D-side もう一人の幽霊   作:JeiJ

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3.日常

 

進藤と私の初対局は次の土曜に決まった。今日は火曜日だからまだ4日ある

それまでに少しは打てるようにならないといけない

 

まずは勉強する環境作りよね

 

家に帰って親に碁盤を買ってほしいとねだってみたがダメだと言われた

それでも粘ってみたところ、次のテストで良い点数が取れたら考えてくれることになった

 

それじゃ遅いんだよ…

 

 

考えた末、私は学校のノートを4枚つなげることで、一つの大きな碁盤に見立てることにした

セロハンテープでつなぎ合わせたノートは正方形にはならないため、正方形になるよう余分な箇所をハサミで切り落とした

後は等間隔に線を引いて碁盤は完成。15㎝の小さな定規で線を引いたためところどころ曲がっちゃってるけど気にしない

 

碁石も同様にノートのページを丸く切り取って作った

風ですぐにでも飛んでいきそうだけど室内なら大丈夫だろう

 

丸く切り取った紙の半分をマジックで黒く塗って手製の囲碁セットが完成した

 

 

出来るや否や、幽霊さんは早速打つぞと言ってきたが残念ながら眠気の限界

普段動かない私が今日一日外で遊びまわったのだから仕方ない、そう仕方ない

不満そうな幽霊さんの顔を横目に私は床についた

 

 

・・・宿題やり忘れた。いいや寝よう

 

 

*****

 

 

翌日、学校に登校し朝礼までの時間の暇つぶしに読書をしていたところ

予鈴ぎりぎりで進藤とあかりちゃんが登校してきた

 

あかりちゃんはご立腹のご様子。いわずもがな昨日のことのせいだよね…

 

 

私は読んでいた本を鞄にしまいあかりちゃんのもとへ行く

 

「あかりちゃん、昨日は「アンちゃん!」…

 

私の言葉はあかりちゃんの声でかき消されしまった。こんな大きな声を出すなんて珍しい

クラスのみんなも何事かとこちらに注目している

 

「昨日ヒカルと何やってたの?ヒカルに聞いてもナイショって言われて教えてくれないの!!そんなに知りたいならアンちゃんに聞けって…」

 

進藤のほうを向くと両手を合わせてゴメンの形をつくっている

あいつ面倒だからって私に押し付けたな。

なによりあかりちゃんがこんなに怒ってるなんてかわいそう!(半分私のせいだけど)

 

というわけでちょっとした仕返しをしてあげる

 

「あかりちゃん、よく聞いて。昨日私を呼ばれたのはね、進藤が相談したいことがあったからなんだ」

 

「相談?そんなの、私にしてくれればっ「聴いて!」

 

あかりちゃんの言葉をさえぎって続ける

 

「少し考えれば簡単なことだよ。普段仲の良いあかりちゃんには相談しなくて、私に相談してきた。『私』にはできて『あかりちゃん』にはできない相談内容って何だと思う?」

 

「あかりちゃんのこと。だよ」

 

 

最後は耳元でささやいて仕返し完了。

頭にはてなを浮かべていたあかりちゃんは、意味を理解したのかみるみるうちに顔が赤くなっていく

 

「アンちゃんとヒカルの、バカーーー!!!」

 

あかりちゃんは更に大きな声を上げて教室から出て行った

ただその叫び声には怒りの感情は微塵も感じられなかった

 

 

****

 

 

放課後になり私は一目散に家に帰った。走って帰るなんていつぶりだろう

今日から囲碁の勉強が始まる。進藤に勝つために猛勉強してやるんだから

 

 

 

 

 

そう意気込んだ私は家に着いたとたん、激しい眩暈に襲われ倒れてしまった

 


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