Fate/Zero ~小傘キャスター~   作:寂しい幻想の刀鍛冶

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第四次聖杯戦争:肆

「素、素晴らしい・・・聖杯はまさしく万能であったとは・・・」

 

地下にある下水道の中、そこには八つ目のサーヴァント、イレギュラーサーヴァントが存在した。

そのサーヴァントは手元にある水晶で先程まで、サーヴァント達が戦闘をしていた倉庫街を見ていた。

 

「此度の聖杯戦争で貴方に合う事ができると、なんと素晴らしい!!」

 

しかし、このサーヴァントには一人のサーヴァントしか目に入っていなかった。

そう、セイバーしか映っていなかった・・・

 

「嗚呼、乙女よ、我が聖処女よ。・・・今すぐにお迎えに馳せ参じます」

 

そう言うと共にそのサーヴァントはこの場を去った。

手元に令呪が浮かんでいる皮膚が埋め込まれた魔導書を持って・・・・・・

 

 

 

 ~・~・☆・~・~

 

 

 

倉庫街での戦闘が終わった事で、その場を見ていたアサシンに言峰綺礼は帰還を命じ、視覚共有をきってため息をついた。キャスターが退散する際に言った事、『アサシンはまだ脱落していない』。それを伝えられたセイバー陣営とライダー陣営の二つの陣営に対してはアサシンが追跡しずらくなってしまった。

そして、自分を保護した教会に対しても疑われてしまうだろう。

これらの事から、綺礼はどうすればいいか考えていると・・・

 

「――――恐れながら、綺礼様。教会の外で気になるものを見つけたので、ご報告を・・・」

 

その言葉と共にアサシンが綺礼がいる部屋へと入って来て、あるものを差し出した。

それは、先ほどまで生きていたであろう蝙蝠の死骸だった。

 

「・・・使い魔か」

 

「結界がいでしたが明らかに教会を監視していたものと思われます」

 

綺礼は蝙蝠の死骸をよく見た。

腹の部分にカメラがバンドで括り付けられている。

それを見て綺礼は考えた。魔術師は使い魔と視覚共有する事ができるし、この様な現代の物を使用する事はない。つまり、使い魔にこの様な物を付けなければいけないほど未熟な魔術師、または現代の道具を戸惑いなく使用する魔術師と考えられるが、綺礼が得ている情報の中には魔術師として未熟な者はいなかった。その時、師である遠坂時臣から言われていた現代の道具を使用する魔術師殺しの存在を思い出した。

 

「・・・衛宮切嗣」

 

『魔術師としての誇りをまるで感じられない』

 

時臣から伝えられていた切嗣のあり方が頭をよぎった。

そして、切嗣に対して深く考え始めた。

先程まで考えていたキャスターに対してよりも・・・・・・

 

 

 

 ~・~・☆・~・~

 

 

 

「けっこうスピード出るもんでしょ?これ」

 

冬木市内の国道・・・

そこを猛スピードで爆走する一つの車。

その車を運転しているのはアイリスフィールであり、運転をしながら隣にいるセイバーへと問い掛けた。

助手席に座るセイバーはというと緊張に強張った表情をしていた。

 

「お、思いのほか・・・達者な、運転ですね。・・・せ、専門の方を雇った方が良かったのでは?」

 

セイバーとしては何時事故が起こってもおかしくないこの状況から早く脱したかった。

そう思っていると、途方にも無い魔力を感じた。

それを感じたセイバーは無理やり車を停車させ、外へ出た。

アイリスフィールもセイバーに続くように車の外へ出た。

そして、魔力を再確認したセイバーに先程よりも緊張が走った。

その魔力が禍々しく感じた為である。セイバーがその魔力の異常さに気付くと共に一人のサーヴァントが姿を現した。そのサーヴァントは二人は初めて見た。

しかし、先ほどの倉庫街で全てのサーヴァントが出そろって、あの場にいなかったアサシンは昨夜アーチャーによって脱落したことを考え、二人は困惑した。目の前にいるサーヴァントは何者なのか・・・・・・

 

「お迎えに上がりました、聖処女よ」

 

「なにっ・・・」

 

「セイバーの知り合い?」

 

「いや、見覚えはありませんが・・・・・・」

 

セイバーの呟きを聞き、目の前のサーヴァントは血相を変えて叫んだ。

 

「おおぉぉ、御無体な!この顔をお忘れになったと仰せですか聖処女よ!?」

 

「知るも何も、貴公とは初対面のはずだが・・・・・・」

 

目の前のサーヴァントの嘆きに戸惑いを隠せないセイバー。

 

「私です!貴方の忠実なる永遠の僕、ジル・ド・レェにて御座います!!此度の聖杯戦争にて、貴方の復活とフランスへの復讐の為にアヴェンジャーのクラスにて、こうして時の果てにまで馳せ参じてきたのです、ジャンヌ!!」

 

「ジル・ド・レェですって・・・それにエクストラクラスのサーヴァントだなんて・・・・・・」

 

アイリスフィールは目の前にいるサーヴァントの正体を知り息を呑んだ。

そしてエクストラクラス、アヴェンジャー・・・つまり復讐者として現れたのだ。

たしかに逸話としてはアヴェンジャーとして現界していても不思議ではないが、そのクラス名からして厄介な敵に変わりない事はアイリスフィールにも理解できた。

 

「私は貴公の名を知らぬし、ジャンヌという名でもない!!我が名はアルトリア、ウーサー・ペンドラゴンの嫡子たるブリテンの王だ!!」

 

「・・・セイバー、その男には何を言っても無駄よ」

 

セイバーは知らないが、ジル・ド・レェとしての逸話を知っているアイリスフィールはそう言った。

 

「なんということか、そこまで貴方が追い詰められていようとは、その為には準備をしなければ」

 

そう言うと共にジル・ド・レェはセイバーと距離を取とった。

 

「ジャンヌ、我が聖処女よ。次に会う時には必ずや・・・・・・神の呪縛から貴方の魂を解放して差し上げます」

 

その言葉と共にジル・ド・レェは霊体化していった。

それを見送ったセイバーは此度の聖杯戦争が真面ではない事を直感で理解したのだった・・・・・・




遅くなってしまい申し訳ございませんでした。

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