D-side もう一人の幽霊   作:JeiJ

1 / 4
0.プロローグ

進藤ヒカルは私とは対極の存在

 

明るく元気で運動神経抜群で、そんな彼の周りにはいつもひとだかりがあった

 

かという私はクラスに馴染めず、隅っこで本を読んでる存在感皆無な子

本を読むのは好きなので、これはこれで構わないのだけど

 

 

進藤が変わったのは小学6年の冬のことだった

元気が取り柄だった彼が救急車で運ばれ、その後も頻繁に体調を崩すようになった

今まで全くやってこなかった社会の宿題をやってくるようになったのも変化の一つ

 

そして何よりも驚いたのは、囲碁をはじめたことだった

囲碁なんてお年寄りや私みたいに暗い子がやるものだって思ってた

 

それからというもの進藤は囲碁にはまったようで碁会所というところに出入りしているらしい

入るのに1回500円もするんだって

そんな大金私には絶対払えないな、新しい本を買った方が有意義だって思っちゃうもの

 

 

ある日、新しい本を買いに本屋へ寄ったところ進藤とあかりちゃんがいた

あかりちゃんが私に気付いて手を振りながら小走りで近づいてきた

 

「こんにちはアンちゃん」

 

右代宮アン、私の名前である

2人は囲碁の本を買いにきたんだって、囲碁の本とはいえ本を読む人がクラスにいるのは素直に嬉しいよね

 

そんな気持ちが顔に出てたのか、私が囲碁に興味があると進藤に勘違いされちゃったみたい

 

「お、右代宮も囲碁やるのか?」

 

なんとも嬉しそうな声、そんなに囲碁仲間が欲しいのかしら

確かに共通の趣味について話せる人がいたら楽しいよね

私も読書仲間が欲しいって思うもん

 

「ううん、囲碁はルールすらわからないわ」

 

興味がないことを進藤が不快にならない程度に伝えたつもりだったけど

進藤には伝わることはなかった

 

「右代宮もやろうよ、あかりもまだ初心者だけどこの本読んで勉強するんだ」

 

そういって進藤が渡してきた本を受け取ってパラパラと読んでみると、

そこには白と黒の丸の中に数字が書いてあるだけで文字が一切なかった

 

「・・・これ読んで勉強って、こんなんで勉強できるの?」

 

そんな馬鹿なと進藤は私がもってる本を覗くと、これは自分用であかりのはこっちだと別の本を渡してきた。

そこにはさっきの本とは違ってかわいいイラスト付きで(たぶん)丁寧に解説が書いてあった

なるほど、確かにこれなら私みたいな初心者でも囲碁を覚えることはできそうね

 

そう考えながらふと思った

さっきの本を進藤は「自分用だ」っていった

 

あんな文字も書いてない本を読んで勉強なんてできるものなの?

 

 

*****

 

 

私の学校の成績は自分で言うのもあれだけどもとてもいい

そんな私が運動以外のことで進藤に負けているという状況がとてつもなく腹立たしかった

 

進藤にできて私にできないことなんてないんだから

 

わたしは本を買うのすら忘れそのままおじいちゃんの家へ向かう

確かおじいちゃんの家に碁盤があったはずだ基礎さえ教えてもらえば

進藤にだって簡単に追いつけるはず

 

 

「おじいちゃん、囲碁教えて!」

 

いきなりの訪問に最初はびっくりしたおじいちゃんだが、そうかそうかと頷き

そこで待っとれと、私を和室へと通した

 

そこには足つきの、見るからに高価な碁盤が飾られていた

私はその碁盤の美しさに目を奪われた

碁盤ってこんなにも輝いて見えるものだっけ

 

 

 

みえるのか・・・?

我の声がきこえるのか?

 

ああ、この時をどれほど待っていたか

あまねく神よ、感謝する

我は再び、よみがえる

 

 

私の意識はそこで途絶えた

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。