Fate/Grand Order【Epic of Lancelot】   作:カチカチチーズ

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番外です。
アンケートで出されたものを使いました。




書きたいから書いた

 

 

 

 

 

 

 

拝啓、我が妻エレイン、息子ギャラハッド

 

 家長であり特異点調査班の現地指揮を任されている俺だが、どうやら日頃の疲れが溜まっているらしい。

 度重なる特異点調査、サーヴァントらとのコミュニケーションなど多忙な毎日。

 ロマンに言われ俺は次の特異点が見つかるまでしばしの休暇を過ごす事となった俺は一先ずマイルームのベッドに横になったわけだが…………

 

 

「どうしてこうなった…………!」

 

 

「……?どうしましたランスロット」

 

 

 頭を抱える俺を心配するように声をかけるのはアル。しかし俺と契約している黒つまり反転したアルではなく本来のアルトリア・ペンドラゴン。

 これは夢なのだろう。

 アルがいるだけならただの夢と一蹴する。だが、これは尋常の夢ではない……!!

 

 

「頭を抱えてますが大丈夫ですか?ランスロットさん」

 

「いつもの事だ気にするな」

 

 

 更に目の前のアル以外に心配する声といつもの事と一蹴する声を聞いて俺はより一層頭痛が辛くなってくるというか胃痛ががががががが

 横目でその声の主らを見てみればそこにいるのは二人のアル。

 だが、本来のアルトリア・ペンドラゴンではなく…………

 

 

「オルタ……とこの場合リリィと言えばいいのか……」

 

 

 いつもの反転したアルトリア、そして白百合の騎士王……選定の剣を抜きすぐに王とならずマーリン、ケイ卿と共に修行の旅に出たというIFのアルトリア。

 此処にいるのが誰か一人なら俺もこうはならなかった……だがしかし此処にいるのは一人ではない…………

 

 

「はい!リリィと呼んでくださいランスロットさん!」

 

「ふ、歓喜しろ」

 

「冗談は寝て言え」

 

 

 本当に辛い。助けてくれエレイン、ギャラハッド。

 

 

「さて、ランスロット。早速ですが料理を作ってください」

 

「早速すぎてビビる……!」

 

 

 俺はより一層頭を抱えてから、立ち上がる。

 少なくともオルタもリリィも要求する事を考えると三人分……いや、此処にいるのはアルトリア、オルタ、リリィ……だが、だが、

 

 

「他にいないとは限らない……!!」

 

 

 そう、この三人だけなわけがない。

 衣装違いはあくまで衣装違い。恐らくサンタやら水着やらはいなくとも……槍やXの可能性が捨てきれない。辛い。

 それらを考えると七人分もの料理を用意しなければならない……だが、和菓子は流石にすぐ用意など出来んぞ?

 そう思い食堂へと入るとそこには────

 

 

「おや、ランス」

 

「遅かったな」

 

 

 やっぱりか────!!

 

 食堂のテーブル席に座っているのは二人の英霊。青と黒。

 本来の彼女より成熟した姿の二人。すなわちそれは槍のアルトリア。

 

 

「……ああ」

 

 

 この場合、俺はなんて呼べばいいのだろうか。槍のアル?槍のオルタ?

 わかるかッ!?

 ともかく俺は厨房に立ち、冷蔵庫から食材を取り出し包丁を愛用のモノに置換し、愛用の黒エプロンを付けて

 

 

「────円卓最強乃ち料理においても最強よ」

 

 

 若干テンションおかしくね?と思いつつ俺は料理へと取りかかった。

 

 

 

 

 

 

 

────────────

 

 

 

 

 

 

 気がつけば俺は何処かに召喚されていた。

 アルトリア軍団に料理を出していた筈だが何故召喚されるのだろうか。夢だからか?マーリンのせいなのか?マーリン殺す。

 

 召喚の際の光に煩わしさを感じつつ俺は瞳を開ける。

 どうやら、いつも通りの鎧姿らしい。これでエプロン姿だった時には笑うしかないからな。

 

 

「……サーヴァント・セイバー、真名を湖の騎士ランスロット・デュ・ラック。問おう貴様が我がマスターか?」

 

「…………」

 

 

 召喚の口上を告げ、俺は召喚者を見る。

 そこにいるのは見知った制服を着た黒い髪の少年と薄紫色の髪で片目が隠れた少女。

 OH…………

 

 

「え、あ、へ!?ラ、ランスロット!?」

 

「ど、どういう……!?」

 

「…………また面倒な」

 

 

 慌てふためく二人に俺は胃痛を感じつつ察する。

 落ち着きを取り戻した二人に俺は召喚部屋の外にある待機室にて、此処で待っているようにと言われとりあえず座って待つことにした。

 あの二人があのような反応をしたという事はそういう事なのだろう。

 とりあえず、予想が正しければ盾で殴る事を心とギャラハッドとエレインに誓いながら待っていると…………

 

 

「え、ええっと……」

 

「セイバーでいい。状況は察した」

 

 

 待機室の扉が開き俺をどう呼ぶか迷った彼に俺は真名でなくていいと伝え、立つ。

 彼と隣の彼女の背後には何人かおり、そのどれもが知っているもの。

 

 

「それじゃ、セイバー……君の真名がその……」

 

「ランスロット・デュ・ラック。嘘偽りなど何も無い。アヴァロンに眠る我が騎士王と我が妻子、そして湖の乙女に誓ってな」

 

「………………えっと、そう言ってるんだけど」

 

 

 不安な表情の彼は背後の人物らにそう言う。

 金髪に青い衣服を身にまとった騎士王、赤い髪に細目の騎士、白い鎧の王子の様な風貌の騎士、騎士王に似た顔の我が剣の弟子、銀腕の騎士、そして

 

 

「………………」

 

「…………ふむ」

 

 

 紫紺の髪に白い鎧を纏った見覚えのある騎士。しかし、アレではない。

 

 

「なるほど、卿は私と同じであるが違うのだな」

 

「……卿はいったい」

 

 

 困惑した表情の男にもう一度俺は告げる。

 

 

「ランスロット。それ以下でもそれ以上でもない」

 

「…………」

 

 

 見れば見るほどこの男はアレに似ている。だが、アレとは違う。

 

 

「待て。割り込むようで悪いが貴方はランスロットなのですか?本当に?」

 

「無論。少なくとも我が魂が記憶が私をランスロットと認めているが……信じられぬか騎士王」

 

「…………いえ、どうやら、嘘はついていないようですね」

 

 

 直感と俺の言葉に納得したのか騎士王は簡単に引き下がった。

 やはり、騎士王の直感というものは信頼出来るな。

 

 

「えっと、じゃあ、ようするにアーサーみたいに別世界のランスロットって事なのかな?」

 

「ふむ、その別世界の騎士王という事に些か興味があるがそれに間違いはなかろう。こちらの騎士王及び円卓の騎士が知らねばそうなる」

 

 

 彼の言葉に俺は首肯する。確かに俺はこの世界においてプロトアーサーと同じような存在となるのだろう。

 さて……

 

 

「……して、卿よ。召喚にあたりある程度知識が付与されるわけだが…………卿の逸話は真か?」

 

「へ?あ、ああ……残念ながら本当だ」

 

「そうか」

 

 

 そうかそうか。つまり、寝取り騎士か。

 よし、求められてないだろうが一発だけ殴ろう。

 

 

「では、この世界のエレインとギャラハッドらを想い身勝手ながら一撃殴らせろ」

 

「何故に!?」

 

「己が仕える王の王妃と蜜事を交わすとは何事か!」

 

「ゴフッ!?」

 

 

 俺の放ったアッパーカットは見事にこちらのランスロットの顎へと入りそのまま吹き飛ばす。

 吹き飛んだランスロットを他の騎士たちは受け止めず避ける。

 

 

「見事です」

 

「素晴らしく綺麗に入りましたね」

 

「おお……ランスロット、映像に残せなかった事が私は悲しい」

 

「思いっきり飛んだな、おい」

 

「良くやってくれました」

 

「え、ちょ、マシュ!?みんな!?というかランスロット!?」

 

 

 他の円卓の騎士は俺のアッパーカットを賞賛するだけでランスロットの心配をするのは彼だけ。

 いと哀れなり。ザマァ。

 

 

 

 

 

 

────────────

 

 

 

 

 

 

「────はっ!?…………夢か。ああ、夢でも胃痛ってするんだな」

 

 

 

 





ちょくちょく出してきますね

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