オリ主が逝くリリカルなのはsts   作:からすにこふ2世

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読者の皆様へ
10月3日の活動報告を御覧ください。今後の更新についての事が書いてありますので。


第79話 逃走

 夜の街。ネオンが眩しく光るビルの中をひたすら跳ね回る。ビルの上から他のビルへと跳び移り、ひたすらそれを繰り返し

て市街を抜けようとする。しかし肉体強化をしていないためやはり速度が出ず、なかなか市街を抜けられない。が、このペー

スなら管理局員に追い回されなければ夜明けまでにアジトに戻れるはず。

 問題は気絶させた2人がいつまで寝ていてくれるか。起きるまでにどれだけの距離を稼げるかだ。市街地を抜けるまでに起きられたら追手が差し向けられるし検問も張られる。移動を始めてからそれなりに時間が経っているし、そろそろ起きてもおかしくはない。

 

「……」

 

 どこかから溢れ出てきた膨大な殺意に思わず足を止める。殺意の主は大体察しがつくが、予想よりもほんの少しだけ早い。気絶させた奴が起きたか、誰かに見つかってその報告が機動六課の連中の耳に入ったのだろう。緊急時なだけあって情報の伝達が早い。さすがの中将もプライドは捨てたか。

 

 となれば、もう魔力を抑える必要もない。どうせバレるのは時間の問題。ならば少しでも距離と時間を稼ぐのが得策か。

 

「ん……」

 

 足を止めたまま自身のリンカーコアとロストロギアを縛る魔法の鎖を、魔力放出で強引に引きちぎる。身体が少し軽くなったところで、蛇を何匹か撒いておく。ロストロギア反応を撒き散らしておけば多少の時間稼ぎに使えるかもしれないからだ。

 あとはいつも通りに肉体強化。フェンスを飛び越え、ビルを一つ二つ飛ばして飛び越えていく。多少明かりがついていようが、夜中に空を見上げるような奴はそういない。居たとしても少数。さらに夜闇にまぎれて跳ぶ姿を見つけられるのはさらに限られる。道路を走るよりかはスピードが落ちるが、見つかるよりはいいだろう。  これなら追いつかれる前に街を出られる……わけがないか。殺意の移動は私が移動するよりも早い。さらにペースを上げる。しかし、まだ殺意の移動のほうが早い。五分としない内に追いつかれるだろう。

 とりあえず、走れる間は走っておく。

 

 

 そして、時間が経ち。まき散らしたデコイに引っかかり見事に殺意は分散してくれた。ようやく私に追い付いてきた殺意の主の一人が、今まさに上空に居る。銃もなく、デバイスも無いとなれば、このまま殺されるのを待つだけ。ならどうするか。

 

「……仕方ないよな」

 

 不本意ではあるが、いつも通りに汚い手を使うことにする。ビルから跳ねる軌道を少しずらして道路に着地し、急に上から人が降ってきたことに驚き固まっている適当な通行人を一発殴って気絶させ。そのまま脇に抱えてまた走る。これで、上空からの攻撃の可能性は消えた。公的な機関故に、取れない行動というやつだ。人質ごと標的を殺害することはできない。特に機動六課の連中は人質ごと吹き飛ばすという選択肢そのものが頭に浮かばないだろう。

 

 これで罪がまた一つ増えたが、いまさら気にすることもない。テロリズムの幇助に管理局員の暴行、拉致、殺傷。管理局施設の破壊。拘留所からの脱走。これだけやっていればもう最高刑である死刑は決まったようなもの。それに民間人の暴行、拉致が加わってもこれ以上刑が重くなることはない。なんと言っても死刑以上の刑は存在しないのだし。

 

 人質を抱えたまま走っていると、上を飛んでいる殺意が急に降下してきた。

 

「動くなあ!」

 

 少し先に隕石のように降ってきたのは、八神シグナム。こいつには一体何度命を狙われたかわからない。戦っても勝ち目はまず無いので、すぐに人質の首を軽く切ってから思い切り投げつける。自動車よりも早い速度で投げられて、地面にぶつかれば人は死ぬ。動脈を傷つけたから、放置してもあの人質は死ぬ。受け止めて処置しなければあの名も知らない人は死ぬ。だがそれは大きな隙を晒し、私を見逃すことと同義である。その状況で彼女は民間人の命を取るか、復讐を選ぶか。

 まあ、おそらくは前者。

 

「ッ!」

 

 彼女は、投げられた人を見事に受け止め、他人の命をとった。

 だから、受け止めた彼女の横を通りぬける際にささやく。

 

「すぐに止血すれば助かる。市民を守るが管理局員だろう、勤めを果たせ」

 

 今後障害となることは明らかなだけに、可能ならここで殺しておきたいところだが。しかし俺にはこいつを殺せるだけの実力も無ければ武器もない。そんな相手に見逃してもらえるのなら無理に戦う必要もない。そのまま一気にシグナムの傍から走り去る。

 

「関係のない人間を傷つけて……貴様には誇りがないのか!」

 

 駆け抜けた後ろから罵声が飛んでくる。その質問に、立ち止まって答えることはしてやれないので心の中で答えてやる。

 

 誇りなんて邪魔なだけだから、とっくの昔に捨ててきた。

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