Fate/Zero ~小傘キャスター~ 作:寂しい幻想の刀鍛冶
「セイバー!こっちよ、こっち!!」
「お待ちくださいアイリスフィール!!」
セイバーとアイリスフィールが冬木市に到着し街中を回っていた。
その様子を見ている者がいた・・・・・・
「まさか、サーヴァントと共に堂々と行動しているとは思わなかったわ」
セイバー達が通り過ぎて行ったのを確認し、そう言いながら建物の影からキャスターが出て来た。
そして、キャスターは今夜あたりから聖杯戦争が本格的に始まるのではないかと感じた。
「・・・はやめに下準備を終わらせた方が良さそうね」
そう言いながらキャスターは人混みへと姿を消して行った・・・・・・
~・~・☆・~・~
その日の夜・・・
冬木市にある倉庫街にてセイバーとランサークラスのサーヴァントが戦っていた。
そして、ランサーが自身の宝具にてセイバーの片腕を封じたその時、空から
「双方、武器を収めよ。王の御前である!!」
大声でそう言った。だが、セイバーとランサーの二人は戦いに水を差されて苛立つと共にその為だけに出て来た目の前のサーヴァントに戸惑った。
「我が名は征服王イスカンダル、此度はライダーのクラスを持って現界した!!」
そしてあろうことか自身の真名を明かした事にその場にいた者達を驚かせた。
その後、二人の戦いの感想を言った後自身の軍に来ないかと誘いをかけた。
だが、二人からは断られてしまった。その後、自身のマスターについてランサーのマスターと話をした後・・・
「さて、他にもおるだろうが。闇に紛れて覗き見をしておる連中は!さっさと姿を現さんかい!!」
その言葉と共に近くにあった電灯に変化が起き、その光の中に一人の人物が映し出された。
それを見た周りの者達が警戒する中、ライダーは嬉しそうな笑みを浮かべながら眺めていた。
『呼びかけに答えて姿を見せに来たわ。まぁ、この様な姿で申し訳ないけど・・・』
「いや、構わん。その様子からしてキャスターのサーヴァントであろう?」
『えぇ、私は此度の聖杯戦争でキャスターのクラスで現界したサーヴァント。貴方と違って真名を言うつもりもなければ、対魔力が高い者達の中に本体をさらせるほど度胸がないわ』
「ほぅ、その場の状況を理解して自身の安全を確保しながら姿を現したお主に我は感心するぞ。中々の知能を持っていると思われる」
『お褒めに預かり光栄よ征服王』
キャスターとライダーが話しをしていると、キャスターが現れている電灯とは違う所に黄金の波紋が生まれた。
その中から昨夜、アサシンと相対したサーヴァントが姿を現した。
「我を差し置いて“王”を称する不埒者が、一夜のうちに二匹も涌くとはな。真の王たる英雄は、天上天下に我ただ独り。あとは有象無象の雑種にすぎん」
「そこまで言うんなら、まずは名乗りをあげたらどうだ?」
黄金のサーヴァントに向かいライダーは問いを投げた。
しかし、黄金のサーヴァント、アーチャーにとって気に障ったらしい。
「我が拝謁の栄に浴してなお、この面貌を知らぬというのなら、そんな蒙昧は生かしておく価値すらない」
静かな怒りを顔に浮かべながらそう言い終えると、そのサーヴァントの左右に黄金の波紋が生まれ、そこから宝具と思われる武器が姿を現した。
『・・・あらゆる原点の所有者にしてウルクの王は気が短いみたいね』
キャスターの呟きを聞き、アーチャーは感心した様な顔をしてキャスターを見た。
「ほぅ、どうやらそこの魔術師は我の事を知っているようだな」
『えぇ、貴方だけでなくこの場にいるサーヴァントの真名を知っていると言っていいわ』
キャスターのその言葉にその場にいるそれぞれの陣営は驚愕した。
自ら名乗ったライダーはともかく、セイバーにランサー、アーチャーのサーヴァント達は名乗っていないためである。この事からキャスターはそれぞれの戦闘を見ただけで真名を見破ったということになる。
その様な事を考えている頃、一人使い魔の視界を通してアーチャーを確認した者がいた。
間桐雁夜、養子として家にやって来た桜を救うため、その父である遠坂時臣に後悔させる為に聖杯戦争へと参加した者。その者が遠坂のサーヴァントであるアーチャーを見て冷静でいられるはずもなく・・・・・・
「殺せ・・・、殺すんだバーサーカー!あのサーヴァントを殺し潰せ!!」
その言葉に答える様に新たに黒色の鎧に身を包んだサーヴァントが姿を現した。
それを確認したそれぞれのマスターに緊張が走った。
唯でさえ半数以上のサーヴァントが睨み合っている中に新たなサーヴァントが現れたのだ。
余程サーヴァントの力に自信があるか、はたまた冷静に現状を理解できていないかの二つだからである。
「・・・なぁ征服王、彼奴に誘いはかけないのか?」
「誘おうにもなぁ、ありゃあ交渉の余地すらなさそうだわなぁ。で、坊主。あれは、どの程度のサーヴァントなんだ?」
ランサーの問いに答えつつライダーは自身のマスターに鎧のサーヴァントについて尋ねた。
だが、そのマスターであるウェイバーはというと呆気にとられつつ顔を横に振りながら言った。
「・・・判らない、ステータスが丸っきり見れないんだ」
『どうやら、真名を隠蔽するスキルか宝具を使用しているみたいね』
ウェイバーの言葉を受け継ぐように、キャスターが鎧のサーヴァント、バーサーカーに対しての結論を出した。
その間、鎧のサーヴァントは電灯の上に立つアーチャーから目を離さずにいた。
それに対してアーチャーは怒気を向けた。
「誰の許しを得て我を見ている、狂犬めが・・・。せめて散りざまで我を興じさせよ」
アーチャーの言葉と共にバーサーカーに向けて黄金の波紋から武器が放たれた。
その威力は絶大であり、路面が吹き飛び粉じんが視界を遮った。
少しして粉塵の中から黒い影、バーサーカーが姿を現した。
その手に飛来した宝具の剣を持って・・・
「・・・・・・奴め、本当にバーサーカーか?」
「狂化して理性を無くしているにしては、えらく芸達者な奴よのぅ」
『わずかに速く飛来した剣を掴んでその後に飛来した槍を叩き落とすなんて・・・』
アーチャー以外のサーヴァントは、バーサーカーらしからぬ技術を使用している事に驚くと共に、自身の宝具でもないのに十全に使いこなせている事に驚いた。
そして、アーチャーはというと先程とは比べ程にならない程に怒り狂っていた。
「その汚らわしい手で我の宝物に触れるとは・・・そこまで死に急ぐか、狗ッ!!」
黄金の波紋が先程と違い、十六もの波紋が現われ先程の宝具と同ランクの武器が姿を現した。
その様子を見た物達は驚愕した。サーヴァントが持つ宝具は大抵一つであり、多くても二、三つである。
なのに、アーチャーはその常識を大いに超えているのだから・・・
「その手癖の悪さで、どこまで凌ぎきれるかな狂犬よ」
アーチャーが言い終えると共に全ての宝具がバーサーカーに向けて射出された。
だが、バーサーカーは自身に向かってくる宝具を掴んだり、薙ぎ払ったりして防ぎきった。
それと共にバーサーカーは持っていた剣をアーチャーへと向けて投げた。
しかし、狙いがずれたのかアーチャーの足場にしていた電灯を分断しただけに終わった。
アーチャーはというと、分断される前に飛び、地面へと着地していた。
だが、顔には怒りと共に殺気が宿っていた。
「痴れ者が、この我を同じ大地に立たせるかッ。その不敬は万死に値する、もはや肉片ひとつも残さぬぞ!!」
怒りと殺意を込めた言葉と共に先程の倍、三十二の黄金の波紋が生まれた。
だが、ふいに違う方を向いた。向いた方角には遠坂邸がある。
どうやら、アーチャーのマスターである時臣が令呪でストップをかけたらしい。
「貴様ごときの諫言で、王たる我に引けと?大きく出たな、時臣。・・・命拾いしたな狂犬」
その言葉と共に黄金の波紋は消え失せた。
そしてアーチャーはこの場にいるサーヴァントを見渡して言った。
「次までに有象無象を間引いておけ。我と合い見えるのは真の英雄のみで良い」
そう言い残しアーチャーはこの場を去った。
だが、戦う対象が居なくなったバーサーカーはある人物を見つめた。
そして、鎧・・・いや、甲冑の隙間から赤い光が漏れると共にその者、セイバーへと襲い掛かったのだった・・・