ゆるドラ!〜※ゆるいパズドラの略です〜 作:ハッカ@黒猫ドロップアウト
ドロップアイランドにある小さな居酒屋店。そのテーブル席に、二人の木属性モンスターの姿があった。
「久しぶりですね、劉備」
刻風の時女神ヴェルダンディは、自分と向かい合って座る転生劉備に向けて、微笑を零す。
「ひ、久しぶりです……姐さん」
劉備は額から冷や汗を流し、決して目を合わせようとしない。
ヴェルダンディはジョッキに入ったビールを一気に飲み干すと、赤くなった顔で満面の笑みを浮かべた。
「楽しいですか? おじ様方とする高速周回とやらは」
それに対し劉備は、顔を逸らして小声で「ええ……まぁ」と答えた。
「ま、楽しいのは今だけですよ。どーせすぐに忘れ去られます」
「…………」
「あ、知ってます? 私最近新しい究極進化が実装されたんですよ。ほぼまったく意味を感じられないあの上方修正のすぐ後に」
「…………」
あの上方修正とは恐らくアレの事だろう。当時既にリーダー的な需要が無かったにも関わらずリーダースキルに修正が入り、その内容が単純倍率と十字消し。リーダー的にも彼女が妬んでいた不動明王の完全下位互換になってしまったアレの事を、彼女は言っているのだろう。
「根性持ちのモンスター対策の『追い討ち』に、今流行りの『コンボ強化』が追加され、木属性パのサブとして大分使えるようになりました。……あと自分で言うのも何ですが、かなり可愛くもなりました」
「良かったじゃないですか。おめでとうございます」
「ええ、良かったんです……覚醒の物足りなさは残りますが、良かったです」
そう言ってから、テーブルに突っ伏した。
「でも本音を言うと、またリーダーとしてみんなに使われて欲しかったんです……貴方達と共に過ごしたあの日々に、戻りたかったんです……」
「姐さん……」
少し昔。ヴェルダンディがリーダーでサブに火の究極劉備を複数積んだ『ヴェル劉備』というパーティーが流行った。体力が高いので耐久する事が出来て(ただ回復力が少ないので立ち直りは難しかったが)、火力も劉備の2wayのお陰で申し分無い。その頃に実装されていたダンジョンは大体がクリア出来るくらいに強かった。周回用としてもそれなりに使われていた。『ヴェルダンディ』というキャラが、最も輝いていた時期と言える。
けれど彼女は、あっという間に『インフレ』という波に飲まれてしまった。
「楽しかったですね、あの時は」
劉備が言う。
「はい。木の四個消しだけで敵をバッタバッタとなぎ倒す快感は、未だに忘れられません」
「……姐さん」
「どうしました?」
「いつかきっと、報われる時が来ますよ」
その励ましの言葉に、ヴェルダンディはなんとも嬉しそうに笑った。
「だと……良いんですけどね」
実装当時からヴェルダンディを愛用していたので書きました。最近はあんまりですけど……。