気付けばお気に入り登録数が900を越えている。
つまり、なんですか?この駄文が少なくても900人に読まれているという事?
ひぃぃぃぃっ!下手な事書けねぇ!
恐れおののきつつ第八話れっつごー
手を繋いだまま、寮の私の部屋まで帰ってきちゃったわ。
一回繋ぐと今度は手を放す事が出来なくって、結局ここまで繋ぎっぱなしだった。だってねぇ、ずっと繋いでるのもおかしいかなと思いはしたけど、だからってぱっと放すと嫌がってるように見えるし。
友達と手を繋いだ事があまり無いから自然に手を放すタイミングが分からないのよね。
「あ、ミス・ヴァリエール、お帰りなさい」
扉を開けると看病を任せていたメイドが出迎えてくれた。
長い事任せっきりで悪い事したわ。
「シエスタさん、こんばんは」
「あ、ユエさん。こんばんは。一体どうしたんですか?こんなに大勢で」
私とユエ、キュルケとタバサ。
まぁ、大勢と言えなくはないかしら?四人もこの部屋に来ることなんてそうそうないし。
「とりあえず、貴方達は適当な所に座ってて」
ユエ達を適当な所に座らせて、先にサイトの様子を見てみるとしましょう。こいつってば、一体いつまで寝てるのかしら?
「それで貴方、シエスタ、だったわね?
サイトの様子はどうだった?一回ぐらい目を覚ましたかしら」
「いえ、ずっと眠っています。怪我はもう包帯も必要ないほど治ってるようですが」
怪我もないのにまだ寝てるなんて。
本当にダメな奴ねこいつは、叩いたら起きるかしら?
「ちょっとルイズ、もうすぐ夕食の時間よ?
今からユエの先生観てたら食べそこなるわよ?」
キュルケがそう聞いてくるけど、どうしようかしらね。
早く見たいけど、夕食を食べそこなうのも困るし。
「あの、ユエさんの先生を見るって、どういう事ですか?」
「あぁ、じつはですね……」
ユエがシエスタにここに集まった理由を説明し始めた。私の事情とかは伏せたまま、昼食の辺りから順に話していく。
「それでしたら、朝食の時のように人数分運んできましょうか?」
そうやってこれまでの事を話し終わると、シエスタがそう申し出てくれた。
確かにそれなら今から観られるし、夕食も食べられる。
案外いい考えかも。キュルケはもう椅子にへたっていて、立つ気がまったくない。ユエとタバサは平気そうね、あんなに歩いたのに。
「ユエ達、どうする?正直、もう歩きたくないけど」
「早く観たい。けど、ご飯も食べたい」
タバサが知識欲と食欲の間で右往左往してる。いつも大人しいだけなのに妙にソワソワしてるのは、それだけユエの先生が気になるのね。
いや、私も気になるけどね?マジックアローもライトニングも、かなりの腕前だったし、その上あの氷塊の魔法。あれも相当強い魔法だと思うけど、そんな魔法を使えるユエより、もっと凄い人が居ると言うんだから気になるに決まってるわ。
「では、四人分お持ちしますね?しばらくお待ちください」
シエスタはそう言って一礼してから部屋を出て行った。
あの子が申し出てくれたおかげで、時間を気にする必要がなくなったわ。あとでお礼を言っておこうかしらね。
「じゃあ、夕食もここで摂れるし、早速観ましょうよ」
キュルケが椅子にだらしなくもたれながら、映像を観ようと急かして来る。
人の部屋でどれだけ寛いでるのよ、こいつは。
タバサもちょこんと細い足の椅子に座って、キュルケの言葉に物凄く頷いてるわ。いつもは開いている本も、今日は膝の上。それだけ楽しみなんでしょうね。
……ん?
「タバサ、その椅子どこにあったの?見た事ないんだけど」
「ユエが出した」
ユエが出した?
錬金の魔法で作ったのかしら。治療も出来て、攻撃魔法も使えて、錬金も出来るなんて。本当に姉妹だったら今以上に惨めな気分になったわね。
もしくは、誇りに思って溺愛したか。
あれ?でも前にユエ、錬金の授業で失敗してなかったかしら?
「ユエ、貴方錬金が使えるようになったの?」
「いいえ?」
「え?だって、あの椅子ユエが出したって」
今タバサが座っている金属製っぽい脚の細い椅子は、私の部屋にはなかったはず。そこは間違いないわ。
どういうこと?
「あぁ、あれは私の亜空間倉庫に入ってた物です。どこかで使うかもと放り込んであった奴でして、椅子が足りなかったので、それならと」
あくうかんそうこー?
何それ、どんな倉庫よ。
「魔法で作った倉庫です。キーワードを唱えるだけで入ってる物を取り出せるので、結構便利なんです」
「便利すぎるわ!東方の魔法技術はどうなってるのよっ!」
本当に、東方ってとんでもないわ。
「ルイズー、東方の事でいちいち驚いてたらキリがないわよ?」
キュルケがダレながらもそう忠告して来る。
いつもは聞く気にもならないキュルケの言葉だけど、今回ばかりはスッと納得出来たわ。なんかくやしいけど。
「まぁ、折角時間が出来たんだし、早速見ましょうか」
シエスタが夕食を持って来てくれるまでにも、少し位見てられるでしょ。
「分かりました。では、行くですよ」
ユエが呪文を唱えると、その手からさっき使ってた大きな本が飛び出てきた。いつの間にか持ってないと思ったら、魔法でしまってたのね。本当に便利な魔法ね、私にも使えないかしら?
「さて、何から見ましょうか?色々規格外な人が多いですから、誰を見てもそれなりに得るものがあるですよ」
私から見たらユエだって十分規格外なのに、そのユエが規格外って言うなんて、一体どんな人が居るのよ。
「さっき言ってた大きな氷塊を出す人がいい」
どんな人が居るか分からないからか、それとも自分の属性だから興味が出たのか、タバサがそう希望を出した。
「エヴァンジェリンさんですね。最初から彼女を観ると価値観崩れるですよ」
そう言ってユエは準備に入った。
価値観崩れるって、何よ、そんなすごいの?
「エヴァ……って、どんな人なの?」
キュルケがユエにどんな人か聞いてるけど、確かに気になるわ。
名前だけ聞けば身分の高そうな感じだけど。
「エヴァンジェリンさんですか?
フルネームは、エヴァンジェリン・A・K・マグダウェルと言いまして、自他ともに認める世界最強の魔法使いです。かつては世界を股にかけた賞金首でしたが、ある魔法使いに魔力を封じられてしまい、今は私が通っていた学校でのんびり生徒をしてるです。
たまにクラスメイトに頼まれてやんちゃするんですが、封じられたとは言え、その魔法の手腕は凄まじいので、彼女が軽くはしゃぐだけで学校全体を巻き込む大騒ぎになるです」
なにそれ?
聞いたら余計分からなくなったわ。魔法を封じられたからって、なんで学校に通うようになるの?クラスメイトは何で賞金首に頼み事をするの?そして何ではしゃぐだけで学校規模で大騒ぎになるのよ。
「では、エヴァンジェリンさんで行きますよ?覚悟して下さいね?」
ユエが更に念を押してきたわ、そんなに凄いの?
そして、またあの半透明の鏡みたいなのが出て来て、その真ん中に金髪の背の低い女の子が映った。腕組みして、威風堂々とした感じで立っているわ。ん〜、確かに位が高い人特有の威厳みたいなのを感じるわね。でも、賞金首になるような悪い子に見えないわ。どうして賞金首になったのかしら?
「ねぇ、ユエ。何でこの子は賞金首になったの?いくら魔法が強いって言っても私たちより歳下でしょ?この子」
子供が魔法を封じられる程の賞金首になるなんて、普通考えられないもの。なのに何でユエはそんな驚いてるのよ?そんなおかしな事言ったかしら?
「ユエ?」
「ハッ!す、すいません。
そうですね、知らない人が見ればただの子供と思うのも不思議ではないですね」
額の汗を拭う仕草をしながらユエがそうつぶやく。
「彼女は600年の時を生きた吸血鬼です。それも真祖と呼ばれる吸血鬼の最上位に位置する存在なのです。その存在が許せないと言って教会の人間が討伐しようと命を狙ってみたり、彼女を打ち倒し名を上げようと賞金稼ぎが挑んで行ったりで、それを返り討ちにしてる間に賞金がどんどん上がって行ったそうです。
今は呪いのせいで学校から出られなくなったので、仕方なく生徒の立場に甘んじてるのだと言ってるんですが、私から見たら結構楽しんでいる様な気がするです」
「きゅ、吸血鬼!?」
「最悪の妖魔じゃないの!そんなのが学校に通ってるの!?」
何となしに聞いていたらしいキュルケも流石に慌ててるわ。
真祖とか言う吸血鬼で、600年も暴れ回ったなら賞金首になるのも分かるわね。でも、そんなのにクラスメイトは何を頼んだのよ。
「……ちなみに、その吸血鬼にクラスメイトとやらは何を頼んだのよ?」
キュルケも気になったのかぐったりしたままユエに質問する。
「ある先生の本命は誰か暴くために手を貸してくれだったり、スケートがしたいからと言われて、ケーキ数個の報酬で湖を全面スケートリンクに変えたりと、結構いろいろです」
スケートリンクが何か分からないけど、私の知ってる吸血鬼から、何百メイルも離れてる気がするわ。それ本当に吸血鬼なの?吸血鬼って、人の生き血をすする怪物だと思ってたんだけど、なんかやたらと良い人な感じね。東方の事だし、直接関係ないから平然と聞いていられるけど、なんて心臓に悪いのかしら。東方の話は。
「まぁ、学校に居るのは呪いのせいですが、それを解くメドが立ったので、はしゃぐ度合いが大きくなってたのではないですかね」
その時の事を思い出したのか、少し苦笑いをしてる。
多分ユエも巻き込まれたのね。
「さっ、続きを行くですよ」
今まで止まってた映像がまた動き出した。
彼女の前に立っている相手は、ここトリステイン学院の物とは違う制服を着たユエだった。決闘の時に貸してくれた大きな剣を持って身構えてる。
「ユエが戦うのね。吸血鬼相手に勝てるの?」
「勝てる訳ないですよ。先程言ったように彼女は世界的に見ても最強クラス。ひよっこの私では逃げ回るだけでも至難の技です」
そうよね。相手は最悪の妖魔吸血鬼。普通の人間が敵う相手じゃないわ。
ユエが普通か、は議論の余地があると思うけど。
「この訓練はエヴァンジェリンさんからの攻撃を15分間凌ぐのが目的です。私ではまともに戦えないので、逃げ回って生き残る事に専念する訳です」
「に、逃げるのが目的なの?」
貴族にとって、戦いの場から逃げるなんて名誉に傷がつく行為は絶対やってはならない事よ。それが目的の訓練なんておかしいわ。
「立ち向かわないの?」
ずっと画面の前で待ってたタバサが、くいっと首を傾けて聞く。そうよね、いくら相手が吸血鬼でも逃げるだけなんて臆病者のする事よ。
「相手との実力差がありすぎますからね。立ち向かっても一蹴されるだけです。それでは訓練にならないので、まずは相手の攻撃を避けてこちらが攻撃出来る隙を探さねばなりません。その為の訓練です」
「でもなんか釈然としないわね、逃げるのが訓練なんて」
やっぱり貴族たるもの正々堂々と戦わないと。
「まぁ、そう思うのも無理はないですが、ドラゴンにアリが挑む様なものですから。まずは相手の攻撃を避けれるようになって、戦えるだけの実力を付けなければ何も出来ずに終わってしまうです」
ドラゴンとアリなんだ。このちっちゃい子がねぇ。
いくら吸血鬼でも、そんなに差があるの?
「ではスタートです」
そうして訓練風景ってのが始まった。
始まってすぐ、エヴァンジェリンが一瞬でユエの後ろに現れて、ユエの頭に爪を振るう。髪の毛数本を切られながら、なんとか避けるユエだけど、すぐに相手の蹴りで吹き飛ばされた。
って、どんな威力よ!?30メイル以上吹き飛んでるわ。地面を滑りながらなんとか起きたユエだけど、いつの間にか空を飛んでいるエヴァンジェリンの手に大きな氷塊が……って、大きすぎるから!!何メイルあるのよ、あの氷!
ユエは叩きつけられる氷塊から凄い速さで逃げたけど、氷塊がぶつかったせいでもうもうと上がる砂埃の向こうから撃たれたすごい数のマジックアローに足を止めてしまう。辺り一帯を埋め尽くすマジックアローを手の先に出した多分エアシールドだろうけど、それで受け止めていくユエ。
ドラゴンって言ったのも納得だわ。あんなのこの国の軍隊でも耐えられないかも。どうにかマジックアローを凌いだユエだけど、着弾で上がった砂埃で何も見えなくなっているわ。
あ、ユエ後ろー!!
「終了ですね。まだ始めたばかりの頃の映像ですが、持った方ではないでしょうか」
「って!ユエ大丈夫なのあれ!?なんか氷の中に閉じ込められてるんだけど!?」
大きな氷の中で、ギャーって感じの表情で固まっているユエ。あれはもう死んじゃうんじゃないの?
「これは半年近く前のものですよ。大丈夫じゃなかったら、ここには居ません。
ちゃんとこの後、友人が氷を消して出してくれました」
なんかタフね。ギーシュのゴーレムをポーンと吹き飛ばせるくらい強いのも当然よ。文字通り鍛え方が違うんだから。
「半年この訓練をやって、どうにか10分持つようになったので、これならどこに行ってもそれなりにやって行けると太鼓判を貰ったので、留学する事が出来たです。まぁ、結局目標の15分には一度も届かなかったので、オマケの合格ですが」
「あれを10分、それでも凄い」
タバサが予想以上の訓練だったからか、ボーっとしながら呟いてる。私も同じ気分よ。
「逃げるなんて臆病者のする事よとか最初は思ってたけど、むしろ臆病者には出来ない訓練ね、これは。向き合う事すらそこらのメイジじゃ真似できないわよ。東方のメイジは皆こんな訓練してるの?」
正々堂々なんて言ってられないわ、あれは。
私だったら最初の一撃で、首が飛んで終わりね。
「まさか。他の人はもっと普通ですよ。
ただ私は、目標としてる人達に少しでも近づく為にと、少し無茶をしただけです」
少しなんだー。
こんな訓練しないと追いつかない人達って、一体どんな人達なんだろう。
「皆さん、お待たせしました。お夕食をお持ちしました。
……って、あの、皆さんどうしたんですか?なんだか、ぐったりしてますけど」
「いえ、大丈夫よ。ただ単に、ちょっと疲れただけだから」
「はぁ……」
納得したような、してないような、微妙な表情で返事をしてシエスタが夕食をテーブルに並べていく。
「ふぅ。それにしてもユエって結構無茶な訓練してたのね。そりゃあ、強くなるわけよ。
他にはどんな訓練してたの?流石にあれだけって事はないでしょう?」
キュルケが他の訓練方法に興味を持ったみたい。難易度はすこぶる高いとは言え、流石に逃げる訓練だけしてた訳ではないでしょうし、他にどんな事してたのか気にならない訳ではないから、私も聞き耳を立てる事にする。
「他にですか?
後は、雪山に杖だけを持たされて一週間生き延びろというのをやりましたね。魔法で寒さ対策するのですが、余力の配分を間違えるとすぐ凍死へ一直線と言う、かなり過酷なサバイバル訓練でした。いやぁ、気付いたら手足の感覚がなくて、身動きも取れない状態になってた事がありましたが、あの時は本気で死ぬかと思ったですね」
雪山に杖だけって、食糧とか、寝る所とかはどうするのよ!?
あと、それ凍死寸前じゃない!もう訓練じゃないわ!自殺行為よ!?
「その雪山の要領で、他に砂漠や火山、ジャングルなんかにも放り込まれたです。意外とジャングルより、砂漠の方が過ごしやすかったですね。砂漠には、ジャングルのように毒虫が影から刺してくる事が少ないですし」
恐ろしい事を平然と言うユエ。
聞かなきゃ良かった。そりゃあ、タフになる訳よ。
「ジャングルは動物が居るから食糧の問題はないですが、あの虫には参ったです。油断して、猛毒を持つ虫に刺され、腕や足が面白い程痙攣した事がありました」
「「面白くないわよっ!?」」
またも恐ろしい事を言いながら手をブルブル震わせるユエに、キュルケと二人で思わず突っ込んでしまった。毒虫に刺されて手足が痙攣するって、もう本気で危ない状態よ?よく死ななかったわね。
「森は油断出来ないから、危険」
タバサがぼそっと呟いた。
なんだか妙に実感がこもってたけど、タバサも経験があるとか言わないでしょうね?
「タバサ?あなたも同じ事をやった事があるなんて言わないわよね?」
「訓練で行った訳じゃない」
森に遊びに行って、大変な目にあったって事かしら?
「まぁ、ユエみたいな訓練してるメイジなんて、ハルケギニアには居ないでしょうよ」
呆れた風にキュルケが言うけど、私もそう思う。
探せば居るかも知れないけど、もっとマシな訓練に違いないわ。少なくても吸血鬼を相手取ってみたり、雪山で凍死しかかるなんて事を何度もやる人は居ないわ、うん。
「やむを得ない事情で森に行っただけ。二度はしたくない」
タバサがいつも以上に表情を固めてそう言って断った。
まぁ、聞くだけで過酷な訓練だもの。わーい、私やるー!……なんて言う奴居ないわよ。思い出したのか、いつもより暗い雰囲気を出すタバサの頭を、キュルケがよしよしと撫でている。今まで小憎らしいだけだったキュルケが、今日はどうも優しそうな雰囲気を出してる気がする。
うあ、鳥肌が。
「その訓練は、何度もやったの?」
タバサがキュルケの手から逃げてから、またぼそっと聞いた。聞きたくないけど、興味が出ちゃって仕方なく聞く感じかしら?こうなったら私も徹底的に聞いてやろうじゃない。何か私が魔法を使う為のヒントがあるかも知れないし
頭では分かってるわよ?そんなものないって。
でも、少しでも身になる事柄があれば、ここまで疲れた事にも意味があったんだと諦められるものね。
「えぇ、割と。最初は一週間、次は二週間と言った感じでどんどん期間を伸ばしていました。
ただ期間を伸ばすだけでなく、いろいろ課題を出される事もあったです」
一週間でも死にかけたって言ってたのに、それを更に伸ばしてなんて、正気の沙汰じゃないわね。
「課題ってどんなの出されたの?」
「いろいろです。用意されたモンスターを期間内に討伐しろだったり、仲間内の誰かを侵入させておくから見つけ出せだったり、ある時は杖も取り上げられたですし、現地でどうにかしろと服すら取られて放り込まれた事もあったです」
「服すらって、裸でって事!?」
「流石に下着だけは許してもらいました。恥ずかしかったですが、周りに人が居ないのですぐ気にならなくなったですね。気にしてる暇もなかったですし。知ってますか?木の皮って、意外と暖かいんですよ?」
知らないわよ。
やっぱり半端じゃないわね、東方の訓練。そして、そんな訓練を難なくこなしてるユエも普通じゃないわ。メイジとして強くなりたいとは思うけど、私はそんな訓練受けて生き残れる気がしないわね。
まったく、聞いた所でヒントにもならなかったわ。
「あの、皆様。お食事の用意が出来ましたのでお召し上がりください」
食事の用意をしていたシエスタがそう声をかけてきたので、一旦話をやめてテーブルにつく。食堂のテーブルほど広くはないけど、四人で着くなら問題ない。このテーブルで誰かと食事をするなんて、思いもしなかったわ。
さっと始祖への祈りを唱えて食事を始める。ユエの祈り方は変わった感じだけど、東方特有のなのかしら?
よく考えたら、この部屋でトリステイン出身なのって私だけじゃない。キュルケはゲルマニアだし、タバサは確かガリアって言ってたわね。そして、東方のユエ。あとはロマリアが居れば世界が集まったようなものになるわ。それはちょっと面白いわね。部屋の中だけで、世界が廻れるんだから。
「あのエヴァンジェリンってのも凄かったわね。吸血鬼って、皆あんな感じなのかしら?最悪の妖魔なんて言われるのも当然よねぇ」
あの魔法は凄まじいの一言だったものね。あんなのが襲ってくるなんて、考えただけで震えがくるわ。
「吸血鬼はもっと普通。人と見分けがつかなくて襲われるまで分からないから、最悪の妖魔と言われるだけ」
タバサが手を止めずに吸血鬼の言われを説明する。
この子はいろいろ知ってるわねぇ。私も本は読むけど、大体魔法に関する教本ばっかりだから、こういう雑学的なものはよく分からないのよね。
「私も吸血鬼は、エヴァンジェリンさんしか見た事ないので、他の吸血鬼の人との違いが分からないです」
唯一知ってる吸血鬼が超規格外な存在なんて、いいのか悪いのか。
短い映像だったけど、その強さは十分伝わってきた。私にはそんな強さはいらないし、ただ魔法が使えればいいのよ。他の皆にバカにされない程度に使えれば文句はないけど………そうだ。
「ねぇ、ユエ。私に東方の魔法って使えないかしら?」
むぐむぐとサラダを頬張っているユエに聞いてみる。
出来るかどうか分からないけど、試してみても損はないでしょう。
「ルイズが、ですか?どうでしょう?理論をしっかり把握すれば出来なくはないはずですが」
「ルイズ、やめといた方がいいわよ?あなたは気付いてるか分からないけど、東方の魔法は確実に異端になるわ」
キュルケがそう止めてくるけど、その可能性は私も気付いてるわよ。
ほんの数種の魔法を見ただけだけど、そもそも呪文が違うし、発動する魔法もかなり違う。これで気付かないのは、よっぽど節穴な目をしてる奴だけよ。
「少しくらいなら大丈夫よ。もしかして東方の魔法なら爆発しないかもしれないじゃない。一回でもまともに使えれば、普通に使えるようになるかもしれないし」
誰も見てない所で練習して、系統魔法が使えるようになったらやめればいいでしょう。一回でも使えれば、感覚が掴めて使えるようになるかもしれない。やってみる価値はあるでしょう。もしかしたらあのエヴァンジェリンみたいな凄いメイジになれるかも。使えるだけでいいとは思うけど、どうせなら、ねぇ?うふふふふ!
「ルイズが変な顔をしてるわ。きっといやらしい事を考えてるのね」
「そんな訳ないでしょ!!」
キュルケじゃあるまいし、いいいやらしい事なんて考える訳ないじゃない、まったく。
「東方の魔法って、そんな簡単に教えていいものなの?」
「えぇ、体系付けて学校で教えるくらいですから、全然問題ないですよ。私も元々魔法とは縁のなかった人間ですが、今はこれこの通りですし」
ポンっと小気味良い音を鳴らして、何か小さな四角い箱みたいなのを出すユエ。その箱についていた棒をプスっと刺して、そのまま口に咥える。あれって飲み物だったのね。
「もっとも、ルイズ達ハルケギニアの人達がちゃんと使えるかどうか疑問ですが」
ちゅーっと四角いのから何か飲んでるユエが気になること事を言ってるわ。私達に使えるか分からないって?
「魔法が使えないルイズじゃなくて、私達が使えるか分からないって、どういう事なの?」
「魔法が使えないは余計よ!
ユエ、それは属性が合わないかもしれないって事?」
使えないと断定する訳じゃないのはそう言う事だと思ったけど、どうもユエの様子では違うっぽいわね。
「いえ、属性はいろいろあるですし、どうとでもなります。
問題は、私達の魔法とルイズ達の系統魔法では、使い方のシステム、理論がまったく違うので、系統魔法に慣れ親しんだ貴方達にその感覚を理解しきれるかという所です」
理論が違う?呪文を唱えて魔法を使うだけじゃないのかしら?
「説明してくれる?私には良く分からないわ」
キュルケも分からないか。良かった、私が分からないのにキュルケが分かってたら悔しいもの。
「私達の魔法は、世界に満ちている力を自分の魔力、精神力で集めて魔法とするですが、この世界に満ちている力を認識出来るかが問題なのです。ルイズ達の系統魔法は、自分の力だけで発動させるので、内側への感覚は鋭いですが、外の力へは鈍いようです。なのでもし使うなら、先にこの外の力を認識できるようにならなくてはなりません」
あー、説明してくれたけど、イマイチわかんないわ。
キュルケも頭をひねってる。自分の精神力を使って魔法を使うのが、系統魔法で、ユエ達のは外にある精神力で魔法を使うって事なのかしら?
どっかで聞いたような?
「先住魔法に似てる」
「あぁ!」
引っかかってた事がタバサの言葉でようやく分かったわ。確か先住魔法は、その場にある自然の力を利用する魔法だったはず。外の力を使うユエの魔法と確かにそっくりだわ。
「ん?つまりユエの魔法は、先住魔法って事?」
あれ?それってめちゃくちゃマズイんじゃ?
「先住魔法が何か分かりませんが、私達の魔法は精霊魔法と言われる種類のものです。世界に満ちる力を使い、精霊の力を呼び出すわけです。個人的な力だけより大きな力を使えるのですよ」
まんま先住魔法じゃないの!こここれ知られたらすっごくマズイわ。審議とか無しですぐ処刑とかになるかも。
「ユエ、せっかくだけど教えてもらうのはやめにするわ。ヴァリエールの人間が、先住魔法を習ったなんて事が知られたら、お母様に殺されてしまうわ」
怒った母様の姿が浮かんできて、思わず身震いしてしまった。
物凄く残念だけど、諦めるしかないわね。
「習っただけで、ですか。ここの宗教観念は恐ろしいですね」
ちょっと引き気味にユエが呟くのを聞きながら、どうにか頭の中の母様の姿を消し去る。怒った母様は暴れるドラゴンより怖いのよ。
「ユエ、これからはもっと気を付けて隠すのよ?今までみたいにやってると、すぐ足がつくわ」
「そうですね。そうそう捕まる気はないですが、皆に迷惑がかかるでしょうし、使わなければ命が危ない。なんて時以外使わないようにするです」
「学校に居るだけならそんな危険はそうそうないだろうし、気を付けていれば大丈夫でしょ」
ふぅ、先住魔法じゃなかったら絶対習う所だったのに、残念ね。
でも、先住魔法ならあの強さも頷けるわ。あのエヴァンジェリンって吸血鬼が強いのも、そのおかげなのね。……そうだ、ちょっと確認しておこう。
「ユエ?貴方は吸血鬼じゃないわよね?」
エヴァンジェリンと同じ魔法を使えるユエも、もしかしたらそうかも知れないと思ってちょっと聞いてみる。もし、吸血鬼だったら、強くて当然だもの。さっき言ってた危険な訓練が平気なのもそのせいかも知れないわ。
「私は普通の人間ですよ。手間賃として、血を吸われた事もありましたが、余り美味しくないと言ってその一回切りで終わりになりましたが」
「そう。吸血鬼だから、あの訓練をしてても平気なんだと思ったのに」
本当に人間なんだ。あそこまで人間は強くなれるのね。母様だけが特別だと思ってたわ。私も習えば強いメイジになれるのかな?でもでも、お母様は怖いし!いっそ吸血鬼だって言ってくれれば種族が違うせいだと諦められたのに!
あぁ、でもそれだと血を吸われちゃうのか。ユエなら別にいいけど、それもどうだろう!うぅ!
「吸血鬼は清らかな乙女の血を好むって聞いたけど、美味しくないって事は、……もう!ユエのエッチ!!」
「いきなり何を言ってるですか、キュルケ」
「え〜?つまりそういう事でしょう?
一体誰と、いつシたのかしら?ほらお姉さんに教えなさいなっ♪」
「放すです!美味しくないのは、もっと美味しい血を知っていたせいです!貴方の考えてるような事は一切ないです!」
ん〜?あぁ!そそそういうことね!
まままったく、きゅキュルケは、まったくっ!
「ちぇ〜。ねぇ、あなた?ワインをもう一本持ってきてくれない?」
思ってた事と違ったからか、やたらと残念そうなキュルケが、控えていたシエスタにワインを注文する。こいつ、いつの間に全部飲んだのよ。こっちはまだ半分くらいしか飲んでないのに。
ユエは自分で出した四角い奴を飲んでるし、タバサは……っ!?
「ちょちょちょっと、タバサ!?なんであんたは私の分まで食べてるのよ!?」
いつの間にか目の前にあったお皿がなくなっていて、タバサの横で重ねられていた。さっきからずっと食べてるのに減ってなかったタバサの料理は、私の所から取ったからなのね!
「食べないと悪くなる」
「そんなに早く悪くなる訳ないでしょう!?」
なんて食い意地の張った奴なのかしら!
更に残っていたサラダを悪びれもせず持っていくタバサを見ながら、残っていたワインを一気に飲み干す。
「シエスタ、私の分も持ってきて。銘柄は適当でいいわ」
「は、はい。分かりました。ミス・ツェルプストーは、どんな銘柄にいたしましょうか?」
まったく、飲まなきゃやってられないわ。
そんなに大食いじゃないけど、まだちょっと足りてなかったのに。
「あればでいいんだけど、タルブの奴を。年代はなんでもいいわ」
「はい、分かりました。少々お待ち下さい」
注文を受けて、急いで部屋を出て行くシエスタ。
「ワインの銘柄まで指定するなんて、そんなに好きなの?」
「タルブのって、私好みの味なのよ。
それに、タルブのは、飲んでるとここが大きくなるのよ?」
そう言って自分の胸を軽く持ち上げるキュルケ。
ワインにそんな効果があるわけないじゃない。きっとまたからかう気ね。
「ほら、ルイズも飲めばきっと大きくなるんじゃない?
うぷぷ。もう無駄かもしれないけど」
「ぬぁんですってぇー!?この乳お化けが!
ワインで大きくなるわけないでしょっ!?」
「でも、ほら。子供の頃から飲んでる私は、こんなになったわよぉ?何よりの証拠じゃない?」
胸を寄せて左右に揺らすキュルケ。そんな訳ないって分かってるのに、言い返せないわ。本当にそんな効果があるように思えて来ちゃった。でも、キュルケのいう事だし、絶対嘘に決まってるわ!
「お待たせしました、ミス・ツェルプストー。ミス・ヴァリエール」
言い返せず、その大きな胸を睨みつけるしか出来ないでいたら、シエスタがワインを持って帰って来た。
「あら?随分速かったわね。急がなくても良かったのに」
「いえ、ワインだけですから。では、どうぞ」
そう言ってキュルケのグラスにワインを注ぐシエスタ。あの子もかなり大きいわね。ほほ本当にワインで大きくなるのかしら?
「ねぇ、シエスタ。貴方は普段ワインを飲む時は、なんの銘柄を選ぶの?」
「ふぇっ!?私ですか?」
私のグラスに注ぎにきたシエスタにさりげなく聞いてみる。
「あ、あの。私は平民ですし、そんな銘柄を気にする事なんて出来ません。いつもは実家で作ってる物を飲むくらいで、その…」
あ、いけないいけない。気にし過ぎて聞く相手を間違えたわ。平民のこの子にそんな事聞いても困らせるだけじゃない。
「あぁ、困らせるつもりはなかったの。ただちょっと気になる事があったから聞いてみたくなったのよ」
「気になること、ですか?」
どうにか落ち着いてくれたわ。まったく貴族だって言うのに、使用人を虐めるような真似をしちゃうなんて、これもキュルケのせいよ。
「えぇ、気にしないでいいわ。……因みに、その実家ってどこなの?」
ちょろっと話をつないで行こう。急にやめると変に思われるし。まぁ、既に変な事を聞いたから今更だけど、軽い世間話でもしてごまかそう。
「私の実家はタルブにありますが、それが……」
ガチャン!!
「えぇぇ!?み、ミス・ヴァリエール!?どうしたのですか!?」
思わずテーブルに頭を打ちつけちゃったじゃない!なんて偶然なの!?やっぱり本当にワインでむむねが大きくなるというの?
「だだ大丈夫ですか!?ミス・ヴァリエール?」
「えぇ、だ大丈夫よ?ありがとう」
心配してくれるシエスタに答えながら頭を上げると、堪えきれないといった感じで大笑いしてるキュルケが目に入った。
「あははははっ!いいわ、ルイズ!最高!」
「何笑ってるのよ!ツェルプストー!?」
ぐぬぬ、こいつはまったくぅ!!
「ルイズ、全部キュルケの嘘ですよ?」
「やっぱりそうだったのね!?」
シエスタがタルブ出身だって聞いて、一瞬本気にしたのに!やっぱり嘘なんじゃない。どうしてくれよう!
「騙される方がおかしいのよ、ヴァリエール。
でも、そこのメイドがタルブ出身だったなんて、偶然って面白いわ!」
「あ、あの、私何か?」
「気にしなくていいですよ。単なる偶然のせいです」
くうぅぅぅ!悔しい!からかおうとしてるのは分かってたのに、まんまと騙されたわ!ケラケラお腹を抱えて笑ってるキュルケを火が出そうなほど睨んでやるけど、全然堪えない。こここのツェルプストーめぇっ!
「うっ。あ、あれ?ここは………?」
飛びかかろうと思ったその時に、ベットの方から声がした。
はて、何故にベットから?
「あ、サイトさん。目が覚めたんですね」
あ、サイト。すっかり忘れてたわ。
オロオロしてたシエスタが、目を覚ましたサイトに気付き、駆け寄って行く。ただでさえずっと任せていたし、目が覚めた時にご主人様が知らん降りするわけにもいかないから、私も行こうかしらね。
グイッと残ってたワインを飲み干して、慌てず余裕を持ってベットに近づいて行く。シエスタと少し話してるサイトの様子は、もうどこにも問題がなさそうに元気ね。
「やっと起きたみたいね」
「あぁ、ルイズ。心配かけてごめん」
「私のいう事聞かないから、そうなるのよ。次からはちゃんと聞きなさいよね」
起きた事は嬉しいけど、ここは毅然とした態度でいかないと、ご主人様としての威厳がなくなるわ。病み上がりでちょっと気が引けなくはないけど、ここは譲れないわ。ビシッといかなきゃ。
「あぁ、悪かったよ」
「まったく。ほらちゃっちゃと出なさい。いつまで貴族の、それも乙女のベットを独占してるつもり?」
起きたのなら、さっさと出てもらわないと。昨日は椅子で寝たから、寝不足なのよね。平民で使い魔のくせに、貴族のベットを使わせてもらえただけありがたく思いなさいよ?
「あ、あぁ。っと……凄いな。あれだけの怪我がすっかり治ってる」
「ミス・ヴァリエールが私達平民では10年働いても一本買えるか分からないほど高価な魔法薬を何本も集めてくださったんですよ?」
こ、このメイドはまた勝手にペラペラとぉ!
でも、それを聞いたサイトは感激したって風な表情でこっちを見てくる。ふふん、ご主人様の偉大さを少しは理解したようね。これからは誠心誠意私に仕えなさい。
「ルイズ、そのありがとう。そんな高い物を」
「あんたは私の使い魔なのよ?それに必要なお金をかけるのは当然じゃない。感謝するなら、これからはしっかり仕えなさい」
む?なんか微妙な目でこっちを見てる。ここは感謝して、はいルイズ様!って言う所でしょ?
「無事起きたみたいですね?」
いつの間にかユエが私の後ろに立っていた。
妙な目で見てたのはユエの事だったのね。ぽけっとユエを見ているサイトだけど、もしかしてユエを覚えてないのかしら?まぁ、ボロボロになってたし、すぐ気絶したから無理もないかもしれないけど。
「えーっと、あんたは……?」
「自己紹介がまだでしたね。私は綾瀬夕映、どうぞよろしくです」
あやせー?
<夕映>
ようやく起きたらしい使い魔さんに自己紹介をしたですが、ルイズが不思議そうな顔で首を傾げています。そういえば、こちらでは日本名を名乗った事なかったですね。まぁ、今は置いておくです。
「えーっと、平賀才人だ。よろしく?」
平賀さんですか。本当に日本人なのですね。
あの時、彼の言葉にだけ違和感を感じませんでした。いつもは誰の言葉にもほんの少しだけ違和感が出るです。いつ翻訳魔法がかけられたのかは分かりませんが、ここに来てすぐは日本語で話してるのかと思ったほど、スムーズな変換がなされてるです。魔法世界でたまに使われる翻訳魔法より術式が複雑なんだと思うですが、頭の中で変換される際のタイムラグがほとんど無いのです。あちらもほぼ気にならないほどのラグですが、こちらの物は耳から頭に届くまでの間に変換されている感じですね。残る違和感は、日本語にない表現を無理に変換したと思われる時の文法的なものなどくらいです。
しかし彼の場合、ほんの少ししか言葉を聞きませんでしたが、一切の違和感がなかったです。つまり、彼の言葉は翻訳魔法で翻訳していないという事。つまり日本人、もしくは日本語が話せる地球人と言う事です。そして見た目から日本人と判断したですが、どうやら正解だったようですね。
「平賀さん、ですね?多分同郷同士よろしくです」
「ど、同郷って、やっぱりあんたも日本人なのか?」
驚いたように確認してくる平賀さん。
知らない異世界で同じ日本人に会うと言うのはかなりレアな状況ですからね、驚くのも無理はないです。
「はい。日本の埼玉から来たです。もっとも、経緯はかなり複雑ですが」
「埼玉……。ほ、本当に日本人なんだな」
唖然とした表情で埼玉、埼玉と呟く平賀さん。
やたらと衝撃を受けてるですね。多分、彼は一般人なのでしょう。少しでも魔法に関わっていた人間なら、異世界に来ても、そこまで戸惑わないでしょうし、同じ日本人にあったとしても、海外であった位のテンションで、やぁ、なんて挨拶するくらいでしょう。
言い過ぎですかね。
しかし、麻帆良の生徒達ならきっとそんな感じの反応をするでしょう。
現に、まき絵さんたちは魔法世界に放り出された時、かなりたくましく生活してたらしいですし。予備知識もなく言葉の通じない異世界に放り出されて、何故バイトして生活費その他を稼げるのか。麻帆良生のバイタリティーは凄まじいの一言です。
まぁ、私もその麻帆良生の一人だったので、余り言えませんが。
「なぁ、あんたもここの連中に召喚されたのか?」
「そうと言えなくもないですが、ちょっと違いますね。でも、それがどうしたのです?」
なんでも彼はルイズに使い魔として召喚された時、日本の秋葉原に居たそうです。つまり、あのサモンサーヴァントと言う魔法は世界の垣根も越えるのですか。しっかり調べれば、帰る方法も分かりそうですね。
「私はこの世界のどこかの森で彷徨っていた所に、タバサの、そこに座ってる彼女ですが、彼女の召喚魔法で呼ばれようとしているドラゴンに巻き込まれる形で、ここトリステイン魔法学院にやって来たです。森の中から、偶然人の居る所に出られたので、これ幸いとここの生徒にしてもらったです」
「えっと、つまり召喚されて、この世界に来た訳じゃないのか」
「えぇ。この世界に来たのは完全な事故でしたし」
「そうか、じゃあ帰り方なんて分からないよな。
因みに、どんな事故でここに来たんだ?」
「簡単に言えば、正体不明のワープトンネルに吸い込まれたです。
気付けば、さっき言ったようにこの世界のどこかの森の中に居ました。来た方法がそもそも事故なので、帰り方はちょっとわかりませんね」
「そうか。まぁ、仕方ないよな。
でも、同じ境遇の奴が居て少しホッとしたよ。違う世界で一人ってのは寂しいからな。これからよろしくな、一緒に頑張っていこうぜ?」
右手を出して握手を求める彼に、とりあえず握り返すです。
やっぱり心細かったのでしょう、異世界で一人と言う状況は。一般人のようですし、錯乱しないだけマシではないですかね。
「ちょっとサイト?ユエとあんたが同じ境遇な訳ないでしょう?馴れ馴れしくするんじゃないわよ」
「な、なんだよ急に。同じ地球から来た者同士、立場は同じだろう?」
「全然違うわよ!あんたは平民で使い魔、ユエは貴族でメイジ。全然違うの。いい?あんたは仕える立場なの!そこを間違えないで!」
ルイズが急に怒りだしたです。
身分とかの関係はこの世界ではかなり厳格なようで、使い魔の彼が仮とはいえ、貴族の位にある私に馴れ馴れしい態度を取る事が許せなかったのでしょう。
「ルイズ、落ち着くですよ。知らない土地に一人で来てしまい不安だったのでしょう。大目に見てあげるです」
「そうは言ってもね?こう言うのはしっかり躾けなきゃいけないのよ」
彼が他の貴族に何かしたら、ルイズの責任になる事もあるので、確かに心配でしょう。ですが、身分制度が無くなって久しい今の日本から来た平賀さんに、すぐ完璧な貴族への礼儀を示せと言っても無理と言うものです。私だって、一般的な礼儀作法しか知らないですから、そのうちボロが出るでしょう。なのでどうしてもと言うなら、時間をかけて教えていくしかないのです。
「どんな事でもすぐに結果を出すことは出来ないです。とりあえず今この部屋の中だけは大目に見て上げるです。一歩外に出たらそれなりにやって貰うという事で。じゃないと話が進まないです」
「うぅ、しょうがないわね。今だけだからね!」
平賀さんにビシッと指を突きつけて念を押すルイズ。なんだか明日菜さんを思い出させる仕草ですね。性格も少し似てますし、会わせたら面白い事になりそうです。
「いつまでも立ち話も変ですし、こっちに座って続きと行きましょう。平賀さんも、まだ聞きたい事があるでしょうし」
彼らを促し、さっきまで座っていた席に戻ります。下手するとずっと立ったまま会話が進みそうですしね。井戸端会議してる訳では無いので、そんな疲れる事はごめんです。
「さって、では平賀さんはどこか空いてる………おや?タバサ、キュルケはどうしたです?」
いつのまにかキュルケが居なくなっているです。せっかく頼んだワインも半分残ってるようですし、トイレでしょうか?
「ユエ達が話を始めた辺りで、部屋を出て行った」
平賀さんが起きたからって遠慮するような性格じゃないのは、もう分かってるです。しかし、何故なのか皆目検討がつきません。
「いいじゃない、ほっといて。早く座って続きを始めましょう。
私も聞きたいことが出来たし」
まぁ、そうですね。ハルナの様な性格ですし、何かロクでもない事を考えてるのかもしれません。本当に遠慮してたのなら、まぁ、その時は心で謝りましょう。
「では、平賀さんはそこの空いてる席にでもどうぞ」
「あぁ。……ん?ちょっとそれ、何でパイプ椅子なんだ?」
平賀さんがタバサの座っている椅子を見て驚いているです。
見た感じ中世ヨーロッパなこの世界では違和感が酷いですね。折り畳んで何個も入るからと選んだだけで、異世界に合うかどうかでは選んでないので、そこは気にしないで貰いたいです。
「それはユエが出した物よ。パイプ椅子って名前なの?変な名前ね」
「これは俺の世界の椅子の一つだ。あんたこんなの持って飛ばされて来たのか?」
「他にもいろいろ持ってますよ。それも数ある持ち物の一つと言うだけです」
やっぱり、キャンプ用品とかの椅子の方が良かったですかね?放り込んだ時はそこまで深く考えてなかったですが、余り普段使いしませんものね、パイプ椅子。
「数あるって、どんだけ持ってきてるんだよ。俺はノートパソコンだけだったのに。引越しの途中だったのか?」
「おや、鋭いですね。正確には、留学する為に日本を出たあと、ここに飛ばされたです。おかげで、生活には一切困らないですね。ここの学院長のはからいで、学院の生徒にして貰えたので、何も気にせず魔法の勉強が出来るです。不幸中の幸いとはこの事ですね」
もっとも、移動中じゃなかったとしても、全部持っている状態な訳ですからタイミングはいつでも同じだった訳ですが。
「まじで引越し中だったのかよ。
あ、そういやさっき生徒にしてもらったって言ったけど、どういう事だ?ルイズは俺たちには魔法が使えないって言われたけど、さっきあんた、魔法を勉強するとか言ったよな?勉強すれば、魔法が使えるようになるのか?」
そう言えば、同年代の男子と会話するのは久しぶりですね。図書館探検部で少し話すくらいで、後は女子ばかりでしたし。まぁ、女子校だったので当然ですね。ネギ先生は、年下なので除外です。
「あのねぇ、平民がいくら勉強したって魔法が使えるようになるわけないでしょう?ユエはメイジだから勉強する意味があるのよ」
ルイズが口を尖らせて平賀さんに訂正をします。現代日本で、魔法の勉強とか言うと、ある年代の病気のように聞こえていけませんね。
あぁ、魔法を知ったのはその頃ですし、問題ないのでは?いえいえ、そういう問題ではなく!
「夕映は、っと、そうだ。名前で呼んでいいか?俺も才人でいいからさ」
「まぁ、構いませんが」
「じゃあ、夕映って呼ばせて貰うぜ。夕映も俺の事、才人って呼んでくれ」
「分かったです、才人さん」
ネギ先生以外の男の人を名前で呼ぶとは、少し恥ずかしいですね。
「改めてっと、夕映は俺と同じ世界から来たんだぜ?俺の世界には魔法なんて漫画やアニメの中にしかないんだよ。それなのに、夕映がメイジなんておかしいだろ?」
「魔法が無いなんてあり得ないわよ!現に私は、ユエが魔法を使う所を何度も見てるのよ?あんたの怪我だって、ほとんどユエが治してくれたんだから!」
どんどん言い合いが激しくなって行くです。どうしましょう?
一般常識では、才人さんの言ってる事が正しいのですが、今回ばかりはルイズの方が正解ですし。
「なんだ?夕映も看病してくれたのか。それはありがとうな。
魔法と勘違いするほど、手当てがうまかったって事か」
「なんでそうなるのよ!本当に魔法で治したんだって言ってるでしょ!?こう、ちっちゃいのがフヨフヨーって出てきて、クルクルーってやって、そして、ピカカーって治したのよ!ハルケギニアでは見たことない魔法だったんだから!」
ルイズが興奮しすぎて、説明が幼児化しだしたです。
このままじゃ埒が明きませんし、仕方が無いので、私が間に入るとしましょう。私の事でケンカしてる訳ですし。
「二人共落ち着くです」
「だって、サイトが」
「ルイズの奴が」
「まぁまぁ、これでも飲んで一旦落ち着くです。ルイズ、才人さんには私が説明するです。実際に見せた方が早いですし」
ルイズと才人さんにジュースを渡して座らせます。何か飲めば少しは落ち着いて話が出来るでしょう。
しかし、どうしましょう。才人さんは一般人ですが、すでに魔法に巻き込まれているので、教えても問題ないでしょう。むしろ私が魔法使いの対処方法をしっかり教えなければ、また無謀な事をしかねません。今回はたいした事なかったですが、次もそうとは限りません。
死んでしまったら、元も子もないですし、きっとその時はルイズが泣く事になるでしょう。せっかくの友人ですし、平賀さんは同じ日本人同士、そんな状況にならないようにしたいものです。
「なぁ、夕映?こ、この微炭酸ラストエリクサーって、なんだ?こんなのどこで売ってるんだよ…」
「私の所では普通に売ってたですよ。まぁ、とりあえず飲みながら聞いてください。まずここは私達の地球とはまったく違う異世界だと言うのはもう分かっているですね?」
「あぁ、月が二つもあるし、そこは間違いないだろうな」
「そして、魔法使い、ここで言うメイジが存在しています。実は地球にも同じように……」
「なんかスプライトっぽ…ぐはっ!?なんだこれ!なんで、最初と最後で味が全然違うんだ!?
甘いと思ったら辛くなって苦くなって最終的に酸っぱくなったぞ!?どうやって作ってるんだ?」
「あの、聞いてますか?」
美味しさに感動している所悪いですが、これからいろいろ話すんで、聞いてほしいのですが。
「ユエー、これってどうやるの?」
今度はルイズが開け方が分からずパックをクルクル回してます。
「あぁ、すいません。貸してください、開けますんで」
パックを受け取ってストローを刺し、ルイズに渡します。飲み方は分かっているようで、そのままストローを咥えて飲み出します。
ふぅ、では話を戻すとしますか。
「さて、ここが異世界と言うのは確実です。そして、この世界と同じ様に地球にも魔法使いが……」
「ぶふぅーーっ!」
「ぎゃぁぁ!?何でこっち向いて吹くんだよ!?」
「う、うるさいわね!
ちょっとユエ、なにこれ!?なんかまろ苦くてすっぱ甘かったわ!だ、大丈夫なの、これ!?」
「どんな味だよ。……って、なんだ抹茶オレンジって!何混ぜちゃってるのっ!?」
……話が進まないです。
お互いの飲んだジュースの味を論評し、更にジュースを交換して飲んでみて更に騒ぐ二人。まぁ、ケンカを忘れて盛り上がってるからもういいです。
「タバサも飲むですか?」
「ありがとう………シュワシュワする」
抹茶コーラを飲んで目を見開き驚いているタバサ。シエスタさんは驚きすぎて吹き出したですが、さすが同士。すでに慣れたのか二口三口と飲んでいくです。小さくけぷっとやりつつ初めての炭酸を楽しんでいきます。
「シエスタさんも飲むですか?」
ルイズ達のそばでオロオロしているシエスタさんにも勧めるですが、
「いえいえいえ!大丈夫です!
私はそろそろ食器を片付けて、上がらせていただきますね」
この間飲ませたのがトラウマにでもなったのでしょうか、物凄い勢いで拒否して、食器を片し始めました。美味しいですのに、もったいない。今度また違う種類のを勧めてみましょう。
「ダーーリン!」
バタン!と、大きな音を立てて扉を開けて、扇情的なベビードールに身を包んだキュルケが飛び込んできた。紫色の生地に、赤色の糸で細かく花の刺繍がされているです。そして普通のベビードールより、胸元が開けられていて、彼女の豊満な胸が半分ほどこぼれているです。本来可愛らしさを出すたぐいの服だと思っていたですが、彼女のような体型の人が着ると可愛らしさよりも色気が強くなるようです。
しかし、隣の部屋とはいえ、この格好で廊下に出たその度胸に感服するです。真似はしませんが。
う、よく考えたらほぼ全裸を街中で晒す事よりはマシでした。
キュルケには知られないようにしましょう。きっと良い笑顔でからんでくるでしょうから。
「ダーリン。私、微熱のキュルケと言います。よろしくね?」
「あ、あぁ。知ってる、けど?」
「あぁ!覚えていてくれたなんて、このキュルケ感激ですわ!」
さささっと部屋に入って来たかと思ったら、才人さんの腕に絡みつきその胸を押し付けているキュルケ。ダーリンって、実際に言っている場面を見たのは初めてです。古い漫画か、外国の映画の中でしか聞いた事ないですよ。
「ちょ、ちょっとキュルケ!何してるのよ!?」
「あら、ルイズ居たの?愛し合う二人の邪魔をするなんてヤボな子ね」
「誰と誰が、いつ、愛し合ったのよ!!」
「私とダーリンが、こ・れ・か・ら・よ♪」
才人さんに抱きつき胸を押し付けるキュルケに、ルイズが激しく噛み付いた。まさかさっき居なくなったのは、あの服に着替えるためだったのですね。うっすら化粧もしてるようですが、ルイズをからかう為にそこまでするのですか?
「タバサ、これはどういう事か分かるですか?」
「いつもの事。キュルケは熱しやすい。多分決闘を見て好きになったんだと思う」
ははぁ〜、そういう事ですか。あの何度倒れても立ち上がり向かって行く姿に一目惚れしたと。それでいきなりアレはちょっと積極的すぎないですかね?相手が引いてしまうんじゃ………にやけてますね。
キュルケの胸は大きいですからね、それをほぼ下着姿で押し付けられて鼻の下を伸ばしてるです。私ももっと胸があって、勇気があれば、あんな格好でネギ先生に抱きついたり……はっ!?私はなにを考えてるです!?
「ふぅ、タバサ。残念ながら今日はもうお開きです。あの状態から元には戻らないでしょう。巻き込まれる前に退散するのがいいです」
「残念」
タバサが心底残念そうに呟いたです。
まぁ、時間はたっぷりあるですし、またの機会にしましょう。
「シエスタさんも退散しましょう。手伝うですよ」
「いえ!そんな何度も手伝って貰ったら、怒られてしまいます。
お気持ちだけで十分ですよ、ユエさん」
上げ膳据え膳が少し心苦しく思ったですが、彼女の仕事を取るわけにもいかないですね。ここは頼るとしましょう。
先に出たタバサを追って私とシエスタさんも部屋を出ます。
いつまでも部屋に居たらきっと巻き込まれるです。それは凄くめんどくさい事になるでしょう。さっさと逃げるが勝ちです。
「さて、私はお風呂に行ってから寝るですが、タバサはどうします?」
「私は、明日から数日用事で出掛ける。その用意もあるからもう寝る事にする」
巻き込まれないように部屋を出た所で聞いたら、そんな答えが帰ってきました。仕方ありません、お風呂は一人で入るとしますか。平民貴族という区別がなければシエスタさんを誘う所ですが、貴族用のお風呂に平民が入る事は許されないそうです。そして、平民用のお風呂は、ただのサウナだそうで。小さくてもお風呂くらい作ってもいいでしょうに。あぁ、でも水は貴重品なんでしたっけ?日本人的には、お風呂にも入れないのは困るですし、オスマンさんには感謝ですね。
シエスタさんが扉を閉めても聞こえてくる喧騒にどうしたものかと思っていたら、タバサが杖を一振りしたです。するとさっきまでの喧騒がピタリと止まりました。
「タバサ?」
「サイレントの魔法を使った。近所迷惑」
「いい判断です」
防音の魔法ですか、便利ですね。
私達の魔法にもないでしょうか?音を消すだけですし、作ろう思えば作れそうですね。今度試してみましょう。
「では、シエスタさん、お休みです」
「はい、ユエさんもお休みなさいませ。
あ、出来れば呼び捨てで呼んで下さい。その、貴族の方にさん付けで呼ばれてるようで落ち着かないので」
そういうものですかね?私はここに通うためにオスマンさんが養女にしてくれたおかげでそういう身分という事になっただけの一般人なのですが。まぁ、周りはその事を知りませんし、そのせいで彼女に害が及ぶのも望むところではないです。
「貴方がそういうなら、これからはシエスタと呼ばせてもらうです」
「はい!よろしくお願いします。では、お休みなさいませ」
ペコっと頭を下げて階段に向かうシエスタ。慣れた様子で台車を持ち上げ、楽々降りて行きます。お皿の当たる音も出さないとは、あれがメイドのプロなのですね。見くびってました。
「さて、私はお風呂です。タバサ、お休みなさい」
「ユエ、私は二、三日で帰ってくる予定。帰ってきたら……貴方が決闘の時にやった、あの消える移動法と、昼間に言ってた身体強化という奴を教えてほしい」
「瞬動術と、身体強化をですか?
貴方達にとって、かなり危険な物だったのでは?」
「その二つなら、どうにでも誤魔化せる。他の魔法も出来れば教えてほしいけど、今はまだその二つだけでいい。でも……いつか必要になったら頼むから、その時に教えて」
階段を一段上がった所から、じっとこちらの答えを待つタバサ。
彼女達にとって、先住魔法と言う分類になる私達の魔法は、使えると知られたらすぐ処刑されるかも知れない危険な物らしいです。それでも知りたいと言うのは何か相当な理由があるのでしょう。知り合ってから度々見る追い詰められた様な雰囲気を今も纏って見えるです。
何に追い詰められているかは知りません。でも、その覚悟だけは伝わって来ました。今はそれだけで充分です。
「分かりました。帰ってきたら貴方が望む限り教えましょう」
「……ありがとう」
真剣な顔でペコリと頭を下げ、彼女は部屋へと戻って行きました。
まだまだ半人前の私が一時的とはいえ、弟子を取る事になるとは。人生は分からないですね。エヴァンジェリンさんに知られたら、十年早いと怒られそうです。
さて、これから忙しくなりそうです。手始めに
第八話でしたぁ。
かなり難産だったので、せっかくの目標、一週間に一話が見事失敗に終わりました。
次からはどうにかやれるようがんばります。
さて、多分大丈夫だろうと思うんですが、変な所や誤字脱字があったら教えて下さい。
直せる所は速攻で直していきますので。
でわ、次回をお楽しみにぃー。
デルフ、いつ出せるんだろう?
ちょっと誤字修正、まだありそう……