Fate/Grand Order【Epic of Lancelot】   作:カチカチチーズ

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前回、次の日に投稿すると言ったにも関わらず一日空いてしまったのにはきちんとした理由があります。
まず本来休みだった仕事が私情で休みになってしまった人の代わりに仕事に出て、仕事終わりに友人に食事に巻き込まれ、終わったのが日にちが変わる頃だったのでそのまま寝てしまったからです。
許してください、なんでもしますからランスロットが!



胃痛は忘れた頃にやって来る(かもしれない)

 

 

 

 

「…………と、いうわけです」

 

 

 マシュとジャンヌによる各々の報告を受け、俺はひとまず頷く。

 ……ああ、今俺たちはリヨンの外から退散し放棄された砦へと腰を下ろしあの戦場での戦いを報告し合っていた。

 ジャンヌ、アル、ヴラドの三人は丁度リヨンへと向かっていた途中のフランス軍を襲いながらも向かってきたバーサーク・アサシン率いるワイバーンどもとぶつかったらしいが…………。

 あろうことかヴラドがバーサーク・アサシンの宝具を食らいそうになったジャンヌをすんでのところで庇い宝具を食らったそうだ。しかもその後、無理矢理宝具を内側から破ってバーサーク・アサシンを仕留めたようだ…………何してんだ、おい。

 

 

「(いや、ジャンヌを守ってくれた以上、責めることなんて出来ない……出来ないが……なぁ)」

 

 

 だとしても流石に無茶しすぎだろうに。

 いや、決してジャンヌを見捨てていいという訳ではなく、それに状況を聞く限りワイバーンが多くまとわりついてきて宝具で防御するにも出来なかった様だからな。………………いや、今回は流すとしよう。

 

 次に立香、マシュ、アストルフォ、マリー、ヴォルフガング……そしてジークフリート。

 この六人……と言ってもジークフリートはジャンヌ・オルタの呪いに蝕まれていて戦闘は出来ないようで、どうやら戦闘中はアストルフォのヒポグリフの背に乗せられて休ませられていたらしい。

 ともかくジークフリートを抜いた五人でシャルル=アンリ・サンソンとワイバーンの群れにぶつかり、そして逃げられはしたものの致命傷とはいかなくとも手傷は負わせたようだ。

 

 ふむ、まだまだと言わざるを得ない。が、そもそもエクターとの一対一に勝手に持ち込んで後を押し付けてしまった俺がそんな風に言っていい立場じゃないな。

 

 

 

 

 

 まあ、そんな諸々が終わった辺りで丁度俺が合流、マシュの提案によりフランス軍と何か面倒事が起きる前にその場を離れ、こうして放棄された砦へとやってきた、というわけだ。

 

 

「報告はよくわかった。まずはその、だな、マシュらに場を任せてすまなかった」

 

「い、いえ、その私たちは大丈夫でしたし……」

 

「ま、マシュの言う通り、別に大丈夫でしたし……」

 

 

 俺の謝罪にマシュと立香が慌てるが流石にアレは彼らの上司?としてやってはいけない事だと思う。

 それを思ってるのかアルは何処と無く呆れた表情をしている。

 

 

「大丈夫かどうかじゃなくてアレは立場上やってはいけない行為だ」

 

「で、ですけど……」

 

「……ランス、そこまでにしておけ。これ以上は色々とややこしくなってくる」

 

 

 俺とマシュらの会話に呆れたアルが俺に会話を切らせる。

 彼女の視線に俺はこれ以上続けるのを諦め話を変える。

 

 

「…………さて、今回の戦いでバーサーク・アサシンとバーサーカーが脱落した。これであちらの陣営にいるサーヴァントはわかる限りでは黒ジャンヌとバーサーク・セイバー、そしてアサシンだ。……無論、あちらが追加で召喚してこないとは限らない」

 

「ランス」

 

「なんだ、アル」

 

「いや、セイバーにランサー、ライダーとアサシン……ここまで来たのならバーサーク・キャスターとバーサーク・アーチャーの二騎がいる可能性はないか?」

 

 

 ……流石アルだな。

 オルタ化して直感のランクが下がっていると思ったんだがやはりこういう事に関しては頭が回るな。

 

 

「ああ、その可能性はない……とは言えないな。もしかしたら既に召喚されている可能性が充分ある」

 

 

 そう、ジル・ド・レェにアタランテ……警戒するならアタランテだな。彼女の敏捷は高い、普通にやれば仕留めるのは難しいだろう。

 だがまあ、戦いになった時は彼女のためにもアルの宝具で仕留めるしかないな。

 

 

「さて……次だがそちらの彼について話すか」

 

 

 アルへの視線を切り、壁にもたれて休んでいる胸元が開いた鎧に身を包んだジークフリートへ視線を移す。

 確かに呪いのようなものが彼を蝕んでいるのがわかる。如何にファヴニールはもうアルが消し飛ばしたから竜殺しに頼る必要がないとしても彼を見捨てるという選択はない。

 

 

「……すまないな。せっかく救ってもらったのに役立たずで」

 

「気にすることはない。こちらも救出に出向くのが遅れてしまった……もう少しこの特異点に来るのが早ければよかったのだが……」

 

「そうか」

 

 

 それを最後に俺とジークフリートは互いに黙る。そんな俺らを置いておいてジャンヌらが話し始める。

 

 

「……恐らくですが洗礼詠唱で解呪できるかもしれません。ただ高位のサーヴァントでなければ────」

 

「ジャンヌなら出来るのではありませんか?」

 

「……いいえ。試してみましたが、私だけでは力が足りないようです」

 

 

 ……洗礼詠唱か。となると、アレでの解呪は出来ないか?いや、できるだろうな。

 だが出来ない場合の事を考えてもゲオルギウスを確保するのが最善か。……となると、やっぱり二手に分かれるのは仕方なくて…………

 ああ、今から考えると少し胃が痛い。仮に彼女のターゲットが俺になったら…………ゲオルギウスのターゲット固定は使えますか?あ、使えない?…………アヴァロンに逝きたい。

 

 

「えっと、ランスロットさん」

 

「んぁ……なんだマシュ」

 

「あの、マリーさんが聖人を探す為にくじ引きをしましょうと言いまして……」

 

「……なるほど、そのくじを引けばいいんだな?」

 

 

 俺はそう言ってマシュの手に握られているくじの束から一本を引いておく。

 というよりいつの間にかにそこまで話が進んでいたんだな……あまり、考え込まないでいた方がいいなこれは。

 気がついたら何やら大変な事を任されているというのもあるからな……アグラヴェイン……別に仕事を任せるのはいいが人選をもう少しだな。

 

 

「…………さて、この場合は」

 

「どうやら、ランスロットさんは私たちと一緒なようですね」

 

「……ジャンヌか」

 

 

 引いたくじを見つつ、周りを見回すと俺のくじと同じものを持ったジャンヌとマリーがこちらへ近づいてくる。少し離れた所にはヴラドが別のくじを持って、そして俺ともヴラドとも違うくじを持ってこっちを見てくるアルがいた。

 ……やめろアル。そういう明らかに不機嫌な視線を俺に向けるな。辛いから

 というかくじが三種類?これは二手に分かれるではなく三手に分かれるのか?

 

 

「どうやら、私たちはランスロットさんとマリーの三人のようです」

 

「…………何やらヴラドのくじが俺や立香とは違うようなのだが」

 

「あ、それはこの合流地点での防衛ですわ」

 

「なるほど、あまり動けないジークフリートの護衛も兼ねているのか」

 

「はい」

 

 

 なるほど、サーヴァントが多いとこういう事になるのか。となればこれから先もこういうふうな事があるのかもしれない。とりあえず、次の特異点にあるであろう女神のいる島へ向かうイベントは留守番を選ぶとしよう。

 

 

 

 

 

────────────────

 

 

 

 

 

 ジークフリートの呪いを解くため聖人のサーヴァントを二手に分かれて探し始めたカルデアと現地サーヴァントら。

 Aグループをランスロット、マリー、ジャンヌの三騎。

 Bグループを立香、マシュ、モーツァルト、アルトリア・オルタの一人と三騎。

 そして合流地点である放棄された砦で留守をする事となったアストルフォとヴラド三世とジークフリート。

 

 こんな分け方となってランスロットは胸をなで下ろすべきかどうかを考えていた。

 

 ランスロットの記憶ではゲオルギウスのもとへつくのはジャンヌとマリーの二人で立香とマシュらは清姫にエリザベートの二人と出会う事となっている。

 それの通りならばランスロットは当初の望み通りに清姫という不確定要素に出会わずにすむわけだが……しかし、この世界は既にランスロットというイレギュラーによりある程度変化している。その点を考えればその記憶通りにはいかない可能性は決して低くはない。

 その低くない可能性を脳裏によぎらせつつランスロットは胃を抑える。

 

 その姿は三人の中で一番前にいるため後ろの二人には見えない。

 

 

「────」

 

「────」

 

「……(うーん、女三人寄れば姦しいと言うが二人でも十分あれだな……)」

 

 

 歩きながら女子トークを続けている二人にランスロットは唯一の男として若干寂しく思いながらも感覚を研ぎ澄ませる。

 襲撃してくるかもしれないワイバーンやサーヴァントに備えて、味方側のサーヴァントとすれ違いになるかもしれない事を考えて。

 

 

「(さて、もしも清姫がこちらだった場合どう逃れるか……)」

 

 

 思い描くのはバーサーカー。嘘は通用しない以上真実を突きつける必要があるがしかし、バーサーカーである彼女に対して真実を述べたところで否定するだろう。

 少なくともランスロットに安珍という前世なんてものはない以上、彼女が間違えているのだが彼女はバーサーカーである為、簡単に考えを変えない。つまり、ランスロットや立香が安珍でなくとも安珍と彼女の中で位置づけられてしまえばもはやどうしようもない。

 

 

「(……その時は非難されることも諦めアロンダイトでたたっ切るしかないだろう)」

 

 

 元来ランスロットはバーサーカー、とりわけ狂信的な存在と相性が悪いのだ。

 まだ信仰に厚い人間なら一歩引いた対応をするか無視するかの二択で済ませられるが狂信者、こちらへ向かってくるような存在はランスロットも扱いが苦手だ。

 きっと、清姫と会わなかったとしても後々、ほぼ間違いなく出会うであろう狂化EXな某小陸軍省に出会ってしまった時は…………

 

 

「(…………)コフッ」

 

「?ランスロットさんどうしました?」

 

「いや……少しむせただけだ」

 

「はぁ……」

 

 

 恐れるあまり血を吐きかけたランスロットは何とか落ち着かせ、口許から音だけを漏らす。

 たまたまそれが聴こえたのかジャンヌが怪訝な様子でランスロットに問いかけるがランスロットは上手くそれを流す……しかし、どうすればいいのだろうか。

 ランスロットの実力があれば立香らから離れて行動することも可能だがそんな上手い具合にいくわけもなく、更にはその後の特異点を思えば出来る限り消耗を抑える必要もあって…………。

 

 

「(無理だな。頑張れ未来の俺)」

 

 

 諦めるしかないのである。

 と、そんな頃に

 

 

「わ!?」

 

「ッ!どうしたジャンヌ!」

 

「え、あ、通信機です!」

 

 

 唐突に声を上げるジャンヌにランスロットがすぐさま振り返るとジャンヌの手には通信がかかってきた通信機がある。

 恐らく唐突に通信音が鳴った為に驚いたのだろう。ランスロットは肩をすくめてから通信機を受け取り出る。

 

 

「俺だ」

 

『あ、ランスロットさん。立香です……そのサーヴァントを見つけたんですが…………』

 

 

 ランスロットが通信に出ると通信機からは何やら言葉尻が弱い立香の声が聞こえる。

 そんな立香の様子に怪訝な表情をするランスロット。

 

 

「どうした」

 

『あの、その…………なんか自称アイドルとか和装とかその……』

 

「────諦めろ」

 

 

 立香の報告につい天を仰いでしまうランスロット。なお、その内心には歓喜が満ち溢れている。これで少なくともランスロットが立香より先に清姫と会うという可能性が無くなったわけだ。

 安珍スロットになるかどうかは、いまだわからないが。

 

 

 

 







 世界が生まれたばかりの頃。すなわち世界の黎明期にて唐突に発生し、混沌渦巻く世界に秩序を齎した一体のドラゴンがいた。
 圧政を敷きつつも秩序により世界を統治した彼の偉大なるドラゴンの事を後世のドラゴンらは敬意を評しこう呼んだ。

────覇王龍(ドラゴン・オブ・ドラゴン)ズァーク、と


榊 遊耶
「さァ、お楽しみはここまでだ!!」

覇王龍ズァーク/榊遊耶
赤眷龍オッドアイズ
黒眷龍リベリオン
白眷龍クリアウィング
紫眷龍スターヴヴェノム

原作:ハイスクールD×D
死因はチーズではない転生系




────────

何となくやった後悔なんてしてもしきれませぬ。
ぶっちゃけ割と結構ノッてるヤツです。
ちなみに最近遅まきながら遊戯王ARC-Vにハマりました。ギミックパペット?あいつらは良い奴だったよ……ARC-Vの4ヒロイン可愛いですね。あ、なので上の四ドラゴンは人間態になると4ヒロインになります

さて、次回も頑張るぞい


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