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目の前にある盤面は私には理解できなかったが
それでも綺麗だということはわかった
惹きつけられる、そんな碁
しかしその盤面は進藤によって崩された
もったいないと思いむすっとした顔をあげると、プロの先生がそこに立っていた
「進藤君、右代宮さん…今の碁は一体……」
先生に見られちゃってたのか。どこから見てたのだろう
今日始めたばかりの初心者が19路盤で碁を打つとこみるとやっぱ不思議に思うよね
さて、なんて言い訳しようかな
考えていると進藤が先に口を開いた
「白川先生!今の見てたの!前にじーちゃんに見せてもらった棋譜?っていうんだっけ、右代宮にも手伝ってもらって並べてたんだ!」
「いや・・・ちらっとしか見れなかったのだけれども。なるほど棋譜並べをしていたんだね。それにしても進藤君、棋譜を覚えれるなんてすごい記憶力じゃないか」
進藤は照れたように頭をかいて、たまたまだってなどと言っていた
先生は進藤の言い訳に一応は納得したみたいだ
勉強できないのにこういう言い訳考える頭の回転は速いのね
すらすらと嘘をつく進藤に意外性を感じながらも、疑問に思う
進藤が嘘をつく理由は何だろうか、もしかして
・・・・・・私と同じ?
外で遊ぶのが大好きだった進藤がいきなり囲碁を始めた
そのタイミングで囲碁好きの幽霊が憑りついたと考えれば辻褄があう
確かめてみようか…
もしも私と同じでなかった場合、私は頭のおかしい女とレッテルをはられる
進藤にそう思われるのは腹立たしい
私が頭を抱えていると、一通り言い訳をし終わった進藤が声をかけてきた
「ちょっと俺ん家に来てくんない?」
*****
同級生の家に行くのは幼稚園ぶりかな
それにしても進藤の誘い方はなんとかならならないものか、隣にいたあかりちゃん絶句してたじゃない
しかもあかりちゃんが着いてくって言ったのに、2人で話したいからお前はくるなって
あかりちゃん泣き顔になって帰っちゃったよ?女の子泣かせちゃだめじゃない
・・・正直私にも罪悪感あるけど。明日学校で会ったら謝っておこう
「それで進藤、話があるんでしょ?」
「流石、よくわかってるな。……お前も、憑いてるんだろ?」
お前『も』ね、こんな不思議な現象がまさか身近にも起こってたなんて思いもしなかった
私も打ち明けるべきか少し迷ったけど、すぐに打ち明ける決意をした
どうせばれてるし、幽霊さんの相手も欲しいもんね
さっきみたいな言い訳をする必要のない相手が
「俺に憑いてるのは佐為って名前で、囲碁打つのが大好きなんだけどさ、さっき見たいに俺が佐為の代わりに打ってるのを見られると面倒なんだよね。よかったらさ、週に1回でいいから佐為と打ってくんねえかな」
後ろをちらっと確認すると幽霊さんはすごい勢いで頷いていた。さっきの対局そんなに楽しかったんだ
迷うまでもない。私にとっても願ったりかなったりだ
「いいよ。その代わりといっちゃなんだけどさ、私も碁覚えるから進藤と対局させてよ佐為さんじゃなくて進藤と」
「なんだそんなこと全然いいぜ。・・・あー俺とだけじゃなく佐為とも打ってもらっていいか。こいつ打ちたい打ちたいってうるさくて」
私の寡黙な幽霊さんとは違って佐為さんは元気なんだな
幽霊さんが佐為さんみたいに元気な人だったらと想像して――プっと笑ってしまった
「いいよ、曜日とか場所はいつにしましょうか」
これが私と進藤の不思議な関係のはじまりだった