TS転生 地味子と行くインフィニットストラトス~ハーレムには入らない~ 作:地味子好き
私は真っ黒の空間に立っている。
自分の身体を見てみると、胸には双丘、そして来ている服は最近着慣れてきたIS学園の制服だった。
一瞬、また死んでしまったのかという考えがちらつく。
だとするなら、あの『くそったれ』の声が聞こえてくるはずだが……
いくら待っても声は聞こえない。
ならば、これは夢なのか―。
私が顔を上げると、突然ブワッっと風が吹いている感覚が押し寄せた。
「何…ッ!?」
この空間に目に入るようなゴミはなさそうだったが、体が反射的に目を瞑った。
1秒、2秒と待っていると風が止み、瞑ったはずの瞳にぼんやりと鈍い光が入ってくる感覚がした。
「これは……」
先ほどの空間に、満天の星空が並んでいる。
そして一面に咲く薊の華―
その細く鋭い花は、触れるものを皆傷つかせる―。
「まるで、今の私のよう―」
『違う!』
だんだんと欠けていた記憶がよみがえる。
私は
『違うの!』
だが、思い出した記憶に感情はない。
『わたしがあなたの身体を奪っただけ、貴女は何も悪くない!』
ただ克明に事実だけが、まるで録画されたように残っている。
私は、どうなってしまうのだろう。
この後も同じことが起きるのだろうか。
今回は途中で気を失ったからまだよかった。
だけれど、今後もっと続いたら?
脚に力が入らない。手が震える。体が震える。吸えない。吐けない。
「はぁっ……はっ、く……っ」
首が絞めつけられる。身体が重い。頭が痛い。
『…か…うか…とうか……冬香!』
『何か』に身体が包み込まれる感覚がした。
それはなんだか、とてもやわらかくて、暖かい。それにつられて私の指先にもじんわりと温度と、呼吸が戻ってくる。
誰かに、抱きしめてられている……?
『大丈夫だよ。私はここに居るよ』
ほんの一瞬だけ、私の目の前には黒髪の少女がいるように見えた。
―――――
「…か…うか…とうか……冬香!」
私の目に入ったのは数日前に見たばかりの天井と千冬さん。
「ち…ふゆ…さん」
うまく声が出ない。
「冬香…、よかった…目を覚まして…」
千冬さんは涙を受かべ私の手を強く握る。
「ち…ふゆ…さん。わ…たし…」
「いいんだ。今日はゆっくりここで寝ていてくれ」
そういって千冬さんは私の頭に手をやり、ゆっくりと撫でる。
暖かい。でも、先ほど感じた暖かさとはまた少し違って感じた。
ともかく、私は生きてまたこの世界に戻ってきたようだった。
―――――
「どういうことなんだよ千冬姉!」
放課後、訓練をしていた俺たちの前にいきなり現れた黒いIS。
俺が数日前模擬戦で戦った相手と同じだった。
その時、千冬姉は後輩の代表候補生という話をしていたが今回の乱入は明らかに異常事態だ。
セシリアや鈴は同じく国家を背負っている経験から余り強く追及しようとはしなかったが、俺はいてもたってもいられなかった。
「今回は模擬戦だなんて聞いてなかったぞ!それに何の説明もなしにいきなり攻撃を仕掛けてくる!なぁ!」
「……すまない、一夏」
ようやく口を開けた千冬姉から聞こえた言葉は、一言だけ。
だが、今まで聞いてきた言葉で1、2を争うくらいの重い言葉だった。
俺はそれだけでこの件がどれほど重くそして異常なのかを知ることができた。
「……俺、まだ少ししか乗ってないけど、あの時、白式は怯えてた気がするんだ」
先日の模擬戦の時に感じたのは、俺よりもはるかに強いという強者への壁。
俺の無力さ、そして家族のために誰よりも強くなるという渇望。
だが、先ほどあの黒いISから感じたものは全く違う。
何かに対しての『焦り』となりふり構わない圧倒的な『暴力』
それに対して白式が怯えている。そんな感覚だった。
ISが13巻で完結ってマジなのですか…。
来年で10周年になりますが時の流れって早いものですね…。
引き続きよろしくお願いいたします。