初のレーティングゲームは敗北に終わった。
「もう、戦わなくていいから……っ!」
私の声は相変わらず届かず、センちゃんはライザーの炎と力を前にボロ雑巾のようになりながらも立ち向かう。元々、私の言うことを聞かなかったり、弱い一面をあまり出そうとしない子だからか、返って心配になってくる。
コォ~、という呼吸音を発せようとするとライザーのマジシャンズ・レッド?と呼ばれる『何か』がセンちゃんを襲う。
センちゃんの石の薔薇は私たちにでも見えるタイプのスタンドだったんだろうか?はじめての邂逅で使っていた、十字架の戦士も。
ライザーのスタンドは見えない。
物質融合型とかあるそうだけど、もしかしたらライザーのスタンドはそうかもしれない。
彼は意識しているかはさておき、凄い剣幕でライザーに挑んでいる。不死身の不死鳥を前にして威圧感に怯えていたのに、アーシアがリタイアしてからはそれが更に顕著になった。
アーシアがセンちゃんに好意を持っているのは知っている。
アーシアぐらいだ、本当にセンちゃんが一面をまともに見せているのは。
あの激しい戦いの中、割って入って戦いを止めてセンちゃんにやめさせることが出来れば、どれほどいいだろうか?ライザーに立ち向かうと決まったとき、私は絶望していたかもしれない。
そのときから既に。
不死身のフェニックスを前に、勝てるはずがないと決め込んでいたからだ。ほかの皆は勝つつもりで挑んでいたというのに、私だけが一人で弱気になっていた。
「動けなくったって……、『ハウツー・エンジェルズ』なら!傷を癒せます!今の私にはこれくらいしか出来ませんが……。頑張って下さいね、私の大好きな……」
アーシアが動きをライザーの女王に止められていたのにもかかわらず、その精神力だけで私とセンちゃんの傷を癒してくれた。
凄い覚悟だ、本当に。チェザーレから聞いた話では、センちゃんはアーシアのためにかつて拾われた教会でアーシアを異教徒認定した聖職者を皆殺しにしてしまったという。
その当時は悪魔でなく、人間であったそうだから、表沙汰になれば大きく取り上げられていただろう。
彼の祖父は不動産王であり、人間の世界で大きな力を持つスピードワゴン財団の力を使えばもみ消すことも難しくはない。
だが表沙汰にはならなかった。それは尋常ではない有様にまで遺体がなっていたことと、当時押さなかったセンちゃんがやったと説明できなかったからだ。
あちら側としても、小さな子供、ソレもほんの小さな子供に一流のエクソシストがやられたことを隠したいんだろう、結局は表沙汰にはならなかった。当時の話を後になって聞いたという、チェザーレが言うにはセンちゃんの母方のジョースター家では暫くもめていたとのこと。
当時、センちゃんの祖父のジョセフさんの娘でセンちゃんのお母様のホリーさんの夫がdioという吸血鬼にホリーさんとセンちゃんが誘拐された際に相打ち覚悟で挑み、殺されたこともあって、センちゃんがその異国の地に迷い込んだことでだいぶ捜索されていたという。
dioに娘ごと孫を誘拐されたことがある、ジョセフさんはそれを表沙汰にせず、スピードワゴン財団の一部と家の関係者だけで探したとのこと。
それでも見つからなくて、ホリーさんの精神が病みかかってしまった時、ふとした拍子に自宅の玄関の前で汚れた衣服を身に付けたまま帰って来たそうだ。
聞いた限りでは赤龍帝の篭手には空間転移能力はないはず。力が倍加していくごとに魔王や神すらも超越するという、力を手にすることが出来るだけのはず。
アーシアがいなくなって以降はしばらく、明るい子供のように振舞っていたらしいが、やがて表情に起伏がなくなったという。
ようやくアーシアと再会した時の彼の喜びようは……凄く分かりやすかった。眷族の中で一番アーシアを気にかけているとおもうし、アーシア自身もセンちゃんが大好きなんだろう。
無愛想のように振舞っていて、さりげない気遣いが出来ていると見た。
彼はアーシアしか見えていないんだ。
自分が転生悪魔として転生させたというのに、甘えてこなかったのはその為じゃないだろうか?
そして私はそんなセンちゃんを好いていなかった。
貴方は私のものなのに、アーシアを見てばかりいる。アーシアしか見えていない。
なのに、どうしてそんなにボロボロになってまで戦えるの?あの炎、そして力の差。勝てないと分かっているだろうに。
「リアス、先輩……っ。あんたは……、笑っている顔の方が似合うからさ、泣くんじゃねえよ。俺は笑ってるリアス先輩が……」
意識は朦朧としているだろうに、彼は諦めないでニホンで言うニオウダチという奴で私と意識を失って小さくなったダニーを前に立っている。
ライザーから、
なんだ、ちゃんと考えていてくれたんだ、私のこと。合宿の時は本当かどうか分からなくて、チェザーレの腐れ縁のようだからからかっているんじゃないか、と思ったんだけど、言葉に出来るじゃない。
もうボロボロにならなくていい。
貴方こそ、そうよ。
そんな泣きそうな顔しないで?無表情でいることが多いけど、私を『グレモリー先輩』じゃなくて『リアス先輩』って言ってくれたとき、嬉しかったよ。
それ以上、傷つかないで。
「……
兄妹揃って、士藤親子が配下にいるなんて“奇妙な縁”よね?
無愛想だっていい、無表情だって良い。不器用な優しさを持ってるってこと、知ってるんだから。
そんな貴方を失うなんて、出来ないわ。
ありがとう、みんな。
不甲斐ない私のために戦ってくれて。
読者=サン、どうした?
……なに?赤龍帝の篭手の禁手化を出せだって?
逆に考えるんだ、石の薔薇の第三形態はあのキャラの技を出せるんだって!