アマゾンからD×Dの四巻・五巻が来て思いましたよ。
ギャスパー、こんなに可愛いのに 男 な は ず が な い!
「ええっ!?それ、本当なの!?お兄様!」
「ああ、私は君に嘘を付いたことがないだろう?」
冥界のとある一室。
乱入者のdioの存在があったものの、ライザー・フェニックスに士藤千寿ことジョード・ジョースターが勝利したことでリアス・グレモリーとライザー・フェニックスの婚約は無効になった。
士藤千寿の乱入はサーゼクスの予想通りであったが、過去において士藤千寿の父親を殺したdioが姿を現すとは思わなかった。眷族を殺した吸血鬼としてサーゼクスは自らが相手になろうと思ったものの、実質は譲寿は主の命令無しで妻と息子を助けに向かった。そのことから魔王という地位から動けずにいたので千寿がdioを倒したのは良かったものの、さすがは「イレギュラー」と呼ばれた男の息子と言うべきか、ライザーの炎とスタンド能力で巻き上げた炎を火種にして不死鳥の力をも得てしまった。
そこからはじまったのはフェニックス家とグレモリー家の両家のうち、どちらかが赤龍帝にしてスタンド使いの千寿を持つべきかという問題だった。
グレモリー眷族ではあるものの、同時にフェニックスの力をライザー・フェニックス眷族の王のライザーの炎で成り行きといえど、フェニックスになった。それでライザーやレイヴェルをdioの毒牙から救い出したものの、結果的にこの問題が残った。
「お兄様が嘘をついたことがないのは知ってるけど、センちゃんはどうしてるの?」
「レイヴェル嬢が看病しているよ。自分や兄を救い出してもらったからだろうね、気に入っているようだ」
サーゼクスの言葉にリアスは同意する。
幼少の頃よりサーゼクスには可愛がられていて、兄はシスコンと気づくのにそう時間はかからなかった。自分の事を深く溺愛し、戦車の男の息子と写真を撮ったりだとか特撮の話をしていたのはよく聞いたことがある。妹を心配させまいと微笑んではいるものの、魔王としての地位がそうさせるのであって実際はフェニックス家へ行ってしまいやしないかと。笑みから窺える表情は寂しがっているように見えた。
「行ってあげたらどうだい?彼は君を取り戻しに乗り込んできたんだ。なかなか熱い
士藤譲寿との思い出を思い出しているのか、サーゼクスの表情は次第に柔らかくなっていって魔王の
「……なぁ、ジョジョ。君の息子は君そっくりに育ってるよ。どこかで見ているかい?」
いつかのそして過去の自分に走っていく妹の背中を重ね、サーゼクスは一人呟いた。フェニックス郷と父親のグレモリー郷が話し合った上での結果だが、妹はまだまだ未熟だ。どんな結果をとろうとも士藤の息子がフェニックスに行ってもグレモリーに残っても涙を流すだろう。長ランの裾をはためかせ、帽子の中に隠れたグリーンの瞳。かつての戦車の男の面影を残す、彼と奇妙な縁から兄妹で士藤親子を眷族にすることとなった。この経験を通し、妹に成長して欲しいと思いつつ今はいない「JOJO」に語りかけた。
総合病室となった、その一室はパーティー会場の中に臨時で作られたものだった。エネルギーを奪われたこと以外は特に以上がなかったフェニックス郷とレイヴェル・フェニックス以外に被害者はなく、ライザーの他の眷族も無事だった。ベッドで眠る青年は猛り立ってフェニックスに挑み、過去の「恐怖」に立ち向かった青年には思えないほど安らかな寝顔を見せている。死んだように眠る彼の横で纏うドレスは僅かにボロボロなものの、千寿に守られたことでエネルギーを奪われたことで特に以上はないレイヴェル・フェニックスは青年の大きな左手を握っている。
度重なる過激な動きと身体がボロボロになりつつも肉体に負担を掛ける、膂力の発動。
それによってドライグが左腕との等価交換によって身体を治したことで、赤い篭手に宝玉が填められた状態で士藤千寿の傷は癒されている。
「こうしていると、可愛らしい寝顔ですわね、ジョードさん」
自分や兄を助け、dioをその「見えない力」で屠り去った千寿はまるで英雄のようであった。
正体不明の説明できない力で父親や自分からエネルギーを奪ったdioの能力はダニーによると、「時を停める」力であったという。使い魔(?)であり、意思を伝えることが出来るダニーは成熟した馬の形態は令嬢のレイヴェルが気に入る姿であった。ダニー自身が自分の意思を千寿以外に伝えられることを驚いていたものの、レイヴェルは大して気にしなかった。どうして彼が兄や自分を助けてくれたか、というのと彼の幼馴染を悪く言ったのが後悔として残る。
眠る彼はあれほど強大に映った者を打ち破ったようには思えず、ただ“神”に立ち向かう者の背中を見せてくれたようには見えない。
同年代かそれくらいの容姿の彼は寝顔は幼く、自らにとっての英雄である彼の傍にいることがレイヴェルにとって大切だった。
「ここにいたのか、レイヴェル」
「お兄様……」
扉を開けて入って来たのはレイヴェルの兄、ライザーだった。千寿のスタンドによって炎の衣を返してもらったことにより、その傷は癒えてdioによって足蹴にされ、踏みつけられていた時のみじめな様子は見当たらない。自分の妹が見下した男によって救われ、結果的には自分や自分の父親を救ったとは皮肉な話だ。ライザーが千寿の眠る部屋にやってきたのは、フェニックス郷とグレモリー郷の話し合いの結果を伝える為にだ。優秀な“血筋”の千寿は結果的にフェニックスに目覚めた。それによって眷族はグレモリーがしたものの、最終的な所属をどちらにするのか、と言ったところだ。
もちろん、千寿やレイヴェルにはその旨は話されていない。
「ジョジョのことなんだがな、もしかしたら、フェニックスの傘下に入るかもしれない」
「えっ、と言うと……?」
レイヴェルは兄の言葉に顔を上げる。自分を救ってくれた人が、強大な力を持った男が自らの家に来てくれるのだ。今、レイヴェルはライザーの傘下になっているものの、これが実際に行われるのならジョード・ジョースターが自らの眷族となってくれるかもしれない。その姿勢といい、自分を助けてくれたことといい。いつしかレイヴェルは千寿に対して占有欲が沸きあがり、そしてフェニックスに目覚めたことで支配しようと思う気持ちが高まっていた。
「お前は今まではオレの眷族、と言う扱いだったが
「……冗談じゃねえ」
「「!?」」
ライザーとレイヴェルの会話の傍ら、目が覚めた千寿は開口一番に機嫌を悪そうにして呟いた。レイヴェルは千寿の肩に長ランをかけ、「ありがとう」と言うとレイヴェルが顔を赤らめたので千寿は首をかしげた。長ランに袖を通し、肩を回してみるとどこも以上はないようだ。刺し傷も癒えている所から、回復系の魔法でも使ったんだろうか。
「ああ、起きたのか。お前の処遇なんだがな、フェニックスかグレモリーかのどちらかを好きに選べ、とのことだそうだ」
「……俺がフェニックスの炎の衣を火種にフェニックスに覚醒したからか?」
「ああ。信じられないことなんだが、お前は現にフェニックスになったんだ。つまり、今のお前はグレモリー家とフェニックス家に両足を突っ込んでいる」
つまり、どっちつかずとのことらしい。
人間や普通生物のみが自分の力で目覚められるという、「スタンド」と神をも魔王をも殺せる
スタンドは「矢」による覚醒がなければ悪魔のような者達にとってはレアな能力であるし、神器は人間に与えられた力だ。それに人間の技術の“波紋”と“回転”。自分の中から抜けていったものの中にはこの二つのうちのどれかが当てはまっている様な気がした。対悪魔やレーティングゲームにおいて優位に立てる、この二つは悪魔にとって眷属として欲しいのだろう。他の悪魔を押さえ、フェニックス家とグレモリー家が会談権を握ったのはフェニックス家がフェニックスの涙で利益を上げていること、グレモリー家は長男が現魔王となっていることか。どちらにせよ、自分は悪魔にとっては一介のモノに過ぎない。
「俺の答えは決まっている。もちろん、元の場所に帰るだけだ」
「よく考えた上でのことか?我がフェニックスにこれば、それなりの厚遇をしてやってもいい。それに実質では、お前はレイヴェルの
「え、ええ!私もちゃんとお世話しますから。そんなに焦らなくてもいいんですのに……。それに、貴方は私達にとっての“英雄”だから」
「何度でも言うが、俺はグレモリーに戻る。俺がフェニックスの力を借りて、dioに勝てたのには礼を言おう。しかしだ、俺を最初に眷族にしたのは他ならぬリアス先輩だ。今更鞍を変えようとは思えんね」
「センちゃん!」
扉が開き、リアスがドレス姿のまま、部屋に入ってきた。裾を掴み、出来るだけ地面につかないように気をつけながらベッドで身を起こしている千寿に駆け寄り、息を荒げて千寿の手を握る。
「わ、私は貴方がどんな選択をしようと味方だからね!?でも、私としては……」
「先輩!」
「私の傍にいて欲しいかな、なんて……」
「先輩!」
「でもね、私たちの命は結果的には貴方に助けてもらったものだし……」
「ちょっとは俺の話を聞いてくれ!リアス先輩!」
心配のあまりに千寿の言葉がリアスの耳には届いていなかったようだ。ビクッ、と背中が僅かに動いて千寿はベッドから起き上がる。被せられた白いリアスの手を赤いドラゴンの手が覆い、できるだけ痛みを与えないように扱いに気をつけながら、その緑色の瞳がリアスの姿を捉える。
「俺は、どこにもいかねえよ。先輩に助けられた時から、俺の命はテメーのもんなんだって気づいてなかったのか?乱入者のdioの野郎のせいで台無しになりかけたが、俺は先輩についてくよ」
周囲の視線に憚らずに堂々と言ってのけ、千寿は自らの選択を明らかにした。その選択はコレまでどおり「グレモリーの兵士」としているわけで、声を荒げたことでビクッと涙目になったリアスは言葉の意味を悟るまで時間を少々有した。それから自分より背の高い千寿の身体を白い手で包み込み、彼の存在を確認するように抱擁する。フェニックスと覚醒したこと、自分の傍から離れる恐怖。
それがまるで千寿の秘める、「スタンド」の腕で振り払われたようだ。
「後よォ、ライザー。テメー、サラッと俺のことをジョジョだとかジョースターだとか言っていたよな?」
「あ、ああ。それがどうかしたのか?」
思い出したように顔を上げてライザーの方へ視線を向ける。指名されたライザーはポカン、と口をあけていてレイヴェルも同じく……ではなかった。むしろ、いつも自分の眷族と人目を憚らずにイチャイチャするのでコレを見て学んでもらいたかったんだろうが、ライザーはレイヴェルの思惑と正反対の様子で腕組みをして感心していた。主にここまでの口を叩くのは無礼だろうが、怒らずに受け止めてむしろ慰めている。こういうプレイもありか、と頷いていた所への矢。これにはライザーも吃驚。
「『ジョジョ』だとか、『ジョースター』だと呼ばれていい人間は俺が知る中で数えるほどだ。俺はそんなに大層な人間じゃあない。オヤジと被るし、オヤジの印象を何時までも引っ張るだろう。dioのいうことなんか気にすんじゃねえ、俺は士藤千寿でありジョード・ジョースター。俺を兄弟か何かだと思っているならば、俺のことは『シドー』か『センジュ』でいいだろう?ライザーから炎の衣を奪ったとはいえ、結果的にはお前のギャンブル的行為が功を奏してdioの野郎を倒せた……。フェニックスになるのさえ、確率が低いだろうしな。憶測だが。また、この
ビシッ、と千寿の「ストーン・ローゼズ」はその尖った爪のある人差し指をライザーに向けた。マジシャンズ・レッドを所有し、この場では千寿を除けば唯一のスタンド使いだ。気がつけばやわらかいものが押し付けられているのに気づき、その正体はリアスの豊満な乳房だった。腕を絡めるだけでなく、指も絡められている。過保護な主だな、と誰にも見えないように表情を零すと何処からともなく包帯を胴体に巻きつけたダニーが帽子の上に器用に着地する。
悪魔になって年月がたたず、フェニックスとして『
「ちょ、ちょっと待ってくれ!何故、お前はーー」
「お前の次の台詞は『どうして妹も助けてくれたんだ!?』、だ」
「どうして妹も助けてくれたんだ!?……ハッ!?」
「この俺にはお見通しだ。何、被っちまったんだよ。初恋のあの子にな」
その背中を追い、マジシャンズ・レッドが炎を灯さない手で千寿の肩を掴む。ふいに触られた気はするものの、その正体が「スタンド」だと気づいてストーン・ローゼズが捕まえて捻り上げない所を見るとただ単純な疑問であった。dioに捕まったレイヴェルの表情が
長ランから落ちた、鉄球のようなものの二分の一の欠片を拾い、それを両手で包み込んでレイヴェルは胸に抱く。
ライザー・フェニックスも、ジョード・ジョースターも、いや、士藤千寿も結局は動機は「女性」だった。
ほんとうに二人ともどうしようもない男である。
パーティー会場からオカルト研究部は駒王学園に戻ると、空気を読んだのか全員がすぐに解散した。
ダニーがどうして解散したのかを理解できずにキョロキョロ見回していると、“戦士”の面持ちを漂わせる主から下されたのは、その主のリアスから伝えられた「どこか広い場所へ」という一言。
【アーイ、アイサー!】
理由を聞かずに了承したダニーは成熟した黒馬へと変貌し、その上にリアスと千寿を乗せて「広い場所」こと深夜の公園に舞い降りる。二人を降ろした後、ダニーはしばらくその姿のままでいた。深夜の時間帯、長ラン姿の大柄な男とドレス姿の美女と言う奇妙な絵柄は誰の目にも映らないだろうと思ったのもある。それに万が一のことがあれば、千寿の潜ませるチカラとかでなんとかなるだろうから。
ダニー自身は離れた位置で見守っていたが、内容は色濃く甘い雰囲気が漂っている。相変わらずの千寿は可愛らしい名前に似合わず、無表情なままだが何処か余裕がある。もう一人の金髪の波紋戦士の話題やらで笑いあった(おそらくリアスだけ)二人の影はやがて重なり合い、夜が明けそうな時間が近づくとダニーの元へと戻ってリアスを送り届けることとなる。
その後、帰宅した千寿とダニーは士藤邸でまずはジョセフに頬に一発殴られ、dioを倒したことで回復したホリーに泣きながら抱きしめられ、その帽子の上からスージーがポンポンと頭をなでる。
千寿の帰宅に気づいたアーシアによって説教を受けた後、千寿は部屋でアーシアと甘いひとときを過ごすが、洗濯物を戻しに来たレイナーレにお叱りを受ける。
その間、ずっとレイナーレの柔らな双丘の感触を楽しんでいたダニーは様子をただ見ていた。
置いてきぼりにされた、もう一人の波紋戦士が茶化しにやってきたときは既に朝陽が上っていて。
昼時になると、リアスが士藤邸に住まうこととなる。ホリーにあらかじめ連絡していたらしいが、千寿とダニーは何も聞かされていなかった。
嫉妬の炎で燃え上がるチェザーレをよそにレイナーレ、アーシア、リアスの三人娘に叱責される千寿。話は全く聞いていないように振舞っているようだが、帽子を深く被った下には喜色を含んでいる。
【いやァ、兄ィはやっぱりスゲェわ。だからこそ、尊敬できるんだよなァ。どこぞのチェザーレと違って】
「なんか失礼なこと言われた気がすっぞ!?」
主への期待や羨望を膨らませるダニーは今回の戦いで何の活躍もなかった、軽薄な波紋戦士へと横目でチラチラ眺める。失礼な事を思われた、または言われたと気づいた波紋戦士はどこからそんな声がしたのか、と確かめにいくべく士藤邸を抜け出して家に戻るが、そこでは金髪の波紋戦士は祖父からお叱りを受けた。
第三部完