※彷徨い日記・母神様外伝   作:ふま

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※彷徨い日記(母神様外伝・テンゾウ編)

 

 

 

(そんな顔しないでもらいたいな・・・。)

 

僕はフクザツと云うか___解せぬ感情に胸が支配される感覚を覚えてた。

 

今僕は、町外れの池の辺で松の木として溶け込んでいる。

その目の前に、流木に腰掛け蓮の群生を眺めてる八香の姿があった。

こうしていればどんなに近くにいようと”クルミ臭い”とバレることはない。

その距離、彼女が手を伸ばせば届く間合いであった。

 

彼女が買い物前に此処に脚を運ぶ時、必ず一度天を仰ぐ___その表情、

自の国で見せた、儀式での仕草を思い出させる。曇った瞳、薄らに開く紅の着いた可愛い唇。

切なく、儚い___君はあの時も、今も同じ人を想って心を濡らしているのではないか?

 

(君は泣けないのではない、泣く事を諦めているだけだ・・・。)

 

また降り出した小雨に安心したかの様に自ら、そのか細い肩を抱いているから・・・。

ドキ!!!

数分後、君は立ち上がると今日に限って・・・松の木に手を掛ける。

まるで、僕が見えているかに見上げ出す___また、そんな顔で__焼きつくじゃないか。

つい抱きしめてあげたくなる。

細い体を包んで、誰かさんみたいに顔を寄せ、その背中を手の平でトントンしてやりたい。

 

(・・・・・!? フグッぅ・・・!!)

 

何を思い出したか、思ったか。

突然、松の木(僕込み)に強烈な正拳突きをしてから踵を返し、スタスタ立ち去って行く。

なかなかの拳・・・!いや、バレては無い筈だッ、ゲホッ。___そうしてる内、雨が止んだ。

 

所変わって、やっと夕飯の買い物か。市場に彼女は脚を運んだ。

八百屋にて並べられてる籠に盛られた5本ほどのナスビを食い入る様に見てる。

白眼の持ち主の様な異様なオーラで・・・メッチャ見てる_____!

 

「これを貰おう、あとコレも。」

 

ナスビとカボチャを購入。

オヤジさんは徐にその辺にあったバラエティ・ナッツを袋に入れて彼女に手渡してる。

「ナスビと炒めると美味いから持ってきなー!」と。

 

「いつも優しいな、ありがとう。」

 

首を少し傾げると降ろしていた長い髪がサラリと肩から落ちた。

一瞬、伏せた目蓋を開き、大きな眼で彼を見直してる。

目が物を言う___って、こんな感じなのか。ほんのり、微笑んでる様に見えるんだ。

 

「なーに!いいんだよォ!?」

 

声が上ずってるオヤジは何故か後ろを向いてゲフンゲフン云ってる。

しかし意外だな。彼女にあんな仕草や、あんな顔も出来るだなんて。

 

「ヤコーちゃん、今日も胸肉かい?」

 

肉屋のオッサンが馴れ馴れしく”ヤコーちゃん”などと声を掛けた。

僕でさえ年下の彼女に”八香さん”とサン付けだってのに。

ショーケースの中の胸肉を指差して、彼女が何か云おうとしたが。

 

「たまには先生に精のつくもの食べさせてやんなよ~?こう、ムラムラくる様なさぁ?」

 

店のオバちゃん・・・今、何て云った・・・!?

 

「_____村々?」

 

惜しい・・・! ちょっと違う; いや八香、そこは聞き返しちゃいけない・・・!!

僕は電信柱と一体化していたが思わず止めに入ってしまう暴挙に出そうになる。ぐっと堪えた。

ところがもうオバちゃんは彼女の耳元で意味無い位の声で云ってしまう。

 

「いいかい?ニンニクでもたっぷり摩り下ろしてね、付け合せにトロロ芋のサラダを、」

「オイコラー!止めねェかアァァア!!先生が既成事実でも作ったらどうするんでぃ!」

 

き・・・・、キセイジジツぅぅう・・・!? 

それだけはダメだ!!!アノ人、一応先生って呼ばれる立場な人なんだし、

僕だったら、そんなロリコン教師に自分の娘なんか預けやしないぞ!

 

「いーじゃないか!先生もそろそろ身を固めたって可笑しかないんだからねェ?」

「ダメだダメだ! ヤコーちゃん、コイツの云う事まともにしちゃイケネェよ!?

俺は・・・俺はなァ! まだまだまだまだ、ヤコーちゃんの腹が膨らむのを見たくねェ!!」

 

激しく同意(ウンウン___だって、そりゃダメでしょ! 身を固めるなら年相応の、他の人で!!

てか何だ、この夫婦。

 

「いや、鶏の胸肉___」

「いいから!今日はコレを持って行きなw(ボソ」

 

何を妄想してるんだか、ウシロで肉切り包丁片手に「うおーん!」と

勝手に泣いてるオヤジさんをヨソに、オバちゃんは胸肉を渡さずにフィレ肉を2枚入れて渡した。

お金受け取らないとか・・・先輩はどんだけこの肉屋に心配されてんだ;

 

「なんだかすまない。いや、ありがとう。」

「ガンバレ」

 

親指をおっ立てたオバちゃんに押し切られ、とうとう胸肉は買えなかった彼女は先を進む。

うなぎ屋からいい匂いが漂ってきた____彼女はそこを素通りし、隣の魚屋に寄る。

 

「サンマはあるだろうか?」

 

店先ではハエを寄せ付けない為の香が鼻をつく。

サンマを買い求めるあたり、明らかに彼女は先輩の好みを知っている様である。

ヒマそうに新聞を読んでいたオヤジは目を輝かして立ち上がっていた。

 

「おー来たねー、ヤコーちゃん!あるある!何匹いっとく?」

 

む・・・! 此処でもソレ呼ばわりか・・・! 僕はつい鼻息が荒くなる。

一応、要人だぞ? 自の国の元・巫女様に・・・気安い!馴れ馴れし過ぎる!

 

「2ひ、」

「ちょっーっと待ったァァ!!」

 

(!?)

 

2匹と、云いたかったのだろう。その言葉を遮ったのは。

隣からやって来た、捻り鉢巻のガンコそうなジィさんが待ったを掛けたのだ。

イヤな予感しかしない;魚屋も彼女もジィさんを凝視して固まってる所に。

笹の葉に包んだ何かを、彼女の買い物籠にそっと入れて・・・Vサインってなんだ;;

 

「肉屋のオスエさんから聞いたぜェ・・・! 子孫繁栄の為じゃ、ワシも一肌脱ぐぞ!!」

 

エエェェェエエ・・・・・!!!

 

待て・・・! 産めよ、増やせよってか!? 口を慎めェエエエ!! 

うわぁああ;;想像しちゃったじゃないか! 

『じゃー、子作りでもスル?』

とか云って、首を傾げてニッコリ笑う先輩をぅぉおおを!!

 

「・・・・ウナギで子々孫々?・・・一体どう云う___」

 

それもちょっと違う!!

普段はアホほど地獄耳のクセに何故こんな聞き間違いをするんだ、君は!

でも、それで何んとか僕は落ち着きを取り戻した。

 

「黙ってソレを先生に食わせな・・・あと、孫がいつも世話になってますwって言っといて。」

「はぁ・・・・。」

 

ジィサンのウィンクにビク!としていたのは見逃さない。

結局、サンマも買えなかった八香は家路を辿って行った。

 

僕は夕暮れ間近の公園のベンチに腰掛けて途方に暮れている。

しかし・・・気になるだろ・・・、彼女がどんな料理を今夜作るのか。

先輩の事だ、八香の用意したものなら何でも平らげてしまうだろう。

 

想像してしまう___(以下、僕による妄想的な予想)

注※彼の脳内での勝手な妄想なので詳細は一切不明。音声?のみにて御楽しみ下さい※

 

___食事の後、彼はこう云うだろう。

 

『お皿は俺が洗っておくよ。八香は先にお風呂に入っておいで。』

『え?そんな訳には』

『いーからいーから。』

 

彼女は何の疑いもなく、その通りにする。

八香がシャワーを浴びようとした___その時だ。

ガチャリ。腰タオル一枚の彼がスルリと入ってきて・・・肩を抱く。

 

『後で背中、流し合したげるよ。』

『後で・・・? カカシ殿・・・? え、何を・・・待って・・・!』

『トボケちゃってw 

今日のあのメニュー、そう云う事だったんでしょ?素直になんなさい・・・?』

『あッ・・・、そう云う事では・・・! ン・・・、はぁッ・・・ダメ・・・・!』

 

ブーーーーッッッ!!!

想像しておいてシゲキが強すぎた・・・! 鼻から止まらない; 誰か輸血を此処へ!

 

「ママー、あのオジちゃん死にそうだよー? 首絞めて止血してあげるー?」

「この子ったら何処でそんなコトを!指さしちゃだめ!さ、放置プレイよ、行きましょ!」

 

ドコぞの母娘が、ベンチでティッシュを大量に消費しながら悶絶する僕から逃げて行く。

「はぁ____」

パタリとベンチに仰向けになる・・・溜息も鼻栓のせいで鼻声だ。

想像するだけで出血多量のショック死するトコだった・・・。

大体、僕は火影様に意見したんだ___独身寮に、彼女を入れてはどうかと。

 

『彼だって健全な男です。いつ・・・間違いがあっても__』

『心配いらぬよ。カカシは妹が出来た様で毎日、心和んでおると云っておった。

荒んでいた彼の心に、そういった風が吹いたのはとても喜ばしい事であろう?』

『はぁ・・・・;』

 

完全に信用している。云いたくはないが、その目、かなり大きな節穴ですって!!

僕は知っているんだ・・・先輩が彼女を完全に異性として見ている事を・・・!

 

あんな、Tバックとか、紐パンとか・・・ランジェリーショップで購入したし、

それにだ。ゲンマさんが着せた服を、あんなエッロい黒のホルターネックの服に変えるとか!

完全にゲンマさんを敵対視してるじゃぁないか・・・!?

 

(そもそも、恋愛対象になること事態間違ってる・・・。)

 

彼女は鉄の少女に見えて___間の抜けた所があるし、

騙されやすいし、意外とヤクザで口が悪いし・・・

けど・・・カカシ先輩も知らない彼女の秘密を、僕は知っている。

あぁ見えて案外、繊細なものを持っているってこと。

八香は、あの涼さんを助けた・・・自分の声を拾ってくれたのだと涼さんは云っていた。

そう、僕の作って用意してた宿に現れた、あの美しい給仕さんである。

 

『私は貴方様によって芽吹く事を許された、そこの柳の木に御座います・・・。』

 

と・・・・告白された時はイミわからず混乱したが、聞けば、あの宿を作った時。

他の根にジャマされてずっと芽吹く事が出来なくて僕の術のお陰で引っ張り上げられたと言う。

やっと陽の目を見れた彼女は僕にお礼がしたくて無駄だと解っていても僕ら一行に声を掛けた。

その時、八香だけが足を止め、振り返ったのだ。

 

『成程、礼がしたいとな?丁度良い、どうやら彼は今、苦しんでおる、役に立ってくれまいか。』

『望む所で御座います___』

『私にそこまでの力は無い、だから約束してくれ。決して交わるな、消えてしまうぞ。』

 

そう云って八香は懐から紙を取り出し、片手に呪文を唱えた途端、息をふゥ!と

吹き付けた物を柳にペタリと貼り付けた。彼女は柳の精としてひと時の命を与えられたのだ。

以前、火影様の命で暗部として調べてた所、妾腹の子である左門の母親は陰陽道に長けた者で、

彼がその教えを受けないワケはない。

ならば、一番弟子、まして巫女の彼女に伝授してもおかしくは無かった。

 

え? 人の姿になった涼さんが、僕に何を恩返ししたか___?

それは・・・アレだ・・・R18になるといけないから云えないよ!

 

(いかん・・・、このまま此処で彼女を見捨てる訳には・・・!)

 

借りがある___そして出来れば神聖なままの彼女でいて欲しいんだ・・・。

萎れた野花を咲かせ、痛んだ樹にも命を吹き込む事が出来る君でいて欲しい。

僕は意を決して立ち上がる。

 

 

 

 

 

「おお___?今日はなんだか凄く豪勢だね・・・!」

 

髪を拭きながらお風呂から出てくると、豪華食材の混じる良い匂いにテーブルの上を見た。

そして何故かシュンとしてるかに見える八香が肩を窄め、溜息混じりに答え始める。

 

「カカシ殿____ワケあって、サンマも胸肉も買えなかった・・・申し訳ない;」

 

その様子から、いつもお世話になってるあの商店街で、彼女もまた何か余計なお世話になったのは何と無く想像が着く。___このメニューを見れば・・・ね;

 

「いやいや、俺サイコロステーキもウナギも大好きよ?てか・・・出費ダイジョウブ?」

「それが・・・、全部頂き物なので・・・・。」

「え??? タダ? それって・・・あ?」

 

ピンポーン・・・♪

 

「こんばんはー」

 

今時分、誰? 俺は直ぐマスクを上げドアの外を確かめる。

ちわーっす!って声。スコープを覗く・・・え?サングラス・・・アオバ!?

これから食事だってのに・・・。取りあえずドアを開けた。

 

「どーしたの、突然。」

「え?カカシさんの誕生パーティやるって聞いて・・・アレ!?」

「ちーっす!あれ、まだ俺らだけ?」

「まてまて・・・!ライドウもアオバも一体誰からそんなデマを・・・!」

 

『皆で祝おう!はたけカカシ誕生パーティご招待』

彼らの後ろからニュ!っとそんなカードを着き付けられた。

 

「俺の記憶じゃァ・・・カカシさん、誕生日9月半ばじゃなかったですっけ・・・?」

「ゲンマ、君・・・覚えてくれていて何故ケーキを買って来ちゃったの;」

「八香のですよ。アイツ、誕生日とか知らないみたいなんで丁度良いじゃないですか。」

 

アイツだとか、丁度いいとか。

君、いろいろコジツケてかなりの頻度でウチに来る様になったよね!?

その理由はさまざまで、「良い酒が手に入ったんで」とか「カボチャ余ったんで」とか!!

大体、誰のイタズラ!? あんな招待状、配布したのは!?

 

「オーイ、八香ー、良いもの持って来てやったぞー?」

「あ___!ちょっと・・・!!」

 

ゲンマが上がり込むと他の二人も続いた。俺は頭を抱える・・・はッッ!!不味い!!

 

「おじゃましまーす・・・どうした?ゲンマ??」

「あれ?お揃いだな、いらっしゃい・・・ゲンマ?」

 

キッチンから出てきた八香が挨拶をしたが___

彼の背中だけががピタリと時間が止まったかに動かない?

 

「へェ、もしかしてカカシさん___明日休みですか・・・。」

「エッ、あぁ、うん。そうだけど? あっ、いや・・・!」

 

疚しい事はないんだけど、ついシドロモドロしてしまう。

感のよろしい彼は、テーブルの上に並んだスタミナ食を見て一瞬体を震わせたから・・・。

遅かった・・・摩り下ろしニンニクの匂いにワザトらしく鼻を鳴らしてる。

ソウかと思うとテーブルの上にドーンとケーキを置き、俺に振り返った。

 

「じゃぁ、今日は朝まで・・・トコトン祝うとしましょうか・・・・ネ!!」

「 「 ・・・・・!?(ゾワ!!  」 」

 

引くわー・・・ニセの笑顔と、額のその、大っきな怒りの筋に。

ゴゴゴゴゴ・・・!って効果音聞こえそうだもん。

怯えた彼ら二人の前で今更「誤解よ?」とも云える雰囲気でもなく・・・。

 

「アハ・・アハハ、そ、そうしてくれるー・・・?」

 

もう、こう云うしか俺に選択肢は無い様な。

 

「_____?」

 

そりゃ首も傾げるよな; 八香、君は解らなくていい・・・・・!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【続かない。タブン】

 

 




マジメに書くツモリだった__
何故こうなった・・・。
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