どうも、幸いです。誤字報告や感想ありがとうございます!
やっっと主人公と自警団メンバー全員があいましたね。これで次の章へといけます!ではどうぞ!
扉が立ち並ぶ廊下に、私たちは立っていた。
その中で一際大きい扉を開けたジョットによれば、そこが今日会議を開く会議室らしい。ギギィと音をたてて開かれる扉をちょこっと覗けばその中には何名か既に来ている人が居たらしく、扉が完全に開かれるとジョットに向かって声がかけられた。
「究極におはよう!!!待っていたぞー!!」
「遅い、僕を待たせるとはいい度胸だね」
「ヌフフ…来ましたか」
1人は予想してた通り、神父さんの格好をしてジョットの姿を確認すると誰よりも元気に挨拶をするナックルさんで、もう1人は意外な人物だった。綺麗な銀髪をなびかせて獲物を狙うような鋭い視線を飛ばす、私が何度か会ったことのあるあの飲み屋によくいる青年…確か名前は、アラウディさん、だったか。そしてもう1人は何処かで見覚えのある髪型のあの男性。
なるほど、すぐ会えるってこういうことか…
私が集まっていた面々を見て、様々な感想を抱いているとジョットが1歩前に足を踏み出して私たちを代表するように挨拶した。
「やぁ、おはよう。今日はここに集ってくれて嬉しく思う」
その言葉を合図として、皆それぞれの席があるのか席に座り始める。私はどうすればいいんだろう、とあわあわしているとエレナさんが優しく手を引いて「私の席の隣にいなさい」と言ってくれた。隣に小さな椅子を持ってきてくれて、私はそこにちょこんと座る。
「……えっと、」
「なんでここにいるの」
早速私はピンチに陥っていた。
まさかのエレナさんの隣に座るのがアラウディさんだったのだ。ちょっとした顔見知りだった私を見つけて、目を少し見開いて驚いたアラウディさんになぜここにいるのか、と率直に聞かれて困惑してしまう。困っているのが分かったのだろう、エレナさんがスっと私たちの間に入ってくれた。
「アラウディ、この子はアリーチェよ。ほら、アリーチェ挨拶は?」
「あ、えっと、おはようございます…アラウディ、さん」
「なんでここにいるの」
会話にならないよぉ…!
エレナさんはエレナさんでアラウディさんの反応が予想外だったらしく、瞬きをして驚いている。飲み屋でもこんなしつこく言われなかったのに…てか、アラウディさんも自警団だったの?あぁ、なんか危ない仕事してるって言ってたような…なるほど、それであの飲み屋に。話が繋がってしまう。
「エレナさん、えっと私。アラウディさんと会ったこと、あります」
「え!?アラウディ、貴方本当なの!?」
「…そうだけど」
口下手なアラウディさんに変わって、エレナさんに説明しようとするけど案の定エレナさんは大きな声を出してアラウディさんを問い詰めようとして、アラウディさんの眉間にシワがよってしまう。
「あ、あの!飲み屋さんで、たまたま会って…」
「アリーチェ、飲み屋に何しに…いや、いいわ。そうだったの。意外すぎて私、びっくりしたわ…」
あ、やべ。飲み屋って言っちゃった。こんな幼い子供が飲み屋に行ったって言ったらおかしいって思うよね普通。あー、やっちゃったよ。いや、でも誤魔化してもアラウディさんに変に思われちゃうから良かった…のかな?
エレナさんへの説明の仕方にうんうんと悩んでいるとアラウディさんが私に視線を固定して何回目かの質問を繰り返した。
「それで、君はなんでここにいるわけ?」
「あ、えっと…家出、してるところをエレナさんに助けてもらって…その」
「1晩だけここで預かったのよ。それで私と朝ごはんでも…と思ったのだけど、朝一番に会議でしょう?仕方ないからアリーチェも一緒に連れてきちゃった」
連れてきちゃった、って…いや、エレナさん。てへって顔してもアラウディさんが残念そうな顔をしてるから…私はもうそれでいいやと内心へこたれると向かいの席から大きな声が飛んできて、ぴくりと反応した。
「おぉっ!?究極にアリーチェではないか!」
「あ、えっと。ナックル、おはよう…」
「あぁ!おはよう!!究極にいい朝だな!」
私がいることに気づいたらしいナックルが私に手を振って大きな声で挨拶をしてくれたので、私も手を振り返す…ナックルは、私がどうしてここにいるかとか気にしてないみたいだね。細かいことは気にしないタイプなのかな。
…えっと、ジョットにエレナさん。Gさんに雨月さん、ナックルにアラウディさん。後、夢に出てきたあの不思議な男性もいるし、これで全員なのかな?
キョロキョロと辺りを見回す私に、雨月さんが気づいて不思議そうな顔をして見ていたので、そのまま疑問を口に出した。
「…えっと、これで全員ですか?」
「ん?あぁ、いや。もう1人いるはずなのでござるが…あやつは、どうしていつもいつも遅刻してくるのでござろうなぁ」
「あやつ?」
もう1人、誰かいるのだろうか?そう思ってチラとジョットの顔を見つめると、微妙な顔をしてその1人が来るのを待つようにみんなの顔を見回していた。エレナさんは逆隣のあの夢に出てきた不思議な男性と親しげに話していて、Gさんは書類の整理、雨月さんは笛の手入れをしていて、アラウディさんは興味無さそうに手持ちの紙を睨んでいた。
なんか、自由だなぁ。と私は椅子に座りながら足をパタパタと動かしていると、もう1人はやってきた。
バン!と扉が大げさに開かれ、廊下の外から肩で大きく息をしながら1人の青年が現れた。緑色のフワフワとした髪に、小生意気そうなその顔立ちはまさしく昨日会ったばかりなその青年で…私はパタパタと泳いでいた足を止めて見てわかるほど驚いていた。
「はぁっはぁっ…せ、セーフだもんね!?」
「馬鹿者、アウトに決まってんだろ」
「遅いぞ、何をしていたんだ?」
扉の取っ手に手をかけて肩で息をする青年が特徴的な喋り方で間に合ったかとほっと息をつくけど、それに鋭いツッコミをいれたのはGさんとジョットだった。まぁ、確かに。会議に遅れるのはよくないかも…
「あら、やっと来たのね?もう少しで迎えに行こうかって話をしていたのよ?」
「遅れてくるとは究極にけしからんぞ!!」
「…ごめんだもんね。でも、こんな朝っぱらから会議だなんて、俺様…眠くて、起きれるはずが…ふぁ」
反省が見えない態度で部屋に入ってきて、その途中大きな欠伸を漏らしたもう1人にみんなやれやれって態度で呆れていて、私も私で相変わらずだなぁとほんの少しだけにやけてしまう。
「む、誰だもんね?今、笑ったの」
「ぁ…ごめんね?」
ふふ、と口に出して笑った程度だったのだけれどランポウには聞こえていたみたいで、私を見た瞬間怒るよりも前にじっと見つめて、それで驚いたように目を丸くすると、眠気もどこにいったのか私を指さしてそれはそれは大きな声を出した。
「な、な、なんでこいつがいるんだもんね!?」
「ちょ、ランポウ。こいつは酷いよ…アリーチェって名前言ったのに…」
「いやいやいや!なんでお前、こんな場所にいて平気な顔して座ってるんだもんね!?」
「だから、お前じゃないってば…」
私を指さして、まるで幽霊を見たかのように(いや、実際幽霊を見てるけど)驚くランポウに私は悪戯心でクスクスと笑う私たちを見て、みんな一様に驚いたような顔をしてその会話にストップをかけたのはエレナさんだった。
「待った。え、ちょっと待って、アリーチェ」
「あ、はい?」
「アリーチェ、もしかしてランポウとも知り合いなの?」
「そう…ですけど」
コクン、と首をかしげてエレナさんを見ると驚いたように目を見開いていてそれはジョットやGさんも一緒だった。その視線に?マークを浮かべながら座っているとランポウが呆れたように私を見つめながら理解したようにため息をついていた。
「……なるほど、お前。俺様以外のやつらとも知り合いだったんだもんね?」
「…みんな、やっぱり自警団だったの?」
「…やっぱりこいつアホだもんね」
私の問いに答える前にアホと罵るランポウにムッと頬を膨らませるとランポウは更に大きなため息をついてしまった。その目はなんだこいつとでも言いたげである。
「…驚いたな」
「ふぅん…」
「嬢ちゃん、マジか」
「究極にみんな知り合いだったのかぁ!?」
「これは、予想外でござるなぁ」
「すごい…偶然、なのかしら…?」
みんな、それぞれ驚いたように私を見つめていてとても居心地が悪い。それに、私も私でわかったことがある。今まで、よく分からなかった私が見えて、触れる人の共通点。やっと見つけた、その共通点は…
自警団に所属していること。
「…ヌフフ、これは面白いことになっていますね」
そうして奇妙な空気が流れるこの部屋で、口火をきったのは意外なことに今まで静かに黙っていた夢に出てきた不思議な男性だった。
「アリーチェ、でしたね?貴方、何者なんです?」
「えっ?」
突然何者なのかと聞かれても、どう答えればいいのか分からなかった。まず私が思ったのは、どうしてそんな事聞くのかという疑問。
「普通の人間は、私たち自警団と知り合いになるのは1人や2人なら難しくはないでしょうが、全員となるとそれは並大抵のことでは不可能です。もう一度聞きましょう。貴方は誰で、何者で、何が目的でここにいるのですか?」
「……なにって、そんなの…」
わかんない。知らない。だって、私…私は、何も知らない。これ…もしかして、疑われてる?私が、自警団と敵対する組織の者なんじゃないかって。そんな、違うのに。どうしよう。違う、私は…ただ。
「もうやめてくれ、D」
「…ですが」
「アリーチェが何者でも構わない。彼女は確かに信用がおける俺の友なのだから」
「…ジョット」
ジョットがストップをかけてくれて、私はなんとか助かった。でも、心の中ではさっき言われたことがくるくると頭の中を駆け回っていて、私は何も言えなかった悔しさから口をつぐんでそっと俯いてしまう。エレナさんが心配したように私に声をかけてくれたが、私はふるふると首を振るだけで何も返事をすることが出来なかった。
「アリーチェ、気にしなくたっていいわよ。もぅ、D!この子にそんなこと聞かないで!この子は家出して来たのよ?私と同じで」
「……落ち着いて下さいエレナ。私はなにも、疑ってかかっているわけではありませんよ」
エレナさんが私のために怒ってくれたのが分かる。Dと呼ばれた人が疑っている訳では無いと言ったあと、私に向かって手を向けてきて私はサッと身構えた。
「そんな警戒しなくても何もしませんよ」
「…ごめんなさい」
何もしないと言われても、さっきの言葉がまだ頭の中を渦巻いている私にとってDさんは重要警戒人物だ。じっと見つめて少し睨んでいるとDさんは諦めたように深いため息をついて私に問いを投げかけた。
「貴方、今朝に私と会いましたよね?精神世界…夢のような場所といえば分かりますか?」
「…えっと、うん。貴方に、会った気がする」
良くいえばあまり鮮明に覚えてはいないのだけれど、でも真っ白な世界で彼によく似た人物が話しかけてきた記憶がある。会話の中身は、よくわかんないけど。
「…恐らくですが、私は貴方の秘密を知っています」
「っ…!」
それは…一体どういうことなのかと、じっとDさんを見つめればDさんもDさんで私をずっと見つめていた。落ち着いてDさんの瞳を見ると、その瞳には敵意はなく…どちらかというと、可哀想なモノを見るような同情のようなものをその瞳に含ませているのに気がついた。
可哀想…?私が?
「それは…」
「D?それにアリーチェ?どうかしたのか?」
Dさんの言った秘密の中身が気になって、聞き出そうとするも小さな声で話していたことを不審に思ったジョットに遮られてしまう。
それでハッと目を覚ましたようにみんなの顔を見たけれど、そこには脳天気なほどに明るいみんながいて、誰一人として私を自警団に仇なす敵対組織の者とは思っていないようだった。
…そうだよ、みんないい人なんだから。
私はその事実を思い出してホッと息をついて「なんでもないよ」そうジョットに笑った。Dさんも何かに区切りをつけるように息をつくと私と同じく「なんでもありませんよ」と言って少し微笑んだ。
「そうか?…なら、会議を始めても構わないか?」
「あぁ、じゃあ今日の会議について話すが…」
ここからは大人のお話だろうと私は下を向いてパタパタと足を泳がしていた。時折、心配そうに見つめるエレナさんやジョットの視線に微笑んで大丈夫だと伝えたり、話を聞いていないのか欠伸をしているランポウに視線で叱ったり、雨月さんと目が合うと手を振ってくれてそれに手を振り返したり。
そうして会議が終わったのは、太陽が真上に来る少し前のことだった。
特に聞かれては困る内容ではないとは言っていたけど、本当に聞かれてもどうにもならない報告が飛び交っていた。
例えば、事務所の机が何度も壊された…というか自分が壊したから新しいのが欲しいとかアラウディさんが報告していたし、仕事をもう少し優しくしてほしいって部下…というか絶対自分が言ったよね?って感じの報告をランポウがしていたり。
「やっと終わったわねぇ、長かったわぁ」
「…そうですね」
あれって会議だったのかなぁ?と思わず首をかしげてしまうくらい自由だったけどこれで解散らしい。
「じゃあ、とりあえずアリーチェは私と食堂に行きましょうか!」
「………は、はい」
忘れてた!そういえばそう言う話だった。うわぁ、どうしよう…?どう切り抜けよう?朝ごはん食べるふりして腹痛で抜け出す?いや、あからさますぎるよね…えぇっと。
朝ごはんという一大イベントをどう切り抜けようかとうんうん唸っていた私を見ていたDさんが私に近づくように移動すると去り際にとある一言を残していった。
「…手を貸してあげましょうか。貴方、食べ物を食べられないでしょう?私の幻覚で食べたように見せてあげてもよろしいですよ」
「え」
今なんて?と私が振り返るのよりも早く、Dさんは私と手を繋いでいたエレナさんに「私も朝食を一緒にしても?」というとあっさりエレナさんから許可をとって一緒に食べることになった。すると私に近づいてまたも小さな声で呟くように声をかけた。
「貴方の正体を知られるのは避けるべきことだと思うので、手を貸してあげてもよろしいですよ」
「………えっと?」
「貴方はただの精神体…いや、それよりも上位です。物に触れられる精神体など、聞いたこともない。術者でもなければ霧の炎を持っているわけでもない…とても興味深いですが、今は何もしないでおきます。恐らく、バレるのも時間の問題ですからね」
Dさんはそれだけ言うと先に食堂へ行ってしまった。エレナさんが困惑している私を見て、不思議そうに顔を覗いてくるけれど。私は私でだいぶ混乱していて、今わかることをひとつ言うなら…多分、Dさんは私が幽霊だって気づいているってことだ。
始めて、バレた。始めて自分の正体が人に知られてしまった。自警団の人だから、そんな悪い人ではないのだろうけど…でも、なんだか不安だ。あの人、少し嫌な感じがする。
「アリーチェ?どうしたの、大丈夫?」
Dさんが出ていった扉をじっと見つめていると、エレナさんが思わず声をかけて私を心配していた。それに気づいて私が「あ、ぼーっとしてて…」と慌てて誤魔化すと、エレナさんは納得したのか「そう?じゃあ、朝ごはんににしましょうか」と私の腕を引いて歩き出した。
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「そのまま何もしないで大丈夫ですよ」
「……でも」
「大丈夫です、幻術…貴方が食べている幻影が現れるので、エレナも貴方が普通に朝食を食べていると思いますから」
食堂について、さぁ食べようとなったのはいいものも。私は食べれないからどうしようと思った矢先、Dさんが現れて宣言通り私を助けてくれた。なんでも幻術?とやらでエレナさんに私がご飯を食べているように誤魔化すらしい。なにそれ便利。
私としてはただ食堂の椅子に座っているだけなのだが、どうやれ周りからは私は普通にご飯を食べているように見えるらしい。あ、食堂の人に私が見えるようにしてくれたのもDさんである。なにこれすごい。
「お口に合うかしら?食堂のご飯を食べるのも始めてでしょう?」
「あ、えっと…お、美味しいです」
「そう?美味しそうに食べるものね。たくさん食べてもいいからね」
「…ありがとう、ございます」
どうやらエレナさんには私が美味しそうにご飯を食べているように見えるようで、私はなんとか誤魔化せていることにホッと息をついた。
あぁ、これ終わったらもう速攻で帰ろう…そろそろ自分のお墓が恋しくなってきたものである。なんとか乗り切れた事実に自分で自分を褒めたい気持ちでいっぱいだ。よく乗り切った。
そうこうしてるうちに朝ごはんがなくなり、Dさんを見ると幻術が終わったとこっそり教えてくれた。なるほど、ほんとに何も目に見えて変わっていないのだけど…
「じゃあ、言った通り家に送るわ」
「…あ、はい」
そういえばそうだったなぁ、どこに帰ろうかな。
自警団の門の外に出て、エレナさんと手を繋いで街へと歩いていく。Dさんは朝食が済んだらそのまま自警団に残るらしく食堂で別れてしまった。幻術をかけてくれただけでも大変助かったので、今度なにかお礼をしようと思う。
そんなことを考えながら、街外れの森までトコトコと歩いていく私とエレナさん。太陽は真上に上がっていて、街からは美味しそうな匂いが立ち込めた。外れの森にまでその匂いは移っていて、私は森の入口まで行くと「ここでいいです」と言ってエレナさんに背中を見せた。
「…アリーチェ?家はここら辺なの?」
ほんとに?と言いたげなエレナさんに私は少し振り返ってニコリと微笑むとそのまま森の入口にエレナさんを残して、森の中に走っていった。後ろから聞こえるエレナさんの声に、ポツリとお礼をこぼす。
「あ、待って!!アリーチェ!」
「ありがとう、ございました」
…楽しかったです、お泊まり会みたいで。
そのお礼は、エレナさんにちゃんと届いたかはわからないけど伝わってるといいなとそう思った。
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