…調子のいい日に書くと手が止まらなくなりますね。
(文章力が上がったとは言ってない。)
始まりの街リドルト。そこから少し離れた場所にあるこの森は、駆け出し冒険者たちにとっていい狩場となっている。
コボルトにゴブリン、マンドラゴラからスパイダーなど、比較的弱いモンスターが生息しているため、多くの冒険者はここで経験を積み、他の街へと向かう。
だが、俺の目の前には、とても駆け出し冒険者たちでは狩れないであろう魔獣が立ち塞がっていた。
「…おい神様。ここって初心者には丁度いい狩場なんだよな?なんでこんな強そうなやつが住み着いてるんだ?」
俺はこの光景を何処かで見ているであろう神様に尋ねてみる。
『…そやつは白獣。主に王都付近に生息しておる魔獣じゃ。本来ならこんなところまで来るはずがないのだが…何かに追われてきたのじゃろうか?』
…何かに追われてきた?この大きさじゃ、追われるというよりも追ってきたってのが正しい気もするが…
『ヒロトよ、そろそろ話してる時間もなさそうじゃぞ。…気を引き締めて行けよ!』
「ああ、絶対に倒す!」
先程から周りの木を使って白獣の攻撃をかわしているが…
爪での攻撃威力が半端じゃない。それに加えてあの大きさからは想像できないほどのスピードで攻撃して来る。
「…こうしてられるのも時間の問題か。何か打開策は…」
俺は元の世界の記憶を辿り、獣系モンスターの弱点を探す。
…確か、獣系は視覚よりも嗅覚が優れていたはず。
「…先に目を潰すか?どっかで隙を作れればいいが…」
先程からずっと躱しているが、相手の体力の底が見えない。さすが獣系というところか。このまま躱しているだけだといつか俺がやられる。
「…一か八か、勝負に出るか。」
俺は一度動きを止め、白獣の攻撃を引きつけることにした。…予想通り、ヤツは俺目掛けて攻撃を仕掛けて来る。
俺は上に飛んで躱すと、木を足場にし、白獣の目を目掛け一直線。
強烈な一撃をかましてやった。
「……ッ!!…!!」
白獣は表現しがたい悲鳴をあげると、そのまま顔を抑え倒れこむ。
「もう一発!!!!!」
隙のできた白獣の左目を目掛けもう一撃。白獣は、両目から血を流しながらも、俺を払いのけようと尾で攻撃してきたが、視界を奪われているため軽く躱すことができた。
「…今は視界を奪われてパニックになってるけど、すぐ慣れて俺の位置を把握するだろうな…」
『ヒロトよ。南方にひらけた場所がある、そこへ向かうと吉じゃ!』
「よし、アンタの言葉信じるぜ!」
俺は神様の指示通りに、南へ向かう。白獣も慣れたらしく、俺の進行方向へまっすぐ向かって来る。
…後ろから気がなぎ倒される音が聞こえ、少し足がすくむ。
『…恐怖を感じておるのか?』
「ああ、そりゃそうだろ。ほんの2日前までただの高校生だった俺が、こんなデカブツと戦ってるんだ。…恐怖なんて、ずっと感じてるよ。」
『じゃが、今お主には何者にも負けない力がある。…全力を奴にぶつけるのじゃ!』
「勿論、そのつもりだ!!」
…しばらくして、神様の言っていた、開けた場所へ出る。
そこでまた、俺は白獣と向かい合わせになる。…こうしてみるとやはりデカイ。さっきは森の中で全貌がよく見えなかったのもあり、余計に大きく感じる。
「…白獣が今、嗅覚で俺の位置を探っているのなら、この方法が有効だろう。」
俺はそう言って上着を脱ぐ。…この上着には先程のコボルトの返り血が大量に着いている。恐らく白獣は、コボルトの返り血の匂いで俺を追っているのだろう。
「…今だ!!」
俺は白獣に向かって走り出すと、白獣もこちらに向かって臨戦態勢をとる。
そして、ヤツの目の前まで行ったところで上着をヤツの頭上へ放り投げた!
…予想通り、白獣はその上着の匂いを追って飛び上がる。
俺は無防備になった白獣の腹を目掛けて一撃。もう一撃!
「ガァァァァ…!!ッ!!」
白獣は呻き声を上げ倒れ伏した。
「はぁ…はぁ…倒したか。」
俺は倒れている白獣の元へ寄ると、完全に死んでいるかどうかを確かめる。
…腹を掻っ捌かれた白獣は完全に息の根が止まっていた。
『よく思いついたのぉ。まさか自分の上着を囮にして仕留めるとは。』
「白獣は嗅覚だけで俺を追ってた。…なら、血の匂いが強く染み込んだコレで誘き寄せられるんじゃないかと思ってな。我ながらいい作戦だと思う。 …そういえばこの死骸はどうすればいいんだ?」
白獣を倒したはいいが、このまま放置しておくのは違う気がする。
俺がどうするべきかと悩んでいると、そこへ、ギルドの職員と数人の冒険者を連れたエストがやってきた。
「ヒロトさん!無事でしたか!」
「ああ、大丈夫。…でもどうしてここへ?」
話を聞くと俺が白獣を惹きつけ、エストを逃した後、エストはギルドへ駆け込み、大きな白い獣が現れた!と報告したらしい。それで緊急事態だと把握した職員は、その場に居合わせた冒険者を連れ、ここへやってきたのだという。
「…お話中すみません。あなたがこの魔獣を討伐されたのですか?」
「え、ああ、はい。」
「…信じられない!まさか、新人冒険者が賞金首モンスターの白獣を倒すだなんて!」
賞金首モンスター?なんだそれ?
「あ、あの。賞金首モンスターってどういうことですか?」
「そ、そのことについてはギルドの方でお話しさせていただきます。…それでは白獣はこちらで回収しますので先に戻られておいてください。」
そう言うと、彼らは白獣の死体を運びやすいように解体し始めた。
…グロテスクだ。元高校生の俺にはまだ刺激が強すぎる。
「凄いですよヒロトさん!あの白獣を倒したともなれば王都から直々にお呼び出しとかあるかもですね!」
王都からのお呼び出しって…開始早々面倒な事になりそうだ。
というか、聞いてねーぞ神様!
「…取り敢えず、ギルドへ戻りましょう。クエストの達成報酬と白獣の討伐報酬を受け取って、きょうはパーティーですね!!」
「まぁそうするか。あ、パーティーはしないからな。俺はコツコツ貯金する派なんだ。」
「そんなぁぁー…」
「…それではクエスト達成の承認を行いますので、ギルドカードのご提示をお願いします。」
「あ、はい。」
俺は受付嬢さんに言われた通り、ギルドカードを提示する。すると、彼女はカードに手をかざし、何かを唱えた。
すると小さな魔法陣がカードの上に現れ。光を放って消えた。
「…はい!これで承認完了です!クエストお疲れ様でした!」
「…あの、今何をしたんですか?」
「はい?あ、今のはちょっと特殊な魔法でして、お教えすることはできないですね…」
なるほど、企業秘密か。
「じゃあ良いです。…それで、白獣討伐の報酬というのは…」
「ああ、少し待っていてください。色々と準備がありますので…」
「あ、はい。分かりました。」
…しかし、異世界生活の開始早々にあんな強敵と出会うだなんて、俺もツイてないな。
「あ、ヒロトさん!来ましたよ!」
「それではこれより、白獣討伐の報酬。重ねて、討伐章の授与を執り行います。」
ギルド内に『白獣討伐』という単語が出た瞬間。辺りがざわつき始めた。
「…白獣を討伐だと?」
「おいおい、アイツって今朝ギルド登録してたやつだろ?」
「どんな凄腕だよ。だってあの白獣だぜ?信じられねー…」
…やめてよ、プレッシャーかけないで。緊張で押し潰れそうだからさ…
「冒険者、霧島ヒロト殿。貴殿は賞金首モンスター『白獣』と遭遇。仲間を逃した後、勇敢に戦い、見事白獣を討伐した。その功績は多大なるものであり、ここに金1000万ポーラ並びに、白獣討伐章を授与する。」
職員がそれを読み上げ終えると、ギルド内に歓声の嵐が巻き起こった。
「それではまず、これが『白獣討伐章』です。」
そう言って渡されたのは勲章。…何だか大層な装飾が施されている。
「そして、これが討伐報酬の1000万ポーラです。お受け取り下さい。」
「え、えっと…こんなに貰ってしまっていいんですか?」
俺は1000万という数字に驚き、ついそんなことを聞いてしまった。
「今更何を仰いますか。あなたは白獣を討伐したのですから、これは受け取って当然の額なのですよ。」
「は、はあ。そ、それじゃあ受け取らせていただきます。…って重っ!」
職員に渡された袋はとんでもない重さだった。…金は集まるとこんなにも重くなるのか?
「良かったですね、ヒロトさん!これで大金持ちですよ!!」
「そ、そそそ、そうだな。…取り敢えず帰ろうか。」
「…何でプルプル震えてるんですか?」
「え!?そ、そんなことねーよ!」
人間、いきなり大金を渡されると震えが止まらなくなるようだ。
…ああ、どうしよう。これ貯金とかのレベルの額じゃない。異世界に来て2日目で1000万って…
「…なぁ神様、俺はどうしたらいいですか?」
あー金持ちって良いなー。
…そんな僕は今日も金欠です。
という訳で次話もよろしくお願いします!
感想の方も書いていただけると嬉しいです。
(詠唱ってつけた方がいいかな?)