いわゆる幽霊になりまして   作:幸い

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どうも幸いです!二話目です!
1日1話投稿できるかなぁ…(真顔)

もし良かったら評価と感想おねがいします…(震え声)


幽霊になって愚痴を聞いたらお昼に誘われまして

はれて幽霊になって数日が経ち、私は自分の体質について少しずつだけど理解してきた

この数日で、私が気づいたのはたったの2つ

 

1つは、幽霊の私でも物に触れられる、ということ。

まぁ、これはジョットに注意されたようにあの日の私は墓石に乗っていた、がその墓石はあの時の女性のようにすり抜けていなかった。つまり私は、普通に物に触れられるのだ。

 

そして2つは、私の体は食事も睡眠もとらない体質であるということ

つまりは飢えたり、寝て襲われる、なんてことはなくなるということ。まぁ、死んでるので食事も睡眠もいらないのは普通のことだと思うけど

 

そして、その2つのことに気づいた私だけど、ここ数日街を歩き回り、私の情報を集めてみたものの、私についてわかったことはゼロに等しい

何故か街の住人の噂話にも私の名前は出てこないし、私に家族はいたのかも不明。つまりは行き詰まっていた。

 

今日も朝早くから街の市場へと移動する。街の定期市は早朝の早い時間からやっていて、人でごった返している

この間たまたま定期市を発見した私は、人の多いこの場所なら私について分かるのではないかと思ってほぼ毎日足を運んでいるのだけど…

 

「わっ、樽倒しちゃった…」

 

出店の樽を誤って蹴ってしまい、樽が倒れて中の魚が数匹出てしまう。それは傍から見たらポルターガイストとやらに見えるに違いなくて…

 

倒れた樽を見て、出店の店主やその周りの人がわっ、と騒ぎ始める

 

「なっ!?なんで誰もいないはずなのに樽が倒れるんだよ!?」

「これ、最近噂になってる幽霊騒ぎじゃない…?」

「あぁ…あれか?突然物が倒れたり、何かの気配を感じたり…そういえば、この前、肉屋の息子が体が透けてる女の子を見たとか…」

 

あはは…すごい心当たりがありすぎるような…

 

「ちょっとやめてよ!こんな朝っぱらから出るわけじゃない!きっと風か何かよ!」

「風で樽が倒れるかよ!?」

 

風で重い樽が倒れるわけないですよねぇ〜あはは…はぁ…

 

言い合いに発展してしまったようで、罪悪感にチクリと胸が痛い。物をすり抜けられたり出来るものだから私の情報収集のため、とお構い無しに建物の中に入ってはたびたび今みたいにドジをやって物を落としてしまったり、壊してしまったりしてしまったことがあるのを思い出して更に罪悪感に苛まれる

 

「も、申し訳ないなぁ…ん?あれ?お肉屋さんの息子が私を見たって?」

 

確か、お肉屋さんの息子さんってけっこう幼い子供だって街の人の噂で聞いていた気がする。あぁ…あれかな?幼い子供には幽霊が見えるというよくある話なのかな。

 

いいことを聞いた。樽を倒してしまったのは…まぁ、申し訳ないけれど…

 

でも、子供になら私が見えるのかもしれない。あわよくば子供に話を聞いてもらって私の情報を手に入れられれば…と私はお肉屋さんのある通りへ行くことにした。

 

あ、言っておくけれど倒した樽はちゃんと戻した。「樽が戻った!?」とまた騒ぎになっていたけどもういいや

 

......................................................

 

定期市をでて、お肉屋さんの通りまで走って移動した(幽霊で体力がないからずっと走れる)私はちょうどお肉屋さんから出てきた1人のお客を見て目を見開いた。

 

そこにいたのは見覚えのあるブロンドのツンツンヘアーの青年がお肉が入っているであろう袋を持って店を出るところだった。あちらも私に気づいたらしい、手を挙げて気さくに話しかけてきた。

 

「アリーチェ、また会ったな」

「ジョット…うん、また会ったね」

 

数日前、ジョットと会った日。私はジョットを墓地において逃げるように走っていってしまったから、ちょっと気まずいと思っていたけれど、ジョットは気にしていない様子だった。

 

「あれからまた、墓石に乗って遊んだりしてないよな?」

「ふふ、なにそれ。遊んでないよ、もうしないって言ったでしょ?」

 

悪戯に笑ってそんなことを聞くものだから、私も思わずクスリと笑みを零す

私の言葉に満足そうにうなづくとジョットは、なにかを思い出したのか少し気分を落としてため息をついた

 

「…どうしたの?困りごと?」

「ん?あぁ…」

 

気になって尋ねるとジョットは躊躇っているようで視線を逸らしていた。言いづらいことなのかな…そういえば、ジョットは自警団をやってるって言ってた。自警団絡みなら、一般人(生きてないけど)の私に話すのは躊躇われる内容なのかもしれない。

 

「言いたくないならいいけど…でも、助けて欲しい時は、助けてって言った方がいいと思うよ」

「…アリーチェ」

「何も知らない私が言うのはおかしいけど、話してみるだけでスッキリすることもあると思うから…」

 

10歳の少女に言われるのはアレかもしれないけど、でもジョットがなにか困っているなら手伝いたいと思った。幽霊だから手伝える範囲狭いけど。

 

ね?とジョットの顔を覗いてみれば、ジョットは腑に落ちたようにな顔をして口を開いた

 

「いや、そこまで大したことではないんだ。その…この前、俺は自警団をやってるって言っただろ?」

「うん、聞いた」

「その自警団のことでちょっと、な…」

 

やっぱり自警団に関することらしい。私は近くのベンチに腰掛けてジョットに隣に座るように促した。立ち話じゃアレだからね。

 

「いや、自警団の仕事がな…」

「大変なの?」

「…最近休みが無いに等しいくらいには、大変だな」

 

今日は久しぶりの休みだったそうだ。ジョットは自警団のボスとやららしくて、仕事が大量にあるらしい。休みもだんだん少なくなって最近憂鬱になってきている、とまぁ、いわゆる仕事の愚痴というやつをジョットは一気に吐き出していった。

 

多分、誰にも吐き出せなくてパンクしそうになっていたのだろう。私はそれを理解して、幽霊な私でも出来ることがあるなら、とうなづいたり、返事をしたりと聞き手にまわっていた。

 

それこそ、どれだけ溜め込んでいたんだこの人、と私が白目になるくらいジョットの仕事の愚痴は酷かった。よほど疲れていたのだろう。

問題を起こす仲間達の後始末や敵対する組織への攻撃など、大変な仕事をこなしているようだった。

 

でも、ジョットは自警団自体は嫌いではないらしい、むしろ大切な仲間もいて大事な居場所なのだと言っていた。

 

それからは私も質問をしながら聞いていた。仲間はどんな人たちなのか、とか自警団ってどんなことするのか、とか。

 

ジョットが話しやすいように気を使いながら聞いていると、いつの間にか太陽が真上に上がっていた。

あちこちから美味しそうな匂いが漂ってきている、お昼だ。

 

ジョットも気づいたらしい、話をいいところで区切って、あぁ…、と言葉をこぼす。

 

「もうお昼なのか」

「そうだね…ジョットはお昼大丈夫なの?」

 

お腹すいてない?と聞くとジョットは考え込む仕草をしてよし、とベンチから腰を上げた。

お昼に行くのだろう。幽霊である私は食事なんて出来るわけないのでどこかへ行こうとベンチから立ち、足を動かそうとした時、ジョットが焦ったように声をかけた。

 

「アリーチェ、ちょっと待ってくれ」

「え?どうしたの?」

「その…俺の愚痴を長い時間聞いてくれた礼だ。一緒に昼飯を食べに行かないか?」

「…えっ」

 

…思わず声をこぼしてしまったが、どうしよう…何度も言うけれど私は幽霊だ。食事ができない、霊体の身。

もし、ジョットとお昼なんて一緒にしたら、私が幽霊だってバレること間違いなしだろう。だって、お店で食べるにもお店の人に私の姿が見えるわけないし、ジョットが変な目で見られるだけだ。

 

よし、断ろう。適当な理由で断ってさっさと別れなければ。

 

私がそう決断して、断ろうと口を開くよりも先にジョットが畳み掛けるように声をかける

 

「アリーチェ、代金の心配ならいらんぞ。俺が奢ろう。礼だからな」

 

いや、代金の心配とかじゃなくて…

 

「だ、大丈夫だよジョット!そ、その…そう!私、いつもお昼食べないの!だから…」

 

我ながらおかしい理屈だとは思ったけれど咄嗟にでた理由でなんとか断ろうと私はジョットに緩く微笑んだ。するとジョットは目を見開いて…

 

「そう、なのか……よし、なら俺とお昼を食べようアリーチェ」

 

納得してくれたか、とホッとしたのも束の間、続いたジョットの言葉に私はえっ?と聞き返してしまった。

思わずなんで?と聞き返したくなるくらい。いや、さすがに聞き返さなかったけれど。

 

「え、だからジョット、私は…」

 

お昼は要らないんだってば!

 

「わかっている。でも、お前はまだ子供だろう?いくら家庭の事情でもお昼を食べないのはだめだ」

「え?いや、違くて」

「いいからいくぞ」

 

そう言うとジョットは私の腕をとって歩き出した。私もジョットに引っ張られるように連れていかれる…って、え?おかしくない?なんでこの人、私に触れられるの?

 

私は思わずジョットに掴まれた腕を凝視してしまう。幽霊で霊体の私の腕を、すり抜けないでこの人は握っているのだ。

 

何この人!?私が見えて話せるだけじゃなくて、私に触れられる!?

 

ジョットに手を引かれながら、私は唖然としてジョットの後ろ姿を見つめていた。




主人公は流されやすいですね…ジョットはいつ気づくのでしょうか?

誤字脱字おねがいします!
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