注〉正月まで時間が飛びます。
「「「あけましておめでとう!!!」」」
「おめでとうございます」
「「「………」」」
「俺、何かしましたか?」
年が明けたのだから言っても………言わない方が良かった?
部外者だし。
「「「暗い」」」
「すみません。いつもこんな感じだったんで」
「まあ、仕方がないよね。こればかりは八幡が進化しないと」
「そうだな」「そうね~」
あれ?
浩志さん達に進化を求められているのか?
俺ってポ○モン?
目腐りポケ○ン………止めておこう。
「俺のことは置いておいて、この家にこんな部屋があったんですね」
「八幡君、失礼だな。私だってそこら辺にいる一般人と変わらないぞ。ははっ!」
「いやいや、どこが一般人なんですか!一般人は豪邸に住んでいません。まず、こんな広い部屋に炬燵一つしかないということは起こりません」
何畳あるかわからないが、きっと20畳くらいはあるだろう。
そんな部屋にポツーンと炬燵しかないのは異常だ。
「へぇ~そうなんだ~」
稲城さん?
友達の家とかで見たことありません?
あー、周りがこんな感じなんですね?
はい。
「ところで、八幡君。」
浩志さんが真剣な目で俺を見る。
「ゴクリッ………何でしょうか?」
本当に何か悪いことでもしたんだろうか………。
いろいろありすぎて思い出せない………ははっ。
笑えねーよ。
「コンとはどこまでいったんだい?」
「「ブッー」」
「もしかして、もうヤったのか?」
「お父さん!///」「浩志さん!///」
「あらあら、もうお祖母ちゃんなのかしら、フフッ」
「お母さんまで~///まだ早いよ~///」
エミさんまで!
ちょっと稲城、浩志さんのときは怒って、エミさんのときは恥ずかしがるってなんか矛盾してません?
その前に俺たちまだ付き合ってませんよね?
その時点でおかしくないですか?
………俺がおかしいのか?
と俺の脳内は混乱していた。
「冗談はそこまでにして………」
じょ、冗談って………俺の頭がおかしくなったかと思った。
「スキナノハ、ジョウダンジャナイノニ………」
ん?稲城が何かを………気のせいか。
俺はそれを勘違いだと思い、こたつの上の蜜柑を取った。
そして、俺が蜜柑の皮を剥き終わった時、再び浩志さんが俺に言った。
「八幡君はいつまで………」と。
ゴクリッ
そろそろだと思っていたが………今日聞かれるとは。
俺は正座に座り直し、背筋を伸ばした。
「お、俺は………」
「ふわぁー、眠い」
「コンはそろそろ限界か?」
「ま、まだ大丈夫………」
「フフッ、浩志さん。私はもう寝るわね」
「そうか、それならコンも寝なさい」
「うぅん、そうする………八幡は?」と稲城が目を擦りながら言ってくる。
「俺はまだ大丈夫だ」
「凄いね………私はもう駄目だよ」
「ははっ、やっぱり八幡君は夜が強いのか。ところでいつまで起きてるんだい?」
「3時くらいですかね」
ん?いつまで起きてるんだい?
ま、まさか………俺の勘違い?
いや、確かめないと。
「浩志さん」
「なんだい?」
「先ほどの質問は?」
「先ほどの質問?………それは今聞いたぞ」
「はぁ~」
俺は全身の力を抜いた。
やっぱり俺の勘違いだった~。
心臓が痛い。
「ああ、八幡君は勘違いしたのか」
「お恥ずかしながら」
「何の話?」
まだ部屋に帰ってない稲城が聞いてくる。
エミさんも笑ってないでメイドさんを連れてきてくださいよ。
炬燵で寝るのは良くない。
「コンには関係無いよ。男同士の秘密の話だ」
「聞きたい………けど部屋に戻る。お母さん」
「はいはい、わかっているわよ。イナイさん」
とエミさんが 天井に話し掛ける。
バッ!
「エミ様、お呼びですか」
と天井から顔を覗かせる、あのメイド。
もとい、イナイさん。
「コンをベッドにお願い」
「承知しました」
イナイさんは天井の蓋を閉め、再びドアから現れる。
最初からそこから出てくればいいのに。
と思う俺であった。
「八幡、おやすみ」
「おやすみ」
「コン、父さんには?」
「………」コテンッ
(゜ロ゜;。
メイドが稲城が倒れないように支える。
「それでは、連れていきます」
「お願いね」
イナイさんがおんぶしてスタスタと部屋から出る。
稲城より小さいのによく持てるな。
ギロッ
………俺が悪かったです。
バタンッ!
「私も行くわ。おやすみなさい」
「おやすみ」「おやすみなさい」
「「………」」
この無言の状態が20分続いている。
浩志さんは目を閉じて腕を組んで、俺は蜜柑を食べ続けている。
「………八幡君」
「はい!」
「蜜柑は好きなのか?」
「好きな方です!」
「そうか………ところでコンのことは本当にどうするつもりだ?既に気づいていると思うのだが」
やっぱりそこ聞いてきますか。
浩志さんを相手に騙せることは………。
ドーン
できないですよねー。
正直に答えてもいいのだが、はっきりとした答えが未だにない。
あのときから稲城が俺に好意があるのは気付いている。
しかし、俺はあのときから一歩も進めていない。
それは………あの光景がフラッシュバックするからだ。
奉仕部でのあの日常が。
「八幡君」
「すみません………まだ答えを見つけられていません」
「そうか……………八幡君、今から言うことは忘れないでほしい」
そう言い、浩志さんが立ち上がってドアの方に歩き出す。
「答えを先伸ばしにしていると何もかも失ってしまうよ。特に君たちのような年頃はね」
「はい………」
「私は寝るから。わかっていると思うが、炬燵で寝ないように」
「………」
バタンッ
「失う………か」
俺はまた同じことを繰り返すのか?
あの笑顔をこの手で壊すのか?
「………」
俺は大量にある蜜柑の皮を片付け、部屋に帰った。
そして、この迷いが運命の歯車を更に加速させることになる。
出逢ったあの場所は…………縁切りと縁結び両方あるのだから。
俺はその日、稲城がいなくなるという悪夢を見た。