Fate/Grand Order【Epic of Lancelot】   作:カチカチチーズ

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…………な、なにも悪くないよ!?
時間があったから多少でもいいから進めようとしただけで書きおわす気なんてなかったんだよ!?

と、とりあえず投稿です……

あ、誤字報告ありがとうございます。


炎上汚染都市:冬木
彼女は藤丸立香


 

 

 

 

「ハァァァァァッ!!」

 

 気合いの入った大きな掛け声と共にマシュがその大きな盾でなんで動いてるのかわからない骸骨を先ほどまでの様に殴り壊した。

 どうやら最後の一体だったらしく、マシュは息を吐き一度辺りを見回して、先ほど骸骨たちに襲われていた女の人に私と一緒に近づく。

 

「戦闘、終了しました。お怪我はありませんか?所長」

 

 あ、ほんとだ。

 マシュが女の人に声をかけて漸く私はその襲われていた女の人が所長である事に気がついた。

 うん、本当だよ?いくらミーティング中に寝てたからってビンタされたのを根に持ってるわけじゃないよ?

 

「…………………………。

………………どういう事?」

 

 何やら所長さん────残念ながら名前は憶えていません。決して恨んでるからではありませぬ────が怪訝な表情で言葉を零した。

 それにマシュは一瞬なんの事か、と思ったのか少し間を開けてその理由に気づいたようだ。

 

「所長?…………ああ、私の状況ですね?信じ難い事だとは思いますが、実は────」

 

「サーヴァントとの融合、デミ・サーヴァントでしょ。そんなの見ればわかるわよ」

 

 当たり前だ、とでも言うような落ち着いた態度でそう言った所長はその態度を一変させ

 

「私が訊きたいのは、どうして今になって成功したのかッて話よ!!

いえ、それ以上に貴女!この私の演説に遅刻した挙句居眠りなんて事をした一般人!!」

 

「!?」

 

 まさかの私に飛び火した……でも眠たかったし…………それにいきなりだったし……とりあえずビンタの恨みは忘れるものか。ちなみに学校の集会は何時も目を開いたまま寝てました。

 

「なんでマスターになっているの!?サーヴァントと契約できるのは一流の魔術師だけ!

アンタなんかがマスターになんてなれるハズないじゃない!!この子にいったいどんな乱暴を働いて言いなりにしたの!?」

 

 

 …………はい?

 え、なに、私、マシュに乱暴したと思われてるの?えー、心外なんですけど。

 というより、元陸上部ないたって平凡な私がそんな事出来るわけないじゃないですか……。

 

「そんな事言われても……」

 

「それは誤解です所長。強引に契約を結んだのは、むしろ私の方です」

 

「なんですって?」

 

 私を庇うマシュの言葉に所長は怪訝な表情をする。ありがとうマシュ……

 というか、体力とかならともかくあの骸骨を一体すらなんとか出来ない私が骸骨をあんな大きな盾で殴り壊してるマシュに乱暴なんかしたら逆に私がミンチになりそうなんですが……

 

「経緯を説明します。

その方がお互いの状況把握にも繋がるでしょう」

 

 

 

────────────

 

「エレインを召喚できたら童貞を殺す服を着せたい」

 

「ごめんランシア、何言ってるかわかんないよ僕」

 

「まあ、童貞じゃなくともエレインが着れば死ぬな……俺?死んでから蘇生するわ」

 

「……大丈夫かい、君」

 

────────────

 

 

 

「……以上です。私たちはレイシフトに巻き込まれ、ここ冬木に転移してしまいました。

他に転移したマスター適性者はいません。所長がこちらで合流出来た唯一の人間です」

 

「でも、希望が出来ました。所長がいらっしゃるのなら、他に転移が成功している適性者も」

 

 マシュは一度区切り、俯き沈んだ声に期待するような声で続けた。だが、

 

「いないわよ……ここまで逃げる中確認したわ。それに彼ら、本来レイシフトする筈だったマスター適性者はコフィンに入っていたわ……コフィンはレイシフトの成功率が95%を切ると自動的にブレーカーが落ちるように設定されてるのよ」

 

「つまり……コフィンに入っていなかった私や先輩、そして所長だけがここ冬木に転移してしまったのですね」

 

「落ち着けば頼りになる人なんだね」

 

 そんな、ポツリとした私の呟きが聴こえたのか所長はこちらの方を睨んだ。

 

「ちょっと、それどういう意味!?

普段は落ち着いてないって言いたいわけ!?そもそも貴女は今日初めてでしょッ私と会ったの!!」

 

「(始終ヒステリックでしたからしゃあないでしょーだ)」

 

 私に一気に叫んだからか、所長は息を調え睨むのをやめた。

 

「……フン、まあいいわ。状況は理解しました……不本意ですが、ええ、ほんっとうに不本意ですが!緊急事態ということで…………貴女名前は」

 

「藤丸立香です」

 

「そう、立香ね……立香、貴女とキリエライトの契約を認めます」

 

 所長は髪をかき上げ改めて私たちを見て、組織の長らしい威厳で指示を出し始める。

 いや、ほんと落ち着けば頼りになるな……

 

「まずはベースキャンプの作成ね……霊脈は…………」

 

「このポイントです、所長。

霊脈は所長の足下だと報告します」

 

「うぇっ!?あ……そ、そうね、そうみたいね。わ、わかってる、わかってたわよ!?そんな事!」

 

 

 本当だろうか……というかなんだろうこの人からはポンコツ臭が感じられる…………間違いなくボッチだろこの人。具体的には部下とか取り巻きはいるけど友達は一人もいないとかそういう類の……実際は凄く寂しい人だ。

 でも、私は絶対に友達にはならないでおこう。ビンタの恨みは忘れるものか。

 

 

 

 

 

 

『報告は以上です』

 

 はっ!?ぼーっとしてたらいつの間にかに謎空間が広がっていて空間ディスプレイ?にドクターが表示されていた。

 い、いつの間に出てて喋ってたんだろうか……もしや近くにギャングのボスでもいるのだろうか。

 

「そう、わかったわ。きっと私がそっちにいても同じ方針をとったでしょう。……納得いかないけど私が戻るまでカルデアを任せます……私たちはこの特異点Fの調査を続けます」

 

『えぇ!?あのチキンな所長が!?そんな爆心地みたいな現場で!?怖くないんですかッ!?チキンなのに!!』

 

「誰がチキンよ!というか2回も言うな!!……今すぐ戻りたいのは山々だけどレイシフトの修理が終わるまで時間がかかるのでしょう?

それに」

 

 一度言葉を区切りチキン所長はマシュを見て

というかチキンなんだ……いや、確かにチキンぽい。

 

「この街にいるのは低俗な怪物だけだと分かったし、デミ・サーヴァント化したマシュがいれば安心よ」

 

 そんなマシュがいてよかった、という表情なチキン所長にはあの事は言わない方がいいかな。

 初っ端からマシュが盾で防いでも守られていた私にすら衝撃を感じれた狙撃?をしてきた何かがいることは…………。

 言ったら絶対この人ビビるだろうし……。

 

「事故というトラブルはどうあれ、与えられた状況で最善を尽くすのがアニムスフィアの誇りです。

これより藤丸立香、マシュ・キリエライト両名を探査員として特異点Fの調査を開始します」

 

「……とはいえ、現場のスタッフが未熟なのでミッションはこの異常事態の原因、その発見に留めます。解析・排除はカルデア復興後、第二陣を送り込んでからの話になります。貴女もそれでいいわね?」

 

「はい、それで大丈夫です」

 

 とりあえず黙っておこう。

 ビビらせたいけど、したらしたで面倒くさくなりそうだし。

 

 

『了解です、健闘を祈ります所長…………ん?』

 

「……?」

 

「どうしたのロマン」

 

「ドクター?」

 

 なんだか、通信中のドクターがなんか疑問点でも見つけたのかそんな疑問符が聴こえそうな声を出した。

 私とチキン所長、マシュはそんなドクターに怪訝な表情を向けて

 

 

『立香ちゃんにマシュ?……探査員が未熟?…………所長、もしかして所長合わせて3人だけなんですか?』

 

「何言ってるの、そうに決まってるじゃない」

 

『────そんな……』

 

 ドクターの質問に所長がぶっきらぼうに答えると通信の向こう側からドクターの何か焦ったような声が聞こえてくる

 

「どうしたのよ」

 

『彼奴は……ランシアはそこにいないんですか?』

 

「は?」

「「え?」」

 

 

 ドクターの放ったその一言は私たちを開いた口が塞がらなかった。

 ランシアってあのミーティングをボイコットしたあのランシアさん?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────────────

 

 

 場所は変わり、無数の骸骨が互いを剣や槍で貫いている摩訶不思議な光景が広がっている。

 

 元は武家屋敷だったのかそのような周囲の家屋よりも大きな土地と木造家屋の一部が残った場所で一つの人影が石垣に幾つかの武具で縫い付けられていた。

 それは正しく影だった。黒く靄がかった人型の何か。それが呻きながら自身を縫い付けているものを取り除こうと身じろいでいる。

 そして、それの前に立つ一人の男。

 濃紺の髪をポニーテールにして、カルデアの制服を着崩しその上からフードのついたコートのようなモノを羽織った男。

 男、いやランシア・ニヴィアンの手にはその影のように靄がかったしかしその表面にハッキリと濃紺の葉脈の様なモノが走った薙刀が握られていた。

 

「────────!!」

 

「喧しい」

 

 影が一際大きく叫んだ瞬間にランシアはその手の薙刀を振るって影を頭から股下へと一刀両断した。薙刀はまるでバターを切るかのように影を切り、影は消滅。それに続くように薙刀も消えた。

 

 貼り付けられていた影も消え、残るのは摩訶不思議な光景を晒す骸骨らとランシアのみ。

 いや、ランシアが指揮者のように指を振ると骸骨らをそのようにしていた置換魔術が解け、そのまま骸骨らは消滅していった。

 

 

 そこに一切の慈悲はなく。既に消したモノに興味など持たない騎士の冷酷さが垣間見えた。

 そして、ランシアは影が消えた場所に何故か落ちていた虹色の結晶を拾い上げ、この武家屋敷跡を立ち去った。

 

 

 

 

「(これで3個目……ガチャろう……ピックアップ?男ならストーリーガチャだろ。なお、ストーリー限定鯖は誰も開放されてねえっていう)」

 

 

 

 

 ランシア・ニヴィアン、現在一人寂しく冬木をさまよっております。

 

 




今回も最後まで読んでくれてありがとうございます。

ランスロットが得意とする魔術は降霊と湖の加護による強化と置換魔術です。

感想、意見、辛辣な評価お待ちしております。
感想でもちらりと言いましたが少なくとも来週の火水はきっと更新は無いです。きっと多分

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