Fate/Grand Order【Epic of Lancelot】   作:カチカチチーズ

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どもどもお久です。
遅かった理由はですね…………ちょいとログレスに戻ってきてと頼まれたり、紅眼について考えてたり、まだ投稿する気はないですがチーズがやらかした話とかやってたりしたらこうなりました。

刑部姫欲しくて回したら金色アサシン。
来た見た勝った!
カーミラ「私よ」
死んだ




Frere

 

 

 

 

「────!!」

 

「怯むなッ!!いけぇ!!」

 

「水を被れば多少火は抑えられる!!」

 

 

『────!!』

 

『────!!』

 

 

 

 フランス軍とワイバーンの群れがぶつかり合い互いの咆哮が号令が戦場に響き合う。

 それらを背に俺たちカルデアはワイバーンを率いているサーヴァントと対面していた。

 

 

「…………」

 

「……Lance…………」

 

 

 本来の歴史における俺と同じ出で立ちをした黒騎士と焦げ茶に近い色合いのコートを着込んだ白髪の男。

 既にワイバーンから降りているこの二人に対して未だバーサーク・アサシンはワイバーンの上。どうやらしばらく高みの見物を決め込むようだ。

 まあ、別にしたければすればいい。元々アレの相手は俺じゃない。

 

 

「……野郎……!」

 

 

 さて、睨み合いの最中、合流したヴォルフガングが二人のうち一人、まあ言うまでもなく焦げ茶のコートを着た男を見て顔を顰め言葉を漏らす。

 ああ、そうだな。彼とお前は仲が悪いな……お前が仮面を付けるとアレだが。

 

 

「───まあ、なんて奇遇なんでしょう。貴方の顔は忘れたことがないわ、気怠い職人さん?」

 

「それは嬉しいな。僕も忘れた事などなかったからね。懐かしき御方、白いうなじの君」

 

 

 マリーと彼……アサシンのサーヴァント、シャルル=アンリ・サンソンの会話が始まる。

 ならば、もういいだろう。

 こうして見たのだ。

 お前はバーサーカー。対話は出来ない。

 故に────

 

 

「行くぞ────」

 

 

 会話するマリーらを無視して俺は黒騎士へと迫りその頭部を掴みそのまま場所を離れた。

 

 

「Frere!!」

 

「応ともさ!」

 

 

 彼らから離れた場所でバーサーカーはその手の剣を振るい俺の手から逃れる。

 ああ、今の言葉でもはや確定した。

 目の前にいるサーヴァントが本来の歴史のランスロット・デュ・ラックなどではなく────

 

 

「エクター。何故バーサーカーなどで呼ばれているのかは……俺には分からない話だ」

 

「……Lan……ce……」

 

 

 無毀なる湖光を構える。あちらもその手の剣を構える。

 思えば、生前の知己と会うのはこれが四人目か。サーヴァントの知己としてはこれが三人目。

 

 

「見るに堪えん。せめてもの慈悲だ、一撃で殺す────などとは言わんよ」

 

「────!!!」

 

 

 距離を詰めて振るわれる剣を回避しながらアロンダイトを振るい刀身の腹でエクターの側頭部を殴りつける。しかし、エクターは無理矢理に身体を動かし引き戻した剣で受け止めた。

 無理矢理動かした為か硬直するエクターに俺は蹴りを入れて後ろにさがる。

 

 しかし、さがった俺にエクターはすぐさま追いかけ連続で突きを放ってくる。

 無論、受けるつもりはなく俺は姿勢を低くしそれを避ける。その際にエクターの姿勢を崩すために脚を払う。

 

 

「────!!」

 

「ラァ!!」

 

「────ッ!!??」

 

 

 脚を払われ姿勢が崩れたエクターの顔面───フルフェイスの兜だが───にアロンダイトの柄頭で殴りつける。

 如何にサーヴァントといえどもフルフェイスの兜の中で反響する金属音にやられたのか、一瞬フラフラとする。

 その隙を逃さずエクターの肩を蹴り、エクター自体を吹き飛ばす。

 

 

「────ァァ!!」

 

「ふぅ……さて、アイツの宝具は」

 

 

 なんだったか。

 エクターの宝具……剣?アイツがそういう聖剣やら魔剣やら特殊な剣を持っていた記憶は無い。弓?槍?まさか、アイツは剣しか使わなかった。

 となると、逸話を昇華した宝具か?

 

 エクターの逸話……なんだったか。

 召喚された際に付与された知識の中にエクターの逸話もあるのだろうが……まったく思い出せん。

 

 そんなに薄い逸話なのだろうか────と、俺がそう考えた瞬間、吹き飛んだエクターが咆哮しながらあるものを構えた。

 

 

「Frere!!!!」

 

「────いや、待て待て……なんでそれを持ってる!?」

 

 

 

 構えられたソレを見て俺は目を見開く。

 赤い葉脈が走った黒いガトリング砲。記憶にある限り確かそれはFate/Zeroでバーサーカー・ランスロットが戦闘機から手に入れた20mmガトリング砲「バルカン」だった筈だ。

 だがしかし、それはあくまで本来のランスロットが手に入れた武装で……宝具『騎士は徒手にて死せず』で擬似宝具化したものだが…………。

 

 

「サーヴァントが現代兵器を持ち出すなッ!!」

 

 

「Frereaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!!!!!!」

 

 

 

 無毀なる湖光に湖光を纏わせ、鎧に魔力を流して強化を施す。

 次の瞬間にはエクターにより構えられたガトリング砲から無数の銃弾がばら撒かれる。

 

 

『────!?』

 

「ギャアァ!?」

 

「ガァァ!?」

 

『────!!??』

 

「チィィィ!!」

 

 

 ばら撒かれた銃弾は敵味方問わず牙を向く。

 ワイバーンの翼膜はズタボロに穴が空き甲殻は砕かれていく、フランス兵はその鎧をまるで紙を破るかのように貫かれ死んでいく、そして俺は無毀なる湖光で弾いていく。逸れた銃弾が鎧の端々に当たるが魔力で強化されているためそれは簡単に弾かれる。

 

 

「流石に弾幕を弾くのは未経験だぞ!?」

 

 

 未経験故に少しずつ銃弾が当たり始める。

 しかし、それでも主だって当たりそうな銃弾はきちんと弾けている。

 さて、残弾はいくつか────

 

 

 

 

────────────

 

 

 

 

 

 さて、久しぶりだね?

 そう、私だ。

 

 と、自己紹介はそこらにしておいて役目を果たすとしよう。

 

 王の話ではなく今回はエクター・ド・マリスの話をしよう。

 彼の逸話はとても少ない。それは彼がアーサー王伝説について主だった人物ではないからというのもある。まあ、単純に兄であるランスロットの影に隠れてしまっているというのもあるだろう。事実、そのせいでエクター・ド・マリスはランスロットを陥れようとしたのだからね。

 

 エクター・ド・マリスはキャメロットの騎士としてそれなりに強い人物だった……まあ、惜しくも円卓の騎士には封じられなかったがね。

 実力としては申し分なかった、なにせ知らなかったとはいえ聖杯探索中の円卓の騎士であるパーシヴァルに槍試合を挑んで負けたとはいえパーシヴァルに重傷を負わせたのだからね。では、何故円卓の騎士になれなかったかというと……そうだね彼は次期円卓の騎士であったボールスとその次期円卓の騎士をかけて試合をし負けたからだ。

 つまり、その実力自体は円卓の騎士と同レベルという事さ……まあ、周囲からはあのランスロットの弟として見られていたからある意味当然だろうという評価しかなかった。ようするに本人ではなくランスロットの弟という色眼鏡を通して見られていたのさ。

 

 

 さて、エクター・ド・マリスには後の世に知られている逸話が三つほど存在している。

 一つ目は先ほど話した円卓の騎士パーシヴァルに勝るとも劣らぬ実力だろう。

 彼には聖剣がなかった。魔剣がなかった。特殊な槍がなかった。特殊な馬がいなかった。特別な弓がなかった。

 特別な力なんて────たった一つを除いて存在していなかった。そんな彼が円卓の騎士の一人との試合でそんな凄い結果を残したのは本当に凄い。

 

 

 二つ目は特別な力を持たなかったが故に湖の乙女へと願い手に入れた腕輪だろう。

 異母兄であるランスロットには湖光を宿した決して折れぬ不朽の聖剣と乙女より与えられた魔術、従妹であるライオネルには乙女より与えられた魔術と自分の兄である筈のランスロットから託された聖浄の剣。もう一人の従弟であるボールスにも特別なものがあった。

 そんな彼が湖の乙女に恥を承知で自分に何かを与えてくれる様に乞い願った。

 その結果、手に入れたのは一つの魔法の腕輪。それは所有者が持つ武器全てを強化し、聖剣といかずともそれでも一級品の業物へと変化させる素晴らしい腕輪。

 それを手に入れた彼は乙女に感謝し、その後様々な武勲をあげた…………それが後の世に伝わっている逸話。ここから先が僕たちその時代に生きた者が知る話……ランスロットはそんな彼を嘲笑うかのような事をしてみせた。

 ちょっととある廃城に巨人が現れたという話があってね、とりあえずアグラヴェインがランスロットとエクター・ド・マリス、ガレスにそれの討伐を命じた。エクター・ド・マリスとしては……面倒になったなアルトリアの養父であるエクターと被るけどこの後はもうエクターでいいか。

 エクターとしては手に入れた腕輪の力を兄に、可憐なガレスに見せようとしたんだろう。ランスロットのアロンダイトに似せた剣を腕輪の力で一級品の業物に変えて意気揚々と巨人へと挑んだ……だが、剣は巨人の纏う鎧に弾かれてしまう。ならば、隙間を狙おうも上手く入らない…………呆然としたエクターの目の前でランスロットはとんでもない事をやらかした。

 廃城の周辺にあった嘗ての建物の瓦礫、そこからまだそれなりに形が残っていて堅い木材を引っ張り出したかと思えばそれをあろう事か巨人の首へと叩きつけた。普通ならそんなのは意味が無いと思うだろう、というか千里眼で見てた僕もそう思った……けどランスロットは魔力で強化していたのか木材はそのまま巨人の鎧を貫いて首を穿った。

 

 いやぁ、僕もアレは驚いた。馬鹿じゃないの!?ってつい叫んでしまったよ。そのせいで近くを通りがかったライオネルに馬鹿なのは貴方じゃないですか?って言われてしまったよ。

 まあ、見てた僕からはそんな笑い話だがエクターからすればたまったもんじゃない。自分は宝物を得て可能となった事を兄は魔力でやったんだからね…………。

 

 

 

 そして三つ目。これはそれなりに有名な逸話の筈だ。

 エクターとランスロットによるカーボネックのエレイン姫をかけての試練。

 まあ、これに関してはアレなんだけどね。ランスロットとエレイン姫は出会った瞬間、互いに惹かれ合う……俗に言う一目惚れな間柄だったんだが、そんな二人にエクターが割って入った。何時も何時も兄に負けている為に起こしたちょっとアレな思春期の男兄弟にあるようなアレだよ。え?そういうのはない?そんなのわからないだろ。

 ともかくエクターの横槍によりランスロットはエレイン姫との楽しい愉しい結婚生活の為にエレイン姫の父である漁夫王ペラムの代わりに審判を要請されたライオネルから出された三つの試練に挑む事となった。

 

 まず最初の試練は当時カーボネックの周辺で暴れていた二頭のキメラの討伐。まあ、言うまでもなく円卓の騎士であるランスロット、円卓の騎士並の実力であるエクターにとっては造作もなく討伐された。

 次に出された試練は早駆けだ。これは確か、妻の窮地にすぐさま駆けつけなければならないとかそんな理由での試練だったかな?意外や意外、これはエクターの勝利だった。実は騎乗スキルがエクターはランスロットを上回っていたようでね……いやぁ意外な才能だった。

 と言ってもランスロットにはその差を埋めて余りある愛馬がいた。灰色の駿馬シフは当時の馬の中でもアルトリアのドゥン・スタリオンやラムレイと互角なほどの名馬でね……では何故ランスロットは負けたか?それは早駆けの途中で困っていた民草を助けていたからで……まあ、これは運が悪かったとしか言えないね。いや、でもエクターは凄いよ?もしランスロットにシフがいなければ普通に負けていたんだから。

 

 最後の試練、それは二人の決闘だよ。まあ、刃引きはしたものでやり尚且つ殺さないがルールでだけどね?結果は察せって話さ。

 無事エレイン姫はランスロットと婚姻を結び楽しい愉しい子作り生活が始まったわけだ!……だがその裏でエクターは劣等感に苛まれていたんだがね。

 

 

 こんな三つの逸話が彼にはある。

 内の二つが結果的にランスロットの命運を決めてしまった。

 積もり積もった劣等感はエクターの精神を蝕みそして…………カムランの戦いでランスロットの部隊を孤立させた。エクター自体は本当にランスロットが裏切ったと思っていたはずだ。自分が原因の一つであるにも関わらずね…………

 恋した王妃は自分ではなく兄に好意を寄せ、自分の成した事を平然と超えてみせる兄……いやはや、劣等感で心が蝕まれてしまうとはねぇ……

 

 

 かくして彼のクラスは定まった。

 死ぬ間際までおのが狂気に気づけなかった彼が得たクラスの一つそれは『バーサーカー』。

 

 さあ、頑張ってくれよランスロット?

 

 

 

 




紅眼の更新ですがTwitterで少しアンケをしまして……更新出来る時にちょいちょい更新していくことになりましたのでしばらくお待ちを……

エクターの宝具はランスロットと同じ『騎士は徒手にて死せず』です。但し、擬似宝具化出来るのは剣や弓、槍などといった一般的な武器だけです。ランスロットは枝でも豆腐でも木材でもいけます。


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