TS転生 地味子と行くインフィニットストラトス~ハーレムには入らない~ 作:地味子好き
「全員そろってますね~。それじゃあHR始めま~す」
そう言って入ってきたのは副担任の山田真耶。おっとりした性格に女子なら羨むその巨乳―。
そう、私は今、1組の教室にいた。
あれから半年が過ぎ、私は地獄のような改黒兎式特訓によって肉体的に…だいぶ成長。
なんだか居酒屋の一件以来、千冬さんとの仲も少しづつ縮まっていた。
他に言うこととすれば、幸い私のことは千冬さんや束さんが教えてくれたように公にはされず。
入学時の適正もBといたって普通な数字になっている。
それよりも…だ。やはりこの世界は原作通り話が進んでいる。
少し前、世界中を駆け巡った重大ニュース。
藍越学院という私立高校で行われていたIS適性検査用の打鉄に偶然触れてしまた彼…。
渦中の織斑一夏は私の隣の列の最前列である。
彼は此処からでもわかるレベルで緊張していた。
ちなみに後から気が付いたことだが、一夏くんが起動させた打鉄は黒薊と一緒に訓練で私がちょこちょこ使っていた機体だった。
そのせいで練習場所の移動を余儀なくされ、私は普通より早くIS学園の寮に入ることができたのだった。
それもそれでひと悶着あったりしたのだが…それは追々。
「1番の相川清香です!」
おっと、もう自己紹介が始まっている。『あ』から始まる私は4番。
なのですぐに順番が来た。
「4番の…天利冬香です。趣味は、映画と読書です。よろしくお願いします」
私はそう言って席に座る。うむ、無難無難。
(確かこの後は千冬さんが来て…)
原作の進行を思い出して、私は胸ポケットに潜ませてあるペン型カメラを起動させる。
ちなみにこれは今私がかけている眼鏡に映像が映されている。束さん特製のカメラだ。
「織斑くん?織斑一夏くんっ。」
山田先生が彼の名前を呼び彼はハッと顔を上げる。
「は、ハイっ!」
「あ、ごめんね。お、怒ってるかな?でも、今自己紹介が 『あ』 から始まって 『お』 なの。自己紹介…してくれるかな?」
山田先生、明らかに男子に免疫がなさそうだ。
まぁIS学園生だったらしいし、長い事異性に触れあってないとそうなってしまうモノなのか。
「あ、すみません!えっと…織斑一夏です!よろしくお願いします。」
時間にして約3秒。彼が言った直後教室が固まった。
「以上です!」
彼はさらに追い打ちをかける。クラスの周りはほとんど複雑な表情(苦笑いともいう)
一昔前のギャグマンガなら全員でずっこけそうていそうだ。
「お前はまともに自己紹介もできんのかッ!」
バァン!と出席簿で頭を叩かれる。
「ゲェッ!関羽!」
「誰が三国志の英雄だ、バカ者!」
彼を叩いたのは人類最強にして私の先生である織斑千冬。
彼女のことを認識するやいなや、周りの女子たちは一気に騒ぎ始める。
「きゃぁぁぁ!本物の千冬様だわぁぁ!」
「私このために九州から来たんですぅ!」
「私、お姉さまに指導していただけるなんて究極の悦びですぅ!」
きゃいきゃい騒ぐ彼女らを千冬さんはうっとうしそうな目で見る。
「全く…なんで私のクラスにはいつもこんな馬鹿どもが集まるんだ」
そう言うと彼女らはまた騒ぎ出す。
(あはは……。前世でアニメやら二次創作でこのシーンは何回も見てきたけど…実際生で見るとすごいな…)
私が千冬さんに習っていた時は基本的にマンツーマン。
その為、彼女達千冬ファンの熱気に当てられたのもこれが初めてだった。
「まぁ今年は特に大変になるが…」
千冬さんは私に気づいたらしく視線をこちらに向けてくる。
それに対して私は早く進めてください、と視線で送り返す。
それをくみ取ったようで生徒への説明を加える。
こうしてSHRは終わった。
―――――
彼。織斑一夏に1人の女性が近づく。篠ノ之箒。
私のパトロンである篠ノ之束の妹だ。
幸い私の元に話しかけに来る子はいない。…2人には悪いが盗撮をさせてもらおう。
柱の陰に隠れペン型カメラを起動させる。
「はぁ…ことあるごとにこうするのは大変だよなぁ」
小さくつぶやく。すると頭にビシッ!っと衝撃が来る。
「イタッ!」
「何やってるんだ。冬香」
人類最強様である。
「感心しないな。人の会話を盗み見るとは…まぁ大方アイツにでも言われたのだろう?」
「痛てて。千冬さん勘弁してください。そうしないとほら、専用機とか取り上げられちゃうかもしれないですし、あの人のことだから最悪命が危ないというか…」
「ふん、まぁ私としては目をつぶろう。ほら、はやく教室へ戻れ。」
そう急かされて、教室に戻る。
肝心の授業は…というと私が去年から千冬さんに教え込まれたのと同じことだ。
適性Sとはすなわち国家代表への道に他ならない。
今の私はイレギュラーすぎるため一旦保留になっているそうだが、それはそれは大変な座学だった。
一度そのことを束さんに言ってみたら、明らかに怪しいですよという蛍光ピンクのドリンクを渡されたことがある。
そのおかげで殆どの座学は問題なく覚えたが、代わりに1週間鼻血が止まらなくなった。
さて、そんなことを経験した私としては復習にもならないほど単純である。
他の生徒たちも予習はしっかりしてあるようで特に質問もせず進んでいく…。
ただ一人を除いて。
「織斑くん何かわからないことがありますか?」
山田先生の質問に対し彼の答えは
「全部わかりません」
である。そもそもこの授業は、二次関数のグラフが放物線を描くことを知っている前提で平方完成をやるようなものである。
彼はその『二次関数』を知らないのと等しかった。
「ぜ、全部ですか!?」
流石に彼女も驚きである。
「織斑、入学前に渡された参考書は読んだのか?」
「古い電話帳と間違えて捨てました。」
「必読と書いてあっただろう!馬鹿者!」
パァン!といい音が鳴る。
さて、この後山田先生が放課後一夏君に教えるころで頬を赤らめたりしてこの授業は終わった。
―――――
さて、原作通りセシリアとのひと悶着があった後2時間目。
「クラス対抗戦に出る代表を決定する」
来た。序盤の重要イベント。
この姿を束さんに送ればこの先少しは動画を送るペースを落としてもOKだろう。
「はーい!私は織斑君を推薦しまーす!」
「わたしも!」
録音盤のように織斑一夏コールが教室内に響き渡る。
「ほう…。では他にいないか?」
「ま、待ってくれよ!千冬姉、俺はやるとは言って」
スパァン!
「織斑先生だ。それに他薦されたものに拒否権はない」
「納得いきませんわ!」
セシリアは机をたたきながら勢いよく立ち上がる。
さて、彼女、セシリア・オルコット。
私が前世の頃は『オルコッ党』という超巨大勢力ができていた大人気キャラ。
この世界に来ていろいろ調べていたのだが、両親の死別により没落しかけたオルコット家を若干10歳ながら社交界、政財界、在郷軍人会などの支援を受け貴族と呼ぶにふさわしい地位まで押し戻した、まさしく貴族の中の貴族。
はじめ、織斑一夏へ強くあたっていたのは、そんな過去が理由だった。
「そもそも、実力で言えば私が選ばれるのが道理。それを物珍しいという理由だけで極東のサルにするなど言語道断ですわ!」
「言ってくれるな!イギリスだってうまい食事ランキング万年最下位だろうが!」
「貴方…!私の祖国を貶しましたわね!決闘です!」
「良いぜ!受けてやるよ!」
売り言葉に買い言葉とはまさにこのことである。
(さて、では私は傍観者に徹するか…どうせ他薦はないだろうし、自薦なんてもってのほか)
「ふん…では1週間後の月曜の放課後に第3アリーナで行う…それと2人!」
見かねた千冬さんが段取りを進める。
「はい?」
「なんですの?」
「お前らには現実を知ってもらう。織斑は明日の18時、オルコットは今日の19時に第6アリーナへ来い」
最後に織斑千冬から1発の爆弾が投下された。なぜか?彼女の視線は明らかに私に向けられていたからである。
(あれ、もしかして…私、戦わせられる…!?)
今回からIS本編に入ります。亀投稿ですが……頑張りたいと思います。