放課後の第三アリーナ。そこの控え室でリースは純白のIS、リーンヴォルフを展開していた。
―――相手の情報、どれだけわかってますか?
自分の相棒のクノが聞いてくる。
(機体名ブルーティアーズ。第三世代兵装ブルーティアーズを装備したイギリスの開発した試作実験機。純粋な射撃型のISでビットを使ったオールレンジ攻撃が可能な機体で武装は狙撃レーザーライフルスターライトMk‐Ⅲとレーザーピット四機ミサイルビット二機そして実体剣インターセプター)
――装備情報まで把握してるってどれだけですか…
クノは思わず呆れていた。
(飛行機の中で一年の専用機のデータは大体把握してる)
実はちゃっかり会社を出る前に機体情報を頂いているリースだった。
―――これだけわかってるんですから勝ちは決まりですか?
クノが何か試すように聞いてくる。
(わからない。彼女は近接格闘能力はわからないから未知数。代表候補生なのだからかなりのもののはず。だからわからない。だから気を抜かず、やれるだけやる)
リースがそう真剣な表情をしてカタパルトへと機体をセットする。
―――はい、合格です。どれだけ相手を分かっていたとしても油断しない。ですから
―――「全力で行く!」
リースは戦場へ飛び立った。
アリーナに飛び出すと既にセシリアが反対側で待っていた。
「第二世代のリーンヴォルフ…かつての名機ですか」
「織斑先生がそれは説明したはず」
そう言いながらリースは右手に四○ミリ拳銃〈ハンティング・ウルフ〉、左手に三八ミリ軽機関銃〈ハンター・ホーク〉を展開する。
「いえ、リーンヴォルフは確か白ではなくいぶし銀だったと思ったので」
セシリアもスターライトMk‐Ⅲを展開する。
「些細な問題。専用機なのだからパーソナルカラーになっているのは珍しくない」
そうリースは元から白だった
「そうですわね。では始めましょうか」
―――敵IS、こちらをロックオン。セーフティ解除を確認
クノが情報を教えてくれる。しかしリースも既に両手の銃のセーフティを解除している。
『試合開始!』
「さあ踊りなさい! 私とブルーティアーズの奏でるワルツで!」
「レディ、スタート」
セシリアはそう言いながらスターライトMK‐Ⅲを放つ。
リースはわかっていたのでそれを躱し、ハンティング・ウルフの引き金を三度引きを三発それぞれ違う位置へ放つ。
セシリアは二発回避するも一発は被弾するがダメージは微量であるがセシリアは内心で驚愕した。
(あの人、此方の回避位置を予測して!?)
そしてセシリアは相手を、リースを対等と認め切り札を切る。
「行きなさいティアーズ!」
セシリアは背部のフィンアーマーを四機分離させ雨の如く射撃を始める。
―――彼女、切り札を早速切ってきたね。どうする?
(どうもこうもない。迎撃する)
ハンター・ホークを絶え間なく撃ちながら回避し、ハンティング・ウルフの狙いを慎重にブルー・ティアーズへと定める。
「そこ」
六回引き金を引き、その弾丸同士を弾かせる。
すると二機のブルー・ティアーズに直撃し、貫かれ爆散する。
「なっ!?」
セシリアはあまりの光景に声をなくす。
弾丸同士をぶつけて弾くことにより有り得ない角度での射撃を可能とする神業、その名を
「ビリヤード」
―――飛行機の中で読んだラノベの技をこんな実戦で使うなんて…案外使えましたね、この技。
(私も上手くいくなんて思ってなかった)
リースも内心驚いていた。
実はリース、これより昔に何度も似たようなことをしていたために偶然出来たというのは誰も知らない真実である。意外と使えた為後で練習しようとリースは思ったのだった。
―――ですがこれで残り二機!一気に撃破しますよ! あとハンティング・ウルフとハンター・ホークの残弾0です。
(わかってる)
そうリースはクノに返すと拡張領域
「くっ」
セシリアはこれを回避するが本来の目的は違った。
「今」
リースは急に360°回転しながら乱射し始め、最後のピット二機を破壊する。
「ティアーズを破壊した程度で勝ったと思わないでくださいまし!」
セシリアはスターライトを連続で放つ。
リースは躱し更にサンダーボルトで射撃するがセシリアは驚異的な反射能力で回避する。
―――サンダーボルト、エネルギー残量40…30…20…10…5…0
三連ビームガトリングガンサンダーボルト。自機のエネルギーを消費しないためにマガジン型のエネルギーパックを使用している。しかしそのエネルギーが尽きたために弾切れ状態になるため発射が出来なくなる。更にリースはマガジンを二つしか入れていない為、弾装を交換することが出来ない。
対するセシリアは自機からエネルギーを使用するため弾切れの心配がない。弾切れの瞬間、リースには致命的な隙が生まれる。それを見逃すほどセシリアは甘くはない。
「そこ!」
「ぐっ」
スターライトの射撃は見事に左のサンダーボルトを打ち抜き、爆発させ、その爆発で目が潰されたリースに更に二度当てる。
セシリアは一夏やラウラ、箒などに機体相性で敗北しているものの彼女は忘れがちになっているが主席で入学した秀才である。爆炎で見えない中でもハイパーセンサーの助けを借りれば相手を狙撃出来る。
―――残りシールドエネルギー491。彼女、とんでもないですね。流石は代表候補生と言ったところでしょうか
(クノ、それは違う。これは彼女の努力の成果)
そう、代表候補生だからと言ってセシリアのような芸当ができるかと聞かれれば否だ。一瞬でハイパーセンサーと同期させて狙いをつけて撃つという動作を一瞬にして行う行為は並大抵の努力でできる訳がないのだ。
それこそ血を吐き、指が裂けるまでやらなければ身につくことのない技術。一体、どれほど長居時間をかけてこれを身につけたのか。
「ここまでとは予想外だった」
―――正直、ここまでとは思いませんでしたね。ですが
「負けるつもりもない」
―――ですね! じゃあ今回のとっておき、行きましょうか!
「セット」
そう言うとリースは両手にブレードトンファー〈スラッシュクロー〉を展開する。
「射撃武装もないのに格闘武器ですか! 今の状態では無意味で「無意味じゃない」なっ!?」
瞬間加速を使い、一瞬で懐に入り、スターライトMk‐Ⅲを切り裂き、逆の手のスラッシュクローで追撃する。
「くっ、インターセプター!!」
セシリアは近接戦用のショートソードを展開し、受け止め弾き飛ばす。
「はああああああ!!」
更に連続突きをリースに仕掛けリースもそれを捌くも突きの速度が早い性で直撃をいくつかもらう。
―――残りシールドエネルギー301! この子、近接戦もこんなにすごいなんて
〈ここまでなんて…!〉
そう思いながらも攻撃の手は休めない。
リースがトンファーを振るえばセリシアはそれを防ぎカウンターの突きを叩きこむ。セシリアが切り払えばリースはそれを受け流し使っていない方のトンファーを振るう。
一進一退。互角の勝負。しかし、それも終を迎える。
―――シールドエネルギー残り9…。後一撃もらったらアウトですよ
〈わかってる…〉
〈私がここまで戦えたことは、代表候補生選抜以来でしょうか…〉
両者共に満身創痍。
「次の一撃で…」
「決めますわ!」
「「はああああああああああ!!」」
二人が交差する。
そして…
『勝者、セシリア・オルコット!』
セシリアが勝利した。
で、出来た…出来たぞおおおおおおお!!!