に行くか。

 

 

「あ、ヒロトさん。チェックインは済んだみたいですね。」

 

「ああ、それで頼みって?」

 

「あ、そうでした。…とその前にご飯にしませんか?私、まだ夜ご飯を食べてないんです。」

 

「…奇遇だな。俺も昼から何も食ってない。」

 

 暫くして、食事を済ませた俺は改めてエストに頼みの内容を聞くことにした。

「実は、私と…パーティーを組んで欲しいんです!」

 

「ぱ、パーティー?」

 

「そ、その、私実はボッチで…この前ギルドに冒険者登録の申請をしに行ったら『パーティーメンバーの方を1人連れてきていただかないと申請ができないので…』と言われまして。」

 

「う、うん、それで?」

 

「色んな人に頼んだんですけどみんなダメで…そこにヒロトさんが現れた、と言うわけです。」

 

「つまり、俺がボッチだと?」

 

「い、いえ!そ、そんなわけでは…その、ごめんなさい!」

 

「いやいや、大当たりだから良いよ。でも…俺で良いのか?ちょっと前に知り合ったばっかりの男なのに。」

 

「その…知ってる人全員に断られたもので…」

 …なんか可哀想になってきた。

 

「えっと…エストさえ良ければ、俺は仲間になるよ?」

 

「え!本当ですか!?嬉しいです!…でも可哀想な子を見るような目でこっち見ないでくれませんか…?」

 あ、無意識のうちにそんな顔になってたのか。

 

「ゴメンゴメン。…それでギルドってどこにあるんだ?」

 

「それはまた明日話します。今日はもう遅いので寝ましょう?」

 

「…それもそうだな、よし!じゃあ明日7時にここで待ち合わせしよう。」

 

「分かりました。それでは、お休みなさい、ヒロトさん!」

うーむ。やっぱり可愛い。…じゃなくて!早く寝よう。

 

 

 次の日、早く起きた俺はする事もないのでラウンジでのんびりすることにした。この世界に来る前は、朝早くに起きてジョギングをするのが日課だったからその気がなくても早く起きてしまう。

 

 しかし、通貨が違い、文化が違い、文字すらも違うこの世界でもこれだけは変わらないみたいだ。

 

「…やっぱ朝は気持ちいいな。」

 

 心地よい風が吹き、小鳥がバルコニーの柵に止まってさえずっている。

 日本でも心地の良い朝は迎えられたが、ここまで気持ちのいい日は無かったと思う。…そうだここは異世界。俺はこれからここで暮らしていくんだ。

 

「なぁ神様。俺これからどうなると思う?」

 

 俺はふと、つぶやいてみた。すると少し間が空いて答えが返ってきた。

 

『ヒロト、お主はこれから二度目の人生を歩み始めるのじゃ。これからの人生がどうなるか、それは神であるワシでも分からない。…これはヒロトの人生、生き方はお前次第なのじゃ。』

 

 生き方は俺次第…か。

 

「ありがとう、神様。」

 

『なーに、感謝されることなどしとらんわい。』

 

 …その時、表情は見えないけど、神様が笑っている気がした。

 

 

 下へ降りて来たが、まだ約束の時間には余裕がある。少し一服することにした。

 

 まずメニューを開いたが、文字が読めないので断念。

 

「あの、アイスコーヒーってありますか?」

 

「ええ、ございますよ。」

 

「それじゃ、アイスコーヒーを1つお願いします。」

 

「はい、かしこまりました。」

 

 コーヒーも朝、よく飲んでいた。これも毎日の日課だったからか、席に着くなり無意識のうちに頼んでいた。

 

「…お待たせしました。アイスコーヒーでございます。」

 

 俺は運ばれて来たコーヒーを飲みながら思う。

 いつも飲んでいたものとは少し違ったが、これはこれで美味しい。

 

「お、君はコーヒーが好きなのか?若いのに変わってるなぁ。」

 

そう言って話しかけて来たのはここの宿屋の主人。アルバーさんだ。

 

「コーヒーを朝飲むのが、僕の日課なんです。…アルバーさんはどうしたんですか?」

 

「俺は朝の巡回だよ。最近は見てないが、少し前に客の荷物を泥棒した奴がいてな、そいつは捕まえたんだが、次こんなことが起きないように、俺が巡回してるって訳だ。」

 

主人ってのは大変だな。…自分の宿の評判を落とさないためにも自ら巡回をして、店の切り盛りもあるのにそれを朝の日課にしてるのか。

 

「…尊敬しますね。アルバーさんは朝早くから客の安全を守る為にそこまでできるんですから。」

 

俺がそう言うと、アルバーさんはニカッと笑ってこう返した。

「それが出来なきゃ、宿屋の主人なんざ務まらねぇーよ。」

 

 

 コーヒーを飲みながらのんびりしているとだんだん窓の外が賑やかになって来た。店が少しずつ開店し始めたのだろう。食堂もさっきまで俺しか居なかったが、少しずつ人が増えて来た。

 そして、ちょうどコーヒーを飲み終えた頃、エストがやって来た。

 

「おはようございます!ヒロトさん。朝早いんですね。」

 

「ああ、早く起きちゃってな。」

 

「それじゃあ行きましょうか。」

 

 

「なぁエスト。ちょっと寄りたいところがあるんだけどいいかな?」

 

「え?良いですけど…何かあるんですか?」

 

「買いたいものがあってね。…えっと、マップによると、ここを左で…」

 

「それ、魔道具ですか?」

 

「え、ああ、俺専用の魔道具なんだ。ある特別な人物と会話をしたり、こうやってマップを起動したりできるんだ。」

 

「特別な人物?誰ですか?」

 

「あ、いや、それはちょっと…教えられないかな?」

 

 ここで正直に神様だ!なんて言っても信じてもらえないだろうし。

「そうですか…それはちょっと残念ですね。」

 

「まぁ、時が来れば教えるよ。…さて、着いたぞ。」

 

 俺が向かっていたのは武器屋

魔道具の表示だと、『リカント』という店名らしい。…この機能便利だな。

看板に書いてある店名は読めないが、剣とか飾ってるし間違い無いだろう。

 

 

「へい、ラッシャイ!何が欲しいんだい?」

 

 中で出迎えてくれたのはムキムキの店主。いかにも荒くれ者って感じの人だ。

 

「えっと、この店で初心者にオススメな剣ってどんなのがあります?」

 

 お金はたくさんあるから、いい剣を買ってもいいけど、俺は初心者。剣の扱いはてんで素人だ。そんな俺がいきなり上物の剣を持った所で宝の持ち腐れだろう。

 

「んー…そうだな。まぁ初心者に扱いやすい剣となりゃショートソードだろうけど…ほれ、これがショートソードだ。値段は1万ポーラだ。」

 

「ちょっと持たせてもらってもいいですか?」

 

「構わないぞ。ほれ、」

うーん…少し軽すぎるかな?これだと逆に戦い辛い。

 

「もう少し重い剣ってないですか?…これだと少し軽すぎるので。」

すると店主さんは黒い刀身の剣を持ってきた。

 

「それだとこの剣だな。片手剣の中でも一番重さが丁度いい部類だ。」

持たせてもらうと…うん。これなら丁度いい。

 

「あの、この剣ください!」

 

 

 

 

 武器屋でやっと自分の剣を手に入れた俺は、道具屋で軽く持ち物を揃え、エストと共にギルドへと向かう。

 

「この道を真っ直ぐ行くとギルドです。…でも、なんで腰にさしてるんですか?基本的にそのタイプの剣は背中に掛けるのですが…」

 

「え?俺はこの方が抜きやすいかなぁ?って。」

 

…あと憧れが少々。武士みたいに抜刀するのってカッコいい気がする。

 

「まぁ、武器は自分の扱いやすいように装備するのが一番ですからね。…さて、そろそろ着きますよ。」

 

 そう言ってエストが指差す先を見ると、そこには1つの建物が。…町の外れにあるこの場所はエスト曰く冒険者の交流の場として使われているそう。

 

「あの、ヒロトさん。…昨日は本当にありがとうございました。」

 

「ん?どうしたのさ、いきなり。」

 

「だって、突然お願いしたことなのにすぐに受け入れて下さったじゃないですか。」

 

「そりゃあ…エストがボッチで可哀想だったし…」

 

「あ、あの…もうボッチだった事を掘り返さないで欲しいです。」

 

 そう言ってエストは少し俯く。でも、すぐに顔を上げると、満面の笑みでこう言った。

 

「でも、本当にありがとう!ヒロトさん!」

 

 …ダメだ、可愛すぎる。

 

 

「…はい、確かに登録完了です。それでは、こちらをお受け取りください。」

 

 登録を済ませた後、受付嬢さんに渡されたのは一枚のカード。紋章が記された白いカードには番号と自分の氏名が書いてある。

 

「こちらはギルドカードとなっております。これは受けた依頼を達成した際に、紋章部分にこちらの魔法印をかざす事で依頼の達成を承認し、報酬の受け取りが出来ます。」

 

さらに話を聞くと、ギルド所属の冒険者達にはランクというものがあるらしく、白いカードの俺達は初心者クラスだという。

 

まぁ簡単にまとめると、依頼を受けて、それをクリアすればハンコがもらえて、報酬の受け取りの時にそれを提示する。そして、冒険者達にはランクがある…か。

 

「それではキリシマヒロト殿、並びにエスト・シルヴィア殿。これから始まる貴方方の冒険者人生に、幸あれ!」




やっと冒険者になったよ。
次は戦闘シーンかな?頑張らないとな〜。
と言うわけで次もよろしくお願いしまーす!
(感想も良ければお願いしますね。)
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