ゆるドラ!〜※ゆるいパズドラの略です〜 作:ハッカ@黒猫ドロップアウト
ドロップアイランドの何処かにある、三人の時女神が暮らす小さな家にて。
「二人とも行かないの? 海」
ソファーに腰掛けながら女性誌を読んでいた刻火の時女神ウルドが、残念そうに言った。
「行きませんよ……と言うか、私とスクルドは、ウル姉と違って水着が無いから行けないんですよ‼︎」
ヴェルダンディが声を上げる。その手には缶ビールが握られており、近くのテーブルには空き缶が幾つも置かれていた。顔も赤い。
「ヴェル姉の言う通りだよ。夏ガチャに実装されてるのは、ウル姉だけなんだから」
ヴェルダンディの隣に座る刻水の時女神スクルドが、不満そうに口にした。両手でオレンジジュースの入ったグラスを持っている。
「それじゃあ仕方無いわね……それにしても、なんで私だけ季節ガチャに登場してるのかしら」
「さあ? なんででしょうかね」
ヴェルダンディもスクルドも、キャラ人気はそれなりにある筈なのに、いつまで経っても季節ガチャに登場しない(2017年8月17日現在)。
「ヴェル姉はともかく、ボクはそろそろ実装されてもいいと思うんだけどなー」
「おいチビ。まるで私の人気が無いみたいな言い方ですねぇ?」
「だってボクは☆6なんだよ? コンボ強化も一つ多いんだから。あととってもキュート」
「…………‼︎」
スクルドが自慢げに言うと、ヴェルダンディの持っていた缶が一瞬で潰れ、中に残っていたビールが飛び散った。
「あーはいはい。喧嘩するなら、夏らしいもので勝敗を決めなさいな」
女性誌を閉じ、眼鏡を人差し指でクイッと上げる。
『夏らしい勝負?』
ヴェルダンディとスクルドの声が重なった。
☆☆☆
『夏らしいもので勝敗を決めろ』
時女神の眼鏡のこの一言が、二人を海へと駆り立てた。
やって来たのはドロップビーチ。太陽が照りつけているので非常に暑いが、ヴェルダンディもスクルドは水着になれないので、我慢するしかない。
「勝負の内容は、ズバリ『スイカ割り』よ」
ウルドは水着に着替えを済ましている。羨ましい。
「スイカ割りですか。確かに、夏らしいと言えば夏らしいですね」
「それで異論は無いよ。何やってもどうせボクが勝つんだし」
両腰に手を当てて、無い胸を張るスクルド。
「ウル姉、質問いいですか?」
「どうしたの? ヴェル」
「罰ゲームはありますか」
「そういうのは特に無いけど、必要なら付け加えるわよ?」
『……』
ヴェルダンディとスクルドが、無言で目を合わせる。
『ではお願いします』
そしてまた、声が重なった。
「了解、考えておくわ。……さて、そろそろスペシャルゲストに登場願おうかしら」
「スペシャルゲスト、ですか?」
「来ていいわよ」
するとウルドとヴェルダンディ達の間に紫色の魔法陣が現れ、そこから黒い瘴気が放たれた。それが晴れた時、そこには一つの影があった。
雪白の美姫ヴァルキリークレール。彼女の背後には、蝙蝠の羽を生やしたスイカが、何体も飛んでいた。
『モンポで買える人‼︎』
そして三度、二人の声が重なったのだった。
ヴェルダンディは酒飲み。スクルドはボクっ娘ナルシスト。
書いてるうちにこんなキャラになってしまいました……。