ダンジョンを血で染めるのは間違っているだろうか。 作:焼きカレー
ぶっちゃけだんまちアニメ知識ぐらいしかないです。
「あんなトマト野郎の雑魚とじゃあ、アイズ・ヴァレンシュタインとは釣り合わねぇ!」
悔しかった。言い返せない自分が。強くない自分が。臆病な自分が。
ロキファミリアのウェアウルフである彼に言われたその言葉が何度も何度も繰り返し、頭の中では
「ーーーーーーーーァァァッッッ!!」
雄たけびを上げ、自身の目の前を立ちふさがるモンスター達に突っ込んでいく。体には擦り傷や打撲などを負っていたが不思議と痛みは感じなかった。あたりのいたるところに血を撒き散らし、それがモンスターのモノか自分のモノかもわからなくなるほど冒険者、ベル・クラネルは無我夢中で戦っていた。
気づいたのだ。この迷宮都市オラリオに出会いを求めて来て、ここで英雄となり ダンジョンで女の子との出会いを夢見ていたこと、だがそれが漠然と期待していたことに、気づいてしまった。なにもしなくても出会いはあるものだと、どこか心の中で思っていたことに。
「たどり着くんだ・・・あの人にふさわしい冒険者になるために・・・!」
息は上がり、満身創痍の体を引きずりながら次の獲物を探す。顔についた血をぬぐいながら武器を片手にただひたすら切りつけるだけ。傍から見ればあまりにも無謀で、とても戦えるような状態でもない彼は、ただそれでも憧れ、惚れた女性にふさわしい
だがそれでも現実は非情で、いやそれが当たり前のことで--------やがて力が尽きる。
「あっ・・・・。」
目の前にはまだモンスターが複数いるというのに、四肢に力が入らずそのまま倒れてしまう。ここで死んではいけないのに、ここで死んでは自身の夢も叶えられないのに。
[冒険者は冒険してはならない]
自身の担当アドバイザーであるエイナさんに言われた言葉を思い出す。今自分がしているのは冒険などと言えないが、あまりにも無茶な行動であるのは間違いなかった。ポーションも持たずモンスターとの連戦。ここがどこの階層かも覚えていないままひたすら前に進んでいた。
モンスターが僕を見下ろし今まさに止めを刺そうとしている。
ここで死ねない。と武器を握る手に力を込める。だが血を失いすぎたのだ。意識も既に朦朧としており、視界がぼやけ始める。
「ぐ・・・うあ・・・!」
握る力すら無くし、いよいよナイフが地に落ちようとする。嫌に世界がゆっくりに見えて、今まさに自身の命が消えようとするその瞬間であった。
ザシュッーーーーーー
自身の背後から黒い影が現れたと思った瞬間に、刃が風を切る音が聞こえる。モンスターが悲鳴をあげることすらできず息絶え、切り傷から血が噴出し目の前の人物が血を被る。
「え・・・?」
そして目の前の人物は自身には目もくれず未だ残るモンスターを手に握る刀のような物で排除していった。その度に血をかぶり彼の衣服が赤く染め上げられる。その姿にどこか今日の血に塗れて真っ赤になった自分を思い出すもその人物は自分とは違いその姿が似合っていると、そう思った。 やがて辺りを見渡し他にモンスターがいないことを確認すると彼は振り返り少年を見下ろした。その眼は自分と同じく真紅に染まり、口元を覆うマスクと深く被る帽子の隙間からみえる髪もまた自分と同じく白く、だがそれでいて銀色に光るものだった。
「大丈夫かね?少年。」
武器を鞘に戻し、目の前の黒い外套を身にまとった長身の男は気遣うように声をかけてくる。
「すみません・・・助かりまし・・・た・・・・。」
朦朧とした中で何とか感謝の言葉を言うものの、そこで意識が完全に途切れてしまった。