ストーン・ローゼスや鉄球を出したお陰なのか、すごい速さで感想欄が埋まっています。
ありがとうございます、みなさん。
この夏は良い思い出が出来そうだ。
さて、今回は連続投稿。
13番目の星座はしばらくおやすみ。
第一部「PhantomBlood」を完結させ、また余裕を生んでからオリジナルに取り組みます。
☆
これは、一晩の物語。
己を『必要』としてくれた少女の為、『立ち向かう』男の一晩の物語。
「てっきゅぅ?すたんどぉ?なーに、それ?所詮、人間のモンでしょーが!
『ストーン・ローゼス』が打ち出す球体をかわしながら、レイナーレは光の槍を投げてくる。それをアーシアを護るようにしながら、ときおり、投げて外れた鉄球を回収しようと近づこうとするが、レイナーレがそれをさせない。レイナーレは隙を見てアーシアを攫いに行こうとするが、『ストーン・ローゼス』が自分をコケにされたことが許せなくて、「キュビアアアアア!」とけたたましい鳴き声を上げて応戦する。
不思議な事に、スタンド・『ストーン・ローゼス』がテンションが上がっている様子だとこちらも負けじと上がってくる。スタンドに慣れていないときに発現した『十字架』の時は壁を殴るだけで痛覚がフィードバックするが、今はどうも慣れてきているようで違うようだ。
「人間風情……?笑わせてくれるな、堕天使・レイナーレ!俺は現在、悪魔として生を受けていようと、それは俺を眷属悪魔として転生させてくれた!俺は
「センジュさん……。」
アーシアはぎゅ、と千寿の長ランの裾を掴む。
こうなってしまうと、千寿に何を言っても無駄だ。熱くなって怒った千住を止められるものに少なくとも自分は出会った事が無い。彼は優しく明るくカッコいい男だったが、逆にプライドの高い所と正義感が強いところがある。ましてや、友人が酷い目に遭うとなると真っ先に彼は飛んできた。あの日のことを今でも思い出すのは、この状況があの日のようだから。
「ハッ、それこそ私が言う台詞ね。アーシアの聖母の微笑さえあれば、私はアザゼル様やシェムハザ様に寵愛される、堕天使になれる!私を舐めた奴らを見返せるのよ!そんなのを、そんなのを悪魔ごときに邪魔されるわけには行かないの!」
プッツン。
『何か』が、決定的な『何か』が切れた音がした。
それは表現でなく、『ナニカ』だ。
千寿の中でも決定的な何かが切れる音がした。なにもかもを侮辱された感覚、
「おい、今、
千寿から放たれる、ひとつの『スゴみ』。
それに面食らう自分がレイナーレは憎くなる。相手はただの悪魔、それも昨日今日になったばかりの悪魔と言うのに、どうして自分がこんな思いをしなければならないのか。しかし、光の槍を作り出して投げる手が動かない。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……!
辺りが静まり返る住宅街の夜。
真夜中の決闘が、始まった。
☆
ツェペリ邸―――――
『チェザーレ、それは本当なのね!?』
「ああ、これは本当だ、グレモリー!今、ジョジョの奴が戦っている!」
チェザーレ・A・ツェペリは虫の知らせと共に目が覚めた。
時刻は午後十二時、日付はとっくに変わっている。
普段着の少し涼しい印象を与えるアロハシャツとハーフパンツに着替え、それに帽子を被って通話をしながらチェザーレはオカ研部長のリアスに電話をかける。どうも、嫌な気がしてならないのだ。
小さい頃から良く知る“腐れ縁”としての勘だが、これはとてもヤバイと知らせているような。
ツェペリ一族とジョースター家の“奇妙な縁”とやらがそうさせているのか。
幸い、チェザーレの家は放任主義だった。
“自分の決定には責任を持つこと”を家訓とする家に生まれたことを改めて誇りに思い、寝静まる家から出てチェザーレは現場に向かいつつ、通話を続けている。
『どういう感覚なの?……それは、“チェザーレ”として?それとも、“ツェペリとして”?』
リアスの言葉に真剣味が帯びる。
チェザーレがオカ研に入った当初、リアスが聞かされたのはツェペリ一族とジョースター家のジョナサン・ジョースターとウィル・A・ツェペリの代からある“奇妙な縁”のこと。
長い間、その“縁”が重なるうちにチェザーレは幼い頃から時折、千寿がぼやけていてはいるものの、なにをしているのかは大体察する“能力”のようなものがあった。
このことをはじめて千寿に伝えた時、かくれんぼに役立つな!これでオレからは逃げられない!と言うと「・・・きもちわるい。」と一蹴されたことを思い出す。
そんなトラウマに浸っていると、
「“チェザーレ”としても、“ツェペリ”としてもだ!オレは自分自身と自分の家の誇りにかけて誓おう!此の“感覚”が真実だと!」
自信に満ちるチェザーレの声。
一友人としてでもあり、一人の眷属として信じなければ
どこで何をしているかは知らないが、あの心配性な母と優しい祖父を心配させるなんてなんて精神しているのかしら、と電話の外で頬を膨らませたリアスは支度をして自信満々なチェザーレに
『貴方のその感覚とやらを信じます、チェザーレ・A・ツェペリ。万が一の責任は取れるんでしょうね?』
「もちろんですとも!」
真剣な部長として、眷族を従える王としてリアスはチェザーレに確認を求める。グレモリー眷属全体を危険に回しかねない、今回のこと。それについてお前は責任をもてるのか、と問う質問。それに対しても平然と答えた、チェザーレ・A・ツェペリの肝の据わり具合には流石のリアスも折れた。
チェザーレが現場付近に駆けつけた同じ頃、リアス・グレモリーは部員の姫島朱乃、木場祐斗、塔城小猫らに連絡を回した。
「全く、どこまで私を困らせるつもりなのかしら……。新しい眷属は……」
連絡を回しつつ、急いで現場に向かいながらリアスは溜息を漏らす。が、その表情は言葉とは裏腹に少し優しい表情を浮かべていた。
☆
「どう?諦める気持ちにはなったかしら?」
「ま、まだ……まだだ!まだ、俺は!……ッ!?」
レイナーレの言葉にガクンッ、と千寿は膝を付く。
光の槍の浄化効果を緩めるべく、鉄球の『回転』の技術で『老化』の技を用いり相殺させてきたが、一度に相殺できるのは一つの鉄球に辺り一つずつ。
千寿の手元にある鉄球は二つ。
『ストーン・ローゼス』が一度に放てる球体サイズの弾は二発。
スタンド能力とあわせて、『ストーン・ローゼス』に『回転』をかけて弾を打ち出すことが本番でできるようになって、合計で四発ほど。
連発するには時間がかかり、その分、千寿が慣れていないこともありリロードまでの時間を要する。
それに加え、千寿自身が投げる鉄球を『ストーン・ローゼス』の伸びる長い腕で回収する為に隙を作るべく、回収する為に使わない手から『回転』をかけた弾を放出しなければいけないので、怪我の消耗より、集中を高める作業が劇的に続いたことで精神的なダメージが大きい。
「もう、もうやめてください、センジュさんっ!ボロボロじゃないですか・・・、私なんかの為にどうして……」
ガクッ、と膝をついた千寿にアーシアはすぐに駆け寄る。
背中を摩り、顔を覗きこみながら、自らの神器“
アーシアの手から放たれた緑色の光は千寿の傷を治そうと傷を塞いでいき、アーシアがそれに集中している間にもレイナーレは口端を吊り上げてこちらに、それもアーシアに向かって光の槍を投げつけてこようとしている。
「こっちに、こっちに
今なら、思い浮かべることが出来る。
自分にとっての最強の存在を。
けど、それは決して一人ではない。
たくさんの強者がいる。
英雄がいる。
自分は決して強いわけじゃない。
この一つ一つの技術だって、たくさんの誰かが生み出して試行錯誤したものだ。
チェザーレの波紋呼吸法だってそうだし、初代のジョジョ、ジョナサン・ジョースターは波紋と鉄球を両方使ったとされる。
どのように使ったかはさておき、彼が自分の中での強者の一人だと理解できよう。
ツェペリの家のじいさん、
―――――――他者が強者であることを認めるのは難しいッ!しかし、それもまた『勇気』ッ!『人間賛歌』は『勇気』の賛歌ッ!
―――――――戦う気持ちを忘れず、それでも『立ち向かおうとする意思』ッ!それが大切なのじゃよ、ジョード。なあに、心配するでない。ジョード、お前はわしの孫なんじゃからのう?
―――――――コツが分からないから教えてくれ?ハハハ、こうしていると、お前はJOJOの孫であることを忘れてしまうのう。・・・いや、お前も『JOJO』じゃったか。
―――――――え?サッカーを教えて欲しい?いいよ、教えてやるさ。だって、オレとお前はダチだろ?
―――――――ほら、聞こえてくるだろう?君にとっての『強者』の声が。ぼくの孫の声もあるし、ツェペリさんのもあるね?あ、その子孫たちのもある。君は護りたい物が目の前で奪われようとして、自分の『未熟さ』を改めて認めた。それは大切な事なんだよ?ジョード・ジョースター。
聞きなれていない、けど懐かしい声もある。
はじまりの声はチェザーレとどこか似ている雰囲気のある声で、二番目は実はちゃんと尊敬していたりする、祖父のジョセフの声、三番目は『回転』技術の師でもっとも身近な“戦士”の声、四番目は腐れ縁でありながらも自分に親切にしてくれる男の声。
最後には、はじめて『ストーン・ローゼス』を開花させた時に聞こえてきた、優しいがそれでも逞しさと頼もしさを併せ持つ男の声。
遅れてきて、二つの声が聞こえてくる。
『お前は半分だけ人間で、もう半分は人間じゃあない。だけどな、ジョード。おれとお前の母さんはおまえを愛している。しかも、ジョード。凄いじゃあないか、なあ?お前には『おほしさま』が護ってくれていると来たじゃないか。これはすごいぞ、ジョード。星に護られ、さらにおれと母さん、そして母さんのご先祖様が護ってくれている。あとは、お前の『意思』だけだ。自信を持って生きろ、ジョード。分からないことはまわりに聞けば良い。たとえ、そのときにおれがいなくとも、お前はきっと助けてもらえるだろう。』
「ジョジョ!」
「センジュ君っ!」
「センジュくん!」
「士藤先輩っ!」
「この……スカタンッ!グレモリーや姫島を心配させるんじゃあないッ!みんな、心配したんだからな!?」
聞こえてくる。
リアスの声が。
朱乃の声が。
木場の声が。
小猫の声が。
チェザーレの罵声のような、心配する声が。
『ほら、みんなが君を呼んでいるよ。』
『大丈夫、恐れることはない。
『なんせ、君はぼくの家族なんだから。心配しなくったっていい。
『君が成長して完全に力を得るまで、ぼくが受け継いだ全てを使えるようになる、その日まで。』
『君を護るのはこのぼくだ。』
『さあ、行こう!現在の『ジョジョ』!』
最後に聞こえてきた声は『ストーン・ローゼス』が現れたときに感じた、親近感のような感覚がある。
そんな不思議な体感をしながら、士藤千寿はその名を呼ぶ。
「来いッ!これが、『おれのスタンドだッ!』」
その時、『声』は千寿と共にその武器の名を叫ぶ。
天地を揺るがし、天に咆哮を轟かせ、大地には嵐を齎す、その名は――――。
『「
千寿とその他のもうひとつの声と共に傍から現れた、その『スタンド』は長い手をした霊長類の赤ん坊の姿から鉤付きロープを携えた少年のような姿へと変わっている。
「な、なによ、それ・・・?聞いてないわよ!?そんなの!全然、聞いてない!お前の
「『狩人』のようじゃない……」
へにゃり、とレイナーレは地面に倒れこむ。
士藤千寿の能力は確か、あの『スタンド』能力だけのはずだ。姿も変わらず、決して大した能力を持たないからこそ、こうしてレイナーレは光の槍を数発投げれば確実に『浄化』されて死ぬと感じた。
しかし!レイナーレの予想は軌道をカーブを描いて飛ぶブーメランのように大きくナナメを行ったッ!士藤千寿の爆発力を甘くみていたのだッ!このとき、レイナーレは本能のうちに離開するッ!今の最高に『キレた』士藤千寿なら、どんなこともやり遂げるとッ!こちらを殺す手立てを考えつくくらい簡単だとッ!
「あ、あれは……」
「部長?」
リアスは自分の身体が震えるのを感じる。
スタンド能力について知ったのはつい最近。そのスタンド能力が『目の前』で進化を遂げたのだ。悪魔の駒の台座部分だけの『台無しの駒』を幾つかと歩兵をすべて使用したあと、ようやく眷属として転生した千寿。
(ジョジョは一体、何者なの…?もしかして、あの気迫は…)
「ここは、部長、センジュくんに任せましょう。色々と手違いな事が多い日ですけど、新人のお手並み拝見と言いますか」
「うふふ、私も木場君の意見に賛成ですわ。可愛い後輩とはいえ、その実力は未知数。とりあえず、力を見てから私たちの実力を披露する、と言うのは?」
「私も木場先輩や姫島先輩に賛成です、部長」
三者三様、みな同じ意見だった。
チェザーレにも意見を求めるが、呆気を取られて動けなくなっている様子。
そう、それが普通の反応だ。
遠くから黒い翼の、カラスのようなものがこちらに飛んでくるが、どうも見たところでは堕天使の援軍のようだ。
レイナーレ、と名乗ったあの堕天使。
なんらかの狙いがあり、それを持って来れなかったばかりに来たとしたなら?
それなら、この援軍も頷ける。
しかし、リアスは自然と不安ではなかった。
新たなスタンド能力に覚醒した直後と言っても、千寿は二人居るようなものだから。
進化したスタンド能力。
人間が本来持っているとされる、潜在能力のようなスタンド能力が進化し、新たに変わったスタンドの『その姿』。
両者を併せ持つ千寿が弱いはずが決してないと。
「ジョジョ!無断で堕天使と交戦していることには、あとでみっちり聞かせてもらうから覚悟しておきなさい!……でも、今は目の前の敵に集中して!」
「……ッ!?ああ、わかっている」
突然にかけられた声に戸惑うが、千寿はすぐに態勢を立て直す。
『声』を聞いている間、気絶でもしていたんだろうか、アーシアが心配そうに此方を見つめている。
「センジュ、さん・・・?」
「安心してくれ、アーシア。俺が直々にあいつをブチのめす。てめーはそこで待っていろ。怪我の文句なら後でいくらでも聞こう。今は無理だが、時間はいくらでもあるからな。」
「は、はい……!」
涙ぐみそうなアーシアの頭を撫でてやり、千寿はリアスらの方に視線をやる。小さい頃から気心が知れるチェザーレは何がやりたいのか良く理解しており、アーシアをリアスの方へと非難させた。
「ちょ、ちょっとチェザーレ!?危険よ!?あの中にはいるのは!」
「申し訳ない。……だが、今にあいつは決めてくれる。そのためにオレは最善のことをやらなきゃならない」
チェザーレの言葉に押され、リアスは黙り込んだ。そして悔しさもあった。こんなに強力で絶大な力を持った神器を持つ、眷属と阿吽の呼吸の信頼関係が築けていないことに。
そして決意する。
「ジョジョ!アーシアは保護したわ!決めてしまいなさい!」
主として、彼を千寿をこれ以上ないぐらい可愛がると。
「言われなくても、わかっている!」
千寿が変化した『ストーン・ローゼスAct2』で空中で投げて浮かせた鉄球を鉄槌で打つと、その打った勢いで『回転』がかかりスピードが増してゆき、確かに何かが当たった感覚はあった。
同タイミング、液体を纏ったチェザーレの波紋呼吸による固体化した波紋がそのスピードを支える飛行機におけるエンジンの役割を果たし、周囲に飛来してくる堕天使を朱乃が雷の魔法で撃墜して黒こげにして消滅させ、小猫が自慢の怪力で投げた木がヒットし、その上を木場が“
これでひといきついた、と思って千寿が堕天使の死体の山となったあたりをみまわすと、アーシアと
レイナーレの姿がない。
その場に居た全員が、ソレに気づくと千寿が歯軋りをして止めることが出来ず、その後を追うように小猫と木場が千寿の後を追った。
PhantomBloodもついに最終局面!
神器が無理矢理だって?逆に考えるんだ、ライザー戦で燃えると!
後ろで親に怒られつつ、寝たのを確認してから書いてた私。
文法がおかしくなったりしていたら、ご指摘下さいな。
我ながら、今回の覚醒は燃えていたと思う。