Fate/Grand Order【Epic of Lancelot】   作:カチカチチーズ

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どうもー、病院に行ったらなんかだいぶ治ってきてて、担当医だった友人に呆れられたチーズです。
最近ブルーチーズにハマりました。
Dies IraeのEDですが……アレ中毒になりますね……
そういえばロクボの十枚呼符の五枚目でついに……ついに!黒王が来てくれましたありがとうございます!!でも今は乳上育ててるんです!!


フランスの道程1

 

 

 

 

 

 

「────ふむ、ここまでくればいいだろうか」

 

『ああ、反応は消失してる』

 

 

 ラ・シャリテよりそれなりの距離を離れた丘で俺たちは足を止めた。

 これぐらいの距離ならば如何に挑発したとしても本人が来る事は無いだろう……きっと。なによりロマンの通信からも大丈夫だという言葉がある。

 さて、俺は足を止め各々休んでる皆を軽く見てから隙を作った功労者らを見る。

 

 

「……隙を作ってくれた事に感謝したい……がその前に君たちが何者かそれを聞きたい」

 

「……そうね。まずはそれが一番ね」

 

「まあ、そうなるよね」

 

 

 赤い大きな帽子……帽子?を被った高貴さを感じさせるツインテールの少女サーヴァントと明らかにクズさを感じさせるクズキャスターは当然だと頷く。

 なんだろうこのキャスター殴りたい。マーリンではないが殴りたい。現物を目の前にすると殴りたい。

 

 

「わたしの真名はマリー……マリー・アントワネット」

 

「僕はヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト……クラスはキャスターだ」

 

「マリー・アントワネット王妃!?」

 

「モーツァルト!?」

 

 

 そういえばマリー・アントワネットはフランスの英霊扱いだが実際はオーストリアの英霊だろうと時々思うんだが…………まあ、もしかしたら彼女の行動していた地域が嫁いだフランスだったからフランスの英霊扱いなのかもしれんがね……。

 さて……俺は二人を見つつこれからの事を思案する。

 原作通りならば野営地でバーサーク・ライダーことマルタと戦闘だが……ふむ。

 

 

「ええっと……マリーさん?」

 

「マリーさん、ですって!」

 

「え、あ!?失礼しましたァ!?」

 

「せ、先輩この方は王妃ですから……」

 

「失礼じゃないわ、とっても嬉しいわ!いまの呼び方、耳が飛び出るくらい可愛らしいと思うの!お願い素敵な異国のお方。これからもそう呼んでいただけないかしら……!!」

 

「うーん、マリアは王族だったからね……そういう呼び方の方が新鮮なんだろうさ」

 

「なんだろうこのキャスターからローランと対して違わない変態さを感じるんだけど……」

 

 

「…………」

 

「えっと……」

 

「ふむ」

 

 

 アルとジャンヌからのどうにかしろという視線を感じつつも俺は口を挟む気は無い。

 こういった交流もいいものだ。マリー・アントワネットはマシュや立香にきっと良い影響を与えてくれるかもしれない。それとアストルフォ、それは気のせいじゃないぞ。

 

 

「え、えっと……ミス・マリー、とかマドモアゼル・マリー…………では?」

 

「ダメ。ぜんぜんダメ。マリーさん、がいいのっ!羊さんみたいで!」

 

「それってメリーさんじゃ……」

 

「はい!はいはいはい!はじめまして、マリーさんです!話の早い方は魅力的よ?当ててみせるわ、貴女とてもおもてになるのではなくて!?」

 

「…………ランスロットさん」

 

「ランス……」

 

「…………」

 

 

 女が三人集まれば姦しいというがなるほど……そろそろ騒がしくなってきたようで。流石にこれ以上放置していれば色々と問題になってくるだろうし、なによりアルとジャンヌからの信頼も下がりかねん。

 俺はマシュ、立香、そしてマリーの話に割り込む。

 

 

「すみません、マドモアゼル。楽しいお話の途中申し訳ないですが宜しいでしょうか?」

 

「ああ、ごめんなさい。わたしったら一人で舞い上がってはしたない……それでご要件は何かしら?…………それとそんな堅苦しくなくていいわ!」

 

「では、失礼しまして……マリー、この近くに霊脈があるようなので詳しくはそちらで拠点を用意してからで構わないかな?」

 

「もちろん構わないわ。いいですかアマデウス?」

 

「僕に意見を求めても無駄だってばマリア」

 

 

 ロマンからの通信で近くの森に強い霊脈がある事は分かっていたので一度話を中断させ、そちらへ向かうという提案をすればマリーは白百合のような笑顔で了承してくれてクズを見れば、クズはクズらしい返答をした。やはり、マーリンみたいなこと言うなク………ヴォルフガング。

 二人の了承を得てから俺はジャンヌを見る。

 

 

「というわけだ移動するとしよう」

 

「はい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 さて、霊脈のある場所へ向かって歩いていく俺たちだが……

 

 

『────!』

 

『────!!』

 

「ハァッ!」

 

「とりゃあ!」

 

 

 目の前でジャンヌやマシュ、アストルフォが森の獣人どもを薙ぎ払っていく姿を見ながら俺たちは悠々と進んでいく。

 俺も戦おうとしたのだが、ジャンヌや立香、マシュに休んでてくださいと頭を下げられてしまいこうして立香らと共に彼女らの戦いを見ていた。

 ついでに言えばもしもの為の護衛としてアルが待機しているという……そこまでして俺に戦わせないつもりか。

 

 

「それにしても強いんだねぇあの娘ら」

 

「なに、まだまだ未熟だよ」

 

 

 獣人どもを薙ぎ払う彼女らを見て感嘆するヴォルフガングに俺は肩を竦め否定する。

 事実、アストルフォを除く彼女らはまだまだ未熟だ。

 片やサーヴァントの新人という微妙な状態、片や融合したサーヴァントの名前も宝具の真名も未だ分からない。これを未熟と言わずなんと言えばいいのだろうか。

 まあ、未熟だからこそこうやって経験を積んで貰っているのだがな。そこの事を考えれば彼女らがああして戦闘を引き受けているのは良いことだ。

 

 

「そういえば君の名前だけど」

 

「……ああ、言っていないな。だが、それはどうか拠点を置いてからで構わないか?全員まとめての自己紹介の方が早い」

 

「うーん、仕方ないね。ま、楽しみにしておくよ」

 

「すまんな」

 

 

 へらへらと笑ってヴォルフガングは俺から少し離れて歩く。よくよく考えれば確かに俺らはマリーらに自己紹介はしていなかった。せいぜいジャンヌの事を知っているだけだろう。

 敵の首魁たる黒ジャンヌをラ・シャリテで見たのならば瓜二つな彼女の真名を察するのは容易い事だろうから。

 

 

「さて……」

 

 

 

「ハッ!!」

 

「そりゃあ!」

 

「ハァッ!」

 

『────!!??』

 

『────!!!』

 

『────!?』

 

 

 

 

「あとどれぐらいでエネミーは尽きるんだろうか」

 

 

 減る気配のない襲撃に俺はため息をついた。

 

 

 

 

────────────

 

 

 

 

 

 森へと入っていったいどれほどの時間が経っただろうか。既に日は中天を過ぎ、西へと傾き始めていた。

 正しく無尽蔵とも言うべき獣人の襲撃は途中からアルトリア・オルタを押し退けて参戦したランスロットが無双した事で殆ど討伐された辺り、あのままマシュらに任せていれば恐らく夕方にならずともそれぐらいにはなっていただろう、とランスロットは内心不安な思いで拠点作成の間の周囲を警戒していた。

 

 

「…………まだ、大丈夫か」

 

「……どうしたランス」

 

「いや、周囲から気配はしない。しばらくはエネミーも湧かないだろう、と思ってな」

 

「そうか」

 

 

 警戒するランスロットにアルトリア・オルタが近づき何事かと聞くと、問題ないという返答が帰ってくる。

 そんな返しだけでなんとなくアルトリア・オルタは察したのか何処と無くつまらなさそうな表情で立香らのもとへとランスロットから離れていく。

 

 

「…………さて、この特異点を乗り越えたら硬いサーヴァントを召喚するか」

 

 

 ランスロットの脳裏に過ぎるのはこれから先の特異点に現れるであろうサーヴァントたち。

 帝国に現れるであろうソラより来たるモノの一片たる破壊の大王。封鎖された海に現れるであろう神話の大英雄。霧の都市に現れるであろう最果ての槍を携えた王。新大陸に現れるであろう狂王。

 そして神霊と化したモノ。

 

 それらと対峙する以上、防御面の強化を考えるのは当たり前の帰結だった。

 しかし、ランスロットは決してマシュの事を信じていない訳では無い。信じている……信じているがそんな彼女への負担を減らす為の考え。

 

 

「おーい、ランスロットさーん!」

 

 

 と、思考の海に沈んでいたランスロットを拠点制作を終わらせたのか立香の呼ぶ声が現実に引き戻した。

 

 

「ああ、すぐ行こう」

 

 

 わざわざ大声で呼ばなくてもいいのに、とランスロットは笑いつつ立香らのもとへ歩いていった。

 

 

 





────間違えない

────もう二度と間違えるわけにはいかない

────私は、貴方に会いましょう

────私は、貴方を救いましょう

────あの間違えを正さなければいけない

────貴方を疑った事こそ我が罪、貴方に剣を向けた事こそ我が罪

────我が胸に抱くのは騎士王の光ではない……我が胸に抱くのは湖の光だ

────故に聖杯よ、我が願いを聴けよ

   とある雷光の少女騎士の意志────


【注】フランス関係無いですこの娘は

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