Fate/Grand Order【Epic of Lancelot】 作:カチカチチーズ
|ω・) つ 『最新話』
|)彡 サッ
マスターとサーヴァント:Ⅱ
「…………さて、どうするか」
医務室よりくすねたあんドーナツもとい俺が確かレイシフト前に作ったあんドーナツを食いながら俺はふらふらとカルデアの廊下を歩いていく。
確かにロマニの言う通り、俺はなんとなくではあるが身体の、魔術回路の不調を感じている。このままではサーヴァントへの魔力供給もままならないだろう…………そういう事もあるし、マシュや立香のランクアップも考えれば何度かカルデア待機もありなのだろう。
少なくとも第六と第七を考えれば仕方がない。
「……いや、その先を考えれば」
俺が知っているのはアガルタまで、その先にある特異点がどんなものかなんてわからない。
少なくとも第五レベル以上のがあるのは間違いない。そして、もしも俺が途中で死んだ場合を考えて────
「らしくないな。自らの死を考えるとは」
「アル」
冷徹な声に振り向けば、廊下の横道その影にアルトリアが寄りかかりこちらを見ていた。
どうやら直感で俺の考えを察知されたようだが、お前のソレはランクが下がってるんじゃないのか?
「気にするな」
「いや、思考を読むな」
トリスタンやアグラヴェインも時々普通に俺の思考を読んでくるが、まったくどういうことか。思考が読まれるほど簡単な思考回路じゃないと思うんだが…………
さて、それは置いといてだ。ここにアルが来たということはアレだろう、第一特異点でのやらかしに対して文句を言いに来たのだろうな。とりあえず謝らねば
「アル、先の戦いだが……」
「その事に関しては私からは何も無い」
「……何?」
どういうことだ。オルタなアルの事だから皮肉を絡めて色々と言ってくると思ったのだが……いったいどういう心境の変化何だろうか……。
そんな俺に対し、アルは少し不機嫌気味な表情でこちらを見て
「…………あんな暴挙を起こさせたのはひとえに私の未熟さが原因だ。そもそも力があるからと言ってマスターと別行動をするなどサーヴァントとしてどうかと思う」
「お、おう……」
「……さて、医務室で何か言われたか?」
いきなり話を切り替えたな。
まあ、隠すことでは無いので大人しく俺はアルに検査の結果を伝える。
すると彼女はやはり申し訳ないような悔やむような表情を見せた。
「……やはり私が大人しく貴様を止めていれば」
「いや、アルトリア。お前のせいじゃない、アレは俺の選択で俺が悪い────」
「そうだな。悪いと思っているのならこれからは大人しく私の言葉を聞いてもらおうか」
「…………え?」
だが、そんな表情も俺の言葉を聞いた途端にまるで鬼の首を取ったような笑みへと変わった。どうやら、嵌められたようだ。
「私は貴様のサーヴァントだ。サーヴァントとしてマスターの身を守らねばならん、わかるな?」
「……ぜ、善処する」
「どうだか……、さて食堂に行くぞ償いとして料理を作れ」
「……ハイハイ、仰せのままに我が王よ」
話を終わらせそのまま食堂へと足を向ける彼女の背を見て、俺は苦笑いをしながら彼女のあとをついて行った。
さてさて、何を作るとするかな。
────────────────────
フランスより帰還し、ダ・ヴィンチよりバイタルチェック等々を受けた後にドクターの軽い診断を受けた立香とマシュは帰還後倒れたランスロットに代わり、ランスロットのサーヴァントであるヴラド三世にカルデアを案内していた。
「ええっと、こっちの方にあるのが……ダ・ヴィンチちゃんの工房で、その奥が物資の保管庫だったかな?」
「ふむ」
最初はその厳つい見た目と口調から一歩引いて対応していた立香だが、何言か言葉を交わすことでヴラド三世が存外優しいのだと、理解し今では親しげに言葉を交わしている。
そんな立香にマシュもアストルフォも朗らかな笑みを浮かべながら付いていき、ふとアストルフォ立ち止まる。
「あれ?」
「ん?どうしたのアストルフォ?」
「どうしたんですか?」
訝しげな表情でアストルフォを見るマシュと立香、ヴラド三世はアストルフォを見ずに一応ドクターより渡されていた簡易的なカルデアの地図に目を通す。
「んー、なんか美味しそうな匂いが……」
「へ?」
「……確かに微かですがとても美味しそうな、芳ばしい香りがしますね」
スンスンと鼻を鳴らすアストルフォに立香は首を傾げ、マシュは同意しヴラド三世はそんな三人をチラリと見てから口を開いた。
「ふむ、地図を見るからに近くに食堂があるな。そこから匂っているのではないか?」
「おお、食堂かぁ!」
何だか、お腹すいてきちゃったよ僕!
そうにこやかに言うアストルフォに立香とマシュは苦笑いしつつ一度ヴラド三世の顔を窺うとヴラド三世は気にするなと言わんばかりの表情を見せた。
「では、食堂に行こうか。立香そなたは人間だ、我がマスターのような無茶をしたわけではないが未だ歳若いそなたには休息が必要であろう。私の案内は後で我がマスターにやらせる」
「ヴラド……うん、ありがとう」
「よぉし、そんじゃあ食堂に行こう!」
ヴラド三世の優しさににへらと笑う立香と安堵の息を漏らすマシュ。そんな三人などお構い無しに空気を割って行くのはやはりアストルフォ、やはり理性が蒸発した英霊は一味違うのだろう。
そんなアストルフォにヴラド三世はやれやれと肩を竦ませ、三人はアストルフォの先導のもと食堂へと向かっていった。
食堂へと足を踏み入れた四人を出迎えたのはとても芳ばしい肉の香りであった。
嗅げば食欲が溢れ、唾が湧くような美味しそうな肉の香り。それによってアストルフォは当たり前のように口許を拭い、マシュと立香は喉を鳴らし、ヴラド三世は感嘆の息を漏らして────
次の瞬間、マシュと立香はその表情を硬くする。
「…………ランス、後六枚追加だ」
「負傷してるマスターにステーキを只管ウェルダンで焼かせるサーヴァントがここに居るんだが、誰か助けろ。誰か、あの根菜騎士を召喚してくれ……労働力……」
「つべこべ言わずに焼け」
「Oui……」
食堂のカウンター席。
どういう意図で作ったのか、ステーキハウスのような鉄板が目の前にあるカウンター席に座るアルトリア・オルタ。そして、彼女の目の前にある鉄板で次々と肉を焼いているランスロット。
皿に乗った五枚程のステーキをナイフとフォークで切り分け食べながら追加の注文をする彼女に疲れたように嘆く様に呟く彼。
先日のマッシュポテトの山を憶えている立香とマシュは間違いなくアルトリア・オルタの皿に乗っているステーキは追加分のステーキなのだと確信していた。そして、同時に何枚食べるつもりなんだ……と考えながら。
そんな二人を余所にアストルフォとヴラド三世はアルトリア・オルタとは違うテーブル席へと腰掛ける。
「ランスロット!僕はミディアムレアでよろしく!」
「レアで二枚頼もうか我がマスター」
「…………分かった」
一瞬、手で目元を隠してため息をつくもすぐさまランスロットは新しい肉を取り出して焼いていく。
そんな様になんとも言えない表情をしながら立香とマシュは用意されていたピッチャーで水をグラスに注ぐ。
「ランスロットさんも大変だなぁ……」
「ですね……」
正直ランスロットを2部まで残すかどうか悩んでる。
ちなみにオフェリアはランスロットと同じく降霊科でして、ええ、カルデアに関係なく顔見知りではありますね。キリシュタリア様はマリスビリー繋がりで……まあ、キリシュタリア様はランスロットが英霊というのを知ってます。
まあ、2部まで残すかどうかはベリルの異聞帯の内容によりけりなんだけどね……絶対あいつの異聞帯、あの緑色軍団がわんさかいるよ……