Fate/Grand Order【Epic of Lancelot】   作:カチカチチーズ

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ネロ祭始まりましたね。
一応ネロ祭終了までにちょろっとネロ祭の話を投稿しようかな、と思います。
ちなみに時間軸とかガン無視なのでゲームみたいに本来立香ともランスロットとも契約してないような鯖なども出てきます。
後注意としてはランスロットの契約鯖になるかもしれない鯖が数騎ランスロットと共に書きます。



フランスの戦い

 

 

 

 

 

 

「これは…………。酷い、ですね……」

 

『中がボロボロじゃないか……外壁はそこそこ無事だけど、砦とは呼べないぞ、これ』

 

「……負傷兵ばかりだ」

 

 

 斥候部隊に案内されカルデア一行が辿り着いた砦は砦とは言えない有様だった。

 外壁はまだまだ使えるものではあったが、その内側……兵士の宿舎などが壊滅的だった。

 家屋は崩れ、煤汚れた材木が放逐され、至る所に大小問わずの負傷兵がいた。

 

 

「そうですね。戦争中ではないはずなのに」

 

「……ねえ、セイバーこれって」

 

「ああ、これは……」

 

 

 砦の外側に比べ内側が酷い有様という異質な状況にアストルフォはアルトリアに声をかけるとアルトリアも同じ事を思ったのか首肯する。

 そんな二人を一瞥しランスロットは案内してくれたフランス兵に問いかける。

 

 

「すまないがこれは……」

 

「……本当に知らないんだな」

 

「……イングランド軍……というわけではないだろ?外壁に対して内側の被害がデカすぎる」

 

 

 そう、まるで空から内側に入ってきたかのような被害だ、と内心付け足しながらランスロットはフランス兵に問いかけるとフランス兵の口からありえないような言葉が飛び出した。

 

 

「…………魔女になったジャンヌ・ダルクだ」

 

「え?」

 

「イングランドはとうの昔に撤退した。だが、俺たちはどこへ逃げればいい……ここが故郷なのに、畜生……どうすることも出来ない」

 

 

 フランス兵の言葉にマシュや立香、アストルフォは驚愕の表情を見せるがアルトリアは自分という前例を知っている為、さしずめ反転体だろうと考え、ランスロットは一切反応はしない。

 

 

「……ジャンヌ・ダルクが魔女?」

 

 

 

「「「「────!!!」」」」

 

 と、そこで砦外壁上から兵士たちの叫び声が聞こえた。

 その叫び声が何を表すのか知っている兵士は立香らに向かって叫ぶ。

 

 

「……ッ!来た!奴らが来たぞ!」

 

「……ランス」

 

「ああ」

 

 

 アルトリアとランスロットは流石は円卓の騎士か、何が来たのかを察する。ただの人間、別の軍や賊が来たのなら外からも声が聞こえよう。しかし、外からは声は聞こえない、ならば人語を解さぬ獣か?なれば遠吠え唸り声咆哮はあろう…………では?

 

 

『注意してくれ!魔力反応がある!少量の魔力による人体を用いた使い魔……骸骨兵だな』

 

 

 ロマンからの通信にアルトリアとランスロットはやはり、と呟く。

 無論、骸骨兵以外にも候補はいるが少なくともランクが下がったとはいえアルトリアの直感が外れる事は少ない。

 ランスロットは単純に死体か骸骨かの二択に当てつつ記憶を頼りにしただけだが。

 

 

「それって」

 

「はい、冬木でみたエネミーです」

 

「よぉし、蹴散らすぞー!」

 

 

 アストルフォの掛け声と共にマシュ、アストルフォは骸骨兵へと突撃し立香もその指示をする為に追いかけた。ランスロットとアルトリアは経験蓄積の為にその光景を静観に決めたのかその場からややゆったり歩いていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ、お疲れ様でした」

 

「他愛もなかったな」

 

「まあ、骸骨兵だしねぇ」

 

 

 如何に数がいても所詮は骸骨兵。立香の指示通りマシュとアストルフォは骸骨兵を打ち砕き、アルトリアは討ち零しを片付けて、砦入口へと戻ってきた。

 そんなマシュらを見てフランス兵は感心したように話す。

 

 

「アンタたち、あいつら相手によくやるなぁ」

 

「慣れだ」

 

「……さて、一から話を聞かせてもらおうか」

 

「はい、ジャンヌ・ダルクが蘇ったというの本当なんですか?」

 

 

「……ああ、俺はオルレアン包囲戦と式典に参加してたからよく覚えてる。髪や肌の色は異なるが、あれは紛れもなく嘗ての聖女様だ」

 

「イングランドに捕えられ、火刑に処されたと聞いて俺たちは憤りに震えたものさ…………だが────彼女は蘇った。しかも、悪魔と取引して!!」

 

 

「悪魔?さっきの骸骨兵みたいなヤツ?」

 

「いや、違う……あれだけなら俺たちでも対処できる」

 

 

『────!!』

 

「ッ!?」

 

 

 唐突に響く何かの咆哮。先ほどの骸骨兵を掃討してから殆ど時間が経っていないにも関わらずまた別の何かが来るのはある意味不幸としか言えない。

 

 

「くそ、やっぱりだ!来たぞ、迎え撃て!!

ほらほら立て立て!!ドラゴンが来たぞ!抵抗しなきゃ食われるぞ!!」

 

 

 目の前のフランス兵はマシュらや他のフランス兵らを焚きつける様に叫ぶ。それにより周囲のフランス兵らは慌ただしく動き始めているというのにランスロットやアストルフォはやや軽い調子で話す。

 

 

「…………この感じ懐かしいな、まだ生き残ってたのか?」

 

「いやいや、そんなわけないからね?流石にもういないでしょ。普通」

 

『君たちの周囲に大型の生体反応!しかも、速い……!!』

 

「目視しました!?あれは、まさか────!?」

 

「ワイバーン!?」

 

 

 

 ドクターの通信と視認した生体反応の正体に驚愕するマシュと立香だが……やはり、生前日頃から幻想種を狩ることがあったランスロットはやや場違いな事を口にする。

 

 

「ほう、知ってたか。アレは竜の亜種だ、つまり雑魚だ。ちなみにきちんと血抜きすれば食える。特にタタキが美味いぞ」

 

「……ちょ、ちょっと食べてみたい……!?」

 

「先輩っ!?」

 

『みんな、来るぞ!?』

 

「さっきの骸骨より強いけども問題なし!いっくよー!」

 

「ふ、適当に狩ってランスにハンバーガーでも作らせるか」

 

「アルトリアさんッ!?」

 

 

 この一行の中で真面目なのは私だけなのだろうか、マシュは内心その思いを隠しきれなかった。

 時折ズレたことを言う立香に気にせず進んでいくアストルフォ、そして並の幻想種程度では調理またはその後の事を考えるアルトリアとランスロットを見てマシュは頭を抱えかけた。

 なお、本来苦労人側のランスロットは時代は違えど久しぶりの故郷にやや調子がおかしくなっていてむしろ苦労をかける側にいる事にランスロット本人も気づいていない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 既にアルトリアとアストルフォはワイバーン狩りをしに行った後、唐突に一人の少女が現れた。ランスロットはそれを半眼で見つつ近場のフランス兵に声をかける。

 

 

「兵たちよ、水を被りなさい!彼らの炎を一瞬ですが防げます!!」

 

「え……!?」

 

「そこの御方!どうか、武器を取って戦ってください!私と共に!

続いてください────!!」

 

「あの人は……」

 

『おおう、サーヴァントだ!しかし反応が弱いな、彼女は一体……』

 

 

「…………旗にフランスと来れば知らなくとも察せるな」

 

 

 

 金色の髪に白い旗を持ったサーヴァントを見ながら、そうランスロットは呟きながらフランス兵から弓を借り受けワイバーンの群れへと走っていった。

 

 

 

 

 

 

────────────

 

 

 

 

『────!』

 

「とりゃあ!」

 

「ふん」

 

「はぁぁ!」

 

 

 フランス兵に交じりワイバーンを倒すアストルフォ、アル、マシュ。だが、飛行可能な幻想種である為かマシュとアストルフォは何度かその攻撃を空振りしてしまう。

 アルは避けられる前にその翼を切り落としているため問題は無い…………さて、フランス兵の前でアレを捌くのは色々と遠慮したい。悪魔だ何だを食べるなんてなどとは言われたくないからな。

 適度に矢を放ちつつ、前線でワイバーンらをその旗で殴り倒している聖女のもとへ走る。

 

 

「────背中が疎かだ」

 

「ッ────!」

 

 

 聖女の背後から襲おうとしていたワイバーンの脳天に矢を直撃させて俺は聖女と背中合わせに構える。

 

 

「…………ありがとうございます」

 

「気にするな……さて、その旗と邪気の感じなさから聖女殿とお見受けするが間違いないか?」

 

「……そう、ですね。確かに私は聖女と呼ばれていました」

 

 

 背中合わせのまま、互いの顔を見ずに話をしていく。無論、その間もワイバーンを薙ぎ払う。

 

 

「貴方は────」

 

「続きはこのワイバーンらを排除してからで頼む。私たちは卿が敵でないと分かれば充分」

 

「……では、貴方がたは敵ではないのですね?」

 

「信じて欲しい、とのみ応えよう」

 

「…………はい、分かりました。今はこの群れをどうにかすることだけに集中しましょう!!」

 

 

 どうやら俺たちが味方と信じてくれたようだ。

 彼女はそのままワイバーンへ向かっていく。

 そんな先程みたいな事が起きる可能性を忘れたように突撃する彼女の背を見て俺は微妙な表情で笑うしかなかった。

 

 

 




ランスロット若干胃痛から解放されてるでした。落としますが←

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