オリ主が逝くリリカルなのはsts   作:からすにこふ2世

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フェイトさん超重傷。若干のグロ注意。

うっかり、書く前に決めた流れを消すのを忘れてました。


第63話

 

 飛行中のボードの上に血まみれの女が降ってきて、私をボードから引きずり降ろそうとした。今の状況でそれだけ見れば、反射的に頭に銃弾を叩き込んで蹴り落とそうとした私は悪くない。当然、顔を認識して寸前で止められたが……意識はないようなので、引きずり降ろそうとしたのではなくただ落ちないように捕まっただけだろうと推測。回収の手間が省けたと考え、落とさないためにバインドでボードに括りつけさらにブースターをパージし巡航速度を落とす。

 全身血まみれ、ということはイレギュラーがあったのだろう。高町なのはならば殺傷設定は使用することはないだろうし、何より全身の裂傷とその傷口の火傷。さらに傷口を軽く抉ったら見える金属片は、質量兵器を使用されたのだと考えられる。人間を相手にミサイルを撃つとは、容赦が欠片も感じられない。さすが私が教育した部下だけある、と感心する。

 

 さて、そんな感傷はもういいとして。バリアジャケットすら維持出来ず、出撃時と同じ管理局の制服姿となり、片方の眼球が潰れ眼窩がむき出しになって、元の美貌を著しく残った彼女。その傷を見るために、失礼とはわかっていながらも服の前面を開き、その身体をざっと見てみる。均整のとれた美しい身体……普通の感性をした成人男性なら劣情を催さずに入られないであろうその身体には、まるで似つかわしくない傷と夥しい血液で彩られていた。12の時から六年間殺し殺されの仕事をしてきたので、どれ位の傷なら助かるか、どれほどの傷なら助からないかの基準は理解している。

 そして目の前の彼女は、出血量、傷の深さと数を記憶の中に居る生死の境に居る者達と照らしあわせて考えると……既に手遅れ。ミサイルの爆発で飛散した破片を近距離で全身に浴び、即死しなかったのは奇跡と言ってもいいだろう。運がいいとは言いがたいが。即死していれば苦痛を感じることもなく、安らかに逝けただろうに。リスクを犯し、さらに苦労もして手に入れた戦力をこんなところで失うのは非常にもったいないのでなんとかしてやりたいのは山々だが、かといってこれといって打てる手も無いのが現実。このボードにはレーダーと機銃はあっても医療機器は一つも積んでいない。私も治療魔法は使えないし、瀕死の人間を助けられるほどの医療知識も持っていない。

 

《出血量が危険域に到達。脈拍・血圧低下。治療を》

 

 仕方ないから見捨てようか、という考えを抱いたところでデバイスに治療を要求される。手の施しようがないから見捨てようとしたのだが……デバイスもこれが致命傷なのはわかっているだろうに、それでもなお頼んでくる。まるで人間のようだ。

 

「そうか。言われても何もできないぞ」

《連れだしておいて、何と無責任な》

 

 借りは既に返した。そして、戦場に出たのは誘導されていたとはいえ彼女の意思なのだし、非難される謂れはない。しかし、苦労して手に入れたものをこうも簡単に失ってしまうのはもったいない気もする。先の戦闘で私の生存がバレてしまったから、私を殺したという理由で謹慎中の八神シグナム、連帯責任で処分を受けている八神はやての二名が戦線に復帰し、六課の戦力が万全に近いものに戻ってしまう。スバル・ナカジマ一人抜けた穴を埋めてなお余りあるほどの戦力。それを考えたら、やはりフェイトの戦力はあった方がいい。

 なにか助けるための手はないものか、と思いスカリエッティに回線をつなぐ。やつならば私には思いつかないような手段をしっているかもしれないと考えたからだ。

 

『やあ、どうした。何か問題でも起きたかい?』

「フェイト・ハラオウンが負傷した。原因はミサイル炸裂時に飛散した金属片による裂傷と内臓損傷。意識はない。怪我の程度は口で言うよりも見せたほうが早い。画像を送る」

 

 ボードに接続してあるデバイスを引っこ抜いて画像を撮影し、それをスカリエッティに送信する。

 

『ああ、これはひどいね。持って数十分といったところかな?』

「延命措置はできるか」

『道具がない、魔法もないとなれば手の施しようがないね。損傷が激しすぎるからレリックウェポンとしての蘇生も見込めない』

「打つ手なしか」

『そうでもない。君の血を傷口にかければ、傷を塞ぐくらいはできるかもしれないよ。一応こちらでも蘇生、治療の用意はしておくがね』

「そうか」

 

 理屈は聞いてもわからない。だが、それで助かる可能性がわずかでもある、生存できる時間が僅かにでも伸びる可能性があるのなら私は言われたことを実践しよう。どうせ失敗しても彼女が死ぬだけなのだし、、試すだけならタダだ。左腕を何度か振り回して、付着しているスバル・ナカジマの血を払い、さらに右腕で軽く拭ってから左腕をフェイトの傷の上に持っていき、刃物に変えた蛇で深く切り開く。肉が裂ける不快な感触を我慢し、刃を抜く。すると血が噴水のような勢いで吹き出て、彼女の全身にかかる。こんないい加減な処置とも言えないような処置で果たして死の寸前にある人間が本当に助かるのかどうか、と甚だ疑問だが……効果はあったようだ。傷が少しずつだが、目に見えて小さくなっていき、出血量もそれに応じて減少する。

 スカリエッティの見込みは正しかったようだ。そして認めたくはないが、私の身体が既にヒトとは呼べないものとなっている事を改めて認識した。

 

《何をしているのですか》

「私の身体をスキャンしてみろ。理由がわかる」

 

 右手でデバイスコアを持ち上げて、術式起動のための魔力を通す。大体のデバイスにはロストロギアの探知魔法がインストールされているはずなので、調べさせればわかるだろう。そして一秒ほどすると、弱い電流が頭の先から爪先にかけて流れたようなピリっとした感覚がして、デバイスから音声が流れた。

 

《……以前から人間らしくないとは思っていましたが。まさか本当に人間ではないとは驚きです。その身体は最初からでしょうか》

「手に入れた時から少しずつ侵食が進んで、今に至る。だ」

《なるほど。二重の意味で人でなしですね》

 

 事実、その通りなのだから否定のしようがない。復讐のため家族のためと人の道を踏み外し。そしてこの身体も既に人とは呼べない。こいつの言うとおり二重の意味での人でなしだ。

 まあそれよりも。今この場で話すべきはここで寝ている彼女について。傷は既に塞がったが、それはおそらく表面だけ。内臓に至る傷については、治るにしても時間がかかるだろう。出血は今更いくら出たところで大して変わりはしないし、輸血もできるはずがないので当然、現状のまま放置するしかない。

 

《マスターは助かるでしょうか》

「死ぬ」

 

 バッサリと宣告する。今更傷を塞いで止血をしたところで焼け石に水だ。止血するまでに出た血の量が多すぎる。灰色だったボードがもはや見る影もなく、赤一色だ。

 

《……》

 

 機械にも感情があるのであれば、このデバイスは間違いなく悲しんでいる。この眼にこそ映らないが、今の沈黙は親しい者の死を看取る人間のそれだ。だから何だという話だが。じっくり看取れるだけ良いじゃないか。私なんて、別れを惜しむ間すら与えられなかったのだし。いやそもそも機械にそんなものは必要ないだろう。

 

「だがアジトにつく時間によっては蘇生できる可能性もある。ウェンディ!」

「はいはい、呼んだッスかね」

 

 クアットロとディエチを乗せて私と同じスピードで横に並んで飛ぶウェンディ。それに声をかけると、速度を維持しながらボードを真横に寄せてきた。クアットロ、ディエチ、ウェンディの三人は血まみれで倒れているフェイトを見ても何も言わないあたり、死人やそれに近い状態の人間を見るのに慣れているのか、さほど抵抗がないと見える。取り乱されるよりはずっといい。

 

「クアットロとディエチはこっちに移れ。ウェンディはこいつを落とさないように、全速力でアジトへ」

 

 ウェンディのボードは私のものよりも積んでいるものが少ないからスピードが出る。おまけに彼女のほうがボードの扱いに慣れているので、安定して速度を出せる。全速力で飛ばせば、使い捨てのブースターに点火した……とまではいかないもののかなりの速度が安定して出るはずだ。こちらのブースターは燃料切れでパージしてあるが。

 

「わかったッス。そんじゃ二人共、悪いけどあっちに移って欲しいッス」

 

 蛇に命令してフェイトの身体を包ませ、それをウェンディに引き渡す。重量の変化で少しグラついたが、すぐに元に戻し。今度はウェンディのボードから移ろうとするディエチの手を引き、ボードに乗せる。さきほどよりずっと大きい揺れが起きるが、自動制御でなんとか持ち直す。あとはクアットロだけなのだが。

 

「面倒だわ」

「時間がない。拒否は認めない」

 

 と拒否してきたので右腕を伸ばして捕まえて、片手持ち上げて私のボードの上に乗せる。三人乗るとさすがに狭いし飛行速度も落ち、バランスも危ういものになるが。それでも自動制御で持ち直せた。戦闘以外なら、安物のデバイスでも不都合はない。いいことだ。

 

「心停止は免れんが、蘇生は早いほうが成功率が上がる。急いで届けてくれ」

「了解。それじゃ、お先ッス」

 

 荷物を受け取ったウェンディは、返事をしてすぐに真剣な表情になり、急加速。数秒で最高速度に達し、後ろに乗っている二人を降ろしてブースタを使わない限り追いつけない速度でアジトの方角へ飛んでいった。

 ウェンディにフェイトを任せた以上、もう慌てる必要もないので、巡航速度を少しだけ上げてアジトへと向かう。

 

「ねえ君。さっきあの女の服が肌蹴てたのが見えたけど……まさか動けないのを良いことに」

 

 ディエチが自分の体を抱いて、ボードの上で一歩引き下がる。彼女がその気になれば私が襲ったとして、私を殺すくらい訳ないだろうになぜそのような反応をするのか。そも。正常な嗜好を持った一般男性が、いくら美人といえどあれほど血まみれで瀕死の女に欲情することなどまずないだろう。まして性欲の欠片もない私となれば、そんな事をするはずがないのはわかるはずだが。

 

「傷の確認と応急処置だけだ」

「本当に?」

「トーレ姉様とホテルで同じ部屋に泊まったのに何もしなかったこいつが、何かするハズないわよー。ねえ、ハンク」

「……え、何それ初耳なんだけど」

「……速度を上げるぞ」

 

 余計な詮索をされたくないので、デバイスに命令して速度を上げる。この話はトーレと私の話なので、他人に詳細を教えるなら彼女に許しを得てからでなければ機嫌を損ねるかもしれない。私を良い意味で特別視してくれている相手の機嫌を損ねる可能性のあることを、わざわざ進んでしたくはない。

 

「聞かれたくないみたいねぇ。ディエチちゃん、聞くならもう少し別の話にしなさい」

「じゃあ、昨日姉さんが珍しく化粧をして出かけてたのは? 今朝普段とは違う服を着てたのは?」

「昨日出たのは買い物に付き合ってもらった。今朝着てた服はその礼に買ったもの」

「いいな、私も欲しい」

「トーレには恩があったが。お前にはないだろう。クアットロならともかく」

 

 今回は撤退の支援として連れてきたものの、結局何もせず終いで撤退している。恩と呼べるものも特に無い。恩も無いのに礼は成り立たない。クアットロには以前フェイトを拉致する際手伝ってもらったので、それに見合う程度の礼を要求されれば渡すつもりだ。

 

「あら、私に何か買ってくれるの? じゃあ宝石でもお願いしようかしらぁ」

「働きに見合った報酬に限る」

「冗談よ」

「……」

 

 口では冗談と言いつつも、内心は本気だった。私に嘘は通用しないのはこいつもわかってるだろうに。




今日仕事してたら急に目眩がして、気付いたら倒れてた件。上司にも心配されてしまいました。幸い、肘を打っただけで済んだだけで、大事には至りませんでしたが……。
健康に気を使って、不摂生なんてしてなかったんですがねぇ。何が起こるかわからないもんです。
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