夏休みも終盤…皆さんはどうお過ごしでしょうか!私は課題が終わらずアリーチェのように幽霊になって逃げたい衝動に駆られています!はい、どうでもいいですよね!!
まぁ、そんな馬鹿なことをいってないで…本編どうぞ!!
心地のよい風が頬を撫でる。
今日もいい天気だなぁ…なんて考えながら
「きれいな音…」
その音はフルートやクラリネットとは違う楽器の音で、伸びやかな音に思わず手を叩いて踊りだしたくなるような、いつまでも聞いていたくなるような音色だった。
ちなみに、ここはジョットと初めて会った墓地である。週に何回かはここに来て、自分の墓に手を合わせにくる私だ。
既に死んでる私としては、ここが私の帰る場所であって、家であると言っても差し支えないのではないだろうか…と思ったりもする。
「どこから聞こえてくるんだろう…?教会?」
この墓地のすぐ近くのところに、ひとつのこじんまりとした教会があった。ここに来るとたまにその教会のパイプオルガンの音色が聞こえてきたりしたのだが、今回はパイプオルガンではない違う音色…いや、綺麗なのは違いないけど。
「…ちょっと行ってみようかな」
好奇心に負けた私は、少し遠くに見える教会を目指して歩き始めた。
全体的に白い建物、屋根の上に存在感をあらわす十字架を見ているとなんだか成仏できる気がするけれど…それは気がする、にしかならなくて実際に私が昇天することはなかった。
まぁ、いいけどね。
教会に近づくと更に良く聞こえるこの音色の正体を知るために、私は教会の扉をすり抜けて教会に入った。扉ね、開けられないわけでもないけど開けたら音とかで不審がられてしまうかもだから仕方なくすり抜けた。
そうして木製のドアをすり抜けた私の目に、大勢の子供たちがなにかを囲むように円をつくり、座り込んで、この場を支配する優雅な音色に身をゆだねているというなんとも和む光景が広がった。
私もさりげなくその子供たちの中に入り、音色の正体を探ろうと前へ前へと進む。
そうして何人かの子供をすり抜けて、ようやくかすかに円の中心が見えた。子供たちの円の中心にいたのは1人の男性だった。そして、先程から聞こえていた優雅な音色の正体は男性の吹く笛の音だった。
「なにあの笛、それに男性の服も見たことないような服…」
黒い縦長な帽子を頭につけた男性はとても変な服装をしていた。
イタリアで見ないような服装、外国の人なのかな…?それに、笛も見たことない形をしていた。流れる音色も聞いたことないものだ。どこの国の音楽なのだろう?
私の興味はこの小さな音楽会から演奏者の男性へと移った。教会の小さな音楽会に1人混ざって、流れる雅な音色に身をゆだねながら、私は食い入るように男性のことをじっーと見つめていた。
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そして男性の演奏が終わり、子供たちから惜しみない拍手が贈られる。もちろん私も溢れんばかりの拍手を送らせて頂いた。男性は丁寧に腰をおって礼の形をとり、頭をあげると私たち子供に向けて優しげな微笑みを返していた。
もう一度おこる拍手の渦に男性は照れくさそうに頬をかいていた。そんななか、大きく手を打って現れたのはこの教会の神父の人だろうか?黒い法衣を纏った男性が演奏者の男性の前にでて大きな声で拍手を遮った。
「みんな!究極にいい音色だったな!!そんないい音色を聞かせてくれた雨月に大きな声で礼を言おうではないか!せーの!」
「「「ありがとう!雨月のお兄ちゃん!!!」」」
「いやぁ、照れるでござるな…こんな私の演奏でよければまたいつでも演奏させていただくでござるよ」
神父の男性のかけ声に習って子供たちも男性へのお礼を大きな声で叫ぶと、男性はまたも照れたようにはにかんだ。
さすがに私は言わなかったけど、内心ではいい演奏を聞かせてくれた男性への感謝でいっぱいだ。
その後、また大きな拍手の後に教会のシスターから子供たちにお菓子が配られて、子供たちはある程度神父の人と会話すると1人、また1人と続々と教会から出ていった。
さて、音色の正体も知れたし私も出ようかな。
教会から出るために腰あげた時だった。後ろから、さっきの神父の男性の大きな声が響いた。
「ん?そこのお嬢さん!究極に待ってくれ!」
「………?」
「あぁ!確か君は、途中から今日の鑑賞会に参加していただろう?」
「え?私?」
神父さんに自分を指さしながら振り向けば神父さんは大きな声とともにうなづいて私の肩に手を乗せた。
…この人も見えて触れる?神父さんだから私みたいな存在が見えたりするのかも?あ、でもシスターさんには見えてないよね私だけお菓子貰えなかったもん…気にしてないけどね!
「あぁ!お嬢さん!究極に名前はなんて言うんだ!?」
「えっと、あ、アリーチェ、です」
「そうかそうか!アリーチェ!今日は来てくれて究極に感謝するぞ!」
「は、はぁ…あの、途中から来たんですけど…」
「それでも、来てくれただけで嬉しいでござるよ」
「そうですか…ん?」
それにしてもこの神父さん熱い人だなぁ…なんて思いながら話していたのだけれど、そんな私たちの会話にナチュラルに混じってきたのは演奏者であった男性で…え、待って。この人も私のことが見えるの?
「アリーチェ、でござったな。今日は来てくれて感謝するでござる」
「こちらこそ…素敵な音色をきかせてくれて、ありがとう…?」
え、2人とも私が見えるの?その事が気になりすぎて、私は大層間抜けな顔をしているだろう。
「あぁ!究極に名乗っていなかったな!俺の名前はナックルだ!!よろしくな、アリーチェ!」
「私の名は朝利雨月でござる。よろしくお願いしたい」
「ナックルに、雨月さん…」
強引に進められる自己紹介に戸惑いながらも、なんとか名前を覚えようと頭を働かせる。
えっと…ナックルは元気な神父さんで、雨月さんは優雅な仕草からとてもいい育ちな海外の貴族かなにかだろうか?
「雨月さんって、外国の方なの?」
「あぁ、私は江戸から参った者でごござるよ」
「エド…?」
「イタリアからは少し遠い場所でござるな。私が身につけているこの衣装も、江戸の衣装なのでござるよ」
「へぇ…」
やっぱり、その不思議な衣装は雨月さんの故郷の服装だったらしい。その笛もそうなのか?と聞いたら、案の定そうだと返ってきたのでなるほど、と納得する。多分、雨月さんの語尾の『ござる』って言葉もそのエドの言葉なのだろう。
「その笛、とても素敵な音色だったね」
「あぁ!雨月の演奏は究極に人の心に響くからな!!今日来てくれた子供たちも、家が貧しかったり幼いながらも働かなくてはならない家庭の子供たちだったり…そんな子供たちの心に、雨月の笛の音を聞いて元気をだしてくれればと思って、今日の演奏会を開いたのだ!!」
ナックルの、自信に満ち溢れた大声に素敵な案だね、と笑う。
確かに、帰り際の子供たちはとてもキラキラとした笑顔で溢れていた。見てて、和んでしまうくらい。
「私の笛で、子供たちの笑顔がつくれたのならいいのでござるが…」
そんなナックルとは反対に、自信なさげな雨月さんを見て、私は微笑みながら雨月さんの手を握って、言った。
「すっごく、いい演奏だったよ!子供たちも笑顔で帰っていったもの!もちろん、私もとても幸せな気持ちになったよ」
「なんと…!それは真でござるか!それなら、嬉しいでござるなぁ…」
にっこり笑ってそう言えば私の言葉に、雨月さんは破顔して喜んでくれた。
あんな素敵な演奏を聞いて、幸せにならない人はいないだろう。とまで思ってしまうくらい、雨月さんの演奏は素晴らしいものだった。
と、私がそんなことを考えていた時。雨月さんは私の手を見てなにかを思いだしたように口を開いた。
「んん?アリーチェは、修道女の方から甘味を貰わなかったのでござるか?」
「おぉ!そういえばそうだな!確かに子供たち全員に配ったはずなのだが…」
あぁ…あの帰り際にシスターの人たちが配っていたお菓子かぁ。
うん、さっきも言った通り、シスターの人たちは私が見えてなかったから…そりゃ配られるはずないよね…あ、1人だけ貰えなくったって、ぜんっぜん気にしてないからね?(2回目)
そりゃ…甘い物いいなぁとは思ったけど、私幽霊だから食べられないし…美味しそうだなぁとか思ったけど、私は食べ物なんていらないし…はい、本当のこと言うと私、甘い物大好きらしいです。生前、甘い物大好きだったんでしょうね。子供たちがとっても羨ましいです、はい。
「わ、忘れられてたのかもねぇ…」
あははぁ〜と笑って誤魔化そうとしても、2人はなおさら不思議そうに首を捻ってしまって…もう!どうしろと!?
「困ったぞ…さっきの分でお菓子は最後だしなぁ…」
「あ、それなら私!飴玉持ってるでござるよ」
「飴玉?なんでそんなもの…あぁ、アイツか」
「あやつが大泣きした時にでも、と思ったのだが…飴玉なら、他にもあるでござる。だから、はいアリーチェ」
そのやりとりの後に雨月さんが懐から取り出したのは間違いなく飴玉で…
「……!」
さぞ、私の目はキラキラと輝いていることだろう。甘い物を目の前に、飛びつきそうになる体を気合いでぐっ、と押さえつけて耐える。
食べたい、でも食べられない。でも2人の親切心を無下には出来ないし…けど食べれないからゴミにしちゃうのもそれはそれで酷いでしょ?ううむ…どうしよう?断るべき?いや、でも甘い物…甘い物…!
「い、いただきますっ!」
「うんうん、年頃の乙女はやっぱり甘味が好きでござるなぁ!」
「飴玉で悪いな、アリーチェ!次はちゃんとアリーチェの分のお菓子を残しておくからな!」
「うん!…ん?次?」
次もやるの?次も雨月さんの笛が聞ける?甘い物に釣られたわけではないからね?私、食べられないし。ならなんで飴玉もらったの、とか不躾なこと言わないでね。
「あぁ!次は日にちは決まってないが、今日来れなかった子供たちにも雨月の笛を聞かせてやりたくてな!もし良かったら、また来てくれると嬉しいぞ!!」
「…うん、分かった。また、来るね」
私の答えに2人は満足そうにうなづくとそろそろ行かなきゃいけないらしい。私に一言二言いうと、2人とも行ってしまった。
私は手の中にある飴玉を見て悩む素振りをみせたけど、顔はきっとにやけていただろう。いや、にやけていたと断言できる。だって、甘い物は女子にとって正義だ。例え幽霊で食べれなかったとしても、甘い物があるというだけでなんというか、こう…元気が出る気がするよね、うん。
「今日はいい天気だし、雨月さんの笛も聞けたし…いい日だったなぁ…」
私は墓地には戻らず、街の方へと歩いた。途中、私が見えるらしい子供が転んで泣いていたので、さっき雨月さんにもらった飴玉をあげたら泣き止んでくれた。うん、飴玉は残念だけどどうせ私が持っていても食べられないもの…仕方ない。
いい天気だし、雨月さんの笛も聞けたし、子供に飴玉あげたし…今日はほんとにいい日だなぁ…。
とりあえず今の目標は初代ファミリーの全員とアリーチェを会わせることですね…Dだけいい出会いかたを思いつかないのですが…
まぁ、なんとかなりますよね!()全員と会ったら話も進んで初代編は…まだ続くかな?どうなんでしょうね!(誤魔化し)
では!評価、感想、誤字脱字!お願いします!!
2017/08/30 ナックルの口癖を直させていただきました!