いわゆる幽霊になりまして   作:幸い

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どうも!幸いです!4話目です!

ジョット目線は先になりますが今回出てくるキャラ目線も書くつもりなのでヨロシクお願いしますっ!


幽霊になって大人な場所に行きまして

イタリアの夜は長い。

人通りの少ない路地に入り、年季の入った木製のドアに手をかけると静かな路地とは裏腹に、賑わうゆったりとした雰囲気のオシャレな飲み屋があった。

 

橙色の蝋燭に照らされて、ジャズやクラシックを聴きながらカクテルやワインを楽しむそこは子供には早い、つまり大人のお店なのだが…

 

そんな大人な場所に、私はいた。

 

…え?こんな場所に10歳の少女がいるべきではないって?

 

まぁ確かにそうだ。むしろ普通の10歳の少女ならお店に入った瞬間、店主やお客にまだ早いから、と止められるに決まっている。まぁ私は幽霊だから、止められる以前に誰にも見えるはずないので論外なのだけれど。

 

そんな場所に来た理由は…確かに大人な場所に好奇心があったというのも否定しないけれど、私にはもっと明確な目的がある。

 

皆さん、ここは飲み屋である(誰に言ってるのかなんて気にしちゃいけない)。様々な人たちがここで愚痴を言い合ったり言いづらい相談をし合ったりと、まさしく情報そのものが飛び交う場である、とまぁ…ここまで言えば分かるだろう。

 

私の目的はもちろん、自分の情報を手に入れるためである。

 

......................................................

 

相も変わらず自分のことについて何もしらない私は、幽霊となって墓地でジョットと出会った日から1ヶ月、朝昼晩と眠れない体を活かしてせっせっと情報収集に勤しんでいた、のだけれど…私の努力も虚しく、全くと言っていいほど何も得られないでいた。

 

その成果に落ち込み、まるで亡霊のように(亡霊だけど)街を歩いていた私は…今日の昼間、多分堅気の人間じゃないであろう黒服の人達とすれ違った時に、偶然その会話を聞いてしまった。

 

『今日の夜でしたっけ、例の取引は』

『シッ!…こんな人の耳が多い通りでその話はするんじゃねぇ』

『あ、す、スイマセンでした…気をつけます!でもそーいや、場所聞いてませんでしたね…今日はどこの飲み屋ですかい?』

『だから、お前は……はぁ、3丁目の路地裏の飲み屋だって言っただろ、忘れたのかお前』

『へへ…』

 

私は耳に入ってきた会話にピタリと足を止めた。

 

2人組の、多分マのつく危ないお仕事の男性たちは誰にも聞かれないように細心の注意を払って話していたみたいだけど、2人は幽霊である私に気づけるわけもなく、私にはバッチリ聞こえてしまった。

 

物騒な話をするものだなぁ、と後ろ姿を見つめて、私はふと思いついた。

 

確かに私は今までいろんな場所に行ってみたことがあるけれど、飲み屋さんに行ってみたことは無かった。そして飲み屋さんではさっきの2人組みたいに、危ない情報や聞いてはいけない秘密などが飛び交ったりするのだろう。

 

普通の飲み屋さんじゃなくて、あの2人組が行くって言っていた3丁目の飲み屋さんのような…物騒な人たちが使うような飲み屋さんなら、私の情報も多少なりとも手に入るのでは?

 

そこまで考えた私は、希望を見つけたように瞳を輝かせると夜になるのをまって3丁目へと向かった。

 

......................................................

 

そうして、今に至る。

 

飲み屋さんの中は賑わっているものも、お店の雰囲気を壊さない程度に、お客は小声で話していたり顔を近づけて話していたり、と少し…いやかなり怪しい雰囲気に包まれていた。そして、そのお客の中には昼間見た、2人組の男性の姿もあった。

 

2人組の男性を見つけた私は、言っていたお店がここで合ってたことを確認し、安心して息をついた。

 

「やっぱりここだった」

 

つい声を零してしまったが、誰も聞こえないだろうと考えていた時だった。

 

「なにが?」

 

突然後ろから威圧感のある声が聞こえて恐る恐る振りむけば、プラチナブロンドの美形なお兄さんが立っていた。

 

これって、私に言ってるんじゃ…ない、よね?

 

それなら、いまのなにが?って言葉、誰に言ったんだろうこの人。ここら辺の人たちはみんなこちらではなく向こうの方を向いて話していて、美形のお兄さんが話しかけているであろう人は見当たらない。

 

なぜか美形のお兄さんはずっと私の方を見つめていて…ってあれ?デジャヴ…もしかしてこの人…私が見えてる?

 

「…こんばんわ?」

 

ものは試し、と美形のお兄さんに挨拶してみるとお兄さんは無難に挨拶を返してくれた。

 

やっぱり、この人私のこと見えてる!私が見える人はこれで3人目…もう3回目となれば、私もそこまで驚くことはなかった。

だけど気になるのは、ジョットとGさんとこの人、見える人にはなにか共通点でもあるのだろうか?

 

私は共通点を探そうと美形のお兄さんをじっーと見つめていたが、どうも共通点らしいものを発見することは出来なかった。

…今気づいたけれど、お兄さんは無言で顔をじーと見つめる私に、なんだコイツ?とでも言いたげに眉を顰めていた。

 

あ、何も言わずに人の顔をじーと見るのは失礼だよね…

 

「あ、えっと…」

「…君、名前は?歳は?」

「名前は…アリーチェ、です。歳は……10歳」

 

謝ろうと口を開いたものの、美形のお兄さんの纏う雰囲気が怖すぎてうまく謝れないでいると…突然名前と歳を聞かれたので、私は素直に答えた。美形のお兄さんは考え込むと、さらに私に質問を投げかける。

 

「…10歳の子供が、なんでこんなところにいるの?」

「っ…」

 

あ、そうだった…ここ、普通の10歳なら追い出されるって最初に私言いましたっけね。もしかしたらこのお兄さん、私を追い出そうとしているのでは、とつい身構えてしまう。

 

しばらく私とお兄さんは無言で見つめ合っていた。

 

…うん、お兄さんとっても怖い。そんな小動物を見るような目で見ないで欲しい。兎のようにプルプル震えたくなっちゃうから…!

 

でも目をそらしたら失礼だろう、と必死に取り繕ってお兄さんを見つめていると、沈黙を破って口を開いたのはお兄さんだった。

 

「まぁ、いいよ。店主も何も言わないしね」

「はぁ…」

 

お兄さんの怖い視線から逃れることが出来て、私は隠れて安堵のため息をついた。

 

あぁ、こわかったぁ…

 

でも、それは多分店主には私が見えてないからで…なんて言えずに、適当にうなづいて遠い目をすると、お兄さんは私を見て思い出したかのように名乗った。

 

「あぁ、僕はアラウディ…仕事であの2人組の奴らを見張ってる」

「え、ぁ、なるほど…?」

 

そう言ってアラウディ、と名乗ったお兄さんが視線で指したのは、私が昼間に見た2人組の男性。

見るからに怪しい2人組の男性を注意深く見つめるお兄さんは、警察かなにかなのだろうか。それか、2人組の男性の組織と対立してる別の組織、とか?

 

まぁ、無関係の私がそんなこと考えても無意味なので別になんでもいいけど、もしお兄さんがそういう人種の人なら一般人(生きてないけど)の私にそんな情報、伝えていいのかな…?

 

しかしお兄さんは、そんな私のお兄さんを心配する視線を清々しいくらい無視して、私を近くのカウンターに案内するとそのカウンターにお兄さんが座って私も隣に座るよう促した。せっかくなので私も隣に座るけど…

 

お兄さんが注文しようと店主を呼んでいるのを見て、私は大慌てで飲み物はいらないと断った。

お兄さんは代金の心配なら要らないって言うけど違くて!代金の心配とかじゃなくて!!

 

どうせ店主には私が見えていないだろうから、自分以外の注文をお兄さんが注文しだしたら不審がるだろうし、私は飲み物も飲む事が出来ない霊体の体である。

 

本当に要らないのか、と聞くお兄さんににこりと笑って、私は喉乾いてないからと適当な理由を言って誤魔化した。

 

お兄さんのドリンクが運ばれて、話を始めるのだろう。お兄さんの周りの空気が変わった。

 

それで、と口火をきるお兄さんの真剣な目が私を貫く。

 

「君はなに?なんでアイツらがここで取り引きすることを知っていたの?」

「…えっと?」

 

謎の威圧をかけてくるお兄さんは、私が質問の意図を理解していないのを理解してくれたみたいで、わかりやすく言い直してくれた。

 

「…君はさっき、あの2人組の奴らを見て『やっぱりここだった』って言った。つまり、2人がここに来ることを知ってたってことでしょ?」

「…………」

 

まぁ、うん…知ってたね。むしろそういう盗み聞きと壁すり抜け、ポルターガイストは得意だね…なんたって私、幽霊ですから。…なんて、口が裂けても言えない。

 

でも、なんて説明しよう?

多分お兄さんは私がなんで知っていたのか怪しく思ってて、もしかしたら私は2人組の男性の組織と関わりがある人間なんじゃないかって考えられてるのかも…いや、予想だけど。

 

…それならむしろ、素直に言っちゃってもいいんじゃないかな。だってあの2人組の男性、昼間はあんな大通りで物騒な会話してたわけだし…1人くらい聞いててもおかしくないよ、うん。

 

私は、偶然聞こえてしまった怪しい会話に胸を踊らせて、探偵ごっこしようとここに来た(生きてる)10歳の少女だって言えばお兄さんも納得してくれる、はず!多分!

 

「えっと…実は…昼間、大通りを歩いてたらあの人たちが話していることを聞いちゃったの…」

 

私は10歳の少女らしく、身振り手振りをつけてお兄さんに説明した。

 

今日の夜に例の取り引きがある、という会話に好奇心をそそられて、気になって来てしまった。と説明すれば、お兄さんは腑に落ちたようにうなづいてくれた。

 

「…なるほどね、取り引きは今日なんだ」

「お兄さん?」

「情報の提供、感謝するよ。それと君、ここは危ないから君みたいな小動物が来ていいような場所ではないよ。帰りな」

 

しょ、小動物って…。

 

満足そうに手錠(どこから出したんだろう?)を指にかけてクルクルと回しているお兄さんは、最後に私にそう注意すると、2人組の男性に近づくのだろう。私をカウンターに置いて席を立とうとするが、その前に、私はお兄さんの袖を掴んだ。

 

「…なに?僕は忙しいんだけど」

 

袖を掴んでお仕事の邪魔をした私に、容赦なくお兄さんは睨みつけてくる。

 

怖っ!?で、でも、このお兄さんなら、飲み屋さんに集まる情報について、詳しいかもしれない…

 

私はお兄さんの眼光に怯えながら、聞きたいことがあるのと、お兄さんを引き止めた。

 

「お兄さん、その、ここってたくさんの人が来るんだよね?なら、ここなら…人の情報とか、手にはいったり、する?」

「…君は人を探しているの?」

「えっ、ぁ、いや………うん、そうだよ。私はある人のことが知りたいの」

 

私は、私のことが知りたい。

 

私は今度はしっかりとお兄さんを見つめて嘆願した。そんな私を見てお兄さんは呆れたように肩をすくめて、教えてくれた。

 

「…そうだね、ここはたくさんの情報が行き交うよ。その人探しの情報も手に入るかもね」

「っ!そっか、ありがとうっ!!」

 

喜びから飛び跳ねそうな私を見て、お兄さんはため息をついて席をたった。

 

去ってしまったお兄さんの背中を見て、私はこれから夜は毎日ここに来ようと決めたのだった。




はい、2人組の男性のモデルはコナンのジンとウォッカですw
これは私の勝手なマフィアの部下と上司のイメージがジンとウォッカなので…(コナン好きだってバレる)

この作品のアラウディさんすごい優しいですね…(どうしてこうなった)キャラ崩壊のタグをつけようか迷い中です…

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