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復讐モノで、主人公が酷い目に会うことはありますがアンチ・ヘイトというわけではございませんので、ご理解ください。(警告タグは念のため)
この作品に癒しはあまりありません。所謂ハードモードというやつです。コメディ、ギャグは期待しないで下さい。
原作主人公の影が薄い場合がありますが、活躍の場は用意します。
話の都合上、なかなか出てこないキャラも居ます。最悪名前すら出ないキャラも。
リリカルでマジカルな世界なのに主人公だけ血生臭いです。硝煙の臭いが最高だなぁオイ。
物語が終盤に近づくにつれ、原作キャラが重傷・または死亡・あるいは死ぬよりもひどいことになることがあります。特定のキャラへの愛着があり、そのキャラクターが傷つくことが嫌だという方は読むのをやめておいた方がいいと思います。
(2014・04・12追加)
グロテスクな表現あり。
第0-1話
時空管理局が自らを元世界の長と主張してから、もう随分と時代は流れた。発足当時には自称管理者に対する猛烈な攻撃があったらしいが、管理局は圧倒的な技術力で反抗する世界を次々と併合していったらしい。歯向かう者には死を、受け入れる者には生を。その単純な姿勢を維持し続け、今の管理局。今の『比較的安定した』次元世界が存在するという話をよく耳にする。
まあしかし、そんな強烈すぎる技術力を前にしても受け入れられない人間は居るもので。長い歴史の中、そういう人達が集まった世界と何度も衝突があり、身の程もわきまえず時空管理局に戦争を挑んで滅んだ世界がいくつも存在する。今は随分と落ち着いているようだが、やはり水面下での戦争、所謂テロ行為には事欠かない。
私が今いるこの世界、この瓦礫の山と化した都市の跡は、過去繁栄を極めた世界の成れの果てだ。競うように立ち並ぶ、見上げれば首が痛くなるほど高い、半ばで折れた高層ビル。ある部分が弧を描いて消滅した建物。根本から倒れたビル。どの建物も一つとして元の機能を維持している建物がないことから、管理局がどれほどのことをしたのか、過去に何が起きていたかが容易に想像できる。
しかし人間とは存外にしぶといものだ。逃げ場など無いであろう砲火の中を逃げ惑い、まるでゴキブリのように生き延びた。そういう者達は何度でも集まって反旗を翻す。勝ち目など無いと知りながら、必死に戦い続ける。正面から戦っても無駄死するというのを理解し、やがては民間人を狙ったテロを行うようになる。そういう奴らの頭を処分するために、私はこの世界送られてきた。
この街の跡には、一つのトンネルが存在する。瓦礫を掘って作ったトンネルとも言えないような、人間二人が並んで通れる程度の小さなものだ。そして私はその入口を、ビルの割れた窓からずっと見張っている。
視界に入っているのは、縦横2本の線のみ。その線の交差する場所を、トンネルの入口へずっと当てている。通りかかる人間を待ち続けて、かれこれ3日くらいだろうか。そろそろ水も食料も切れかけている。
限界はまだ来ていないが、そろそろ来てほしいものだ。
それから数時間。日が暮れて月の光が大地を照らす中だった。十字が刻まれた視界の中に、ようやく人が入ってきた。人数は一人、二人、三人。事前に渡された情報通り、男二人と女一人。最近世間を賑やかすテロ組織のボスとその取り巻きだ。倍率を最大まで上げて拡大すると、横顔がくっきりと見えた。標的も三人の中に居る。トンネルの中へ入ろうとしている。安全装置を解除し、ボルトハンドルを起こして、ボルトを引き、押し戻し、元の位置へ戻す。装填弾数は五発。外していいのは二度まで。
楽しそうに話している真ん中の男の胸に十字を合わせ、人差し指を曲げる。反動が肩を、破裂音が耳を貫いた。発射から一秒とせずに十字の刻まれた視界の中で、男は倒れた。もう一度ハンドルを引き、戻す。
状況を理解できていない残り二人のうち、女の胸に同じように十字の真ん中を合わせて引き金を引く。一人目と同じように倒れる。
ハンドルを引く。戻す。三人目は瓦礫に身を隠していた。だが頭が出ていたので、頭を撃った。
倒れた二人はどうやらまだ生きているようだったので、残る二発であまり動いていない頭を撃ち抜いて、止めを刺した。
これで作戦の目標であるテロリストの殺害は終了したので今度はテロリストのリーダーが所有する『蛇』と呼ばれるロストロギアの確保をしに移動する。これは本作戦のもう一つの目標だ。
このロストロギアの特徴は、人に寄生して人間の持つ感情を餌にして、糞の代わりに魔力を吐き出す。また、周囲の人間の感情を宿主の感情とシンクロさせ、増幅させる効果もあるので、扇動者が持つと危険思想の人物を量産する厄介極まりない物となる……らしい。近頃頻発するテロもそのせいだと伝えられている。そして蛇は宿主が死ぬまで体を離れない。なので殺傷することで体から離し、専用の道具を用いて確保することがもう一つの目標。それさえ済めば今回の任務は終了する。
念のためスコープで一通り索敵して敵がいないのを確認。ライフルを背負い、どう見ても虫取り網と、虫籠にしか見えない捕獲道具が入ったバックパックも背負い、ラペリングで地面に降下。
そこまで遠いわけではないが、近いわけでもないので、瓦礫の山の上を駆け足で進む。管理局にテロを仕掛けるような余裕があるなら戦争の後片付けくらいすればいいのにと思うのだが。
十分ほどかけて死体の所まで進むと、死体の腕を飲み込もうとする黒い蛇を見つけた。これが件のロストロギアなのだろう。網を死体の腕の下へ差し込んで、蛇をすくい上げて網の中へ……入れようとすると、網の柄に巻き付かれた。
「……」
網の柄を折って虫籠に入れようとしたが……今度は腕に巻き付かれたかと思うと、そのまま腕に吸収されるように消え、腕に蛇の鱗状の痣を残された。痛みを感じない体質なので痛みは当然ない……が、皮膚の下で何かが蠢くような気持ち悪い感覚がある。切り落としたくなるが、こんなところで切り落としては治療ができないので出血多量で死んでしまう。
「……?」
急に頭が、痛くなり、地面に膝をつく。痛みは、昔あった事のせいで無くなったはずなのに、痛い……頭の中を、直接頭蓋骨に穴を開けてナイフとフォークで掻き回されるような。強烈な吐き気を伴う痛みだった。その痛みの奔流に乗って、頭の奥底に封じ込めていたおぞましい記憶が蘇ってきた。