Fate/Grand Order【Epic of Lancelot】   作:カチカチチーズ

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やっと終わったァ。
なんかアレ?と思う気もしなくもないですが…………

そういえばインフェルノ欲しくて十連をしてみたらなんと、金弓が来まして「おお!!」と思ったら出てきたのはアタランテ。
いや、好きだから嬉しいですよ?でも、でも、でもねぇ?

間違えてニコニコで剣豪のネタバレを見てしまい心が滾りました。
皆さんは間違えてネタバレ見ないように気をつけてくださいね?


竜の聖女2

 

 

 

 

────ッ!!

 

 

「────クッ」

 

『ォオオオオッ!!!』

 

 

 夜の森に響き渡るのは竜の咆哮。

 それは己を刻み続ける激痛によるモノと敗北してたまるものかという己への叱咤によるモノ、二つの意味を内包した咆哮であった。

 

 咆哮の主たる大鉄甲竜タラスクは目の前の己を切り刻んでいる騎士に咆哮しつつも内心感嘆の念を抱いていた。それは如何に姐さんと呼び慕う聖女マルタの宝具としてこの地にいるとしても竜種……その中でもそれなりに名の知れた強者たる己をこうも容易く切り刻んでいる為。

 主であるマルタにかけられた狂化は宝具であるタラスクにも影響を与えており、気を抜かせば次の瞬間にも暴れ回るしか能の無いマルタに打ちのめされる前の己に戻ってしまうと理解しているタラスクは目の前の騎士ならばそうなる前に己を殺してくれると判断した。

 

 だが、理解していても敗北というものは簡単に受け入れることが出来ないのがプライドというもの。

 

 

『ォオオオオッ!!!』

 

「────ッ!?」

 

 

 断ち切られたなど知らんと言わんばかりにタラスクは引っ込めていた足首から先のない右後脚を勢いよく突き出し騎士……ランスロットに叩きつける。

 予想外の事であったにも関わらず、すぐさまランスロットはアロンダイトの腹でその一撃を受け止めその衝撃を流し再び脚を動かしていく。

 重厚な身体のタラスクはその見た目に似合わぬ速度をもってランスロットを捉えようとするもののランスロットはその身に纏う全身鎧に合わぬ軽やかな動きでタラスクの攻撃を回避しつつ攻撃を繰り出していく。

 

 

「ランスッ!!」

 

「────チッ」

 

『グルゥッ!?』

 

 

 と、ここで場が動いた。

 噛み付き攻撃を放ったタラスクをランスロットはその大盾で受け止め、殴りつけた。

 無論、バーサーク・ライダーの拳に比べればそれは弱い。だが、怯ませるには十分で────

 

 

「斬る────」

 

 

 盾を手から放し、アロンダイトを両手で持ち大きく頭上に振りかぶって怯んだタラスクを睨み

 

 

────斬ッ

 

 

『────ッ!!!!!!』

 

 

 振り下ろされたアロンダイトはタラスクの額を割る。

 しかし、寸前で避けようとしたのかアロンダイトは浅くタラスクの額から鼻頭へかけて割いただけで殺す事は出来なかった。

 

 

「チッ、足りんか」

 

 

『グルルルル……』

 

 

 未熟、と吐き捨てるランスロットに疵から血を流しながらタラスクは唸る。

 

 ほとんど傷という傷はないランスロットに致命傷とは言わなくとも多くの疵を負ったタラスク。現状、未だ宝具の真名解放をしていない以上ランスロットへと天秤は下がる。

 

 

「ならば……満ちよ────」

 

 

 ランスロットがアロンダイトの刀身をなぞり、アロンダイトに光を灯してゆく。

 解放することでステータスの上昇を起こす無毀なる刃がその力を起こそうとして────

 

 

「タラスクッ!」

 

『オォォォッ!』

 

 

 

 ランスロットらから離れた位置でマシュらと戦っていたバーサーク・ライダーがタラスクを呼び寄せた。

 それを確認しランスロットはアロンダイトの解放を取り止めマシュらのもとへ向かっていく。

 

 

 

 

────────

 

 

 

 さて、もう少しで止めのさせそうなタラスクがバーサーク・ライダーに呼ばれてしまったわけだが。

 

 

「ボロボロじゃない……タラスク」

 

『スマネェ、姐サン』

 

「しゃ、喋ってます!?」

 

「うっそ、あの亀喋るの!?」

 

 

 割れたタラスクの額を心配そうに撫でるバーサーク・ライダーと彼女に謝罪するタラスク。そして、喋ったタラスクに驚くマシュとアストルフォ。口にしてはいないが他の皆も驚いているようだが…………

 

 

「驚いている場合か。まだ戦闘は終わっていない」

 

「ッ、ランスロットさん」

 

「そうだな。まだ、ライダーは倒れていない」

 

 

 俺は消した盾を持ち直しながら、アルは聖剣を握りながら、バーサーク・ライダーを見る。

 タラスクを手元に戻したという事はそういう事だ。

 防御力上昇の強化魔術をいくつか行使すれば恐らく盾で充分受け止めれる筈だが、さて。

 

 

「…………タラスク、行けるかしら」

 

『オウ、任セテクレ姐サン』

 

 

 そう言うバーサーク・ライダーに応えるタラスク。

 来るか。

 俺は盾に魔術を仕込んでいく。

 

 

『ッ!?大変だ魔力の増大を確認したッ!!宝具が来るぞ!!!』

 

「ッ!?」

 

 

「愛を知らない哀しき竜、ここに────」

 

 

 通信越しにロマンの警告が響くがしかし既に遅い。彼女、否タラスクはその四肢と頭部を甲羅に収め回転し始めている。

 今からでは遅い。故に俺はマシュらの前へと踊り出し────

 

 

「星のようにッ!!愛知らぬ哀しき竜よ(タラスク)ッ!!!!」

 

『────ッ!!!!!!』

 

 

「ッア!!!」

 

 

 回転突撃するタラスクを俺はその盾で受け止める。回転による衝撃は盾を通して俺の腕を身体を脚を潰しに来ている。恐らく今のいままでいいように斬られていた事のお返しだろう。

 だが、それでもガウェインの真名解放に比べれば問題は、な、く────ッ!?

 

 盾から見える微かな先。

 タラスクを受け止めながら多少の余裕があるからこそそれに気がつけた。

 

 

「ッ────マシュ!!宝具をッ!!!!」

 

「え、あ、はいッ!!」

 

 

 すぐさまマシュが俺の隣に走ってきて盾を構える。

 間に合うか?

 

 

「仮想宝具疑似展開────」

 

「────どうか目をお瞑りください」

 

「ッ!!」

 

 

 瞬間、タラスクを通して馬鹿みたいな衝撃が俺へと襲いかかる。

 重い。重い、重い。ただひたすらに重い。

 

 

「ハァァァァッ!!!」

 

人理の礎(ロード・カルデアス)────!」

 

「オォォッ!」

 

 

 宝具を疑似展開したマシュと俺の盾がタラスク……いや、バーサーク・ライダーが放つラッシュの衝撃を防いでいく。しかし、それでもその威力は計り知れず守護している筈の俺たちへと少しずつダメージを入れていく。

 ガウェインの宝具のように魔力が押し寄せてくるのならまだしも、このように物理的な衝撃が何度も来るものはキツい。まるでピクト人の群れが押し寄せて来ている時のようだ。

 

 

「────行くわよ!鉄・拳・聖・裁ッ!!!!!!」

 

『姐サァァァァン!!??』

 

「────きゃあッ!?」

 

「爆破……だとッ!?」

 

 

 バーサーク・ライダーの掛け声と共に今までのラッシュの中で一番の衝撃がタラスクを通ってこちらに走り────タラスクが爆破した。

 前世ではあくまで最後の一撃の威力がアレすぎてタラスクの甲羅が砕けたエフェクトかと思ったがまさか、本当にタラスクが爆砕するとは思わないィィィッ!!

 

 

「ッオオオォオッ!?」

 

「ッああああ!!」

 

 

 タラスクの体内の魔力がバーサーク・ライダーの最後の一撃によってタラスクが爆砕した事でそのまま解き放たれ俺とマシュに襲いかかる。俺はまだまだ大丈夫だが、マシュはキツそうだ。

 やはりまだ経験が足りなかった…………いや、これもまた経験だ。これから先きっとこのタラスクよりも強い者がいるだろう。その為にもこれはきっと大切な経験となる。

 

 そして────

 

 

 爆砕した魔力が弱まり、先が僅かに見える。

 

 

「ここか────」

 

 

 盾を放り、アロンダイトをもって魔力の中を突き進み振るう。

 

 

「かハッ」

 

 

 振るったアロンダイトはバーサーク・ライダーの肩から脇腹にかけて大きく切り裂き、血飛沫が飛び散る。

 

 本来ならば彼女はこの一刀を避ける事は出来ずとも最小限の傷に抑えただろう。

 しかし、彼女には黒ジャンヌがかけた狂化があった。彼女はその狂化した己を律していた。

 要するにそれが結果を分けたのだろう。

 

 

「……カフッ…………そう、ここまでね」

 

 

 傷から大量の血を流し、血を吐きながらバーサーク・ライダー……マルタは満足そうにしかし残念そうにそう呟いた。

 

 

「マルタ……貴女は────」

 

「これでいい、これでいいのよ。まったく聖女に虐殺なんてさせんじゃないわよ」

 

 

 ジャンヌの言葉を遮り、マルタは言葉を続けていく。

 

 

「……いい。最後に一つ教えてあげる。『竜の魔女』が操る竜に、貴女たちは勝てない……万が一はあるでしょうけど確実にする為には……コフッ…………リヨンに行きなさい。竜を殺す人に会うために…………」

「……タラスク。ごめんなさい、次は……もう少し真っ当に召喚されたいものね」

 

 

 消えていくマルタ。彼女は最後に俺の方を……いや、俺の盾を見て

 

 

「……そう、その盾。いえ、その中身……そう、あの人を穿いた…………」

 

 

 この盾の中身に気がついたのか、彼女は何処と無く悔しそうな表情でこのフランスから消滅した────

 

 

 

「聖女マルタでさえ、逆らえないなんて……」

 

「召喚された事に加え狂化を付与されれば仕方ない……今は彼女の残したモノを」

 

 

 ジャンヌの悲壮の言葉に俺は言葉を被せ、マシュに治癒を施す。

 俺の言葉にヴォルフガングは頷き

 

 

「そうだね。彼女のおかげで次の目的地が定まったわけだ」

 

「リヨン────」

 

「彼女がああ言った以上、既に壊滅しているだろうが…………」

 

「行く価値はあるでしょう」

 

 

 アストルフォ、ジャンヌ、アルの傷を治癒し俺は野営の準備を始めていく。もう既に空は暗くなっている。今は彼女との戦いでの疲れを癒し明日に備えるべきだ。

 俺がその旨を立香らに伝え指示を出そうとして────

 

 

『すまない。ちょっと少し僕から提案がある』

 

 

 ロマンの言葉がよく響いた。

 

 




果たしてロマンの提案とはいったいッ……!!


そういえばようやく我がアズールレーンでオイゲンを迎えることが出来ました。
それと、作者の別作品の『鉄血の死神』ですが続きが出てこないのであそこを作者の妄想置き場にしたいと思います。もし、あそこが更新されたら作者は悩んでると察してください。

Twitterもやってるので気になる方はどうぞ
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