TS転生 地味子と行くインフィニットストラトス~ハーレムには入らない~ 作:地味子好き
「俺は―最高の姉さんを、家族を持ったな!」
アリーナの観客席に座る私の前には眩く光る『白』があった。
(あれが…白式!)
あれから数日後、クラス代表決定戦が執り行われていた。
クラスの―、いや学園、世界中が注目する1戦。
織斑一夏の戦いぶりは私と戦った時よりもだいぶ良くなっていた。
千冬さん曰く、私の時は、下の上というようくらいだったが現在は並レベルまでは上がっているらしい。
原作では箒と剣道の練習をひたすら行っていたが、私との模擬戦を受けてISの操縦も少しばかり練習できていたようだ。
その証拠に、原作では印象的だった『27分』というセシリアの攻撃を耐え抜いた時間は10分ほど伸び試合開始から37分が経過していた。
そして、今白式は戦闘中の初期化と最適化を経て、本物の姿へと至る。
かつての名を白騎士、それがあらわすように薄いグレー1色だった装甲は純白に変わり、彼の心を表すかのように機体ところどころに入る藍色も一層その機体色を引き立てている。
その姿はまるで―
『一応、わたしたちは一番近い姉妹なんだけどね』
アリーナへ目を戻すと一夏は自ら得た力を確かめるように数度彼は左手を閉じたり開いたりしている。
そして、瞬時加速をかけ一気にセシリアへ詰め寄る。
セシリアは再装填したミサイル・ビットをけしかけるが、白式の右手に装備された『雪片弐型』で薙ぎ払う。
そしてその刃は正確にセシリア・オルコットを捉えていた―。
『試合終了、勝者セシリア・オルコット』
わたしの知る通りの結果がアナウンスで流れる。
流石に私がかかわったからとはいえ零落白夜を発動しても余りあるシールドエネルギーを残せてはいなかったようだった。
こうしてクラス代表選は終わった。
―――――
夜、再びシャワーの音が浴室内に響く。
「織斑…一夏…」
部屋の中で一人。セシリア・オルコットは先程戦った1人の男の名前を出す。
「あの動き…、
彼女はフェンシングは分かるが剣道は分からない。
よって篠ノ之流で習っていた一夏と同じく習っていた千冬が指導した冬香の動きが同じになるなんて言う発想は出なかった。
「織斑一夏…貴方は、本当に…」
己の信念を貫き、その力を家族の誇りと名誉を守るために振るおうとする男―
それは自分が経験してきた下衆で媚びた視線を持つ人間とは違う、かがやきのようなものを持っていた。
彼女の頬が若干の赤らむ。
そして心は一つの方向へ、傾き始めていた。
―――――
同時刻、別の部屋でもシャワーを浴びる音が響いていた。
「後で今日の分の映像送っておかなきゃなぁ」
そう言って体に付いた泡をシャワーで洗い流す彼女、天利冬香である。
「そろそろ出よう…」
服を着てスライド式のドアを開く。
「更識さん。シャワー上がったからいつでもどうぞ?」
「あ、うん」
そう呼びかけるが簪はタブレットに集中していた。
(やっぱり一人で打鉄弐式作ってるんだよね…大変そうだな)
と髪を拭きながら考えていると私のスマホが鳴る。
着信音は最近ハマっているロボものアニメの曲だった。
前世から『萌え』だけでなく『燃え』も好きだった私はこの世界でも配信サイトでいろいろ見ており、味気なさそうな着信音を嫌って設定したものだった。
「わわっ」
いくら簪ちゃんがヒーローものが好みと原作知識で知っているとはいえ、少し気恥しい。
急いでロックを解除して耳元へ。
併せて簪ちゃんの邪魔にならないように浴室内に戻って扉を閉めた。
『あ、ふゆちゃん?』
「束さん。どうしたんですか?」
『ISの新しいデータ送るから、黒薊に入れといてくれないかなぁ~。』
「新しいデータ…ですか?」
『うん!まず、ISを起動して無くてもいっくんを確認して自動的に私の方に映像を送るシステムを作ったよ!』
(えぇ…何その一夏だけを盗撮するマシーン…)
『後は…まぁ、その時になってのお楽しみって奴かな!じゃあ、またね!』
と通話が切れる。
『その時になったらわかる』という言葉を使う人間に碌なタイプはない。
既に被害を被っているカチューシャという前例があるだけでだいぶ嫌な予感がする。
(ん?そう言えば、なんやかんやで束さんに番号教えたことなかったような…)
そんなことを考えながら浴室の外に出ると、簪ちゃんが目の前にいた。
「あ、あの…」
「あ、ごめんね。電話…うるさかった?」
「そうじゃないの…!さっきの着信音、今やってるアニメのやつだよね?あんまり話とかできる人いなくて…私も好き…だから!」
(あ、やっぱり可愛い!)
そう言ってくれた簪の手を握る。
「分かる!分かるよ!。皆ISばっかりで、全然アニメとか特撮とか見てないもんね!」
そう私は興奮気味に話す。
まぁ、のほほんさん以外まともに他の生徒と喋っていないけど…
「うん!うん!」
簪も大きく首を振っている。
原作知識でわかってはいたものの、やっぱり趣味の話がリアルでできるとなると嬉しい。
「この辺りは自由に読んでもいいからね!」
そう言って私はどんどんと箱の中から漫画や雑誌を取り出していく。
代表候補生ともなればなかなかいいお金が政府から出るので、この世界に来て約半年、いろいろと買いあさってきたものだった。
「わぁ…ありがとう。改めてよろしくね。あと、私のことは…できれば名前で呼んでほしいかな」
「そう?じゃあ私も冬香でいいよ。宜しくね。簪さん」
「うん!冬香さん!」
セシリアが墜ちました。そして、ふゆちゃんは良い同志を見つけられた模様。
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