「!?」
ライザーの叫びと共に千寿は背後に振り返ると、そこには“先生”とライザーに呼ばれた男ーーdioが姿を現していた。最期に見た父親の譲寿が着ていたものと同じコートに『恐怖』の象徴となっていたネックレスを首から提げて。
ライザー・フェニックスにとっては信じられなかった。偉大にして強大な力を秘める師がこれほどまで邪悪な気配を持つ男だったのか、と。自分の力に絶対の自信を持つライザーを叱咤し、『破壊神』の息子を追い詰めるのに十分な力、『魔術師の赤』を得ることが出来た。
「ライザー、感謝しても仕切れないほどの恩を作ってしまったようだ。憎きジョースターの血筋にしてたかが転生悪魔でしかなかった、ただの男に
観客席で観戦していたサーゼクスは無意識のうちに拳を握り締め、立ち上がっていた。グレモリーは下僕悪魔を大切にする性質がある。リアスが千寿を心配していた感情が破裂して千寿を平手打ちしたように、魔王という称号を役職を得てもなおサーゼクスはその性分は消えていなかった。そして、dioという男の自分の誇りとも言える最強の『戦車』への侮蔑の言葉。感情には出せないものの、サーゼクスは禍々しい魔力を纏っていた。魔王とはすなわち、ほかと隔絶した実力者。周囲の者はそれに気圧され、相応の魔力を持たない者達は呼吸をすることすら難儀な状態にある。
「お前が……、お前がセンジュの父を私の
「サーゼクス、押さえなさい!」
特製のフィールドが出来上がっていても、魔王ほどの実力者ならば、その空間に入るのは容易い。
自分の手下を殺され、怒りに震える男の魔力を感じ取ってdioは肩を竦める。彼にとっては上位悪魔ですらも恐れるものではない。人為で人外へとなり、永遠の宿敵と呼んだ男に邪魔をされて殺すまでは順調だったのだ。宿敵の身体を手に入れ、眠りについた後に現れた『ジョジョであってジョジョではない男』と邂逅するまで。
『世界』をも手中に収める力があるのだから。
「答えろッ!返答次第では、私はお前を殺す!」
「お兄様!」
怒りに震えるサーゼクスは「
これが魔王。
これが七つの大罪の憤怒を冠する、ルシファーの名を持つ者。
「お前のような貴族のボンボンには、この返しが一番だろう。お前は今までに食べたパンの数を覚えているか?」
瞬間、サーゼクスの身体は怒りに支配されるものの、フィールド内に侵入しようとの意識は消えた。
千寿のストーン・ローゼズの球体関節の『回転』によって炎の衣が吹き飛ばされて無防備になったライザーとボロボロになったフェニックスと違い、再生能力を持たない千寿。一歩間違えば、譲寿が死んだ時のような目に遭うことと、プライベートでは親交があったホリーに夫に続いて息子まで失わせたくない、と思ったためか。拳を硬く握り締めたまま、サーゼクスは席に着いた。
「テ…メェ!そうやってオヤジを殺したというのか!」
怒りを露にする千寿は「力の象徴」と言えるストーン・ローゼズを正面に向かわせ、dioのスタンドの拳撃をガードさせ、合間を縫ってスタンドのボディに一撃を入れる。だが、流石といったところか、それくらいではdioのスタンドは傷一つ負っておらず、dioへのフィードバックは無かった。
「父親如き、どうってことないだろう?それにジョード。今の攻撃は父親と同じように、グレモリーの眷族となったお前ならば、その身体能力で簡単に避けられるだろうに」
千寿が背後の自分がしたとはいえ、重傷のライザーがいるためにライザーが背後で倒れた状態で避けるのはライザーをdioに殺させる、と言うこと。dioの言うように悪魔として転生した千寿の身体能力ならば避けるのは難しくないだろう。しかし、リアスを泣かせたライザーを憎いと思っても殺してやる、とまでは思えなかった。ライザーにはレイヴェルという妹がおり、観衆の中にもライザーによく似た男やライザーを慕う眷族がいる。千寿が表情には出さなくともリアスを慕うように、フェニックス眷族もまたライザーを慕っているのだから。
「ジョースター、お前……」
「うるせぇ、俺は何もお前のためにやってんじゃあない。テメーは確かに先輩を泣かせたが、なにも死ぬことはねーからな。テメーには妹がいるんだ。ヒトサマの妹を慰めんのはゴメンだぜ」
dioの言葉にライザーは千寿の真意を感じた。ストーン・ローゼズという、フェニックスの炎すら『吹き飛ばす』風圧を起こせる『回転』を秘めた刃を持つのに自分を気遣って彼はマジシャンズ・レッドを下した際に見せたパワーを発揮できないのだ。力に溺れていた己の無力さを呪いながら、ゆっくりとライザーはマジシャンズ・レッドに支えさせて立ち上がる。
「テメーはそこで眠ってろ。無理して傷を広げんじゃねえ!」
波紋を纏わせた鉄球を投げつけ、ライザーの傷を不死鳥の自己治癒力には勝らないものの、傷は塞がる働きを促進させた。けれども、これはあくまでも一時的なもの。黄金色のライザーの金髪と同じ色の波紋が悪魔でもあるライザーにダメージを与えて痺れさせるのでなく、逆の働きでライザーの傷を癒した。
表面上ではダンボールをガムテープで繋ぎ合わせ、その上にテーブルクロスを被せて「テーブル(仮)」という状態はテーブルには見えてもテーブルではない。『意思』が失われていないからこそ、マジシャンズ・レッドはライザーの『意思』に応えられる。
「ジョースター、なにもオレはお前に助けてもらおう、なんて思っちゃあいない。お前みたいなヤツに借りを作るのは癪なんでな、俺なりの借りの返し方をさせてもらおう!『マジシャンズ・レッド』!投げろォォォォォォォ!」
マジシャンズ・レッドは所有者の叫びに頷き、懐から取り出した何らかの液体で満たされた小瓶を炎が燃え移らないように調整し、それを千寿に向かって投げる。その煌く液体が照明で照らされると、観衆の席の中でレイヴェルが呟く。
「アレは……、フェニックスの涙!?なんでアレをあの方にお兄様が渡すんですの!?」
「センジュ君に『
レイヴェルの疑問を木場が答えるように状況を誰に言うでもなく呟くが、木場はライザーの真意を理解した。「コイツならどうにかしてくれそう」という期待を千寿に背負わせてもいいような、そんなものをジョースターの血筋の彼から感じるのだ。
「……!『 』ッ!!」
ゆったりと時間がまた緩慢に動き出す。真正面に居たはずのdioは高速移動したようにライザーのマジシャンズ・レッドが投げたベホマズンのような貴重な回復アイテム、フェニックスの涙を奪い取ると瓶を吸血鬼の人から外れた腕力で捻り切り、瓶に満たされた液体をがぶ飲みする。一瞬、dioの身体になんらかの変化が起きたようにゴポゴポ、と筋肉が揺らめく。吸血鬼の持つ不死性と不死鳥の持つ不死性が反応しあったようだ。
「フゥーッ、これでは足りんな。あの男につけられた傷がまだ癒えん。……ん?あの金髪縦ロールはこのガキと同じ香りがするなァ?」
バキバキ、と関節を鳴らしながら目の前の『怪物』に恐れおののくライザーに近づく。マジシャンズ・レッドの炎が弱弱しく揺らいでいることから、千寿を回復させようとフェニックスの涙と言う貴重な回復アイテムを与えたものの、それを呆気なくdioに奪われたことでライザーは絶望していた。
「デ、dioォォォォォォォォォォ!」
粋なやり方を見せてくれたライザーに密かに賞賛の賛辞を送ろうとするも、dioによってそれが阻まれた。周囲はざわめきがなく、恐怖に支配されている。圧倒的なまでのスピードはフェニックス相手に善戦し、見事に打ち負かした青年を軽く翻弄している。吸血鬼であると示す鋭く尖った牙がズラリと光ると、悪魔の本拠地のような場所で完全にアウェーなはずのdioはむしろ
「おっと、少しでも近づいてみろ。こいつの持つフェニックスの涙とやらを搾り取らなくてはな。このdioが吸血鬼の眷族を作る力のように、コイツから不死性を絞り上げた後にお前を蹂躙してやろう。その後は此処にいる奴らを皆殺しにし、フェニックスの不死性ごと搾って支配してくれよう。このdioがな!」
ボロボロになったライザーの頭部をつかむと、背丈や体重はそれなりにあるというのに軽がると頭部を掴んで持ち上げている。床からだいぶ足が離れており、dioが指をライザーの頭部に指先を食い込ませると頭部に脈が立ってエネルギーがdioへと流れ込んでゆく。エネルギーを奪われ、うめき声を上げるライザーと対照的にdioはフェニックスのエネルギーを身体に含んで満足気に呟く。豪華な衣装から察するに少年時代から青年時代を過ごした、あの家のあの男のように贅沢な身分のようだ。
金髪の青年の表情は悲しげだ。それほどに“良き師”を演じていた自分を慕っていたというのだろうか?
「近づけるか?いや、近づけないだろう!お前の父親も、同じ手に引っかかったのだ!妻や息子が人質に取られていては、あの男は破壊神と呼ばれようが動けなかった!刃を交えていた相手だろうと、ジョースターの血を、元は人間であったお前が近づけまい!」
「……テメー、こうしてオヤジを」
それは、願っても無い告白だった。父親の死因を遠足に出かけて帰宅し、母親に語る幼児のように楽しげなdioは尊敬していた師に裏切られたことで悔しさと哀しさがこみ上げてきたのだろう、ライザーの瞳には涙が浮かんでいる。ニィ、と口端をゆがめたことでdioはそれを急襲する速度が上がる。
レイヴェルやライザーの父親らしき男性は自分の無力さを呪い、なんともいえない顔をしていた。
「……ならば、ならば、オレを殺してくれ、先生」
「……なに?」
dio、意識が薄れゆく中でライザーの発した言葉にdioは目を細める。マジシャンズ・レッドもdioのスタンド、『 』によって押さえつけられている。千寿はその理由を知っている。危機に陥ってもスタンド使いに目覚めた者達は機転を利かせて勝利を掴もうとするのだと。ただ単純に鉄球を放つだけだった石の薔薇の初期形態で堕天使の群れに突撃したときも、普通ならば鉄球を『放つだけ』の能力ならば堕天使に通用するとは考えがたいが、『回転』をスタンドが発する鉄球にかけることで容易に進めることが出来た。
スタンドに強い・弱いはない。
ようは工夫である。工夫一つで逆転できるし、見た目最強のスタンド能力をシンプルな能力で下せることも出来る。
「オレは先生に教えを請うてここまで来たんです。この強さは、この力は貴方が育てたと言っても過言ではない。オレが食らわれてもレイヴェルが家を継ぐだろう。……だけど、レイヴェルや父上には手は出さないで貰おうッッ!」
ーーマジシャンズ・レッドに合図をさせる。dioがオレを吸収した、そのときにオレの体内にある波紋を炸裂させてくれ!お前のトラップ技術は以前のレーティング・ゲームで見させてもらった!
マジシャンズ・レッドから流れ込む、ストーン・ローゼズから千寿へのテレパシーのようなもの。
精神のカタチ、そして像、つまりはヴィジョンであるスタンドに自分の思念を語らせる『技術』を千寿へ伝える。自分がライザー戦でトラップのことは筒抜けな気がしていたけれども、まさかそんなに正確に伝わっているとは知らなかった。ジョースター一族と因縁あるdioのこと、先祖のジョナサンがよほどの奇策を使ったんだろうか、警戒しているようだ。
(テメェのその賭け、乗ってやろうじゃねえか!)
波紋エネルギーは傷を治療するのを促進するのに使わず、ダメージを与える働きを与えると悪魔や吸血鬼に日光の太陽エネルギーと似た働きを持つので苦手な悪魔や吸血鬼には有効だ。波紋を接近してぶつけ、ライザーの中にある波紋エネルギーをブーステッド・ギアで増幅させる。
それがライザーの提案した作戦のようだ。
「断るッ!出る杭は根元ごと刈り取るのが基本!お前のマジシャンズ・レッドの炎は脅威だ!だからこそ、ここで断ち切ってくれよう!家畜の気持ちを理解できるか?出来るならば、人間は家畜をくわんだろう。それはこのdioとて同じこと。貴様は、このdioにとってのチキンなんだよォ~~~!ライザァァァァ!」
「ゴラ……ゴラ、ゴラゴラゴラゴラゴラゴラゴラゴルァッ!」
ダニーが角に回転をかけ、押し寄せるスピードが増す。dioのスタンドがマジシャンズ・レッドを叩きつけてdioもまたライザーの『涙』を浴びて更に頑強なボディへと昇華するのを体感する。射程距離内に入ると、ストーン・ローゼズのそのフェニックスの炎の衣すらも吹き飛ばした『回転の渦』を立ててブーステッド・ギアで倍化された波紋エネルギーを纏う、黄金色のオーラが赤い篭手を包み込み、ダニーの背中から飛んで脇腹に拳撃にラッシュが叩き込まれる。
「今だァッ!JOJOォォォォォォ!」
ふと、ライザーは長ランの青年をかつての魔王の戦車の愛称のように「JOJO」と呼んでいた。メシメシと頭に食い込む中、マジシャンズ・レッドに炎が再び灯り、口からその火球を吐き出す。攻撃する為の炎ではなく、合図の信号としての炎は千寿に着弾すると長ランに溶け込んでゆく。わずかに感じた、克服しきったと思っていた氷のような『恐怖』を溶かし、ストーン・ローゼズと千寿に力を与える。
「こんのォォォッ、クソガキ共が~ァアッ!」
中途半端にライザーのエネルギーを吸収し、頭部を地面に叩きつけると口からライザーは内臓器官を刺激されて吐血する。自分と同じ金髪でありながらも、恵まれた身分と言う違いに舌打ちし、その横顔に足を踏みつけてぐりぐり、と足蹴にする。うめき声を上げるライザーに静まり返った観衆に再びざわめきが走るも、dioが視線を向けると一瞬にして沈黙へと返った。
スタンドに与えられたダメージは例外はあるものの、フィードバックして反動がやってくるのを知っているのか、ライザーは少しでも受けるダメージを減らそうとマジシャンズ・レッドを戻す。
見えない『なにか』によって千寿が吹き飛ばされた時は余興として一部に笑いが広がったものの、将来のフェニックスを背負う青年が金髪の吸血鬼によって足蹴にされたときは笑いが無かった。
血縁を重視する悪魔は外に出れば、自分達の脅威になるだろうdioを倒す為の捨て駒程度にしか転生悪魔の千寿を認識していないのだ。勿論、全員が全員そう認識しているのではなく、フェニックス眷族やグレモリー家やグレモリー眷族、そしてライザーの父のフェニックス郷やレイヴェルは千寿に賭けている。
「ん、ぐ、ァアアアアアアッ!」
「王様ってのはッ!堂々と笑ってやがれ!テメェの下僕とオヤジと妹が見てんだぜ!?」
メキメキ、とフェニックスのエネルギーを手に入れて更に脅威さを増したdioに踏まれて声を上げるライザーに千寿はその足を掬おうと正面に回りこみ、ストーン・ローゼズの鋭い爪を拳に変えたアッパーがdioの下顎を襲う。
「無駄無駄無駄ァッ!迎え撃て!」
再び、世界の時の『歯車』の動きが緩慢になる。
『ザ』
『・』
『ワ』
『|』
『ル』
『ド!』
黄金色の千寿の波紋のオーラに似た色を持つ、逞しい肉体を持った長方形の頭部に酸素ボンベのような物を背負ったスタンドヴィジョンが千寿の目の前に現れる。ストーン・ローゼズの拳を掴み合い、お互いがお互いを押さえる肉弾戦。マジシャンズ・レッドを迎え撃つ時のような似た光景をdioは見ているが、dioの『ザ・ワールド』は傍観者としてみていたことでストーン・ローゼズの『能力』と考える『回転』の力を危惧し、そもそも『回転』をする両拳を押さえつけた。
「このdioが見た、『
『
『
一度、
二度目は『星を背負わないジョジョ』の士藤譲寿を殺し、その
三度目は若く最も力のある時期の『星を継ぐ者』を殺し、その血を浴びることで強化されて伸びた時間を使って他の忌々しい老いたジョセフを殺し、『星を明るく照らす太陽』のツェペリを殺す。
ジョースターを殺し、ジョースターの血を取り込むことで強化された『支配の力』で支配する。
それがdioの目的。
「我が『ザ・ワールド』を倒すのは、ある『歴史』ではStarPlutinumの空条承太郎……。承太郎に当たり、このdioと幼少に遭ったお前は仲間の死で『DIO』の力に気づいて倒したのに比べればイージーな難易度なものだが、貴様は甘かったようだ」
『ジョーンのスタンドの残像』を出現させ、それを見下すように眺めながら襤褸雑巾同然のライザーを蹴り飛ばす。
フィールドの外に出向き、肉料理を切り分けるナイフを回収する。それからレイヴェルとフェニックス郷からエネルギーを吸い取り、ライザーから吸えなかった分を補う。用が済んだ後は投げ捨ててフィールド内に戻ると、『ジョーンの能力』によって見えた『
停止した世界ではナイフの位置はそれぞれの位置に固定され、微動だにしない。
「五秒前」
ナイフが千寿に僅かに近づく。
「四」
少し千寿に触れる。
「三」
カウントが進むのと同時にそのうちの一本を波紋を練らさないよう、喉元へと拳で突いて寸前で停める。
「二」
千寿のまわりをナイフがあと一ミリ、との距離で肌に触れんとする距離になり、四本をライザーの四肢を封じるように飛ばす。高温の炎を操るマジシャンズ・レッドを封じるために。
「一。そして時は動き出す!」
『
自分が託した希望を背負う男はナイフが肌に突き刺さるよりも早く、
「ゴラゴラゴラゴラゴラゴラゴラゴラ、ゴルァッ!」
古代の戦士のおたけびのような叫びを上げ、できるだけ自分へ降りかかるナイフを精密動作性と素ポピードに優れた形態のストーン・ローゼズが両拳を『回転』させながら、僅かに長ランに突き刺さるもブーステッド・ギアの左手で喉元のナイフを掴み、横に薙ぐ。
「悪運が相変わらず、強いヤツだなァッ!?ジョードォォォォォォ!この湧き上がる感覚はッ!このdioの、わたしの気持ちを高揚させてくれる……!いいだろう、今のおれは最高にハイ!ってヤツだァァァ!」
グリグリ、とこめかみを尖った爪で弄り父の譲寿と同じような帽子を破り捨てる。父が持っているのと違うものだが、観衆にしか過ぎないライザーの父のフェニックス郷やライザーの妹のレイヴェルに手を出したことに吐き気を催す感情に襲われる。
「吐き気を催す邪悪とはッ!なんッにも関係ねぇヤツにテメーだけのために手を出すことだッ!dio…、テメーのその腐った性根をこのジョード・ジョースターが直々にブチのめすッ!」
ゴゴゴゴゴ……!
千寿の周囲から溢れ出る『スゴ味』。波紋の呼吸をさせないために封じられかけていた、その喉を守り波紋の呼吸を再開する。黄金色の波紋のオーラをあふれ出しながら、周囲が気圧されるようなdioの『絶対的な恐怖』とは違う別種のプレッシャーを放つ。
「ジョード、貴様……!百年前にこのdioが言われたことを、お前の口から聞くとは分からなかったぞ……!良いだろう、お前を大好きな父親の元に送ってやろう……!」
周囲が凍てつくほどの『気』がdioを包み込み、太陽エネルギーと相反するエネルギーが起こる。
力を『与える』波紋呼吸法に対し、凍てつくほどの『気』--気化冷凍法は力を『奪い』閉じ込めるものだ。
《同じだ……!相棒が使う『波紋』を俺とするなら、dioと言うヤツは『白い奴』に等しい。まさか、俺と『白い奴』のように相棒とdioは相反する関係だってのか!?……気をつけろよ、相棒。アレは俺も見たことがあるタイプのモンかもしれねえ。心してかかるぞ》
『WelshDrgon OverBooster!』
《餞別だ、相棒!》
ストーン・ローゼズのスタンドヴィジョンと同じ、『悪魔』へと変化した千寿。それは本来の姿と異なる物だが……、『世界』をも手中に収める金髪の吸血鬼を相手にするにはうってつけだった。
伝説の生き物の力が流れ込むのを感じながら、黄金色の波紋と魔力が練り合わさったものを垂れ流しにする今はまさに『悪魔』。
『
その両者が舞い降り、最終決戦の火蓋が切られた。
食事時間を込みで六時間かかった今回。
やりたかったナイフ投げをやりました。