【完】ジョジョは奇妙な英雄   作:ふくつのこころ

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ストーン・ローゼズの能力は両拳の回転でいいような気がしてきた。
もともとのスタンドスペックが高いってのがまた燃える気がする。
気化冷凍法を忘れずに使ってたら、ラストバトルでもDIO様は勝てた気がするんだ。
仮に使い方覚えててもプッツンした承太郎と瞬間的な爆発力で強化された、スタープラチナにボコられて終了!
でしょうけども。
「ディオ」の意味はイタリア語で神って意味だそうです。
ギリシャ神話ではディオニュソス(=若いゼウス)って意味があるそうですし、その点では時間を止められる神に等しい能力を持つ世界を倒した承太郎とそのスタンドは神話における英雄で神殺しをしたってわけですね。
イメージが神話のヒーローらしいですし、そりゃ強いわけだ。
スタプラより強いのは承太郎の子孫が発現するスタンドだけ、って聞いたことあります


ジョジョは奇妙な英雄

「ライザーのナイフを回転で吹き飛ばせェッ!ダニー!」

 

【アーイアイサー、だぜッ!兄ィ!】

 

ストーン・ローゼズと瓜二つの姿へ変化した千寿はストーンローゼズとともに、dioのザ・ワールドとともにラッシュの打ち合いを始める。戦場を支配するのは『ゴラゴラゴラァッ!』と『無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄!』の掛け声。『世界』を支配する、ザ・ワールドの能力を持つdioはまさに神に等しい。かつて、聖書の神に対して反逆を翻した反逆者(ルシファー)のように同等の力を持って向かい合っている。

 

【いくぜェ、これがオレの戦闘スタイル!『一角黒馬の角回転(ユニコーサス・ホール)』!】

 

ブルルルゥ……、とダニーが吠えるとその黒真珠のような角が鈍く輝き始める。四肢を封じられたライザーを暫く見つめた後、ダニーはその角を回転させてナイフを弾く。俊敏な動作はライザーの傷跡から血を噴出すのを許さず、その角の『回転』によって塞がれた。よろよろとマジシャンズ・レッドによって身体に『エネルギー』が馴染むまではロクに身動きが取れないので、支えてもらっている状態だ。

 

「あれだけ、お前を蹴ったと言うのに……。お前の主は物好きだな」

 

ダニーと呼ばれた『ユニコーンのようなペガサスのような生き物』とその主は本当におかしな者だ、とライザーはぼそりと呟いた。傷だらけになっても、強大なスタンド能力とその基礎スペックだけでも既に普通のソレを超えている吸血鬼とやり合っている。ライザーとやりあったときに既に慢心相違に見えた男は、スタンドによるラッシュバトルもしながら本体と殴り合っている。アレだけ速いスピードとパワーは何処から沸くんだろうか。

 

【そりゃ、兄ィがテメーに死んでほしくねえからだろうが。兄ィが言わなかったら、お前なんか死んでも構わなかったんだぜ?クソッタレライザーめ】

 

「オレに語る言葉も無い、か。当然だな」

 

ライザーにはダニーの言葉は聞こえない。いや、ダニーは聞かせるつもりもないのだ。これでもライザーはダニーにとって憎い敵で死んだところでユニコーサスで千寿がいなければ、従う義理もなにもないのだ。

ユニコーサスは悪魔とも天使とも堕天使でもない種族。

悪魔の身分社会、天使の規律、堕天使の野望もユニコーサスにとっては関係はない。千寿に対する義理がなければ、瀕死の自分を痛みつけて罵倒までした奴を助ける義理は無い。

 

【本当はお前の家族の目の前で全身に余す所無く風穴を空け、透かした面を蜂の巣にした挙句に使い物にさせなくしてやろーと思うが、兄ィに嫌われんのは避けてェ】

 

言葉に出さない言葉を語り、ダニーは怒りを浮かべながらも悦びを見出す主で兄貴分を見る。彼は決して聖人ではない。気に入らないと思えば気に入らない、と斬り捨てて気に入った者は両腕からこぼしてでも拾い集めようとする。ライザーを殴りに来たのは、きっとそのためだろう。「三男」と聞いて心のどこかに軽蔑するものがあったのだ。満ち足りた環境に育ち、それでいて自分の力に酔っている。力を恐れずに使う部分が気に食わないのだろう。ダニーは知っている。千寿をはじめ、他の面々は不死鳥を相手にするときに鍛錬を行なっていた。フェニックスという、不死身の肉体を持つ相手に勝てないと分かっていても、ただで負けたくないから。

 

「オレは……、フェニックスたる力や肉体を持っていても精神では既に敗北していたんだな……。オレはアイツみたいにはなれない。傷を負ってでも、『恐怖』を目前にしても気遣いは出来そうにない」

 

【ケッ、今更気づいたかよ?チキン野郎が。言いたいことは分かるがよ】

 

打ちひしがれるライザーの近くで舌打ちしつつ、ダニーは入る隙間も無いほどラッシュが続く、『奪う』吸血鬼と『受け継ぐ』悪魔の肉弾戦を眺めていた。気化冷凍法で両腕を凍らせ、千寿の波紋に満ちた両腕をその指先から凍りつかせようと千寿の纏う、デビルマンのようなものがうっすらとなりはじめてもラッシュは止まらない。スタンドの方はストーン・ローゼズは本体のダメージが逆フィードバックしつつも戦意を失っていないからか、その勢いは失われていない。ライザーのマジシャンズ・レッドは本体の戦意を映し出すように弱弱しい炎になっていた。むしろ、それは火の粉のようにちりちりしていた。

 

【ありゃ、神を殺す英雄なんかじゃねえ。むしろアレだ。破壊神シドー二代目、って奴か?】

 

☆☆☆

 

「ホリー!?大丈夫か!?」

 

ジョセフが障子を勢いよく開けると、畳の上でホリーは毛布に入って床に伏せていた。傍には浴衣姿のレイナーレが正座して額のタオルを桶に張った見ずに浸し、絞ってから額の上に乗せる。ホリーの方は頬を朱に染めており、熱を出しているようだ。ジョセフにはホリーから『顕現しているスタンド』が見えていて、それが自分の『隠者の紫(ハーミット・パープル)』に似ているものと気づくとジョースターの血筋の自分と娘と孫に同じ事が起こっているのだ、と気づいた。妻のスージーは娘の手を握っており、ホリーはうわごとで何かを呟いている。

 

「レイナーレちゃん、ホリーはどうしてこんなことになったのじゃ!?」

 

「おじい様、それが……」

 

そしてレイナーレは語る。ちょうど、ジョセフがシーザーにdioが目覚めたかを伝えるか伝えまいかツェペリ邸に向かった際にホリーが突然倒れたのだと。レイナーレが夕食の買い物から戻ってきたときには倒れていて、そのときはアーシアが看病していたが今は休ませていること。最後にうわごとで呟いている『名前』。

 

「ジョードは!?アイツは、アイツはどこなんじゃ!?」

 

「え、あの人ですか?なら、今……」

 

レイナーレは千寿がレーティング・ゲームに向かったとジョセフに伝えた。レーティング・ゲームがジョセフの全盛期に「彼ら」と行なった決闘のような物だ、と娘の夫が説明していたのを思い出すが、自分の母親が病床に伏せているのになぜ家にいないのか憤りがこみ上げてきた。

そもそも、ジョセフはホリーの夫の士藤譲寿との結婚すら不本意だったのだ。妻に説得され、結局は渋々認めたものの、こんなときまでいないとはまるで……まるで、孫はその父親に似てきている(、、、、、、、、、、、)

 

「ジョセフ、静かにして!ほら、ホリー?私とパパが来たわ。わかる?」

 

ゆっくりと目を覚ましたホリーに気づき、スージーは娘に必死に語りかける。娘が目を覚ました、と聞いて駆け寄って額の熱を測ってみると、その熱は徐々に『引いてきている』。

遠い地で(ジョード)が戦っているのが分かる。その情景は浮かんでこないものの、今、若干押され気味になっていること。そしてジョセフの祖父を殺した張本人、“dio”の気配を。それを倒す希望を持てるのは……奇妙な異名を持っていた、父親を持つ千寿。

 

「パパ?ママ?……ごめんね、レイナーレちゃんとアーシアちゃんに苦労かけて。心配させてゴメンね?」

 

「む、無理するんじゃあない!」

 

ゆっくりと態勢を起こそうとすると、あわててジョセフが駆け寄って支える。妻に似て天然なところがあるものの、どこかジョセフの祖母や母に似た芯の強さがある。そんなことありませんよ、とホリーの言葉に苦笑してレイナーレは座りなおす。

 

「寝ているときに聞こえてきたの、ジョードが叫んでいる声が。だから負けられなかった。私には『なかった』けど、あの子はもしかしたら私の分まで背負ってるんじゃあないかしら?私が背負わなかった、『運命』を」

 

「……!」

 

座る態勢となって呼吸を整えるも、まだ危うさがある。ホリーの語る言葉の中の『なかった』や『運命』はジョースターの運命(さだめ)だろう。初代ジョジョのジョーンことジョナサン・ジョースターからはじまる、『戦いの運命』。

ジョナサンは幼馴染にして親友にして宿敵で現在では死後にあっても、その子孫に影響を及ぼす吸血鬼のdioと。

ジョセフは石仮面を作ったカーズをはじめとする、吸血鬼の上位種の柱の男たち。

士藤譲寿はジョースターではないものの、ジョースターの血を引く女性を愛した故に血の運命に巻き込まれ、dioによって命を失った。

そして、ジョースターと悪魔にして悪魔を束ねる魔王の戦車たる士藤譲寿の子のジョード・ジョースターであり士藤千寿。

運が良かったのか、悪かったのか譲寿と出会うまでは『なにもない』ホリーの分まで千寿は戦いの運命に纏わりつかれている。さながら、それは身体に巻きついて離れない鎖のように。

 

「あの、これ、センジュさんの部屋にあったんですけど……」

 

開けっ放しになっていた障子からアーシアがなにかを持って顔を出した。レイナーレを除けば家族の集まり、と言った中で居心地が悪かったんだろう。手には悪魔のような顔文字がプリントされた、ポータブルテレビがある。

 

「アーシアちゃん?別に休んでてもいいのよ?私は、大丈夫だから」

 

「い、いえ!私も何かやらせてくださいっ!」

 

ホリーがアーシアを手招きし、優しく撫でてやるとアーシアの頬から徐々に赤く染まっていくのが分かる。一人息子の千寿が不良少年のような者では娘が欲しかったんだろうなぁ、とジョセフが和んでいるとポータブルテレビに目が向かう。

 

「アーシアちゃん、それはなんじゃ?テレビのようじゃが……」

 

「あ、はい。コレ、たぶん、グレイフィアさんが置いて行ったんだと思います」

 

グレイフィア、と聞いてジョセフは聞き覚えがあった。グレイフィアと言えば娘婿の男の上司の妻で同僚だった筈。そんな女が孫の部屋にそんなものを置いていく必要があったのか、とポータブルテレビを置いておく必要があったのか、としばらく眺めているとある使い道が浮かんできた。

 

「そりゃァッ!」

 

渾身の力を込め、畳の上においたポータブルテレビを渾身の力を込めて叩いてみる。

 

「(え?おじいさま、なにしてるんでしょう?)」

 

「(なにしてんだろう、この人)」

 

「(そんなにジョウジュさんが嫌いかねぇ、ホリーとイチャイチャしてたのが気に食わないのかしら?ジョセフ)」

 

三種三様の感想を抱く中、叩いたことでハーミット・パープルの蔓が画面に吸い込まれてゆく。

ジジッ、ジジッ、とポータブルテレビに映像が映る。古典的とはいえ、効果的だったりするテレビが故障した際に使う手段。浮かび上がってきたのはーージョースター家と因縁のある、金髪の吸血鬼のdioと現在(いま)のジョジョ、ジョード・ジョースター。

再び、三者三様の反応を見せて映像を見る。

一人は千寿の安否を。

一人は娘を支えながら映像を見るもの。

一人はかつて慕っていた男の面影を見るもの。

そして、最後の一人はとある男の全盛期に振り回していた武器をdioが持っているのに戦慄したことだ。

 

「な、なんで……!?なんで、アイツがジョードにジョーの武器を使って殺そうとしているの!?」

 

「(dioのヤツのせいでホリーが熱を出したというのなら、ジョードがdioを倒せば良い。だが、アイツはワシと同じくらいに父親を慕っていた。アイツがかつて父親が使っていた武器をdioのクソッタレに使われたら、壊れてしまうんじゃあないか……?)」

 

再び眠ってしまったホリーの熱を測り、他の三人と共に映像を見る。三人には映像と千寿の傍のスタンドに『気づかない』と思っていたが、ジョセフはアーシアから自分と孫と同じ気配を感じ取った。

女神のようなスタンドヴィジョンこそ、アーシアのスタンドの『ハウツー・エンジェルズ』。

胸元で両手を重ねて祈っている彼女は様になっていて、真摯に祈る姿は孫を思っているのだなとジョセフにも伝わってきた。あえてジョセフは言わないものの、おそらくアーシアもジョセフから千寿と同じ気配を漂っていると分かるだろう。

 

「(それにしても、センジュさんのスタンド。はじめて会ったときの姿に似てる……?ちゃんと帰って来てくださいね、ホリーさんも待ってますから)」

 

☆☆☆

 

「見ろォ!ジョード!貴様の父親の神器で、お前の息の根を今度こそ止めてやろう!」

 

《相棒!ダメだ、もう時間が来ちまう!》

 

千寿を覆っていた物が弾け飛び、それが光と共に消えてゆく。dioと殴りあうのにもっとも役立っていた禁手化の姿がなくなると、吸血鬼となって上級悪魔にも並ぶ基礎スペックが高いdioのラッシュに気圧される。本体同士のラッシュで徐々に勢いを失っていきながらも、一度、ラッシュが互いの途切れてdioは『万喰らい』と呼ばれた譲寿の神器(セイクリッドギア)滅神剣(スレイヤー・ソード)。吸血鬼の膂力で軽々と片手で持てる大剣は所有者にその異名を与えるように咆哮のような刃音を上げる。

 

《クソッ、切れちまった!今のお前、波紋練れるか無理そうだし、無理そうだぞ……!》

 

『シャーッハッハー!面白ェ!面白ェよ、畜生!』

 

ドライグが舌打ちすると、大剣から聞いたことがあるような声が聞こえてくる。どこか父親に似て居るような、その声は“あの時”にも聞いた気がした。

 

「あの剣は……滅神剣(スレイヤー・ソード)。ジョジョの武器か!?」

 

滅神剣の名を最初に呟いたのはサーゼクスだった。

歴史が浅く、譲寿が初の『オリジナル』と言える神器で先例がない前代未聞の神器。切り伏せたものからエネルギーを奪い取り、それを常時発動状態にさせる。十秒ごとに切りつけた箇所を崩壊させ、使い手がエネルギーを体内に満たすことで力を得て使い手が死ぬか滅神剣を奪われるまでなくならない。

現代に生まれた、滅神具に数えられる予定だったものの、譲寿が死んだことによって行方不明になっていた。

 

「破壊神原作の神器にして……」

 

「破壊神たる最強にして……」

 

《原初の二竜、の一体にして殲滅暴帝竜(デストラクション・ドラゴン)のリヴァイアサン……!》

 

リアスが兄の言葉で抱いた感想を木場が続け、そして最後にドライグが締めた。ドライグとドライグの永遠のライバルの白龍皇のアルビオンが二天龍ならば殲滅暴帝竜(デストラクション・ドラゴン)地獣将(ガイアージェネラル)のベヒーモス。

神が造り出した最初の怪物と巨竜。

長らく存在しなかった、殲滅暴帝竜の神器は十年の時を超えて再び姿を現した。

 

《ドライグだかなんだかしらねーけどよォ、ブチのめしてやんぜェ!シャーハッハッッハ!あとよォ、そのボーシとセーフクっての?ダサすぎワロタww》

 

《……相棒、やるぜ》

 

「ああ、俺はアイツがオヤジが使ってたとしても……」

 

「《認めてやんねえ!》」

 

『Boost!』

 

リヴァイアサンの挑発に反応し、ドライグの鼓舞とともにブーステッド・ギアが千寿の身体を力で満たす。ズタボロ雑巾も同然の身体にも力が漲る。全身から血を噴出し、身体が悲鳴を上げていても果たさなければならない勤めがある。

dioとリヴァイアサンを潰す。

それが今の千寿とドライグの目的であり、今すべきこと。戦って勝って家に帰ってから決めればいい、あとのことはそんなモンだ。

 

「これで、トドメだ!唸れェッ、滅神剣!」

 

《Destraction!》

 

大剣に填められた、青色の宝玉が光って点滅する。dioがその膂力で大剣を振るい、強化された千寿の拳と向き合うと吸血鬼の速度でdioの凶刃が千寿の傷口からジョースターの血を吸い、魔剣は妖しく輝く。

 

「馴染む!実に馴染むぞォッ!私の邪魔をしたのはジョースターだったが、このdioに力を与えたのもまたジョースターだった!」

 

《しっかりしろ、相棒!》

 

一度の吸収量が吸血鬼であったことから、スレイヤー・ソードによってエネルギーを奪われた箇所から波紋エネルギーが逃げ出し、魔力も体力も生命力も一括りのエネルギーとなってdioの身体を満たす。ドサッ、と膝を突いた千寿は波紋を練れないほどに衰弱しきっている。吸血鬼に有効な太陽光はここにはないし、それと同様の太陽エネルギーに類する波紋エネルギーは呼吸を崩してしまった今では意味が無い。

 

「マジシャンズ・レッド!」

 

「ザ・ワールド!」

 

三度、時間が停まった。

あのとき、千寿の祖先のジョナサンの仲間の一人にそうしたようにdioの指先から氷が千寿の身体に触れ、ザ・ワールドの拳によるラッシュが始まる。

 

「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄、無駄ァッ!」

 

時が停められる十秒間、氷は広がらないものの、時が動いた時に氷は広がり、千寿の身体を凍結してザ・ワールドとdioが持ったスレイヤー・ソードによる『無駄無駄ラッシュ』による内臓器官へのダメージが反映され、凍りついた皮膚を内部から破壊するだろう。

時は再び動き出す!

 

「そして時は動き出す!」

 

dioが指パッチンをすると、世界の時の歯車が動き出した。わずかな霧が時が動き出したのと同時に広がり、周囲を覆う。

これで、完全に霧が晴れたときにはジョースターの末裔で最も最盛期のジョナサンの血筋が死に残りはdio自らが出向いて殺しにいくだけ。

 

「フハハハ!これでジョースターの血は途絶える!ジョード・ジョースターは死んだ……。あとはその血を完全に奪い取り、この場にいる悪魔どもを殺しつくすまでよ!」

 

ジョースターの血がdioに力を与える。中でもdioに傷を与え、憎しみの感情すらも抱かせた士藤譲寿の血はジョースターでなくとも力を与えてくれる。未だに残る“シドー”の血は千寿に残っている。それを千寿の死体から奪い取れば、ジョースターの血を全て得る前にザ・ワールドの時間停止能力は伸びると見たのだ。

会場は絶望に包まれる。

あの能力を持ったものが人質を殺し、外に出てきたのならば勝ち目が無いだろうから。時間停止能力ではなく、なにかもっと別の能力だと思っている者達にとってdioの能力は圧倒的な恐怖の対象だった。

 

「どういうつもりだ?ライザー?」

 

高笑いをやめ、dioが振り返るとライザーが満身創痍になって足を引き摺りながらもdioの真横でマジシャンズ・レッドが炎を放つ構えをしている。どういうことだ、ライザーは完全に動けないはず!?dioは焦りが自分の身体を支配するのを感じた。フェニックスにとって鎧たる、その炎の衣はストーン・ローゼズによって吹き飛ばされたはずだ。

武器で鎧の役割を果たす力が消えたというのに、何故、ライザーは笑っているんだ(、、、、、、、、)

 

「オレは賭けたんだ。貴方を倒さなければ、オレは『成長』できない!貴方への依存を断ち切ることがオレの『成長』に繋がるんだ……!」

 

「ほう?その状態でかッ!?」

 

ザ・ワールドはライザーを掴んでdioの足元に置き、再び足蹴にする。グギギギ、と音を立ててライザーを踏みつけているdioは愉悦に浸っている。自信過剰なのはライザーを『洗脳』しているときから分かっていたが、いざ自分の敵として刃向かってくるならば別だ。目障りな所であった、このクソガキを家族が見ている前で処刑するのもまた一興。その後はライザーの妹とやらを兄の死体のすぐ傍を見せつけて殺し、娘息子の血がこびりついた手でフェニックス郷を殺し、悪魔の頭を乗っ取ってみるのもよいだろう。

 

「オレは……、分かる(、、、)んだよ」

 

「チキン如きがこのdioにはむかうのが気に食わないんだよォッ!」

 

dioはライザーを足蹴にする足の力を強める。ギシギシギシ、と次第に強くなるそれは頭蓋骨に日々を入れるほどに強い。吸血鬼としてのスキルを極め、士藤譲寿の肉体を食った(、、、)ことで神器ごと取り込んだdioは神が造り出した最初の竜を取り込むほどに神に等しい存在となっていた。

 

「お願い!これ以上、これ以上、お兄様を踏まないでくださいまし!」

 

「レイヴェル、やめなさい、戻って来るんだ!」

 

自分が乗り込みたいほどの感情であった、フェニックス郷は考えるより先に身体が動いていた娘を止めようと手を伸ばすも、届かなかった。

見てられない、とフィールドに降り立った金髪縦ロールのライザーの妹のレイヴェル。瞳には涙を浮かべ、足蹴にされるライザーに寄り添う。霧はいまだ晴れないのがdioにとっては目の上のたんこぶほどに重要な問題だったが、人質として父親を殺すのに必要な材料がまず先に揃ったのは喜ばしいことだ。

 

「ほう?ならば、貴様には何が出来るというのだ?小娘」

 

「お兄様を殺すなら、(わたくし)を先に殺して下さい。私には、利用価値があると思いますわよ……?」

 

「やめろ……、やめろ、レイヴェル!殺すなら、オレを殺せ!レイヴェルに触るな!」

 

レイヴェル・フェニックスは兄を好ましく思わないところがあった。

女好きで常に女性をはべらせ、眷族はみな女性ばかり。全員が全員、ライザーを嫌うことなく慕っているのはちゃんと理由があるんだろう、と長年妹をしている中で気づいていた。

けれども、ライザーが流石に自分を実の妹萌えに見せ付けるために眷族にしたというのは流石に引いた。

だけど、それを受け入れたのはライザーの強さ、器を知っているからだ。

優秀なライザーの上の二名の兄、そして重くのしかかるフェニックス家を継ぐ将来。

圧倒的な強さでグレモリー眷族を下したものの、乗り込んできた兵士のジョード(名前が二種類あるのでジョードと呼ぶのに決めた)には良い印象はないが、友情を築けたことでそれもいいか、と思った。

そんな兄を変えた男が吸血鬼に殺された。そして、家を継ぐ未来がある兄が吸血鬼に手も足もでないまま殺されようとしている。

それが、嫌だったのだ。

たとえ、女性をはべらせていても、エロくても妹を不純な理由で眷族にするような男でも兄は兄だったのだ。

 

「美しい兄弟愛だなァ?だが、お前らは我が血肉となり、そしてその手でお前の父親はお前らの血でまみれた我が手によって死ぬのだ!」

 

スッ、とレイヴェルの首を掴み、持ち上げる。レイヴェルがライザーを振り返り、涙を浮かべて笑うとライザーは王としてではなく、兄としてライザー・フェニックスという個人として叫んでいた。

 

「……恥を忍んでお前に言う。妹を、レイヴェルを助けろォッ、ジョジョォォォォォォォォォォォォ!」

 

これこそ、吐き気を催すほどの邪悪。

弱者を自分(テメェ)のために利用し、踏みつけるヤツのことを言う。

 

「……そうか、そうしてオヤジは死んでしまったのか」

 

霧がまるで『巻き上げられるように』晴れ、長ランにわずかに凍傷で身体が冷えているものの、全身はまるで火達磨のように『燃えていた』。

傍に従う、鬼のような形相のスタンドヴィジョンは翼を広げ、肉眼で『捉えられる者』には見えて聞こえるものには聞こえる咆哮をあげる。

手にはスレイヤー・ソードの刃の欠片。引き千切られた(、、、、、、、)形跡のある、スレイヤー・ソードの残骸を投げ捨てて帽子を被りなおす。

 

「……ジョード、さん?」

 

レーティング・ゲームの時とは違う荘厳な雰囲気。

絶対的な恐怖とは違うものの、千寿から放たれるピリピリしたプレッシャーは周囲にではなくdioに一つに向いている。

レイヴェルがわずかに目を向けると、自分たちと違うようで何かが同じ(、、)と思わせるものがある。

 

「貴様、その炎は……不死鳥の炎(フェニックス・フレア)じゃあないか!?お前がフェニックスの力を持っていたとは考えられない……。まさか!?」

 

dioは自分が追い詰めたと思ったら、逆に自分が追い詰められていたと気づいた。いや、それに気づきたくなかったために真実から目を背けたのだ。気化冷凍法によって時間が動き出した時に無駄無駄のラッシュで内臓器官を内側に刺激し、破裂させてバラバラにするつもりであった。気化冷凍法は文字通り凍りつかせるもの。氷を溶かすのは炎。

つまり……。

 

「ああ、そうだ。フェニ……ックスの炎は、惹かれあう……。ジョジョがオレから奪った、炎を火種に燃え上がらせたんだ」

 

ライザーがdioに見せ付けたのは『燃え上がる炎の羽根』。

一か八かのかけで千寿のスタンドがフェニックスの炎の衣を巻き上げたことで、炎の羽根をマジシャンズ・レッドの勢いで埋め込んだのだ。

気化冷凍法の氷は仮称・『フェニックス化』によって相殺され、フェニックス一族に近い『なにか』に変えてしまったのだ。

 

《フェニックスの力まで取り込んじまうとは、今代の赤龍帝は何者なんだかな》

 

これにはドライグも苦笑い。

 

「だが、時を停める力には目覚めていまい!」

 

『ザ』

『・』

『ワ』

『|』

『ルド!時よ停まれ!』

 

再びレイヴェルを掴もうと接近するが、ダニーの『回転(、、)』がそれを阻む。

 

「なにィッ!?その変な馬!それは、まさか……!」

 

ダニー、ついに『回転』は停まった世界でもザ・ワールドの回転をせき止める。停まった世界でも動くことの出来る、無限の回転エネルギーはずっと回り続ける。dioのこめかみに青筋が浮かび、ダニーの角を掴もうとザ・ワールドが手を伸ばすが、

 

後ろ(、、)

 

ダニーの言葉は届かないものの、dioが視線に気づいて振り返ると球体関節を回転させたストーン・ローゼズが背後に回っていた。明確な殺意を感じ、dioは千寿の息の根を完全に止めようとダニーの角に手を伸ばすのをやめ、ザ・ワールドが迎え撃つ。

 

「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオ「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄!」「オラオラオラオラオラオラオラオラオラ!」

 

拮抗するラッシュの中、ザ・ワールドのスペックを瞬間的に追い上げる。ザ・ワールドの時間を停止させる能力に対し、千寿が覚醒したのは『エネルギーをとどめる』である。

時間が停止しようが、停められようが突き進む『意思』、貫こうとする信念が顕現した力。

時間が停止した世界の中でも高速で『回転』することで、世界が停まるよりも早く動きまわれる。

 

「オラァッ!」

 

回転の勢いにより早く、より強力な拳撃がdioのザ・ワールドごと貫いた。再生よりも早く回転することでdioの吸血鬼の回復スキルより勝り、より深くのめりこんでいくことでdioの身体をズタズタに引き裂いた。本体の千寿が左手で倍加した波紋を込めた一撃で、

 

「オラオラオラオラァッ!」

 

トドメを刺したことで中心からdioの身体は砕け、エイジャの赤石が波紋を強化するように強くなった一撃が強すぎた波紋の黄金のオーラによってdioの肉体が消滅した。

 

「……またひとつ問題が増えるね、これは」

 

dioの身体を引き裂いて貫き、dioによってバラバラにして血溜まりにされる前にされ返し、風邪もないのに長ランの裾が揺れ動く。観客席で人為的な突然変異でフェニックス化した千寿が変化したことよりも、下僕の安全に喜んで涙を浮かべる妹と対照的にサーゼクスは苦笑いした。

 

フィールドをライザーに肩を貸し、レイヴェルと共に去る間際にdioだったものに言葉を残した。

 

「dio、テメーの敗因は一つ。たった一つのシンプルな答えだ。テメーはオレを怒らせた」

 

「何いってるんだ、早く行くぞ、ジョジョ」

 

「ええ、ジョードさん行きましょうか♪」

 

すっかり懐かれてしまっているレイヴェルやライザーにジョジョと呼ばれることが当初の予定と予想外な気はするものの、無尽蔵のスタミナともいえる千寿の生命エネルギーは燃え盛っており、金髪に挟まれて千寿は溜息をついた。

 

「やれやれだぜ」

 




dio、ゲスいなぁ、ってのとジョード覚醒回でした。

自分の父親の最期を想像したんでしょうね、結局は気化冷凍法もフェニックス化というデウス・エクス・マキナ方式で倒しましたけども、油断しないDIOには原作の三部ラストでは承太郎では勝てなかったかもしれない、と思いましたけども、結局はジョースターのプッツン最強理論。

dioのゲスさが表現できればいいな、と思った今回です。
ちなみに小文字なのは本家DIOやDioと区別を図るためです
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