Fate/Grand Order【Epic of Lancelot】 作:カチカチチーズ
いや、ほんとすいません。許してください何でもしますから……ランスロットが(おい
ちょいといろいろありましてですね?雨の中、近場のスーパーに行かされたり今朝当てたばかりのインフェルノちゃんを育てたりとか……
そう、インフェルノちゃんが当たったんですよ!!
いやぁ、財布がインフェルノにならなくてよかったよかった
そういえばロマンの提案って何だったんですかね?
「────そう、ライダーが死にましたか」
特異点・フランスの某所にある城内でジャンヌ・オルタが静かに苛つきを混じらせながら彼女はそう呟いた。
「流石は聖女ですね。狂化していたというのにどうやら理性が残っていたとは困りものです」
呆れたような彼女の言葉に近くにいた大柄な奇妙な出で立ちをしギョロりと目が飛び出た男はややオロオロとする。
そんな男を一瞥し、ジャンヌ・オルタは言葉を告げる。
「とはいえ、彼女は全力で戦ったのでしょう。それを葬り去ったとは……いえ、あのランスロット卿とイングランドの冷血女がいる以上ある意味仕方がないでしょう」
「次は私と……彼も連れていきましょう。今回召喚したサーヴァントらも引き連れて」
「おお、ジャンヌ。貴女が出るまでもないでしょう!」
ジャンヌ・オルタの言葉に男が悲痛の声で叫び止めようとするがしかし、ジャンヌ・オルタは男に面倒くさそうな目を向けて……
「黙りなさいジル。相手は彼のランスロット卿、田舎騎士と謗りはしました。しかし、もはや卿を侮る事は出来ない、ならば私と彼も出陣せねばならない」
「ですがッ!!」
「くどいっ!」
ジャンヌ・オルタの放った言葉に男────ジル・ド・レはそれでも食い下がるがしかし、ジャンヌ・オルタは軽く炎を放ちジル・ド・レェに距離を取らせる。
驚き仰け反り下がったジル・ド・レェを一瞥してジャンヌ・オルタは出口へと足を向ける。
「バーサーカー、アサシン行きますよ。…………少しややこしいわね。真名でいいでしょう」
出口へ向かっていくジャンヌ・オルタに付き従うように二騎のサーヴァントがその姿を現す。
一方は黒い全身鎧を身にまとった騎士。一方は焦げ茶に近い色合いのコートに一本の剣を握った白髪の青年。
「キャメロットが騎士、エクター・ド・マリス。
処刑人、シャルル=アンリ・サンソン」
「ワイバーンに乗りなさい、私が先導します」
「────────Frère」
「……了解しました、マスター。王妃の首の話なら、僕以外に適任はおりません」
ジャンヌ・オルタの言葉に応える黒い騎士────エクター・ド・マリスと白髪の青年────シャルル=アンリ・サンソン。
ジャンヌ・オルタは彼らを率いてこの場を後にした。後に残るのは焼け焦げた絨毯とジル・ド・レだけ。
「…………いったい、どうなされたのかジャンヌよ」
そんな言葉がその場に静かに響いた。
────────────
「…………眠い」
「先輩、大丈夫ですか?」
「あー、うん。大丈夫……」
どうも、とても久しぶりな私視点。
何を言ってるのか分からないだろうけど大丈夫、私もよくわかってないから。
昨晩のバーサーク・ライダー襲撃と亀竜───後でタラスクという名前をランスロットさんに教えて貰った───爆散☆事件から少し色々あって身体を休める為に森で夜営したわけだけども少し寝付きが悪かったのか私はとても眠かった。
なんでだろう。
「…………ふむ、眠気覚ましに何か入れようか?」
「え、大丈夫ですよ?……というか何かあるんですか?」
「ああ、昨晩のカルデアからの物資で少しな」
そう言ってランスロットさんは腰に下げてる袋から紙コップとココアの粉袋を取り出してみせた。
え?お湯は?牛乳は?その辺はどうするんですか?
「…………水を置換すればいける。かもしれない」
「目を見て言いませんか?」
目を逸らしながら言うランスロットさんに私は冷静にツッコミを入れるとランスロットさんはぎこちなく笑って紙コップとココアの粉袋を腰の袋にしまった。
ってしまうんですか。
「ランスロットさん、しまうんですか?」
「……ああ、流石にお湯やら牛乳やらに置換した事がないのでな。ここは大人しくしまうとするさ」
マシュのツッコミにもランスロットさんは笑ってすませる。
…………なんだろう、今日のランスロットさんは何かいつもと違う気がする。何かを隠しているかのような印象を受ける。
そんななんとなくな違和感に私が首を捻っていると街の方からマリーが戻ってきた。
というかあのマリー・アントワネットを呼び捨てとか絶対に出来ないなこんな経験。
「みんなー!情報を貰ってきましたー!」
「すいません、マリー。私が街にいるとそれだけで大騒ぎなので……」
「気にしないでジャンヌ。お互いにサーヴァントなのだから、ね?」
「……はい」
尊い。
決して百合ではないが見目麗しい女の子が仲睦まじいのを見るととても安らぎを覚えてついでに自分が如何に汚れているのかを感じてしまう。つらい、でも尊い!
さて、興奮するのはそこまでにしておいてマリーが聞いてきたという情報に集中しよう。
「マリー、それで情報というのは?」
「ええ、聖女マルタが教えてくれた都市、リヨン。結論から言うと、リヨンは少し前に滅ぼされました。そこから逃げてきた難民たちがいて教えてくれました」
「…………そうか。しかし、仮にも聖女だ。狂化を抑えつけていた以上世迷言ではないだろう。何かあるんだな?」
ランスロットさんに促されてマリーが情景について話したが……もう滅んでいるなんて。
でも、マルタって黒ジャンヌのサーヴァントだったからそっち側としてリヨンを滅ぼす一員だったわけで…………んん?
駄目だ。頭がこんがらがってきた……私そんなに頭弱いキャラだったっけ?これでも世界史日本史のテストは毎回一位だったんだけどなぁ。
と、ランスロットさんが何やらマリーに言っていたような気がするが私は脳内思考がはちゃめちゃになり始めてわからんて。
「ええ、なんでもリヨンには守り神がいたそうなの」
「守り神……ですか?」
「大きな剣を持った騎士様がワイバーンや骸骨を蹴散らしていた、とか」
「……なるほど、それが恐らくマルタの言っていたサーヴァントなのだろう」
何やら話が進んでいってるけども、一回外れてしまったからなかなか入り込めない……
チラリとランスロットさんやマリー、マシュたちから目線をずらせば少し離れた所で何やら話し合ってるアストルフォとモーツァルトが目に入り、そのまた離れた所でランスロットさんが昨晩カルデアから物資の一つとして送らせた外套を羽織って何やら機嫌のよさそうなアルトリアさんたち。
うん、どうしよう。
「……なるほど、元帥ジル・ド・レェが……合流は出来ないな」
「ですね、今の私は……」
「そう?なんだか少し違う気もするのだけど……」
…………うん、フォウくんと遊んでよう。
「フォーウ」
────────────
既に場所は街の外から移り変わり、ジャンヌ・オルタの一団によって滅ぼされた都市リヨン。
やはり、というべきかマリーが街で得た情報通りリヨンは既に廃墟と化していた。建物は崩れ焼け焦げた木材が転がり何処と無く死の臭いが漂う。
「……誰も、いませんね」
「ドクター、生体反応は────」
『………………』
マシュが縋るようにロマンへとリヨンの生体反応の有無を聞くも通信が乱れているのか反応は何も帰ってこなかった。
「通信の調子が悪いようだな…………」
「はい……あの、手分けして聖女マルタが言っていた『竜殺し』を探しましょう」
「ええ、どちらが早く見つける事が出来るか競走ね。私とアマデウスは西側ね」
「え、あ、はい」
通信により有無がわからない事で気落ちするマシュを、場の空気を和ませようとマリーが明るくそう提案した。
ランスロットは渡りに船と言わんばかりにそれに乗った。
「なら、ジャンヌとマシュにアストルフォ、立香は東側を頼もう」
「あ、はい。アレ?ランスロットさんはどうするんですか?」
立香のふとした疑問にランスロットはしばし考えてそれに答える。
「俺たちはこのまま真っ直ぐいく。分かれることになるがその間は独自の判断で動いてほしい」
「独自の判断……」
「ああ、ここだけでなくこれから先の特異点でも分かれて行動する事がある筈だ。その為の予行練習……みたいなものさ」
「あぅ……」
そう言って立香の頭を軽く撫でつけ笑う。
それに立香は少し頬を染め、見ていたマシュはその表情を顰め、アルトリア・オルタは無表情で見ていた……ガリッと何やら口許から音が漏れているが。
「さて、それでは行くか」
「はい!」
こうして、ランスロットらは三組に分かれリヨンを探索する事となった。
ランスロットらと分かれてから数分もしないうちに立香らはその足を止め戦闘に入っていた。
相手取るのは数十を超える
「はあァっ!!」
「そりゃあ!!」
「せいッ!」
しかし、
「っ!、マシュ後ろ!!」
「はい!先輩っ!」
成長しているのか立香も後ろで見ているだけでなく時折的確な指示をマシュたちへと飛ばしていた。ランスロットの狙い通りの成長にその事を聞かされていたアストルフォは一人その成長に喜び笑う。
暫く戦闘が続き、最後の一体をジャンヌが砕いた。
『────』
「ふぅ……これで掃討は終了ですね。彼らの魂に安らぎがあらんことを───」
「安らぎ……安らぎを望むか……。それはあまりに愚かな言動だ……」
「ッ!?」
最後の一体を砕き、一息ついて魂の安息を願おうとしたジャンヌ、しかし唐突に聞こえた言葉にジャンヌは……マシュ、立香、アストルフォたちは皆一様にその声のした方へと振り向く。
そこにいるのは一体の奇妙な男。
「彼らの魂に安らぎはなく、我らサーヴァントには確実性存在しない────。
この世界はとうの昔に凍りついている……」
「……サーヴァント!」
「───何者ですか!」
まるで歌うように話すサーヴァントにジャンヌは問いかけ、やはり歌うようにサーヴァントはそれへ応える。
「然様。人は私を────
「竜の魔女の命により、この街は私の絶対的支配下に────」
「そうか、つまりは不信心者だな?」
刹那────
一閃。
意見感想お持ちしております。
今回は少し早足感あるなと思います。