TS転生 地味子と行くインフィニットストラトス~ハーレムには入らない~ 作:地味子好き
あれから千冬さんとは顔を合わせていない。
(と言うか逆にあんなこと言って呼び出してこないのとっても怖いんだけど…。)
そう思いながら第3アリーナへの道を進む。
原作に無かった展開なだけあって、こっちとしては予想もしていなかったところだ。
「蝶が羽ばたけばハリケーンが起こる…。もしかして私の存在がこの結果を呼んだ…?」
周りには誰一人としていないが、誰にも聞こえないレベルの小声で呟く。
「そうかもしれないね。」
目の前から声がした。誰一人としていなかった‥‥そう少なくともコンマ数秒前まではそうだった。
「束さん…。」
もはや、彼女にとって時や距離など関係ないモノであった。
「いやぁ、お届け物をね?白兎束の宅急便さ。あの…ビット兵器…だっけ?黒薊用のアレ持ってきたから。」
「も、持ってきたって、インストールや設定する時間なんてありませんよ!?」
「そんな時間いらないよ?ふゆちゃん腕輪と頭をこっちに寄せて?」
言われるがまま、黒薊の待機状態である腕輪を外し彼女の方に近づく。
「さん…にぃ…いち。ほぉら、
覚えた。そう言われた瞬間。まるで生きてから手足を使っていたのと同じような、感覚が体中を駆け巡った。
それは追加されたビット兵器の使い方。いや、
「私に何を!?」
「君の体にはIS調整用のナノマシンが血と一緒に流れてる。あとは分かるよね?」
「人の体を何だと思ってるんですか?」
「別に誰でもホイホイやるようなことじゃないよ。ふゆちゃんだからやっただけ。」
そう言うと束さんは一瞬にして目の前から消えた。
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~第3アリーナ~
「一夏は近接訓練が足りていないだろう?そこで私の出番だ。」
箒が一夏へそう言う。
「待ちなさい!」
会話を遮るように放たれたその声。
「り、鈴!?」
「近接なら私が教えるわ!あんたはどきなさい!」
手に持ったブレード。双天牙月を箒へ向ける。
「な、何だと!?」
そう言って箒が空中に飛翔した瞬間だった。
「お二人とも!早く回避してください!」
まず最初に感知したのはブルーティアーズのセンサーだった。
打鉄と甲龍へ向かって十数本のビームが向かう。
「何よッ!?」
「ぐわぁッ!?」
鈴は避けれたが箒は回避できずにビームの直撃を喰らった。
「まさか…、その機体!?」
セシリアは声をあげる。一夏、セシリア、箒、そして鈴。
眼前に移った機体。漆黒の装甲をまとい、周りには6機のビット兵器を展開していた…。
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「来て。黒薊!」
髪を挙げ、眼鏡を外し、黒薊を呼ぶ。
ヒュインとインターフェースにウィンドウが表示された。
どうやら「光の翼」のユニットと交換でファンネルユニットを装備するらしい。
「やっぱり付いてるんだね…。」
頭に手を向けるとカチューシャの感触があった。
(ん?なんだかインターフェイスに新しいアイコンが付いてる…。)
ピと手でその表示を押すと、「でこ」の部分にヘッドギアが現れた。
「また新しいのが…。」
黒薊をカタパルトに乗せ、射出させる。
(どうやら一夏たちは気づいてないみたい…。なら…!)
「いけぇ!ファンネル!」
背部のファンネルラックから6機のフィンファンネルが射出される。
ガガッ。展開した瞬間。脳にノイズのようなものが走った。いや、走ったのが分かったのである。
次の瞬間だった。
「ッ!?また頭が…!」
前回は感じなかった頭の痛み。それが再び冬香に襲い掛かった。
「なんでッ!?なんでまたこれがぁ!?」
幸いにも黒薊のステルス性によって、まだ彼女らは気づいていない。
そして、痛みの末に冬香は感じた。
「見えたッ!行けファンネル!」
フィンファンネルは正確に箒と鈴を捉えた。
黒薊装着時に現れたヘッドギア。そこには「Z.E.R.O.System」と刻印されていた。
困ったときの束さん!
今回は前後半に分かれてます。
後編は明後日あたりに投稿予定です!
感想とかドンドンお願いします!