大雅side
朝日が通り魔事件の話をした日、ついに陰陽鉄学園内でも被害者が出始めた。といっても、知ったのは今日なんだけどさ。
「…そんなことが…」
「うん…。でもほら、かすり傷だから。大丈夫大丈夫」
「そうやって能天気でいられるなら問題なさそうね…妬ましい」
被害者は同じクラスのミスティア・ローレライ。なんでも、買い物帰りに近道をしようと路地裏に入った時に出くわしたらしい。で…。
「「白い犬(ですか)?」」
「そう、その子に助けてもらってね…。まぁ、逃げる途中で擦りむいちゃったんだけど」
「怪我と事件大して関係ねぇ…」
「あはは…」
「…」
「?パルスィさんどうかしました?」
「…え?あぁ、何でもないわよ」
「…そうですか」
あ、ちなみに隣で身を乗り出しながらミスティアに取材してるのは隣のクラスの射命丸文さんだそうで。なんか名刺もらった。
新聞部ねぇ…あんま深入りしたくないな…。
「しかし…また白い犬ですか」
「「また?」」
「えぇ。これまでの被害者ぜいいん…少なくとも私が取材した限りでは皆さん、その白い犬に助けられてるそうなんですよ」
「やっぱそうか」
後ろから声がしたので振り返ると、大荷物を抱えた朝日と古明地さんが教室に入ってくるところだった。2人とも今日日直なんだよね。
「あ、朝日も古明地さんもおかえり。それはそうとやっぱって?」
「今朝交番で聞いてきたんだが、一連の事件の被害者全員、白い犬に助けられたって口を揃えて言ってるらしいぜ?」
「なるほど…私の取材とも噛み合いますね」
「…こうしてみると俄然気になってくるな」
「どうする?今日あたり調べてみるか?」
「おう」
「気をつけてくださいね。何があるかわかりませんし」
「私は飼育委員の当番で同行できませんが…返り討ちにされないようにしてくださいね?」
「わぁーってるっての」
「怪しいから言ってるんじゃないですか」
「信用ねぇな俺…」
「…」
「パルスィ?」
「…何でもないわよ」
「…そうか」
「と言うかいつの間に名前呼びになってるのよ…許可した覚え無いんだけど」
「ダメだった?」
「…好きにすれば…妬ましい」
「お?これは特ダネの予感…」
「…」キッ
「おぉ、こわいこわい。こりゃ触らぬ神に祟りなしですねぇ」
「それはそうと俺ら次の授業世界史なんだが、お前ここに居て大j「私ちょっと授業系の仕事があるのでこれで」ササーッ
「相変わらず速いこって」
「初対面でしょ…」
「おうよその通り!」
(((めんどくせぇ…)))
「…ラオグリム先生ってそんな怖いのかな?」
「いえ、陰陽鉄学園いち優しい先生とまことしやかに噂されるくらい怒らない先生だそうですよ?」
「実際怒ってるところを見たことないわ」
「ウルリッヒ先生でも来ると思ってたんじゃね?」
「あぁ…あの人の授業けっこう精神的にくるからな」
「まぁね…」
…とまぁそんな茶番は置いといて、放課後俺と朝日で通り魔探しをすることになった。
〜放課後〜
「…んで、何処探そうか?」
「路地裏を虱潰しに、でどう?」
「それしか情報無いもんな。そうしようか」
ってことでレッツ路地裏漁り。してたら…
「兄さん兄さん、おれについてきてくらさい」
…なんか急に話しかけられた。犬に。リードを付けた犬に。
「…どうする?」
「当てもないし…ついてってみっか」
ってことでその白い犬について行くと、少し奥に行ったところにサラリーマンっぽい人がいた。ただ、ものすごく怪しいオーラ撒き散らしてるけど。特にあの日本刀っぽいやつ。オーラで形がはっきりしないなんて相当やばそうだ。
…なんて言ってたらあいつ逃げ出しやがった!?でも白い犬がいつの間にか後ろをとっていたようで、リーマンは舌打ちしてた。
「…何者だ?ただの人間…というわけじゃなさそうだが」
「我ノ名ハ『エキビョウ』。…妖怪ダ。」
「妖怪ねぇ…何が目的?」
「人妖共存を訴えるこのネ実市で通り魔なんて、なんの意味が…」
「妖怪ハ…影ニ生キル存在ダ」
「「は?」」
「シカシ、世ハ光で溢レタ。我ラノ生キル地ハ失ワレタノダ」
「話聞いてたか?この町は人妖共存だt「嘘ヲ言ウナッ!!」
……!」
「コノ町ニイルノハ人間ト…ソシテ、妖怪ノ誇リヲ捨テ人間ト共ニ生キル弱者ノミダ」
「弱者…!?」
「我ハ妖怪の国ヲ作ル!人間ナドトノ共存ヲ選んだ弱者共デハナク、純粋ナ妖怪ノ国ヲナ!!」
エキビョウはそう告げると、手元の刀でいきなり斬りかかってきた!
「…ちっ!面倒な…!」
「やるっきゃねぇか…!」
…その後交戦すること10分。戦況は…
「くっ…!?」
「まるで効いちゃいねぇ…!?」
「フハハハ…コレガ本来ノ妖怪ノ力!貴様ノ知ルヨウナ軟弱妖怪トハ訳ガ違ウノダ!」
…完全に防戦一方だった。なにせこちらの攻撃が全く通用しないのだ。ただただこちらの体力だけが一方的に削られていき…
「なっ!?」
「トドメダ…」
「大雅!!」
足を取られた!不味い…が、体勢を崩され防御できない…!
「死ネ」
エキビョウは懐の小刀を妖力で飛ばし…
――ザシュッ!
「…え?」
「なっ…!?」
「チッ…邪魔ガ入ッタカ…」
俺に向かって飛ばされた小刀は、確かに致命的な傷を与えた。ただし…あの犬に、だが。
「お前…!」
「ダガ2度目ハ…」
エキビョウは呆然とする大雅に再び小刀を向け…
「『グリーンアイドモンスター』!!」
「『八之太刀・月光』!!」
「ヌッ?」
…放たれることは無かった。
乱入してきたパルスィと謎のヤグードによりエキビョウの注意が逸らされたのだ。
「天狗ポリスでござる!そこを動くでない!」
「分ガ悪イワ…」
「!逃がすかッ!!」
状況を不利と判断したのか、エキビョウはその場から逃げ出し、我に返った朝日がそれを追う。
「待て…!」
「俺は大丈夫ですから、早くヤツを!」
「…承知!」
俺たちを見て躊躇していたヤグードも、俺の言葉に頷き朝日とエキビョウを追った。
「その子…」
パルスィは全身を貫かれて息も絶え絶えな白い犬に歩み寄り、抱きかかえた。
「あぁ、こいつは俺の恩犬で…」
「シロ…?」
「…え?」
「…お前が、こいつを守ったんだ?偉いね…」
「…ワン」
その白い犬…シロは、そう小さく鳴いたっきり…事切れた。
「シロ…?シロ、シロ!…う、ううっ…」
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ…!」
登場キャラクター紹介
・シロ
パルスィの飼い犬。名前の通り全身真っ白の犬。オス犬。
パルスィが童話「花咲かじいさん」になぞらえて飼い始めた犬である。ちなみにほかのペットとして雀がいたり。(舌切り雀)
ってな感じで第5話でした。
いやーまさかこんな長くなるとは。これ下手したら3話くらい使っちゃいそうですね…。今後どうなっていくことやら。
次回、さらにオリキャラが出てきます。後々まで絡めるつもりではいるので、もしかしたらこの後再登場する頃には忘れられていたりして…(笑)
後書きで書いた登場キャラクター紹介は、そこそこ重要な役回りだったけどこの後出番無いに等しいよなヤツやポックリ逝っちゃったヤツ、話中の敵について語っていくコーナーにしていくつもりです。
大雅達のような主要キャラクターはちゃんと定期的に紹介ページを作ります。
それでは次回をお楽しみに!(見てないか)