「千歌?」
「先生?なんでこんな時間に…」
夜珍しくなかなか寝付けず風に当たろうと外に出た。そうしたら梨子が旅館に戻っていくところを見て、歩いてきた方を見ると千歌がいたのだ。
「ちょっと眠れなくて風に当たりにきただけだ。そういう千歌たちはなんでこんな時間に?」
「……う〜ん、これは勝手に言っていいのかな〜」
「ピアノのことなら知ってるけど?」
「知ってた!?えっと…そのことで梨子ちゃんと話してたんです。梨子ちゃんはラブライブの予備予選に出るって言ってくれてるけど、梨子ちゃんはそれでいいのかなって…」
どういう経緯で知ったのかわからないが千歌も知ったらしい。梨子の様子を見てこんなことを言ってるのだろう。
「口ではいいって言っても本心でどう思ってるかわからないしな。もちろんみんなと出たいって気持ちはあるはずだ。でも、もしかしたらそれ以上にピアノのコンクールに出たいって思ってるかもしれないな」
「どうすれば…」
「さぁな。俺は顧問だし……つーかそういうの関係なしにみんなのやりたいことや決めたことなら応援する。でも、何をするかは自分で決めてもらおうと思ってるから特に口出しするつもりはない。千歌もどうしたらいいか迷ってるならそれでもいい。もし気持ちの整理ができたらそれを伝えてあげればな」
「先生…」
「さ、風邪引いたら困るしそろそろ戻って寝ろ。明日も練習や店の方もやらないといけないだろ?」
「はい、私も考えてみます。おやすみなさい」
「おやすみ」
千歌を見送った後俺も家に戻った。眠気も来てるしそろそろ眠れるだろ。
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次の日
「「へーい!」」
千歌と梨子がヒッチハイクするみたいに車に向かって何か見せるように立っている……が、車は止まってくれない。
「「アッハハハハ」」
「「もうー!」」
そしてそれを果南と鞠莉が笑っている。俺も笑いかけた。
「注文は以上で……「ピギャ!?」「ズラ!?」」
店の方では俺とダイヤがそれぞれ注文を聞いていたが、ルビィと花丸が料理を運ぶ時に転んでしまった。
「2人とも大丈夫か?」
「「は、はい…」」
まずは注文したお客様に謝らないとな。
「ダイヤ、この料理注文したお客様は?」
「こちらに座っているお客様です」
「了解。ルビィと花丸は急いでこれ片付けてここ掃除しておけ。ダイヤはもう一回作ってもらうように曜たちに」
「「「はい」」」
「お客様申し訳ございません。すぐに作り直すのでもう少々お待ちしていただいてもよろしいでしょうか?」
優しいお客様だったため怒らず待ってもらうことができた。今はそんなに待ってるお客様いないし俺も作るの手伝うか。
「俺作るの手伝うから接客大変になったら呼んでくれ」
「わかりましたわ」
今注文されているのはほとんどヨキソバだけ。これなら俺でも作れる。
少しの間曜と2人で作っていたから、作業速度を上げることができた。
でも相変わらずシャイ煮と堕天使の涙売れねぇ…
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「「うぅ…」」
「今日も売れなかったんだ…」
昨日に引き続きシャイ煮と堕天使の涙は全然売れなかった。今は曜と一緒にそれを使ってカレーを作っているがみんなはまだ知らない。
「これ美味いんだけどな」
「堕天使の涙は辛い人はやめた方が良さそうですけどシャイ煮は美味しいですよね」
「堕天使の涙も美味いことは美味い。ただ辛いのが苦手な人には無理だな。昨日のルビィを見たからわかると思うけど……っと、そろそろいいんじゃないか?」
「そうですね、持っていきましょう!」
カレーも完成。みんなちゃんと食べてくれればいいけど…
「お待たせー!今日はカレーにしてみました!シャイ煮と…愉快な堕天使の涙たち」
「ルビィ死んじゃうかも…」
「味は大丈夫だと思うけど…それじゃあ配っていくぞ」
全員同じくらいの量で配っていき曜が「まず梨子ちゃんから!」って言ったから必然的に梨子から食べることになった。
「お、美味しい!すごい、こんな特技あったなんて!」
「んー!デリシャス!」
おい鞠莉、お前落ち込んでたよな…美味しいって聞いてならの行動が早すぎる。
「パパの船乗りカレーはなんにでも合うんだ〜!先生も手伝ってくれたしね!」
「oh〜つまり曜と先生の共同作業ってところね!」
「ま、まぁそうなるな…」
「そんな言い方しなくても//」
曜の言う通りわざわざそんな言い方する必要はないな。
「曜ちゃん赤くなってるー!」
「な、なってないよ!//」
「なってるよー!」
なんか曜が千歌にからかわれてる、ほっといて俺も食うか。
「千歌ちゃんの分なしにしようか?」
「わぁー!?ごめんごめんごめん!」
おぉ〜その手があったか。上手く切り抜けたな。ところでダイヤはなんでそろばん出してるんだ?
「ふふふ、これで明日は完売ですわ……」
「お姉ちゃん……」
く、黒い…ダイヤ気付いてるか?妹のルビィが引いているのを……
今日はみんな楽しく食べている。だが千歌がどこか様子がおかしい。まぁ梨子のことを考えているのは予想できるが……
「わっ!」
「曜ちゃん?」
「千歌ちゃんどうしたの?」
何も知らない曜は気になったのか声をかけた。そこで千歌はなんでもないと言ったが、梨子の方を見ている千歌に気付いたのか、曜の表情が曇っていた。
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「梨子ちゃん、ピアノのコンクールに出て欲しい」
合宿2日目夜中。千歌と梨子は学校近くの堤防で話している。ところで2人は気付いているだろうか?俺が近くにいることに。
「私と一緒じゃ……嫌?」
「そんなこと思う奴Aqoursにいるわけないだろ?」
「「先生!?なんでここに!?」」
おぉ〜2人息ぴったり。
「疑問に思わなかったか?こんな時間に普通学校に入れるわけないだろ?」
「「たしかに!?」」
学校の鍵は今日預かっていた。って言ってもこのことバレたらまずいけどな。
「まぁそれは置いておいて。千歌は梨子と一緒が嫌だから出て欲しいって言ってるわけじゃないぞ。そうだろ千歌」
「そうだよ梨子ちゃん。私ね、思い出したの。梨子ちゃんを誘った時のこと。私ね、スクールアイドルを始めて、梨子ちゃんの中の何かが変わって、またピアノに前向きになれたら素晴らしいなって。素敵だなって」
千歌が自分の想いを話し出す。ここは俺は静観しておくべきだな。
「この街や学校が大切なのはわかってるよ。私も同じだもん!でもね、梨子ちゃんにとってピアノって、同じくらい大切なものだったんじゃないの?その気持ちに…答えを出してあげて」
千歌が手を差し伸べている。あとは梨子がどう答えるかだな。
「私待ってるから!絶対どこにもいかないって約束するからだから……」
そういうと梨子は千歌に抱きついた。答え決まったかな。
「ほんと変な人…
先生。私、ピアノコンクールの方に出てもいいですか?」
「それが梨子が決めたことだろ?反対する人なんかいないさ。頑張ってこい!」
「はい!」
「梨子ちゃん、頑張ってきてね!」
「うん!千歌ちゃんたちもね!」
梨子はピアノのコンクール、梨子を除いた8人はラブライブの予備予選に参加することになった。
今回は9人でのライブということにはならないが、みんなの想いは繋がっている。
翌日、梨子はピアノのコンクールの方に出場することをみんなに伝えた。知っていた千歌と俺以外はみんな驚いたが、反対する人は誰もいなかった。
次回の更新ですが、先にもう一つの連載中の作品である「絶望を感じた少年、新たな道へ」の4話の話を先に終わらせようと思います。そのため3日後に投稿ということはできないかもしれません。