Fate/Zero ~小傘キャスター~ 作:寂しい幻想の刀鍛冶
バーサーカーはセイバーに襲い掛かる手前に拾った得物を振り下ろした。
セイバーは不可視の剣で受け止めたが、バーサーカーの得物を見て驚いた。
セイバーだけではない、周りにいる者達も驚いた。
鉄柱・・・先程までアーチャーが足場にしていた電灯の残骸。
二メートルほどの長さのそれはただの鉄屑である。
なのに、何かに隠されているとはいえセイバーの宝具と鍔迫り合うなどあり得ないのである。
そう、何もしていなければ・・・
「なん・・・だと?」
その鉄柱は黒く染まっていた。
バーサーカーと同じ黒色へと・・・
「貴様・・・まさか!?」
それを見て此処にいる者達は理解した。
バーサーカーの能力・・・いや、宝具の正体を・・・・・・
「・・・なるほど、あの黒いのが掴んだものは、何であれヤツの宝具になるわけか」
『だから、アーチャーの宝具を十全に使いこなす事が出来たわけね・・・』
バーサーカーは鉄柱でセイバーに対して連続攻撃を行っている。
ここでランサーとの戦いでの負傷が響いてきていた。
ランサーの宝具である『
傷つけた個所の治癒する事が出来なくなする槍である。
それで傷つけられた左手に力が入らず、苦戦を強いられていた。
その様子を見ていたキャスターは・・・・・・
『(あの鎧・・・いえ、甲冑かしら?あの形と言えば欧州辺りの物だった筈・・・。そして、自身事を隠蔽していた者、もしくは偽る事を仕事にしていた者であり、セイバーであるアルトリア・ペンドラゴンと顔見知り・・・いえ、恨んでいる者と言えば・・・・・・)』
バーサーカーの正体についてある程度まとめていた。
その間にもバーサーカーはセイバーを追い詰めていた。
そして、セイバーの一瞬の隙をつきバーサーカーは鉄柱を振り下ろした。
しかし、それが届く事はなかった。
ランサーが鉄柱を切り離したためである。
「悪ふざけはそこまでにしてもらおうか、バーサーカー・・・。セイバーには俺との先約がある。・・・これ以上は黙ってはおらんぞ?」
その様子にランサーのマスターは納得しておらず・・・
『何をしているランサー、セイバーを倒す好機であろう・・・』
「すみません主殿。しかし、セイバーとの決着は尋常に・・・」
『ならん。ランサー、バーサーカーを擁護してセイバーを殺せ、令呪をもって命ずる』
それと共にランサーは矛先をセイバーへと変え、攻撃を始めた。
令呪とはサーヴァントに取って逆らう事はできないもの。
そのため、ランサーは申し訳なさそうにセイバーへと攻撃していた。
二人に追い詰められ、攻撃を受けそうになったその時・・・
「
ライダーの戦車がバーサーカーとランサーに向けて疾走した。
ランサーは自身の速さを活かして躱す事ができたが、セイバーに集中していたバーサーカーは躱す事ができず真面に受けてしまった。ライダーが通った後には立つ事ができず、倒れているバーサーカーがいた。
「ほう、なかなかどうして根性のあるヤツじょのう」
ライダーがそう言うと共にバーサーカーは霊体化してこの場を去った。
どうやら、致命傷を負ったので撤退したらしい。
「・・・と、まぁこんな具合に、黒いのにはご退場願ったわけだが・・・。騎士の戦いを穢すでない、ランサーのマスターよ。ランサーにこれ以上強要するのなら、余はセイバーに加勢させてもらいぞ」
ライダーがそう言うとランサーのマスターであるケイネスの怒りの気配がこの場に流れたが、長引きはしなかった。
『撤退しろランサー、今宵はここまでだ』
マスターの言葉を聞きランサーはこの場を去った。
周りは静寂に包まれる中、セイバーはライダーに向けて視線を向ける。
「・・・結局、お前は何をしに来たのだ?」
「さてな、そういうのはあまり深く考えないのだ」
ライダーの言葉を聞きセイバーはため息を吐いた。
『・・・さて、私もそろそろ失礼させてもらうわね』
キャスターは此処での戦いはもうないと考えたのかそう言った。
だが、ライダーはキャスターを呼びとめた。
「まぁ待てキャスター、我が軍門に降らぬか?」
『ふふ、ライダー。今はその話は断らさせてもらうわ』
「そうか・・・ん?今は?」
『えぇ、貴方の人格とマスターの人格がどのようなものか今は分からないもの。それが判断で来て問題がなかったら仲間、いえ同盟してあげる』
「ほぅ、お主が言う事も尤もだな」
『その代わりといちゃなんだけど、良い事を教えてあげる。アサシンはまだ脱落していないわ、精々注意して置く事ね』
キャスターがそう言い終えると共に電灯の光が消え、キャスターの姿はうつらなくなった。
キャスターが残した言葉に疑問を抱きながらライダー陣営とセイバー陣営はこの場を後にしたのだった。