オリ主が逝くリリカルなのはsts   作:からすにこふ2世

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大変遅くなりました。そしてその割には短いですごめんなさい。次の更新はもう少し速くするつもりですので許してください。



第40話

 ヴィータを狙撃後、特に追撃を受けることもなく郊外でセインに回収してもらって、別の地域から撤退したナンバーズと合流。合流後クアットロから今回のやり方は相手に砲撃、あるいは高速戦が可能な魔導師が居なかったから上手くいったのだと注意された。確かにその通りだが、そんな事は最初から理解していたし、クアットロの方は何の戦果もなかったそうなので単なる負け惜しみだと思う。

 

 そのようにやや衝突はあったものの、何事も無く拠点に帰還し、これから作戦の完了報告をするところ。報告といってもボードにはカメラとマイクがついていたので、その映像を見たスカリエッティからの話を聞くだけなのだが。

 

「やあ、お帰り。主目標を両方取り逃したのは少し残念だったね」

「回収役はルーテシアとセインだ。私に言うべきことじゃない」

「セインはともかく、ルーテシアは子供だろう? 子供を前線に出して、さらに任務の結果について文句を直接言うのには少し抵抗があってね」

 

 人の感情の機微に疎い私だが、今の言葉が嘘だということはわかる。ナンバーズは自分の娘だと言い切っておきながら前線に放り出し。その娘を傷つけた私に対し何も言わず。そんな奴が他人の子供を前線に放り出すことに負い目を感じるわけがない。そもそもそんな倫理観のある人間なら、戦闘機人なんて作るはずがない。

 

「つまらない嘘をつくな」

「受けると思ったんだがね。まあいいさ、また別のネタを考えておこう。それよりも君の戦果だけども、ヴィータだったかな? 確か。を戦線離脱させるなんてなかなかやるじゃないか。ああ、やはり君をスカウトした私の眼に狂いはなかったようだ」

「頭は狂ってるがな」

「言ってくれるじゃないか。まあその通りだが……君もどちらかと言ったら私と同じく、狂ってる部類に入るんじゃないか?」

「否定しない」

 

 狂人とは、精神に異常をきたしている者の事だ。何を持って正常と定義するかは知らないが、少なくとも自分が異常だということは自覚している。倫理観など復讐を決意してから肥溜めに投げ捨てたし、常識もスカリエッティに肩入れすると決めた時点で欠片も無いと言ってもいいだろう。当然こいつにも倫理観や常識などありはしない。違うのは行動の根本にあるのが家族のためか、自分の欲求のためか、それ位だろう。

 

「同じ狂人同士、仲良くしようじゃないか」

「今のままでいい」

 

 必要以上に親しくなるつもりはない。私の望むものを提供してもらい、私は相手の望む物を返す。ギブアンドテイクの関係が一番いい。

 

「ところで、聞きたいことがある」

「別の手段の事かい?」

「いいや。私の元部下……パトリック・ジグの現状についてだ。少し調べてほしい」

 

 二号と三号に関しては、僅かだが責任を感じている。完全に個人的な事情で起こした事件に巻き込んで、その結果三号は死亡。二号は普通の生活を送る事も困難な怪我を負った。他人の起こした事件なら知ったことかと切り捨てるのだが、他でもない自分の起こした事だ。許されなくても別に構わないから、一応事情を話して謝罪はしておきたい……事情を他人に話すようなら当然口封じをするが。

 

「なんだ、そんな事か。彼なら君が度々世話になっていた病院に入院していると、レジアスから教えてもらっているよ。右腕が完全に使い物にならなくなって、現在リハビリの最中らしい」

「中将が? いや待て。お前、レジアス中将と繋がっていたのか?」

 

 管理局のどこかとパイプを持っているのは知っていたが、まさかあの中将とは。犯罪を徹底して嫌い、クラナガンの平和を誰よりも望む。そう自称していたあの中将がまさかこんな重犯罪人と繋がっていたとは驚きだ。

 ……しかし、スカリエッティを人ではなく道具として考えているなら不思議でもないか。道具が多少悪さをするからといって、便利ならば手元に置いておきたいのはわかる。

 

「そういえば言っていなかったね。面倒だから説明はしないが、私が色々と可憐要望を満たす代わりに、悪事を見逃してもらっている。あちらには、君が私の下に居ることも教えてあるからそれで伝えてきたのだろうね。あと、伝言も一つもらっている。『妹の治療が終わったら管理局に戻って来い。歓迎する』だとさ」

「そうか」

 

 中将も世話焼きなことだ。戻るはずがないとわかっているだろうに、わざわざそんな事を伝えるとは。ひょっとして、管理局の奴らは皆総じて世話好きなのだろうか。どうでもいいか、そんなことは。

 

「私と違って表沙汰になるような真似はしていないし、捕まることはまずないから見舞いに行ってきたらどうだい? なんなら治してやってもいい」

「本人に聞いておこう。しかし、随分と気前がいいな。そんなに私に恩を売ってどうするつもりだ。人体実験でもする気か?」

「その通り、タダなわけがないだろう。ロストロギアと人体の融合というのは極めて珍しい。レリックウェポンや人造魔導師の性能向上に役立つかもしれない材料が手元にあるのに放置するのはとても惜しい」

「そうか。実験に協力するのはやぶさかじゃないが、死なない程度にしてくれよ。シャワーを浴びたら行ってくる。セインを借りるぞ」

 

 トーレに連れて行ってもらえばすぐだろうが、空を飛んでいけばいくら速くても補足される可能性は高い。それに、さすがに戦力の要をたかが見舞いに駆り出すわけにはいかない。その点セインは移動に特化しているものの、戦闘能力は高くない。よってタクシー代わりに使うにはちょうどいい。

 

「ホテルに連れ込んだりしないようにね。本人の合意があればいいけど」

「誰がするか」

 

 そんなことをするつもりはないし、第一連れ込んだ所でどうしろというのか。腐っても戦闘機人、押し倒す前に殺される。こいつはきっとそれをわかっていて、からかって楽しんでいるのだろう。本当に、私の上司はどいつもこいつも性格が悪い。

 

 


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