Fate/Grand Order【Epic of Lancelot】   作:カチカチチーズ

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エレちゃん当たらない!!
高難易度がガチすぎて笑えねぇ!
フリクエが強い?7章クリア前提だから仕方ないね!


オルレアン:22

 

 

 

 

 

「マシュさん、立香さん!」

 

「ジャンヌ!」

 

 

 やや雪崩込むように待ち合わせの砦へと入ってきたジャンヌに立香とマシュは立ち上がり迎え入れる。どうやら、ジャンヌがいた街にジャンヌ・オルタが攻めてきたという旨を通信で聞いて心配だったようだ。

 思わずジャンヌに抱きつく立香にアルトリア・オルタは仕方ないな、目を瞑りため息をついていた。

 

 

「良かったです。無事のようで……それでそちらの方が?」

 

「ゲオルギウス、と呼ばれています」

 

 

 ジャンヌの無事に安堵したマシュはジャンヌの後ろに立つ一騎のサーヴァントに目を向ける。

 サーヴァント、ゲオルギウスは柔和な表情で名乗るとそれを聞いたヴラド三世は目を見開く。どうやら、現れたサーヴァントがこれほど高名な聖人だったとは思いもよらなかったようだ。

 だが、そんな二人はともかく本来いるはずのもう二人がいない事にモーツァルトは口を開く。

 

 

「……マリアはどうした?」

 

「ッ……マリーは」

 

 

 モーツァルトの言葉と視線にジャンヌは言い淀むがすぐに首を振り、マリーがどうしたのかを語り始めた。

 街で起きたこと。

 マリーがゲオルギウスの代わりに街に残ったこと。

 マリーに任せてしまったこと。

 それらを聞いてモーツァルトは目を細める。その表情は怒りのものではなく悲しげなもの。

 

 

「そうか。そう言って残ったのか……ん?そういえば彼はどうしたんだい?」

 

 

 ふと、モーツァルトが零した言葉。それはジャンヌの表情を固まらせた。

 

 

「あの、人は…………」

 

「彼は一人街へと戻りました」

 

 

 まるでジャンヌを助けるように告げたゲオルギウス。そんな彼にアルトリア・オルタは、マシュは視線を向ける。

 それは理由を問うように。分かりきっている事だがその理由を知るために。

 アルトリア・オルタは経験上よく知っている、マシュはその霊器がよく憶えている。ランスロットのその悪癖を。

 言葉を交わしたのはほんの少しだけ。共に過ごしたのもほんの少しだけ。だが、それでもゲオルギウスはランスロットのそれを何となく察していた。故に彼は口を開く

 

 

「彼は────」

 

 

 

 

 

 

────────────────────

 

 

 

 

 

 

 

「ガッ!?」

 

 

 ランスロットの無毀なる湖光(アロンダイト)を避けた際に着面した家屋の壁面。そこにアタランテの脚が着いた途端にそれは起きた。

 アタランテの足の甲より生えでる二本もの返しが付いた鋭い短刀。

 唐突なそれにアタランテは困惑するがすぐにランスロットの仕業であると考え短刀から足を引き抜こうとするが短刀の形状は容易く引き抜けるようなものではなく、さらにどうやら壁を貫通してアタランテの足の甲を貫いているようだ。

 ならば折るしかない、とアタランテは脚に力を入れるが折れない。

 

 

「くっ、小細工を……」

 

「悪いな。小細工をろうするのも戦いのうちだ」

 

 

 苦渋の表情を見せるアタランテにランスロットは兜の下で不敵に笑い、鍔迫り合っているバーサーク・セイバーの鳩尾に蹴りを叩き込む。

 

 

「うっ、ガアッ!?」

 

「さて、脚が止まってるのなら仕留めるまで」

 

 

 鳩尾に蹴りを叩き込まれた事でくの字に曲がったバーサーク・セイバーの右肩に足をかけ踏み台にするという騎士としてどうなのか、という行為を平然としてみせて無毀なる湖光を脚が固定され逃げることが出来ないアタランテへと投げつける。

 

 

「……そう、なら」

 

 

 ジャンヌ・オルタはそれを見ていて選んだのはアタランテを助ける……ではなく、バーサーク・セイバーを踏み台に飛び上がったランスロットを狙う為に同じく跳躍しランスロットへと旗を振るう。

 

 

「死ねッ!」

 

「断る」

 

 

 旗の先端で鎧の隙間を穿こうとするジャンヌ・オルタをランスロットは盾を出して対応する。

 早い対応にジャンヌ・オルタは舌打ちしそうになるがその際のロスの有無を考え、旗を持っていない方の手を伸ばしてランスロットの盾の淵を掴みそのままランスロットへと接近する。

 

 

「至近距離────」

 

「まさか……!」

 

「これは憎悪によって磨かれた我が魂の咆哮……!!」

 

 

 ランスロットに接近したジャンヌ・オルタの表情は苦渋の表情ではなく、余裕のある微笑。ランスロットはその表情に含まれているジャンヌ・オルタのやろうとしているものを読み取り、驚きの感情を露にする。

 気づいたところでもう遅い。既にジャンヌ・オルタはランスロットの襟元を掴み盾の外から盾の内……ランスロットの胸へと潜り込んだ。ならば────

 

 

「さあ、私諸共焼け落ちなさい!!!吼え立てよ、我が憤怒(ラ・グロンドメント・デュ・ヘイン)!!!」

 

「ハァッ!?ふざけんなッ!!??」

 

 

 片手で旗を掲げる事で此処に宝具は発動する。

 ジャンヌ・オルタの身体から吹き上がるのは竜の魔女の業焔。ランクはA+の対軍宝具、ランスロットの知る同じ炎系の宝具である太陽の騎士ガウェインの持つガラディーンと比べれば対軍宝具というカテゴリーは同じであるがそのランクは一段階劣っている。A++とA+の差は+一つでしかないが、その+一つの差で威力は大きく変わる。

 如何に強力な耐火魔術の備わっている盾の内に入った事で盾によりその威力を下げられる事はないとはいえA+の焔では鎧に施されている耐火魔術によりその威力は削られるだろう。

 

 

 

 そう、それがそのままならば。の話だが。

 

 

「ッ”!!??」

 

 

 ランスロットとジャンヌ・オルタを呑み込む業焔はランスロットの予想していたものよりも遥かに強かった。盾が無くとも鎧の耐火魔術でなんとかなるだろうと考えていたランスロットはその威力に驚愕するしかない。

 ジャンヌ・オルタの宝具:吼え立てよ、我が憤怒(ラ・グロンドメント・デュ・ヘイン)には自陣の者が死ぬ事でその威力を上げるという特性がある。

 この特異点における自陣の者で既に死んだ者はバーサーク・ランサー、バーサーク・ライダー、ファントム、バーサーク・アサシン、エクター・ド・マリスそしてつい先程アロンダイトにより霊核を貫かれたバーサーク・アーチャーの計六騎のサーヴァント。六騎もの自陣脱落者をもってジャンヌ・オルタの吼え立てよ、我が憤怒(ラ・グロンドメント・デュ・ヘイン)はその威力を上げそのランクをA+よりA++相当のものへ至った。

 

 

「焼けろォォ!!」

 

「グゥゥッ!!??」

 

 

 盾による威力低下無しでガラディーンを食らうのと大差のないそれにランスロットは思わず声を漏らす。

 多少の軽減は出来ているが盾の軽減でない以上そこまで効果は期待出来ず、そのまま業焔は鎧ごとランスロットを焼いていく。

 

 

「アハハハハハ!!!!」

 

「ォォォオオ!!??」

 

 

 ランスロットはただ驚愕するばかり。

 いったい誰が考えるだろうか。この目の前のフランスの『ジャンヌ・ダルク・オルタ』が敵を倒す為に自滅覚悟の手段を実行してくるなど。

 これが人理修復を成した後の亜種特異点ならばありえるかもしれない。だが、彼女はこのフランスを滅ぼそうとする人理焼却側の存在。そんな彼女が自滅しかねない方法をとるなどありえない、何せここで死ねばジャンヌ・オルタはフランスを滅ぼすことは出来ないのだから。

 故にランスロットは困惑する。

 どうすればいいのか。どうすればいいのか。

 

 予想外のジャンヌ・オルタの行動にランスロットは対応しきれない。だからこそこうして至近距離の宝具を食らっているのだ。

 

 

「ガァァァッ!!」

 

 

 鎧は焼け焦げ、ランスロットの身体は焼かれていく。焼かれていく端からジャンヌ・オルタの呪いがランスロットを蝕んでいく。

 兜のスリットから光が失われていく。ランスロットの瞳がその光を閉じていく。

 

 

「────」

 

「ハハ、ハハハ、アハハハハハハ!!!!」

 

 

 ランスロットから力が無くなる。それを見て未だ焔を纏いながらジャンヌ・オルタは手に入れた勝利に高笑う。

 ギリギリの賭け。

 フランスを滅ぼすにあたって己が残滓である聖女なんかよりも大きな障害となる湖の騎士を討つのに生半可なものでは到底無理。故に今回の自滅覚悟の手段をとったのだ。

 

 

 これにて湖の騎士ランスロット・デュ・ラックの人理修復の旅は終了。

 

 ジャンヌ・オルタは勝利の余韻に浸りながら業焔を消し生き残っているバーサーク・セイバーを連れてこの街を後にする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────────湖光は満ちた、最果てへとその光は届くだろう

 

 

「────ッ!」

 

 

 突如としてジャンヌ・オルタの背筋に走る悪寒。

───振り返るな。

 それは背後より昇る魔力によるものか。

───振り返るな。

 どうやら湖の騎士を仕留め損なったようだ。だが、それでも死に体。死ぬ前の足掻き。

 いいだろう、その程度赤子の手を捻るように潰してやろう。故にジャンヌ・オルタは嘲弄する様な気分で振り返る────

 

 

宝具開帳(無毀なる湖光)────」

 

「は?」

 

 

 先程までランスロットがいた場所には誰もいない。ただ焼け焦げた道路があるだけ。

 では、ランスロットはどこだ。消えたのか?

 否。そこにいる。ランスロットはいつの間にかに手にしていた無毀なる湖光に魔力を流し込み、ジャンヌ・オルタの懐へ潜り込みそのまま下段に構えた無毀なる湖光(アロンダイト)を振るった。

 

 




別にチーズは決してデオンが嫌いなわけではありません。たまたまそこにいたのがデオンだっただけです。
今年中に終われたらイイなぁ……

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