TS転生 地味子と行くインフィニットストラトス~ハーレムには入らない~ 作:地味子好き
午後の授業はすべて山田先生が進めていたため、千冬さんとは顔を合わせていない。
(と言うか、千冬さんがあんなに不安そうにしていたのに本当に何を言ってしまったんだ私は…)
自分の考えは間違っていないとは思いつつ、千冬の気持ちを汲み取れなかった自分が少し嫌になる。
「私はやっぱり『異物』なのかな…」
周りには誰一人としていないが、誰にも聞こえないレベルの小声で呟く。
「そうかもしれないね」
目の前から声がした。誰一人としていなかった‥‥そう少なくともコンマ数秒前まではそうだった。
「束さん…」
何度目か分からない彼女の会合―。
もはや、彼女にとって時や距離など関係ないモノであった。
「いや~ちーちゃん相手に大見得きってて束さんはびっくりだよ~」
クルクルと彼女は私を取り囲むようにステップを踏んでいた
「それにしてもちーちゃんはなんであんなに焦ってたんだろうね?分かるかな?
「さて、どうでしょう」
彼女が虚空に問いかける。すると空間が少しずつ歪みはじめ、銀色の髪が棚引き始めた。
「……貴女が仕組んだんですか」
クロエ・クロニクルの姿を見て、少しばかり理解ができた。
彼女の生態同期型IS、『
わざわざ彼女を連れて此処に居る―というのが答えであろう。
「ふふん、さすがはふゆちゃんだね。理解が早い娘は束さん大好きだよ!」
千冬さんにあんな強引なことをさせるほどの精神操作、私は束さんに目を据えたままいつでも黒薊を展開できるようにする。
「でもさぁ…あんまり調子乗らないでね?」
「ッ…!」
そんな私の動きに気付いたのか、彼女は目にも見えない速度でステッキを私の首当てる。
冷たい感触が伝わり、直感で死のイメージが全身を駆け巡った。
「あはは~冗談!冗談!ふゆちゃん怖がってるねぇ~」
パッとステッキが花束に変わった。
「怖がらせちゃったお詫びに、束さんがいいもの持ってきたよ!じゃじゃーん!束さんが改良したビット兵器!近々必要になると思ってねぇ!面白そうだから作っておいたのさ!」
彼女の背中には黒と赤、ツートンのビット兵器が浮遊していた。
その形はフィンの形をしており、どこか見覚えがある。
「で、でもインストールや設定する時間なんてありませんよ!?」
「そんな時間いらないよ?ふゆちゃん、頭をこっちに寄せて?」
言われるがまま、黒薊の待機状態である腕輪を外し彼女の方に近づく。
「さん…にぃ…いち。ほぉら、
覚えた。そう言われた瞬間。まるで生きてから手足を使っていたのと同じような、感覚が体中を駆け巡った。
それは追加されたビット兵器の使い方。いや…
「私に何を!?」
「君の体にはIS調整用のナノマシンが血と一緒に流れてる。あとは分かるよねぇ?」
「人の体を何だと思ってるんですか…!?」
「別に誰でもホイホイやるようなことじゃないよ。ふゆちゃんだからやっただけ。じゃあね!引き続きよろしく~!」
そう言うと束さんとクロエは一瞬にして目の前から消えた。
――――~第3アリーナ~
「一夏は近接訓練が足りていないだろう?そこで私の出番だ」
箒が一夏へそう言う。
「待ちなさい!」
会話を遮るように放たれたその声。
「り、鈴!?」
「近接なら私が教えるわ!あんたはどいてなさい!」
手に持ったブレード。双天牙月を箒へ向ける。
「な、何だと!?」
そう言って箒が空中に飛翔した瞬間だった。
「お二人とも!早く回避してください!」
まず最初に感知したのはブルーティアーズのセンサーだった。
打鉄と甲龍へ向かって十数本のビームが向かう。
「何よッ!?」
「ぐわぁッ!?」
鈴は避けれたが箒は回避できずにビームの直撃を喰らった。
「まさか…あの機体、なぜ!?」
セシリアは声をあげる。一夏、セシリア、箒、そして鈴。
眼前に移った機体。漆黒の装甲をまとい、周りには6機のBT兵器を展開していた。
―――――
「来て。黒薊!」
髪を挙げ、眼鏡を外し、黒薊を呼ぶ。
ヒュインとインターフェースにウィンドウが表示された。
どうやら『光の翼』のユニットと交換でフィン・ビットを装備するらしい。
「やっぱり付いてるんだね…」
頭に手を向けるとカチューシャの感触があった。
(ん?なんだかインターフェイスに新しいアイコンが付いてる…)
ピッと手でそのアイコンを押すと、「でこ」の部分に二本のツノのようなブレードアンテナが生成された
「また新しいのが…?デザインだけじゃなさそう…だよね?」
そして、次の瞬間、私は自分の中に入り込む
『ごめんね、冬香―。少しだけ身体を貸して。
そう声が聞こえた気がした。そしてその次の瞬間私は再び意識を失う。
―『月詠システム』稼働開始。対象、A.T.を確認中…エラー確認、精神反応なし。
『本当に守れるのか見せてもらうよ』
困ったときの束さん!
今回は前後半に分かれてます。