オリ主が逝くリリカルなのはsts   作:からすにこふ2世

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今回、非常に短いです。しかしこれ以上文章を増やすことは、次の話をくっつけでもしないと無理なので、投稿しました。申し訳ありません。


第27話 別れ

二号の葬式が終わり、四号に隊長の任と翻訳を済ませた訓練マニュアルを譲り。中将には今までの訓練内容と作戦内容から考えた、部隊の運用方法のサンプルを送り。これで、管理局員として私がなすべきことは全て済ませたはず。やり残したことは、多分無いはず。これで思い残すこと無くスカリエッティのところへ行ける。

 

「……やりきれんな、ハンク君は悪うないのに」

 

 辞表を受け取った八神二佐がつぶやく。スカリエッティに協力するなら、管理局を離れたほうが丁度いい。獅子身中の虫となるよりは、さっさと寝返って敵として対峙するほうが気分が楽だ。

 

「私の指揮が招いた結果です。責任を負うのは当然でしょう」

「それでも、折角仲良うなろうとしよったのに。残念やわぁ」

 

 まだ諦めていなかったのか。管理局にいる間は親しくなるつもりはなかったが……ああ、管理局は抜けるから、もういいか。

 

「親密になる前にこんな事になって、良かったと思いますが。あまり親しくなっていたら、部隊の士気に影響が出るでしょう」

「それは、そうやけどな。なんかイヤやわ」

「では、また機会があればお会いしましょう。また会ったら、食事にでも誘って下さい」

 

 管理局を抜ければもう部外者だ。というよりも敵になる。それなら仲良くしておいて、裏切られたと思わせた方が動揺が大きくなるはずだ。そういった理由から、こちらから歩み寄ってみる。いわば打算からの行動だ。

 

「……え?」

「私が距離を置いていたのは、自分が死んだ時の影響を考えての事です。管理局を抜ければ、もう部外者。どうなろうが士気に関係することはないでしょう。そうなれば、距離を置く理由も消えます」

「ホンマ? なら、今日仕事が終わった後にでも一緒に」

「構いませんよ。では、失礼します」

 

 尤も、夕食の時間まで生きていればの話だが。多分六課の施設を出てすぐに追手が放たれるだろう。さすがに人の多い市街地で殺しに来ることはないだろうが、のんびり食事ができるのは今夜くらいか。最後の晩餐にならないことを祈ろう。

 

 隊長室を出て、入口前に置いてある荷物を担いで廊下を歩く。出口まで行くと、四号が見送りに出ていた。一号はまだ三号との別れから立ち直れていないのだろうか、その姿は見当たらない。

 

「もう少しあなたの下で働きたかった。こんな形になってしまい、残念です」

「お前は私のようなヘマはするなよ」

 

 個人の感情に流されて……というのはあまりないだろうが。敵とみたら脊髄反射で弾丸を叩きこむくらいの気概でいかないと死ぬ。こいつがそこまで至っているかどうかはわからないが、私の渡したマニュアル通りに訓練すれば多分遠からずそこまでたどり着けるだろう。

 

「はい。お元気で、隊長」

「一号にもよろしく伝えておいてくれ。じゃあな」

 

 二、三年前に通勤の手段として買ったバイクにまたがり、エンジンを掛けて発進する。後ろ髪引かれる、というような気持ちはない。元々そこまで好きではなかった職場だ。未練があるはずもない。

 


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